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二人の嘘
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二人の嘘の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.68pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全18件 1~18 1/1ページ
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一人の女性の再生を描く物語として、巻を措く能わずという興味を覚えた作品でした。一方で、あまりにも類型的なダメ人間たちの描写にはいささかウンザリもしました。性犯罪者たち、元検察官の糞姑、マザコン俗物無能弁護士、偽善に溢れた新聞記者の親友もどき、人間の醜悪さを高純度で煮詰めたような政治家と先輩判事…これらの人物造形はあまりにも類型的かつ露悪的に過ぎ、ヒトとしての善なる部分がまったくと言ってよいほど描写されません。私は、人間はもっと二律背反と矛盾を抱えた複雑な存在であり、それを破綻なく描くのが優れた小説家だと思います。 東大法学部歴代1,2位の優秀な頭脳や、具体性を伴わない「美しい」という形容詞が多用される外観、裁判員裁判制度の陥穽、風光明媚な金沢の描写など、(ドラマ化するにあたっては視聴者の興味をひくものの)文芸作品としての品性が疑われるほど不必要な道具立ては、あまりにもあざとい演出でした。 ただ、感情の動きをある種の必然性を以て痛切に響かせるストーリーは、確かに目を見張るものがありました。 リーガルサスペンスとしては水準以上でしょう。…つい最近読んだ「小麦の法廷」(傑作です)と比べてしまうのですが。 | ||||
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ひとつの裁判に隠された真相。 その真相にたどり着いた時にまた不幸が。せつなく悲しい物語。しかし、前半は若く美しく優秀な裁判官、片陵礼子の非の打ち所のない仕事ぶりが綴られる。それはまるで テレビドラマ『ドクター X 』の「 私、失敗しないので」と言った大門未知子のようだ。 作者は裁判所や裁判官の仕事に精通しているのか 、とても詳しい。主人公礼子の仕事ぶりを知るにつけ、いかに 日本の裁判官が激務であるかを思い知る。 公判(裁判)が終わる前にすでに被告人の判決は決まっていなければならないので、仕事が終わっても、帰宅しても、何十件もの事件の判決文を作成する、ということに驚いた。本書を読むと日本の裁判の現状がわかる。さらに 主人公 礼子は 朝6時に出勤する時も、夫の朝食を作り、義母に食事を届ける。睡眠時間 3時間。感情や心を排除し「裁判官 独立の原則」を徹底し、人と交わらない礼子。 そんな 礼子に転機が訪れる。自分が裁いた一人の元服役囚が現れてから。そこから一気に礼子の感情が動き出していくところが ドラマティックに描かれる。まるで映画を見ているように はっきりと 映像化できる 描写 だ。悲しみに向かってひた走る。ネタバレになるので 内容は書かないが キーワードは『手』なのではないか。タイトルは「嘘」となっているが重要なのは『手』である。そのことを心に留めて 読み進めていただけたらと思う。 | ||||
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不完全で荒削りだが、心打たれる傑作だった。内容に関しては他の方もコメントしているので、控えたい。 刮目したのは作者のレトリックと計算だ。序盤で夫が礼子に呟く同士という言葉。正確には同志だと思うが、敢えて「士」を使うことで二人が打算で結婚した俗物的な似た者同士だと匂わせる。礼子と蛭間の持つ聖性を毀損するのを恐れてか(二人を神話や聖書のキャラになぞらえたようなシーンも散見する)、「美しい」以外の形容を徹底的に排除した身体描写もそう。批判は承知の上で読者がイメージを膨らませることを期待している。破局を予感させるサブタイトルのつけ方も心憎い。幸福な結末を願う読者の心をサスペンドしてくれる。 掌の上で踊らされたというべきか。最終章の明らかな説明不足もしかり。書こうと思えば書けたであろう。ただこれ以上礼子の置かれた苦境を事細かに描いてみせても、読者には暗澹たる想いが残るばかり。それは作者の本意ではあるまい。だからこそ筆を置いて審判を仰いだのだ。証拠(証言)は残しました、後は皆さんで自由に想像してください、裁いてください、と。 サモトラケのニケにしろミロのビーナスにしろ、不完全で未完成な美というものは存在する。敢えてそれを読者に提示した作者の自信と覚悟が伺える。惜しむらくは普遍性の欠如か。読み手の年齢・性別・境遇・感性・アプローチによってこの作品の評価は分かれると思う。 安易で不純な手段を用いて貧しい境遇から脱した後ろ暗さからか、伯母の人生から歓びを奪ったという罪悪感からか、夫に仕え「家」に囚われ、碌な睡眠も取らず窓のない部屋でひたすら判決文を書きまくるという、鬼気迫る自らを罰するような生き方しかできない籠の鳥ー裁判官でありながらジェイルバードと化したヒロインが自由を求めて足掻く。 ミステリィとしても恋愛小説としても楽しめるが、北上氏の言うように一人の女性の抵抗を描いたビルドゥングスロマンとして捉えるのが適切だろう。私にとっては十年に一冊読めるか読めないかという、美しい小説だった。 | ||||
