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「グレート・ギャツビー」を追え
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「グレート・ギャツビー」を追えの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.34pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全38件 21~38 2/2ページ
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ジョン・グリシャム久々のハードカバー。最近は文庫化された邦訳本がほとんどだが、その中身は、相変わらず充実したサウスアメリカン・リーガル・スリラー。なので、本書には驚かされることが実に多かった。 村上春樹訳ということで、売り上げが一桁変わるのかもしれないが、『ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック』(1996年)を書いているフィッツジェラルダーの村上春樹らしく、本書は、彼が外地で読んですかさず翻訳したくなった作品であるらしい。売れっ子作家・村上春樹が翻訳したいと思った本は、それなりに翻訳本でも売れる、ということなのだろうな。村上春樹を翻訳小説にもどうにしかして求めようと試みる根強いハルキ・ファンによって。 ぼくは、グリシャムも村上春樹も、どちらもほぼ全作読んでいるから、その辺の事情は特に拘らない。春樹訳ではなくても、グリシャムというだけできっと本書を読んでいると思う。ぼくはスコット・フィッツジェラルドのファンでもない。若いひとときアメリカ文学に凝ったことがあった(ロシア文学に凝ったこともある)ので、有名作家の代表作くらいは読んでいるけれど、『華麗なるギャッツビー』を村上春樹による新訳『グレート・ギャツビー』で再読する気になるほど、のフィッツジェラルド読者ではない。映画でも書物でも、さしてギャッツビーに惹かれるものがなかった。しかしアンチの側に属するものでもない、どちらかといえばニュートラルである。 そんな名作の直筆原稿がプリンストン大学の図書館から5人組の強盗団によって盗まれるアクション・シーンから始まる本書は、起承転結の模範のような構成が見事である。さすが読ませる作家グリシャムだ。スピーディでスリリングな序章の後に、まったくこの事件から読者の眼を遠ざけるかのように、本当の主人公とも言えるブルース・ケーブルの書店経営に至る経緯が語られ始める。 続いて作家の卵であり本書のヒロインであるマーサー・マンが、盗まれた原稿の行方を探るスパイとして雇われる経緯に移る。こうして盗賊たち、書店経営者、真相を探る探偵役と言うべきマーサーの三つの世界が、重ねられてゆく絵模様ができあがるのだが、メインストーリーとは別に稀覯本の世界、個性豊かな作家たちの生活がマーサーの体験を通して広がってゆく。実はこの辺りが読みどころであり、本書が出版社によるならば<最強の文芸ミステリー>たる所以である。 しかもそれを本来リーガル・サスペンスの作家として知られるグリシャムが、彼らしさを全く見せず、リゾート地を舞台にした駆け引きとラブ・ロマンスを洒落たセンスで描き切っているのである。グリシャムにはノン・ミステリの傑作・快作もあるのだが、ミステリ・レベルで新機軸を打ち出したのには驚きである。この作品にはブルースを主人公にした続編もあるという。本書で印象深かった脇役たちに再会できるのかと思うと、何だかぞくぞくするこの期待感がたまらないのである。 | ||||
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この原著の本当のタイトルは『カミーノ・アイランド』(フロリダ州)です。これは、このつまらない作品に、本当に相応しいタイトルです。それが、村上春樹氏と、出版社の悪意ある企みによって『「グレート・ギャッビー」を追え』になっております。 1,000歩譲って、『「グレート・ギャッビー」を追え』は、せめて『フィッツジェラルドを追え』なら、まだ許すことができる気もしますが『「グレート・ギャッビー」を追え』は、十分悪意ある 煽情的詐欺タイトル、と思います。 なにしろ、小説はフィッツジェラルドどころか 『グレート・ギャッビー』の作品内容に、ほんの僅かでも、言及している箇所さえ皆無です。 仮にこの本が村上春樹氏以外のひとが翻訳していたら。 仮にこの本が原著通り「(フロリダ州)カミーノ・アイランド」というタイトルで発売されていたら、日本での発行部数は、今より何十%減少していたでしょう? わたしは、1,000% 確信します、現状の 90% 減であったことと。 立派なハードカバーの小説:「村上春樹」、「グレート・ギャッビー」、そして「追跡」、この三つのキーワードの絶大なる効果ですね。 この【日本語への翻訳小説】の許されない悪意は、上記の3つのキーワードの内、この小説の中身に、本当に関係のあるものは「追跡」以外には一つもない・・・・ということです。 この小説はどこにでもある、陳腐で冗長な恋愛三文小説。 主人公、ブルース(男)とマーサー(女)のちょっと気のきいた大人の恋愛ミステリー風小説です。 とはいえ、村上春樹氏翻訳(この作品に限っては、あまり上手ではないが)のサービスで [★★☆☆☆] か [★★★☆☆] の価値はありますけどネ・・・・・。 | ||||
