■スポンサードリンク
市に虎声あらん
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
市に虎声あらんの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.38pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
処女作なのかと、星5のレビュー読んで勝ったは良いが、結構な苦行です。 何でもそれっぽく啓蒙して来る女が出てきてからは特に。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
前知識なしで読み始める。 これ、SFじゃないじゃん!!!!そう。これは初期のフィリップ・K・ディックの小説なのだ。 それにしてもいったい自分は何を読んでいるのだろうというくらい、落ち着かない登場人物たち。 ある意味今自分の生きる世界と同じなのだ。まったく一所に落ち着かない思考、行動。 われわれはどこへいくのか。 主人公の青年は子供が産まれ、新しい店舗の店長を任され、社会的に「ちゃんと」進んでいるようでいて自分の中にくすぶるものを持て余す。新宗教に向かい、その関係性の中で絶望し、破滅への道を進んでそこで終わらない物語。 これ、ひょっとして名作じゃないの????ひたすら読み進めた一冊。 タイトルは最澄の『末法燈明記』から取っている。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
面白くない人にはサッパリ「?」の本。 主人公も主人公を取り巻く人達の反応ももの凄くよく理解できてしまって 逆に自分が怖かった。 23才の時だって、これ書いたの。 1歩間違えたらクライヴ・バーカー見たいな作家になってたかも。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
小説自体が、ディックの有名な傑作SF小説類を書く前の普通小説のため、ディックの他の小説とは異なりました。 無論、ディックの感情のパーツが垣間見えるような力強さはありましたが、 主人公の葛藤や焦燥感が察しにくいうえに、 目的も、手段も、結果も収束しないために 個人的には後半はかなり、主人公が行き当たりに癇癪を起こして危ない人というイメージになってしまう。 読む場合は、ディックへの理解を深めるパーツを見つけるための作品だと知った上がよろしいと思います。 初めてディックの作品に触れる人にはあまり、おすすめは出来ません。 稚拙なレビューで申し訳ない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ディック没後31年に邦訳された処女作。普通小説。すごい非常に良い古本でした。帯付き、初版。更に訳者からどなたかへの謹呈。サインはなかったですが。訳者の経歴にも驚いた。更にこのおじさん、バタイユも読んでるしエヴァンゲリオンも見てる。解説に神についてのすんげえ事が書いてある。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ディックの一般小説、どれを読んでも出てくるフレーズ、設定、登場人物が多いので、読みだしたとき、また、TVのセールスマンが出てきたので、ちょっと、引いてしまったのだが、群像劇である本書の登場人物の描き方が丁寧で、徐々に引き込まれていきました。気になったのは。日本語訳で、わざとなのか、古めかしい日本語、日本人の作家がこの表現を使うかという言葉を選択していて、違和感がありました。ディックの大ファンでも、あえて、この書を購入する価値があるかどうか・・・・。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
他の方が正攻法のレヴューを既に書かれている上に、巻末の阿部重夫氏「訳者解説に代えて」と山形浩生氏「推薦の辞」に詳しい解説があるので、違った切り口でディックをどう読み解くのか?という問題を述べてみたい。 フィリップ・K・ディックに関わる翻訳家の方のタイプで、読者(ファン)の分類が出来てしまうという話でもある。 何はともあれ見て行きたい。 先ずは「仁賀克雄氏」型。氏は浅倉久志氏と共に'70年代以前から(当然ディック在命中)からディックの短編の翻訳・紹介に努め、現在の日本におけるディック評価の基礎を築かれた功労者である。 「パパそっくり」「ハンギング・ストレンジャー」「爬行生物」など(いずれも仁賀克雄訳「人間狩り」ちくま文庫) このタイプは「初期短編」のみが大好き、後は嫌い、である。 