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(短編集)
風に舞いあがるビニールシート
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風に舞いあがるビニールシートの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.10pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全93件 61~80 4/5ページ
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6編から成る本書には、不器用だけど一途に生きる人々が描かれている。お金でもなく、名誉でもなく、人に認められることでも誉められることでもなく、ただ自分がそうしたいと思うことに、無骨なまでに情熱的に取り組む人の生きざまを見ていると、まぶしいような羨ましいような気分になってくる。 ときには周囲との軋轢に苦しみ、ときには自分でも「これでいいのか」という疑問と闘いながらもまっしぐらになにかに向かって進む。人はそんな彼らを青臭いと言うかも知れないし、周囲から浮いてしまうことだってある。けれど彼らの懸命さを哂うことは到底できない。それほどまでにのめりこむ「なにか」を持つ人はそれほど多くはないだろうから。 お勧めは「ジェネレーションX」、「守護神」。6編すべて読後が爽やかで、なにかしら浄化されたような感じがした。 | ||||
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森絵都さんの作品には素敵な魔法が散りばめられている! それ故に彼女の紡ぎ出す小説に児童文学も一般文芸も境はない。 只、人間の姿を様々な手法で描くので、 6つ収められている物語は質感も手触りも違う人間が書いたようにさえ思えるのだが。 作家の眼差しは、常に温かく優しい。人は誰も多かれ少なかれ生きていく途上で否応なしに、 どうしようもなく苦くて辛い体験をしてしまう生き物で。 本人の胸の何処かに、体験してしまった瞬間から停止したままのストップウォッチが転がっている。 森作品の、登場人物も皆不器用な己の欠落部分を感知している者ばかり。 そこに強いシンパシーを感じつつ1作品毎に時間を掛けて味わった。 精一杯それぞれの持ち場で生きる主人公たち。 周囲にいる人間たちと関わり続けながら少しずつ少しずつ、現実に流れる時間や速度を、 胸の内に取り込んで行く。フリーズしたままだった過去。 氷の世界から記憶を甦らせ、更に、次のステップを踏む勇気を振り絞る姿に感動したのです。 自分自身が暗闇から筆者の柔らかな手で、『グイッ!』と引っ張り上げられた風に感じられ、 読了後目に映る世界が違って見え始めたのです。直木賞受賞作の 【風に舞いあがるビニールシート】の、ビニールシートに込められた世界平和への深い祈り。 他に【守護神】。是非読書好きの方、特に思春期、喋り過ぎたり、 黙り過ぎたりした方に読んで欲しい一篇だし、宮本輝や五木寛之の円熟を思わせる【鐘の音】や、 重松清や浅田次郎のユーモア漂う、【ジェネレーションX】等読み応え満点!! 更に5月末からはNHKが吹石一恵主演でドラマ化も決定と来れば、注目して間違いはないでしょう♪ | ||||
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森絵都さんは好きな作家だし、直木賞受賞ということで期待が大きかったのか、こんなもんかな、というのが正直な感想でした。短編ということで、うまくまとまっている気もしますが、やはりもっと長い作品で森絵都ワールドを楽しみたい気がします。初めて読まれた人や、森絵都が好きな人、それぞれで読後感は違うでしょうね。私の一番好きな作品は、「犬の散歩」でした。 | ||||
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直木賞受賞作品。彼女の作品をはじめて読みましたが、読後のイメージは「うまいな」ということ。決して否定の意味ではありません。6篇の物語が収められていますが、どれも「うまい」作品ばかり。ベストは「犬の散歩」裏ベストは「守護神」「ジェネレーションX」ですかね。すこし注文をつけると「うまい」だけでは読者の心は動かないのです。揺り動かされないのです。振りが見えてオチが判ってしまう場面もあったりすると尚更です。実世界はそんな筋書きはないのですから。 | ||||
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全部で6作収められています。 どれもが良質、すぐれた作品です。 描写が良いし、主人公はどの作品でも、独自の価値観を持ち、流行に流されない人たちです。 個人的には、気まぐれで自己中心的なオーナーパティシエに振り回されている ように見えて、実はその手綱をしっかり握っている女性秘書が主人公の 「器を探して」がいちばん気に入れましたが、この点は読む人によって違う だろうと思います。 | ||||