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年末の注文にもかかわらず、迅速な対応に感謝します。お正月の楽しみになりました。状態も最高でした。 | ||||
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読みやすく、最高に楽しめました。 ストーリーも、海辺のコテージや本屋の雰囲気、出てくる小説家たち…どれも素敵で引き込まれ、小気味良い映画を鑑賞した気分。村上さん、続編も翻訳期待しております。 | ||||
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村上春樹さんの本にはいつも不思議な感想を抱く。なんだこれ?というのも多々ある。それでも一応、読んでるけど。そんな彼が関わったこの本は、果たしてミステリーと言えるような興奮わ、私には全く与えないまま、エピローグを迎えたのだった。申し訳ないが、時間の無駄に近い感想です。 | ||||
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失礼ながら今更ジョン・グリシャムかよと思いつつ、村上春樹訳という意外性に惹かれて手に取ったのだが、いやグリシャムを見直した。アメリカ出版業界の裏話や稀覯本市場の相場などトリビア的な面白さもあるが、エルモア・レナードから過度な暴力性を抜いたような、あるいは後期のローレンス・サンダースを思わせるような、ロマンティックなサスペンスものとして秀逸。プロットの展開は予想の範疇に留まるとはいえ、ビタースウィートな結末の後味も悪くない。原題も邦題も内容にあまり相応しくないのは残念だが。 | ||||
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著者も作者も好きな作家で、期待大きく読み始めたけど、ミステリーとしては平凡。 ミステリーとしては仕掛けが特にあるわけでもなく、展開も予想を裏切るような仕掛けはないためストーリーは面白いのだけど、ボリュームある割には肩透かしされた感が残る。 それと前半と途中からの展開が違い過ぎて、前半の読みにくさで辞める人もいそうな文章の統一感のなさも気になる。 続編があるとのことで、登場人物は魅力あるのでこちらに期待。 | ||||
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そもそもグリシャムの法廷以外のミステリってどうなんだろうと思いながらも村上春樹氏のあとがきにひかれて読んでみたが、中途半端な一作。 書店や稀覯本売買の世界は面白いし、作家たちのソサエティを掘り下げてあるところは興味深いが、文芸というレベルでは全くないし、ミステリとしてみたら焼き直した「華麗なる賭け」みたいで緊迫感も謎もなく単調で凡庸。 村上氏が絶賛するほどキャラに魅力も感じられず、グリシャムのブランド名が無かったら読むことも無かっただろう。 この動的なストーリーを予想させるようなタイトル自体が詐欺っぽい。 原題は「カミーノ・アイランド」で、その地での生活に再び戻れたヒロインのノスタルジックな想いと、古くからある書店を中心とした作家コミュニティを表しているのだから。 | ||||
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フィッツジェラルドの原稿強盗の話をスランプ中の作家のサスペンスだが、ハラハラ要素はほとんどないし、最後も拍子抜けをするほどあっさり。 安いラブロマンスをダラダラ冗長に書いてあるだけ。 グリシャム一流のウィットに富んだ会話の応酬もなし。 正直、グリシャムのリーガルサスペンスは面白いが、これは頂けなかった。 とにかく、全くハラハラしないことが致命的でした。 私には全く響かない一冊でした。 | ||||