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あまりに辛い、寂しい。 真冬の金沢の情景が目に浮かぶような後半は もう結末が見えていたが、辛かった。 それでもヒロインが素直に純粋に、この次なんて未来なんてないのに、そんなこと本当は分かってるのにそれでもこの先を何とか手探りで手繰り寄せて、それに縋る気持ちで訪れた金沢で、彼女の人生で最初で最後の初恋は実り愛を得た。 その愛を得たことにより母親が本当は自分を愛し自分のために姿を消したことも理解出来た。母親の名前を思い出したところで堪らず涙が溢れました。 お互いがお互いを救済出来たんだと信じたいし、そうなれたんだと思います。 彼が送ってくれた九谷焼は何だったんだろう。 絶望しかないようで彼女の未来に残してくれた確かな愛の形が分からないまま静かに終幕するラストも秀逸。 冬の間に読んで欲しい哀しいラブストーリー。 | ||||
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話のテンポ、金沢の情景、登場人物のリアリティ、どれを取ってみても、引き込まれる。 処女作のダー・天使、スノーマンで魅せた、ライオン氏のまた異なる世界観。是非、多くの方々に読んでいただきたい。 | ||||
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主人公二人があまりに美男美女で、それを表す描写が多くて若干気になったが、ストーリーは引きが強く、次が気になってページをめくり続けた。 サスペンス要素もあるが、大枠では恋愛小説と言って良いだろう。 著者は映画等の脚本家ということで映像的な小説。 | ||||
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途中からグイグイ引き込まれました。 後半は一気に読んでしまいました。 事件の真実が明らかになるところでは涙が止まらず… 金沢旅行は幸せな雰囲気の中にも、未来はなさそうな予感がしてこの後どうなるのか気になり、読むのをやめられませんでした。 切ないけれど美しい内容の小説でした。 ハッピーエンドではないけれど、それでも礼子は以前よりも幸せになれたのでしょう。 | ||||
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オビの惹句に吸い寄せられるように読み始めた小説。面白い。時間を忘れて最後まで読みました。 | ||||
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●感情と本能を捨て法の鎧をまとった完全武装の主人公・礼子。しかしたった一点のほころびで次第 に滅びて行く姿や心のもろさを見るのは辛かった。読み進むにつれ、彼女はもう戻れないのだろうな、 ハッピーエンドにはならないだろうな・・・と諦めのため息が大きくなる。 大きな肩書、輝く未来を捨てても悔いのない程の「愛」を得たことが唯一の救いなのだろうが、切 なすぎてラストはページをめくりたくなかった。 | ||||
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読み応えがあって切なくてとても良かった。映像化に次ぐなるであろう物語。 ただ、主人公の礼子が美しくて聡明で冷静なのに、蛭間との関係になった途端に、あまりに我を忘れているのに、少し違和感を覚えた。賢いはずで、 礼子の人柄なら、もう少し感情を抑えた感じがあったらもっとリアルだったのではないかと思いました。 まだ、夫と義母も完全に悪役で 勧善懲悪的なのが物語が幼い感じがします。 人間見方変われば、また人間少しはいいところもあるはずだし、礼子も結婚までしたわけだから、旦那だけでも人間味あるところを描けば深みも増すし、さらに、礼子と蛭間の関係も者が悲しくなると思いました。 | ||||
