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(短編集)
大阪圭吉探偵小説選
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大阪圭吉探偵小説選の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点5.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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古書市場でもかなり希少な為、読む事が叶わなかった大阪圭吉戦時下防諜小説集が、長編『海底諜報局』と短編集『仮面の親日』より10篇を初出順にメインキャラ横川禎介もので統一して遂に登場。 贅沢を言えば、ノンシリーズ「恐ろしき時計店」「寝台車事件」「手紙を喰ふポスト」未収録がもったいない。 そういえば、せっかく本書が出たのに創元推理文庫『とむらい機関車』『銀座幽霊』がいつの間にか入手難に・・・。 編者横井司氏が解説にて、過去の大阪圭吉防諜小説の扱いの低さについて、乱歩・甲賀三郎・中島河太郎の発言も引用しつつ権田萬治氏の論文に噛付いている。 両氏の見方とも正鵠を射ている。但し権田氏は昭和11年生まれであり、昭和37年生まれの横井氏には理解できない不穏な戦時国家の下に少年時代を送った筈。権田氏の世代ならそういった苦い想いが無意識の内に論文に現れるのは仕方がない事を踏まえておかなければならないとは思う。 だいたいプロパガンダ目的、というよりも啓蒙主義がのさばり出すと作品は遊戯的な趣向を封じられ一本調子になってしまう。規制ばかりが蔓延る現代日本の映画やTVに自由度とクリエイティビティが全く失われているのが良い例ではないか。 私がレビューにて、何かというと言葉狩りを行う角川書店のような出版社の所業を度々批判している理由もそこにある。 ともかく本書はメインの小説だけでなく巻末の解説にも要注目。軍靴の音高き時代、表現を縛られた作家達がどう抵抗していたのかを読み取りたい。 山前譲氏が『探偵小説の風景』(光文社文庫)で提示してみせたように、戦前独特の情景・風俗・思想、あの当時の日本を探偵小説を通して眺めてみる事にも大きな意味がある。 レアな防諜スパイ科学長編を今後の『論創ミステリ叢書』でもっと採り上げて欲しい。そして大阪圭吉と対をなすもう一人の高値の花/大倉火華子の復刻はどうなっているのか? | ||||
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