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バサラ将軍(室町花伝)
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バサラ将軍(室町花伝)の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.60pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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足利直義や足利義満などの人物描写が従来のものとまったく違うのが面白いです。直義は尊氏と内乱前は仲が良かったというのが定説ですが本作では幼年期から屈折した感情を持っているとしています。義満は天皇簒奪の野心があったとされることが多いですが、本作では幼なじみである帝とのある種の信頼関係が描かれています。 | ||||
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著者の初期のころの短編集。 「兄の横顔」は足利直義が主人公。兄・尊氏に対する歯がゆさ、 兄の掌の上で踊らされている敗北感など、複雑な心情を描いている。 「師直の恋」は足利家の執事・高師直が、塩谷判官高貞の妻・葵に横恋慕する。 戦いに明け暮れた師直の、普通の人間らしい顔が垣間見える。 「狼藉なり」は上皇の牛車に向かって狼藉を働いた土岐頼遠の真意を、 高師直が確かめようとする話。武辺者の心意気が見事。 「知謀の淵」は新田義興を謀殺した竹沢右京亮の話。 裏切り者の主人公の運命を描き、本人にしかわからない心境が痛々しい。 「バサラ将軍」は三代将軍義満が後円融帝の女御を手に入れようとする話。 義満の劣等感、苦悩、孤独、そしてわずかな成長を描く。 「アーリアが来た」は四代将軍義持に献上された象アーリアと、運搬する馬借の物語。 他の物語とは毛色が違うが、一本筋の通った主人公の馬借が、 他の短編の主人公よりも侍らしく思えた。 | ||||
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本書は室町期を舞台に描かれる短編集です。目次は以下の通り。 「兄の横顔」 「師直の恋」 「狼藉なり」 「知謀の淵」 「バサラ将軍」 「アーリアが来た」 「兄の横顔」は幕府黎明期を背景に、尊氏の実弟・直義の葛藤劇が展開されていきます。政治思想の違いから、封印していた兄への劣等感が次第に再燃していく様が描かれています。 「師直の恋」は塩冶高貞の妻に横恋慕する高師直が、あらゆる方法で接触を試みる物語。猛将として鳴らす師直が、食事も喉を通らなくなる程一途な想いを募らせる懸隔が軽快に描かれています。 「狼藉なり」は美濃の守護大名・土岐頼遠の光厳上皇への狼藉行為を描いた物語。前述の直義は斬首へ、師直は助命奔走へと後の対立(観応の擾乱)を伺わせる流れが示唆されていて面白い。 「知謀の淵」は幕府転覆を目論む新田義興を謀殺した竹沢右京亮の転落が描かれた物語。どこまでも生々しく、後味の悪い結末を迎える内容ですが、国人衆の危うさにも言及されていて中々興味深い短編です。 表題作である「バサラ将軍」では三代目将軍義満の深層心理に迫る内容が展開されています。生まれながらにして統治者である義満の稚ない一面が描かれる等、成長過程における不全からくる未成熟な内面が如実に描かれています。 「アーリアが来た」は四代目将軍義持に献上する象を運搬する馬借の物語。他の作品と比較しても異色な内容ですが、時代小説の様な趣きがあり一番読み易い作品かもしれません。 | ||||
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