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どの主人公も、共通して言えることは 正義感が強く、すべてを完璧にこなそうとする性格。 だから、無理が出たり、 苦しんだりすることがある。 お話の中では、そんな主人公の周りに 必ず息抜きをしてくれる人や、出来事があります。 日々のなにげない生活の中で 主人公が人として成長、変化していく心の様子が 上手く描けている作品でした。 あっというまに読んでしまいました。 | ||||
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直木賞受賞作品で、6篇の作品からなる短編集です。 各物語の主人公は、良い意味で、何かにこだわりを持っており、安易に妥協しないで生きている姿に共感できます。 そういう点で、短編集ながら、全体としての統一感はあります。 やはり、表題作が秀逸だと思いますが、個人的には「守護神」と「ジェネレーションX」もお奨めです。 | ||||
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器や仏像、古典、UNCHER…といった 幅広い分野を題材にした6つの短編集。 それぞれの作品で描かれているのは、 「大切なもの」のために懸命に生きる人たち。 それを守るために何かを犠牲にしなくてはいけなかったり、 辛い思いをする時だってあり、 その価値は誰にでも理解してもらえるものではないため、 バカにされたり疎まれることも。 でも、「大切なもの」があるからこそ、 主人公たちは強くなれたり、幸せを感じることができています。 勝ち組・負け組といった言葉をはじめ、 人を判断する物差しがたくさんある世の中ですが、 その人にしかわからないことも、確かに存在するのではないでしょうか!? 自分にとって、譲れないものは何だろう*** 「自分だけの価値観を守って、 お金よりも大事なものを持って生きている***。 あたたかくて強くて、生きる力を与えてくれる、 森絵都の短編世界。」との紹介文が帯に書いてありましたが、 うんうん、って思わず納得。 「できるわよ。だって今までやってきたんだもの。 不器用でムダにこまめで見当外れでも、 実直に、粘り強くがんばってきたじゃない。 あなたならこれからもがんばれる。」っていう文中の言葉に、 思わずジーンってなっちゃいました。 6編の物語とも、 最後には未来に開けて終わっています。 主人公たちのこれからが、幸多きものでありますように☆ | ||||
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米国の裕福な家庭で人肌のぬくもりを知らずに育ち、資本主義社会が生み出した闇(難民)への贖罪を背負いUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)のフィールドワークに全てを捧げる男とのささやかな家庭を夢見破れた、勝ち組みだったはずのキャリア女性の、出会い、結婚生活、離婚、永遠の別れ、そして再生が深い奥行と絶妙な伏線を伴い描かれています。 本書収録の他の短編と少女の成長物語であった「アーモンド入りチョコレートのワルツ」と「永遠の出口」を2年前に読んだだけでの直感ですが、小説の奥行(男女が背負う業の描写、物語の持つ社会批判性、結婚・離婚・愛への洞察)を考えた時、これ以上の短編をこの著者は描き得ないと思います。 本書が第135回の直木賞に選ばれた当時、地下鉄南北線の車内広告で見た「愛しぬくことも愛されぬくこともできなかった日々ばかりを、気がつくと今日も思っている」という本文からの引用が、今もこの物語のエッセンスを一番上手く抽出しているのではないでしょうか。 そして、再生が本書のメインテーマなら、「愛しぬけなかった離婚相手をその死後に初めて愛しぬくことができるか」という命題が再生に繋がる裏のテーマにある気がします。資本主義社会の不条理と後ろ髪引かれる離婚に少なからず心が囚われている人には特別感じ入るところがあるかも知れません。 | ||||
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どの短編も、登場人物達が謎めいており、一息で読んでしまいました。特に好きなのは「器を探して」。主人公の印象が、最初と最後じゃ全然違って私にはちょっとしたホラーでした。「風に舞いあがるビニールシート」は主人公の心情に素直に添えて、最後の決断は予定調和に見えつつ納得できるものでした。ちなみに、風に舞いあがる青いビニールシートは、私には阪神大震災後の風景の一部です。予期せぬ不運と不幸と、弱者の象徴です。 | ||||
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表題作は国連高等難民弁務官事務所(UNHCR)に勤める外国人の夫と同僚の元妻の物語。夫は殉職的な死を遂げてしまうが、既に離婚している夫の死に対する妻の複雑な心境が見事に描かれており、読み手に共感を与える。 | ||||