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本書を手にしたら読むともなく帯の活字が目に入ってきて、それだけで結末が想像できて、帯にここまで書かなくても、、、と興ざめしました。 読む愉しみが半減してしまいましたが、それでも読ませるストーリーでした。 著者は脚本家ということですが映像化を意識したのかと思うほど主人公礼子の美しさをルッキズムのように周囲の人たちに賞賛させていて違和感を覚えましたが、それは後に蛭間が礼子に魅かれた理由と対比させるための伏線だったのかと思いました。 裁判官という職業について、礼子が自宅でルーティンのように判決文を書くこと、元裁判官の義父に対しての司法囚人という言葉、裁判員制度の裁判員だった女性からの批判の手紙などなど、知られざる面が出てきて興味深く読みました。 蛭間の裁判の偽証の内容に意外性は無く、後半は法廷ものよりも恋愛小説として読みたかったのですが、帯を見て結末が想像できるだけに悲観的に予防線を張ってしまいました。蛭間が魅力的だっただけに、ネタバレなく自由に小説の世界に浸りたかったと残念な気持ちでした。 礼子はすべてを失ったのではなく再生するのだと思えるラストでした。 | ||||
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あっという間に 読み終えられて 初めて 小説を読んで 泣きました | ||||
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その美貌、その頭脳、そのキャリア、その裕福な家庭と、汚点なくすべてを持ち合わせている女性判事。 その時、トリガーは引かれる。 毎日、同じ時間に裁判所をじっと見つめているひと。 その判決は間違えていたのか。 その人の人生を壊してしまったのだろうか。 決して出会うことがない二人だった。 その驚愕の真相は解明されていく。 そのきもちは通じていく。 捩じれ、不協和音が鳴り響くなかで、切なく珠玉のラブストーリーが奏でられる。 | ||||
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八月六日の産経新聞に大々的に宣伝されていたので興味を惹かれて読んだ。「将来を嘱望された、10年に一度の逸材と言われる美貌の女性判事と、命懸けの偽証で未来を棒に振った殺人犯、恋で終わればこの悲劇は起きなかった。」とか、「読み終わった本を抱きしめた。ありがとう、ふたりの嘘」そして、「傑作ミステリーの誕生!これほどの才能がどこに隠れていたのか?」などの絶賛の宣伝である。 私は、主人公・片陵礼子(10年に一度の逸材の美貌判事であるが)の虚無的で感情のない生き方に同調することができなかった。天は二物を与えずというが、主人公・片陵礼子には、その育った環境から来るものだろうか、知性が勝りすぎて情操が欠如しているように感じて、どうして頭の良い礼子が具にもつかない男と結婚したのか、その辺からすでにこの小説の設定に違和感を感じていたのだった。 一方で、殺人犯、蛭間隆也には、強い正義感と自制心が感じられ、ぎこちない生き方を貫く強さに尊敬の念すら覚えた。また、殺人に至る設定も読むものを納得させるものだと思った。 たしかに、小説としては面白い。少し冗長の気味もあったが(特に後半部分の金沢での情景)、楽しませてもらったのは事実だ。ただ、結末はもう少し痛快な終わりかたにして欲しかった。 | ||||
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8時間ぐらいかけて一気読みしました! 面白かったけど、終始重いので好みは分かれる気はします。 誰かのことを考えられる優しい人が、自分のことしか考えていない人に蹂躙される話です。 読み終わった後は無性に誰かに優しくしたくなります。 性描写多めです。 | ||||
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新聞広告では否定されていましたが、出来れば映像化して欲しい作品。 ただ、最終章はもっと簡潔に纏めた方が良かったと思うが、それでも堕ちていく二人の破滅的な甘美さに胸を打たれた。 この類の小説は余り読んでいなかったが、終末思想のある物語には中毒性があると思いました。 傑作。 | ||||
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久々に読み応えのある作品に出逢いました。礼子は弁護士になるしか無いけど、新たな活躍が期待できるでしょうか。あまりに重いので、連作化はむつかしいかも。 それだけに期待も大きい。今年度の収穫のひとつだと思います。 | ||||
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ちょっとばかし懐かしさ感じる話の流れなんだけど、女性の立場や旦那の感じが上手く現代版になってる。 ここまで立場が違うのに好きになるとかある⁈とも思ったけど、この男性なら仕方ないか。 これ映画化にならないかな⁈ 切なくて悲しくて美しい。 | ||||
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