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フロリダのリゾートアイランド、今はやりの独立系書店、フランスのアンティークショップ、スコットフィッツジェラルド、村上春樹、とくれば、読むっきゃない。でも、最後まで乗れませんでした。最初は、ハードボイルドに始まったのですが、その後、トーンが変わり、アルセーヌルパンみたいな書店主と若い作家がアヴァンチュール。どっちが主人公かわからない。思い出したように、ハードボイルド系の登場人物が暴れたりするけど、いったい、何がどうなっているのやら。最後の種明かしでは特に複雑なプロットでもなかったようだし。ジョングリシャムは、「スキッピングクリスマス」だけ読んだけど、これも「ううむ」だった。ちょっと手抜き?スランプ?村上さんの訳も間違いがあった。292ページ「ニコル」じゃなくて、「ノエル」じゃないでしょうか。間違っていたら、ごめんなさい。たくさんの登場人物を追えてないので。 | ||||
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ミステリといった程ではなく、結末も想定範囲内ですが、文筆業や出版業界の内情が描かれていてその点は面白く、スラスラと読み進ました。 訳者が有名な作家さんですが、私、この方の本が苦手で・・、気が付いたらソファで寝落ちしている位なんです。。。 旅行記やジャズ関係の本を読んだことはあるのですが、その時に感じたこの方の語り口調のクセがこの本の訳にも出ていて、表現や選ぶ言葉も??と感じる箇所もそこここにあり、熟練の上手な訳者さんと比べると翻訳の洗練度が違いました。その点が★2つ減点でした。 ”キャッチャーインザライ”も最近この方の訳で読んだのですが、やっぱり何だか・・。ま、好みの問題もあるでしょうし、個人の意見です。 翻訳本は、腑に落ちるこなれて上手な訳でないと、本の内容や面白さに影響しますね。 | ||||
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村上春樹さん翻訳ということですぐ購入しました。1回目はストーリーを早く知りたくてどんどん読み進め、2回目はじっくり読みました。犯罪者集団とブルースの知力の差、一方作家としてのマーサーの力とブルースの助言など様々なストーリーが織り込まれています。 | ||||
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Amazonで購入させていただきました。 恥ずかしながらジョン・グリシャムさんの小説を買うのも読むのもはじめて、なのですが、たしかSmartNewsで本書の書評が流れてきて、村上春樹さんが翻訳したという事実と『「グレート・ギャツビー」を追え』というタイトルにヤられてすぐさま購入してしまいました。 レビュータイトルに引用したとおり、村上さんは「訳者あとがき」のなかで、「フィッツジェラルドの生原稿がプリンストン大学の地下金庫から盗まれた? 弁護士がまったく出てこないグリシャムの新刊(実際にはちらりとは出てくるけど)? もちろん僕はこの本を買い求め、すぐに読み始めた。そしていったん読み出したら止まらなくなった」(pp.409-410)と書いていらっしゃいます。 本作はもちろんミステリなのでネタバレになるからあまり深く内容について書けませんが、上述の「訳者あとがき」のなかに出てくる原書の裏表紙に書かれている要約が簡にして要を得ているので以下に引用します。 「文学史上最も大胆不敵な強奪計画が実行された。場所はプリンストン大学の警戒厳重な地下金庫。/時価二千五百万ドル(値段のつけようがないと言うものもいるだろう)のF・スコット・フィッツジェラルドの長編小説全五作の原稿は、世界で最も価値あるもののひとつだが、それが消え失せてしまった。間を置かず一連の逮捕がなされたが、強盗団の冷酷な首謀者は原稿と共に忽然と姿を消した。/FBIの精鋭たちが頭を抱え込んだこの難事件に、スランプ中の新進女性作家マーサー・マンが挑むことになった」(p.499) 村上春樹さんがまたまたフィッツジェラルド関連の本に取り組む、ということで興奮して読みましたが、村上さんがおっしゃるとおり「いったん読み出したら止まらなくな」りました。 翻訳もこなれていてリーダブルですし、一気読み確実です。 ちなみに、これもまた「訳者あとがき」に書かれていますがグリシャムさんは本書の続編を刊行したらしく、翻訳は同様に中央公論新社から出る、とのことです。 オススメです。 | ||||