短編にこそディックの「優れたアイデアとセンス」が最も活かされており、そのサスペンス・スリル・どんでん返しの見事さに極まり、「中期長編」なんぞ「アイデアの流用・水増し」「ストーリーの引き延ばし」に過ぎない。 「後期長編」に至っては「アイデアが枯渇し・知性が衰退し支離滅裂な神学に凝り固まった」唾棄すべき「駄作」(すいません筆者が言っているのではありません、仁賀氏が言っているのです〜!)。 「普通小説」は「売れなかったのが当然・カス」。 という見解になる。 次に「大森望氏」型。 「タイタンのゲームプレーヤー」「ザップ・ガン」「フロリクス8から来た友人」など(いずれも大森望訳 創元SF文庫) このタイプは脂の乗りきった「中期長編」が「最上」であるとする。 「練りに練られたストーリー展開・長編ならではの広大な宇宙的視野」等々の長所を上げる。 「後期長編」や「普通小説」については前者と同じく「つまらない・評価しない!」である(これも大森氏が「訳者あとがき」などで実際に発言されています)。 三つ目が「大瀧啓裕氏」型。 「ヴァリス」「聖なる侵入」「ティモシー・アーチャーの転生」など(いずれも大瀧啓裕訳 創元SF文庫) このタイプは「後期長編」こそがディック哲学の最終到達点であり、至高の宇宙と精神を表現していることになる。 (他の時代の作品は踏み台に過ぎない、と「暗に」大瀧氏が言っている気がします…) 四つ目が「浅倉久志氏」型。「スキャナー・ダークリー」「出口はどこかへの入口」(短編集『トータル・リコール』)「シヴュラの目」(同題の短編集、いずれもハヤカワ文庫SF)など。 ふ―っ、やっと平和的なタイプが現れました。このタイプは、短編も好き、長編も好き、後期長編だって有り!ディックなら全部大好きだい!とする読者です。 さて此処に「普通小説」だって面白いじゃん「戦争が終わり、世界の終わりが始まった」や「小さな場所で大騒ぎ」「メアリと巨人」も面白かった。 今回の「市に虎声あらん」なんてすごく面白かったよ!っちゅう読者は「阿部重夫氏」型つうことにしますか〜。 「あなたを合成します」「ブラッドマネー博士」(いずれもサンリオSF文庫) 結局私がフィリップ・K・ディックの書いた物なら全部大好き、ということが言いたかっただけです。 ごめんなさい。 追記 最初「煩雑になるから」と作品名を挙げませんでしたが、読者の参考の為に多少でも役立つかなと作品名を載せました。 しかしかなりマニア向けなセレクトで、すみません。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
SF小説ファンでなくとも、映画「マイノリティー・レポート」や「トータル・リコール」の原作者が、弱冠25歳、SF小説転向前に書いた幻の処女作と聞けば、興味をかきたてられる。それも、あのFACTAの阿部編集長が、激務の間、身を削って翻訳したとなれば。 1950年代のサンフランシスコ。アメリカは朝鮮戦争を戦っている。公民権運動はまだ起きていない。第二次大戦後の世界秩序動乱と価値観の変動に、人々は揺れている。 主人公のハドリー青年は、「ニューディーラー崩れ」の知識人(訳者解説)。医師の家庭に生まれたが、いまは大型店に脅かされる町の家電屋で働く。反共旋風の中、リベラルに惹かれる。(たとえば彼は、オリバー・ストーンがドキュメンタリー「もう一つのアメリカ史」で取り上げた、トルーマンの対ソ強硬政策に反対し第三の党を作った元副大統領、ヘンリー・ウォレスの支持者である) 黒人グルの率いる偽キリスト教カルトに首を突っ込むも、彼はそこに信をおくほど、素朴ではない。あなたには才覚があるわ、と彼に惚れ込む妻との間に子を授かるも、家庭的な安住には収まらず、とはいえ外の女との情交にものめり込めない。高校時代からの友はユダヤ人だが、内心、反セム主義を秘めている。 暴走した主人公は、自己破壊的行為に身を投じ、物語は大団円を迎える。彼の憑き物は落ちた。とたんに善良で勤勉な市民、いわゆる大人になった彼が、まだ彼への幻想を捨てられない妻と交わす会話の場面は、どこまでも続く行き場のなさを明示していて沈痛だ。 豊富な訳注と解説を交えて、二度読むといい。私たちが抱きがちな、輝かしく豊かな50年代のアメリカ社会のイメージの裏で、中産階級の個人の崩壊はこうして始まっていたと分かる。本作の執筆は52-53年。主人公の「経歴」は、多分に作者のそれと重なるのだという。 私たち読者は、美しい文章で訳された痛ましい「街の声(原題Voices from the street)」を通じて、分裂するアメリカの50年代を、天才作家の若き日の混沌とした内面を、生々しく追体験できるのだ。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!