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(短編小説)
海と毒薬
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海と毒薬の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.35pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全101件 61~80 4/6ページ
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映画「沈黙」を観て感銘を受けたので原著に当たりなかなかと思いましてそのまま小説「海と毒薬」へ。ただ残念ながら駄作と感じました。「沈黙」と同じ「個人としての罪の意識の在り方」に焦点を当てているとの事ですが、戦中戦後の生々しいテーマにはそれなりの取材や考証が要求されるはずで、明らかに九大病院事件を意識したやや猟奇的なカストリ誌の匂いも残る軽いタッチの表現に違和感を持ちました。当初事件関係者から抗議の手紙があったとの事。筆禍とは言いませんがあり得る事だと思います。 「海と毒薬」の中では戦時中という極限的な緊迫感が描き切れていない印象があります。それは単に捕虜の待遇に関わる倫理的な問題ばかりでなく、連日の無差別爆撃を受ける側として突きつけられる絶望感や閉塞感が伝わってこない。では広島、長崎に原爆を投下するメンタリティと比べてどうでしょうか。個人の罪悪感に負わせるには余りに重いテーマが横たわっているのではないか。戦争とはそういうものなのではないでしょうか。ならば731部隊をどう捉えるか?そういう意味では中途半端な印象を持ってしまいます。「沈黙」もそうですが時に個人の心を翻弄する抗いがたい政治的な背景が見えてこない… | ||||
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戦争末期、日本人が空襲で毎日大勢殺される状況、一種異常な心理状態の エリート医師たち、軍部の関与等々、かなり限定的な状況下での話だと 思います。 沈黙に続いて読みましたが、作者が批判的に書いているのは信仰なき人々 でしょうか、日本人でしょうか、エリート医学界でしょうか。 ほとんど良心的な登場人物がいませんが、この事件は非常に稀有な事件で、 これをもっての無神論批判や日本人批判は一般化し過ぎと思います。 しかし、ここまで顕在化しなくとも、誰の中にもそのような「怖い要素」が あるのかもしれない、という投げかけであれば確かにそうかもしれません。 | ||||
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・サノーさん一言コメント 「人間は救われない存在なのか。戦時下の記憶が与える贖罪の日々」 【サノーさんおすすめ度★★★★★】 ・ウノーさん一言コメント 「人間が人間を殺めることは、摂理に反しているのでしょうか。戦争における一場面から、良心とはなにかを学びます」 【ウノーさんおすすめ度★★★★★】 ・サノーさん、ウノーさん読書会 サノーさん(以下サ):周作先生の作品は、ここで書くのは初めてかな。 ウノーさん(以下ウ):意外ですね。けっこう読んでたのに、紹介してませんでした。 サ:最初が「これ」というのも、ちょっと「あれ」だが。 ウ:普段は軽妙でユーモラスな作風の方が、「人間の本質」に迫るものを書くと、驚くほど「響く」作品になります。 サ:戦時下の日本において、「生きたまま」の捕虜を解剖する、あったかもしれないし、なかったかもしれない。 ウ:医学の歴史では、ヨーロッパでは死刑囚が「献体」することによって、様々な研究が行われていましたから、「流れ」としてはそれと同じです。 サ:参加した助手の視点であること、この行為が「罪」であり、いつか来る「罰」を覚悟していることが、戦時下における矛盾を伝えている。 ウ:「神」についての疑問もです。この著者らしい宗教観が、全編にわたって横たわっています。 サ:戸田のつぶやきに対し「わからない」と答えつつも、この「研究」を断らなかった自責と迷いを、一つの答えとして描いている。 ウ:『看護婦の手記』からの「告白」も、この作品の「生々しさ」と「人間の業」を強く伝えてきます。 サ:「自分でも信じていない理由」で手伝いを依頼する愛人、「そんなことはどうでもいい」という理由で参加する女の「性(さが)」は、戦争という「大きな流れ」における、個別に波打つ「滴」を連想させる。 ウ:「流されること」の矛盾と哀しみを、知ることが出来ます。 サ:「流されること」によって「しんどかった」とならないよう、日々を大切に生きよう。 【了】 | ||||
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[沈黙]の作者繋がりで読みました。 戦争中とはいえ、人間がしでかした事。 極限に置かれたとき人はどう行動するか、を考えさせられました。 | ||||
