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(短編集)
頭の中の昏い唄
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頭の中の昏い唄の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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生島治郎怪奇幻想・SF短編集である。 全26編で、1974年に桃源社から刊行された『あなたに悪夢を』集録の20編全部と、1966年に早川書房から刊行された『東京2065』集録の20編のうち、のちに『あなたに悪夢を』に再録された14編を除いた6編から成る。 つまり、『あなたに悪夢を』+『東京2065』である。 各作品の長さは、『あなたに悪夢を』のほうは、短編とショートショートが交互に配列されており、短編が10編でショートショートが10編。『東京2065』の6編のほうは、中編(短編連作)が1編でショートショートが5編である。 全体としては、中編(短編連作)が1編、短編が10編、ショートショートが15編の計26編である。編者は日下三蔵。 ネタとしては、多重人格またはドッペルゲンガーがちょっと目立つ。主人公としては作家、脇役としてはロボットがちょっと目立つ。 私的感想 〇面白かった。腹一杯。 〇以下、短編10編、中編1編について、簡単なコメントを付し、完成度5点、意外性5点、好み5点の計15点で私的評価する。失礼ご容赦。 なお、ショートショートはネタバレ防止のため、レビューから除外した。最後にちょっとだけ書く。 〇まず、短編10編。 ☆「香肉」・・中国人の愛人は魅力的だが、最後は吐き気がした。完成度4点、意外性3点、好み3点。計10点。 ☆「蜥蜴」・・こちらもエッチな姉が魅力的。ラストも盛り上がる。完成度5点、意外性4点、好み4点。計13点。 ☆「夜歩く者」・・ドッペルゲンガーテーマ。切れ味今一つ。完成度4点、意外性3点、好み4点。計11点。 ☆「頭の中の昏い唄」・・これは傑作。完成度5点、意外性5点、好み5点。計15点。 ☆「殺しあい」・・意外性はあるが、あまり面白くない。完成度4点、意外性5点、好み3点。計12点。 ☆「世代革命」・・これは大好き。人口の5パーセントの明治生まれ老人が権力を握る戦後社会に対して、抑圧されてきた昭和元年~15年生まれの中堅世代が革命を起こす。完成度5点、意外性4点、好み5点。計14点。 ☆「誰・・・・?」・・多重人格を「物の怪」と呼んでいるのが面白い。最近の中公新書『もののけの日本史』では、戦後モノノケのイメージは多様化したとして、様々な文学作品から用例を拾っているが、多重人格の「物の怪」はなかった。完成度4点、意外性3点、好み4点。計11点。 ☆「前世」・・人間と猿についてのオーソドックスなアイデアを巧みに展開する。完成度4点、意外性5点、好み3点。計12点。 ☆「いやな奴」・・主人公が疲れ気味の流行作家で、テーマはXXXという点で、本書を代表する作品。オチも決まっている。完成度4点、意外性4点、好み5点。計13点。 ☆「ゆたかな眠りを」・・冬眠アイデアは面白いが、着地がちょっと平凡。完成度4点、意外性3点、好み4点。計11点。 〇中編(連作短編) ☆「東京二〇六五」・・「冷たい訪問者」「狂い咲き」「甘い夢」「ペットの好きな女」「非行少年」「老人と爆弾」の6つの連作短編からなる中編小説。秘密捜査官日高と、天才ロボット技師クサカベ(クサカではない)が送り込んでくるロボット達との戦いを描く。日高がバーチャルセックスの虜にされてしまう「甘い夢」が面白い。完成度4点、意外性4点、好み5点。計13点。 〇以上より中短編の私的ベスト5は第一位「頭の中の昏い唄」15点、第二位「世代革命」、第三位「蜥蜴」「いやな奴」「東京二〇六五」13点となった。 〇ショートショートの私的ベスト1は、鮮やかな「過去の女」。 私的結論 〇「世代革命」の198頁で展開される映画企業批判、199頁で展開される明治生まれ男性の好色批判が面白い。われわれの世代(昭和元年~昭和15年生まれ)は老人たち(明治生まれ)とちがって、民主的な話し合いの習慣を戦後の教育できちんと身につけているのである。(生島治郎は昭和8年生まれ)。 | ||||
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