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紙の本をこよなく愛する老読者です。 ディズニーランドみたいな、紙本のランド(島)があったら、いいなー。 かみーの・あいらんど。 『グレート・ギャツビー』とは、1925年に発表されたフィッツジェラルドの人気小説。 一方、本書『「グレート・ギャツビー」を追え』は、2017年に刊行された全米ベストセラー。 これら二冊の本の間には、ほぼ百年の時の隔たりがあります。 二書を結び付けるものは、『グレート・ギャツビー』の作者フィッツジェラルドの手書き原稿。 それが大学図書館から盗まれ、再び大学に戻るまでの手に汗握るアクション小説が本書。 『「グレート・ギャツビー」を追え』の著者は、ジョン・グリシャム。 日本語タイトルの『「グレート・ギャツビー」を追え』は、 犯人探しのサスペンス映画の題名みたいです。 犯人は、フィッツジェラルドの手書き原稿を図書館から盗み出した泥棒ぬすっと。 盗人は盗品を闇ルートでカミーノ・アイランドにある本屋に売却。 盗品と知りながら仕入れた本屋は、原稿を稀覯本と一緒に地下室の金庫に保管中らしい。 その本屋の元へ、盗品確認のため、若き新進女性作家が送り込まれるが、…… 『「グレート・ギャツビー」を追え』なんて、きゃっちーなタイトルは、 日本の華麗なる純文学愛好の読者には、かなり「気恥ずかしい」(413頁)。 昔の映画の客寄せポスターみたいで。 どこから来るのでしょうか? 「追え」などという命令調は。オエーッ。 トム・クランシーの昔の小説『レッド・オクトーバーを追え』を思い出しました。 トム・クランシーは、命令調の翻訳タイトルで訳されることの多かった作家 「クライブ・カッスラー」(413頁)の大ファン。 命令調タイトルは、日本人翻訳者の常套句。日本の映画フアンが好きなタイトル。 原タイトルは、普通の英語名詞だというのに。日本人は命令されるのが好きなのかなあ? タイトルの話は別として、 『「グレート・ギャツビー」を追え』は、文句なく面白い小説です。 原作の面白さを損なわずに、 面白い日本語へ翻訳してくれた村上春樹さんに拍手と感謝を贈ります。 原題は〝CAMINO ISLAND〟 <カミーノ・アイランド>とカタカナに置き換えただけでは、わけ(訳)わかんないし。 <紙の(本の)愛ランド>なんちゃって。ダジャレ風に訳したらバカにされるだけだし。 カミーノって、巡礼の旅をする(スペイン北部の)歩く路。 カミーノの島へ行ったり来たりすることも、一種の人生の巡礼のように感じます。 小説家にとっては、有名な作家たちも一度は立ち寄ったことのある島の本屋への巡礼。 昔の映画「グレート・ギャツビー」は、日本では『華麗なるギャツビー』と訳されました。 しかし今日では、「グレート、グレート」を連呼する大統領のせいで、 「グレート」がちっとも偉大でも、華麗でもないことを思い知りました。 「結局のところ人生なんて、時間をどのように無駄に費やしていくかという過程の集積に過ぎないのだから」(412頁、「訳者あとがき」より) あーあ。出たあ、村上春樹哲学。 本書の訳者の村上春樹さんったら、貴重な人生のことを、こんなろくでもない、 暇つぶしの人生のような、投げやりな定義をしています。いつものことですけれど。 こんなにも面白い小説の読書が、無駄な人生のひつまぶしの読書とは思えません。 この本は本当に面白かったんです。この本を読めて、嘘みたく幸せな気持ちです。 《正誤表》 箇所: 26頁 誤: 仕事用に来ていた衣服 正: 仕事用に着ていた衣服 理由: 衣服の仕事は何ですか? 《備考》 <カバーの装画(坂内 拓さんの画)について> 地下室へ降りる階段の前にたたずむ三人の人間が描かれています。 バックスキンの靴をはいた(靴下をはかない)男(ブルース・ケーブル)。 男の横に並んで地下室へ降りようとする女(マーサー・マン)。新進女性作家。 二人の間の後方には、マーサーをあやつる中年女の横向きの黒い姿が見えます。 ハイヒールとスカートの女、イレイン(調査会社で盗品美術品を担当) 地下室へ続く「木製の階段」(343頁)がくねくねと描かれています。 巻末の<大逆転>注)への始まりが示唆された、すばらしいカバー装画です。 注) 四方八方、ハッピーエンドに収めてしまう、団子のように丸い結末の妙に、 グリシャムの人間性を感じました。 | ||||
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こんなに物語の世界に浸かって一気に読んだ本は久しぶりです。本の雰囲気に村上春樹訳がすごく合っていて、途中(ほぼほとんど)、村上ワールド、村上さんの作品を読んでるみたいに読みやすく、引きこまれました!もっとミステリー翻訳してくれたら嬉しいな。 そして、続編が楽しみすぎる! 残念だったのは、最初に届いた本のカバーに破れがあり、交換していただいたが、今度はまあまあ折り目があったこと。やっぱり配送では難しいのかな。 書店でキレイな個体を選んだで買いたかったけど、近くの書店では無かったので折り目ありで妥協しました。 | ||||