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太平洋戦争中に行われた捕虜に対する生体解剖実験の事件が、いくつかの視点から語られる。 戦時中で多くの人が死んでいくという異常な状況だから、医師たちは良心の呵責を感じることなくこのような異常な行為に走ったのだろうと、本書を読む前は思っていた。実際そのような側面はあるだろう。しかし読み進むうちにだんだんゾッとしてくるのは、彼ら医師たち看護師たちが、精神異常者でも過激な軍国主義者でもなく、“普通の”人たちである、いうことだ。 医学部研究員の一人である戸田の手記の章は、特に印象的だ。生体解剖実験に罪の意識もなく関わった戸田は、子供の頃からのいくつかのエピソードについて語っている。それらの話から、次のようなことがわかってくる。残虐な解剖を行うことができるメンタリティは、子供の頃に、教師に気に入られるために嘘を盛り込んだ作文を作るメンタリティの延長線上にある、ということだ。バレない嘘を平気でつくようなことは、私にだってある。そう思うと愕然とする。自分も、同じ状況に置かれれば、彼らと同じように振る舞うのかもしれない。 解剖に参加したもう一人の研究員の勝呂が、戦後何年も経った時点でいう次の言葉が、胸に刺さる。 「これからもおなじような境遇におかれたら僕はやはり、アレをやってしまうかもしれない……アレをねえ」 | ||||
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他の本でこの事件のことは読んだことがありますが、 この作品はその当時医学部助手だった医師が戦後2年の懲役の罰を 受け、老医師となり片田舎で開業しているところから物語が始まります。 (神を持たない日本人とっての罪の意識とは何か?)と解説に書かれてありました。 | ||||
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事実としてあった事件をベースにして、自分のテーマに都合よくある部分を都合よく改編し、一定の主義主張を問いかける作業。これが宇宙のどこかの星での出来事なら問題ないが、われわれ日本人の歴史の中でやられるのは我慢できない。現状、日本貶めに利用されてるだけ。すべての読者のこの作品が事実ではないと明記すべき。 | ||||
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逝く前にもう一度読みたいと、取って置いた本がKINDLEで買えるようになり読みやすくなりました。 昔読んだのですが矢張り忘れてました。 こんなバカなことをして居た時代があったのかと改めて読みました。 731部隊もそうですが戦争と言うのはこんな事が出来るんですね。誠に恐ろしい事です。 二度とこんな時代が来ないことを、少なくとも日本で、願ってます。 | ||||
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息子の学校の課題図書として購入しましたが、結果読まずじまいだったようです。残念です。 | ||||
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昭和や大正時代などの、今でも読みつがれている有名作家さんの本はたまに読むので、こちらも実際に起きた事件を元にした小説と言う事で、読みました。 事件の経緯を辿った、米軍捕虜の生体解剖を主にした小説かと思いきや、その残酷な生体解剖の内容は詳しくは描かれておりません。 その残酷な解剖に立ち会った医師や看護師などの、その時の「心理」的なものが、この著作の主な内容になっています。 事件に関わった医師等の心理や、戦争真っ只中の時代背景は、よく伝わってきます。 【読み進める間、暗いイメージが常についてまわり、事件に関わった人物数人の視点から描かれていて、実際の解剖事件に関する箇所はさらっと?終わり、先にも書きましたが、内心・心理が主でした。読後、結局何が伝えたかったのか?……と思う感じもありました。】 実際に起きた事件を題材にした、戦争末期最大の事件、の割りには、その点にはあまり触れていない感じがありました。 お薦め度としては、星2つにしました。 しかし有名作家さんですし、もう一作「沈黙」も読んでみようと思います。 | ||||
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粗筋はレビュー・解説にあるので省略します。 捕虜となった米兵の人体実験に足を踏み入れた勝呂医師。割り切った同僚の戸田医師に比べ 葛藤を抱えながらも加担する。 彼の魂の売り先は悪魔ではなく、学内の立場であり、社会のポジショニングにか過ぎない。 普通のだからこそ、形を変えこそすれ、現代の私達にも降りかかる事象であり、勝呂医師と 自信を重ねて物語に引き込まれてしまうー。 文章は平易で読み易いですが、非常に重たくて考えさせられるテーマです。 お薦めの一冊です。 | ||||
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この事件を知っており、舞台となった大学に縁があるため物語には非常に惹き込まれていった。が、事件そのもの以外はほぼほぼフィクションであるということで非常に冷めた。 フィクションとしては文章構成以外は特記すべきほどでもない。戸田の回想録が独特で印象的だったくらいか。 | ||||
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終戦間際の昭和20年6月、九州帝国大学(現九州大学)で行われた米軍捕虜の生体解剖事件を描いた小説。東京郊外の開発途上の住宅地に住む「私」は、気胸治療に通う近所の医院の医師が、米軍捕虜の生体解剖実験に関わったことを知る。物語は事件に関わった人々の内面に移り、それぞれの人の過去が生体解剖事件に繋がるまでを描くが、事件が発生した直後に此の小説は突然終了する。 どうにも未完成の感を否めない。勝呂医師の過去を暴露した以降は全く展開に関与しない導入部の「私」の部分。また恐らく「起こした罪と下される罰」というテーマを強く意識して描き、罪の意識に苛まれる勝呂と、生来罪悪感を持たない戸田との対比を描きながらも、結末は事件の断罪に触れない儘終わる事など、どうにもすっきりしない読後感が残る。 題に関しても、随所に登場する暗い陰鬱な海は、様々な過去を持つ人々の感傷を全て鉛色に塗り潰し、深く呑み込んでいく印象を与える事に効果的に使われつつも、結局は咎人たちに下される「罰」を描かずに終わらせた事は、未完成作品としか言えない。。特に戸田に下される罰と、それを巡る心情を描かない儘物語を終わらせてしまっては、咎人達の罪までをも海は呑み込み、終戦による時間の彼方へ消えたとも解釈出来るのである。史実そうではない。解剖に携わった医師達はGHQに逮捕され裁かれている(有名な人肉食事件はGHQによる偽作であり、裁判でもこれは証明されている)。 しかし著者の描く世界の重厚さや暗鬱さは、初期のこの作品から発揮されている。「海」は戦争末期になり皆死にゆき、滅びゆく現実を呑み込む存在として象徴されている。人々の罪も記憶も営みも、時間の流れと共に深海へと呑まれ後には太古より変わらぬ、無限に寄せては引く海だけが残り、人の世や争いの儚さを暗示する様に思える。「毒薬」はその海に垂らされる人の罪であり、一滴の罪も無限の海の中に溶け込まれて消えて行く事を云うのだろうか。 その中で勝呂医師は、全て暗い時代と共に暗黒の海に埋没してゆく運命であったものが、戦争が終わり、罪を犯しながら生き残った者として、いつまでもいつまでも、罪を垂らした海から打ち寄せる波の様な罪悪感に苛まれる者の代表者として位置付けられたものであろう。いずれにしろ、続編を描かなければいけない作品であった。 | ||||
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面白かった。私にとっては昔々のお話ですが、、生々しく読んでいて時代背景や、人物像が手に取るように理解でき深く引き付けられました。 | ||||
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以前購入した本が行方不明になり、再度購入しました。新たな発見がいろいろありました。 | ||||
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久しぶりに読み返しました。きっかけは映画の沈黙を見たことです。以前はただ暗いと思うところが多かったのですが、どの人物に対してもそういう風に思えないことはない気がしました。 勝呂さんは正直だったのでしょうし、戸田さんも人生の中での選択だったのでしょう。彼の子供時代のエピソードについても納得できる気がしたのは年をとったせいかしら…。 みんなに死んでしまうこの時代だからこその狂気であったろうと信じたいところですr。 | ||||
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九州大学の生体解剖事件を描いた中編小説です。どよーんとした生理的な不快さが全体を包み通しています。誰がみても不条理で重大な犯罪なのに、大学の医学部の派閥とか陸軍との関係とか、敗戦前の投げやりな雰囲気もあるのか、誰も止めようとはしない。 ひたすら小さな日常の出来事の延長線の細かな出来事だ、と参加者たちが思い込もうとしています。もちろん、そんなのウソってわかっていながら、無理に信じようとする小心者たち。一人ひとりの過去の姿も挿入されていますが、特に悪い奴がいるわけではありません。団体行動の中に自分の責任を忘れ込もうとする行動が典型的な悪い形で表れています。企業の不祥事などによくあるパターンですね。 気持ちの悪さの表現が随所にあふれています。例えば、「煙草特有の紙臭い臭いがたちこめ、それが炭火の臭気とまざって勝呂の胸をムカムカさせた。」など。 | ||||
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個人の気持ちの中にある良心もややもすれば、流されてしまいそうになるが、踏みとどまりたい時もある。 | ||||
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小説ではあるが、リアルな昭和史の一片として読み進めた。あの時代を生きた人たちの多くが口には出来ない体験がトラウマになっているのではないかと勘ぐってしまう。 | ||||
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週末の2日間で読み終えた。遠藤周作さんの小説は今までに読んだことがなかったのだが、案外読みやすい文章だった。 小説を読んでいて、現在の私に何かしらのテーゼというか問いかけを感じる作品だった。また、物語の進め方が凝ってあり、読み応えがあった。エンターテイメントとして読むよりは、大きなテーマに向かって自問自答を繰り返しながらの読書でした。 | ||||
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