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原題は『CAMINO ISLAND』である。 事件はプリンストン大学のファイアストーン図書館に保管されていたF・スコット・フィッツジェラルドの直筆原稿が盗まれるところから始まる。『グレート・ギャッツビー』を含む五つの長編小説。その手書き原稿は厳重に管理されていたにもかかわらず、強盗の一味によってまんまと強奪される。話しはその後の原稿の行方を追いながらフロリダ州カミーノ・アイランドにある独立系書店へと舞台を移す。 調査会社に依頼され原稿の行方を調べることになったスランプの女流作家マーサーと、書店の経営者である男ブルース。 彼の趣味は稀覯本の蒐集でありそのための完璧な部屋を書店の中に造っている。ハンサムでお洒落で作家達の信頼も厚い。本好きというだけでガードが緩くなるがそれ以上に魅力いっぱいの彼に惹かれてしまう。(裸足にバックスキンの靴を履くところだけは受けつけないが。) 日本ではあまり馴染みのないサイン会や初版本の話しなど興味深い内容がたくさん出てくる。一方でネット販売が主流となる今の書店経営の大変さなどが語られる。 ブルースは紙の本の手触りと匂いを愛し仕事の合間に常に読書している。かたやマーサーはタブレットでも読むし紙でも読む。本に対するこだわりがない。個人的にはブルース派なのでますます彼の魅力が上がってしまう。 フィッツジェラルドの原稿の行方よりも本好きにとっては本にまつわるいろいろな話しを楽しめる。村上春樹さんの「訳者あとがき」も良かった。米国では本著は好評だったらしく続編が出たのも納得だ。 | ||||
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紙媒体の読書は久しぶりです。「「グレート・ギャツビー」を追え "Camino Island"」(ジョン・グリシャム 中央公論新社)を読み終えました。 「司法取引」(2015/2月)、「汚染訴訟」(2017/1月)、「危険な弁護士」(2019/6月)といういつものページ・ターナー・メニューのようなグリシャムの翻訳から一転、テーマが「フィッツジェラルド+稀覯本」。それであるが故に、電子書籍でリリースすることができなかったのだろうか?(笑) 映画「ポセイドン・アドベンチャー」のように事件がすぐさま起こります。前段の長ーい、この国のミステリに比べて何と惜しげもなく。米国、プリンストン大学・ファイアストーン図書館からフィッツジェラルドの直筆原稿(長編小説5作)が強奪されます。いよいよ悪党パーカーばりの「ケイパー小説」と予想しましたが、私の予想など当たったためしがありません(笑)ニュージャージーから、舞台はフロリダ、"Camino Island"ヘ。 そして、盗難調査会社と或る<法執行機関>の捜査線上には「独立系書店」を営む名物店主・ブルースの存在が浮かび上がります。今回もここまでですね(笑)。巧緻なストーリー・テリングが肝のグリシャムですから、何も書かないのが原則ですが、「ミステリ的興趣」を迂回しながら書こうとすると今回はこの物語が持つ「本質」のようなものに触れないわけにはいかなくなるので、何とも困難なことだと思います。全8章からなるストーリーの6章分は、"Camino Island"におけるマーサー(女流作家)の生活、小説が売れないことの苦悩、今まで知ることのなかった米国における出版業界のあれこれ、「稀覯本」の奇跡の価値、多くの作家たち(それは勿論誇張して書かれているのでしょうが)のクレージーぶりなどスリルの傍らにある楽しさ、歓びを満喫させてくれる物語だと思います。主人公は、上にも名前を出したブルースとマーサーの二人。スリラーの読み手として、グリシャムには「ペリカン文書」ような、スリリングな物語をいつも求めていますが、今回のように「楽園のこちら側」にいて、お洒落で、ジョイフルな作品もまた描けることを証明してみせてくれて、その読後の爽快感を満喫することにもなりました。 期せずして、シェークスピアの初の戯曲全集「ファースト・フォリオ」が米国で競売にかけられ約998万ドルで落札されたというニュースを聞き(クリスティーズにおいては文学作品の最高額での落札額だったらしい)、ということは今回の小説も結講リアリティを醸し出しているな(笑)と思いながら、しかしフィッツジェラルドの「ラスト・タイクーン」はいずれにしろプライスレスだし、ギャツビーが臨む対岸の「緑の灯り」に至っては、この世のよきものの象徴のように私には映ります。 (この読書の後、1976年に見たエリア・カザン+ロバート・デ・ニーロによる「ラスト・タイクーン」の映画化作品をもう一度無性に見たくなりました) | ||||
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村上春樹に、ギャッツビーに、ジョン・グリシャム? なにこの組み合わせ?!と思った瞬間、もう見過ごせなくなってました。 本好きなら、余計に。 痺れながら読んでます。面白いです。たまらなく。 | ||||
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