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どうしても譲れない心の拠り所が現実とは折り合わずに葛藤する。そのような心の機微、男女の綾を怜悧な観察力と豊かな表現力で描き、ハッとさせられることが多かった。 表題作の「風に舞いあがるビニールシート」は中でも秀逸で、愛することの難しさ、せつなさが見事に描かれている。 以前から著者の掲載小説を読んでいたが、この本で森絵都ファンになった。 | ||||
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仕事へのこだわり、葛藤のなか、 こわばったものがほぐれていく様子が 優しい視線で描かれている。 仕事に迷いがある人、仕事に追われる人、 がむしゃらに仕事をする人、、、 あらゆる仕事をする人におすすめしたい。 「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」 で泣けなかったわたしが 通勤電車の中で泣いた。温かく気持ちのいい涙。 「ジェネレーションX」「風に舞い上がるビニールシート」 が特に好き。 | ||||
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読んでからだいぶたっているが、なんかよかったのは「ジェネレーションX」。まっすぐで硬い上からのモラルではなく、心の内から沸き起こってくる共感をもとにしたコミュニティーの可能性を感じさせる。 | ||||
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とにかく、終始明るく先を見据えている主人公たちに、共感の気持ちで一杯です。 6編の主人公のすべてに共通しているのが、 ”楽しく生きているからこそ、頑張れるんだ” という、強い意志です。 そしてそれが押しつけがましくなく、語られます。 主人公の性別、立場はすべて違うのですがどれもプラス思考で描かれていて、 読んでいて、五月晴れのような晴れやかな気持ちになります。 「生きてるといろんな事があるけど、 それも悪くないよね!」、っていいたくなります。 元気になりたい人に読んで欲しい本です。 | ||||
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『器を探して』 『犬の散歩』 『守護神』 『鐘の音』 『ジェネレーションX』 『風に舞いあがるビニールシート』という、6つの短編からなる。その内容は、バラエティに富んでいる。最初の2編『器を探して』 『犬の散歩』からは、細やかな筆致と心理描写の巧みさが窺える。ただ、少し爽やかすぎる嫌いはあるる。続く『守護神』になると、少し印象が変わる。内容的にそれほど面白いとは思わないが、話の構成が興味深い。そして『鐘の音』 『ジェネレーションX』。この2つが素晴らしい。前者は仏具修復師、後者は出版社員が主人公。それぞれの業界の事情を踏まえつつ、そこで働く男の思いがひしひしと伝わってくる。プロットが秀逸だ。そして最後に表題作の『風に舞いあがるビニールシート』。6つの作品の集大成ともいうべき内容で、読み応えがある。本を通じて作家の成長が見られる短編集だ。 それぞれの作品で描かれているのは、「大切なもの」のために懸命に生きる人たち。それを守るために何かを犠牲にしなくてはいけなかったり、辛い思いをする時がある。その価値は誰にも理解されるとは限らず、バカにされたり疎まれることだってある。しかし「大切なもの」があるからこそ人は強くなれたり、幸せを感じられる。勝ち組・負け組といった言葉をはじめ、人を判断する物差しがたくさんある世の中。しかし、その人にしかわからないことも、確かに存在するのだ。自分にとって、譲れないものは何だろう…そんなことを、読後に考えさせられた。 | ||||
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一作一作、主人公たちが生きている世界がまったく違い、 とても彩り豊かな作品集です。 連作集のようにつながりが明らかなものも面白いですが、 この短編集には、その多彩さがかえって 広い世界がほんとは一つなんだ、と実感させてくれる 懐の深さのようなものがあります。 どの作品も素敵ですが、特に印象に残ったのが「犬の散歩」。 穏やかな日常の中で、それを壊さないように目を背けがちな犬の殺処分の問題。 残酷な現実に対して尖ることなく、 日常の中でできることをやっている主人公の姿が凛としています。 | ||||
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6編からなる短編集だが、1編1編がとても丹念に編まれている。 短編というのは、長編にも成り得るものをぎゅっと凝縮させて書くものだと聞いたことがある。 長編・短編どちらがいいというのでもないけれど、収録作の「鐘の音」や表題にもなっている 「風に舞いあがるビニールシート」は短くまとめてしまうのがもったいない気すらした。 しかし、1冊読み切ったあと心に残ったのは物語の結末ではなく、ものごとの途上の心の ありよう。 この人の作品は、そこから何かを掴み取る、というよりは、生身の人間の息遣いのようなもの を立ちのぼらせ、読む者に寄り添わせることにその魅力がある気がしている。 そう考えると、短編は一番ふさわしい方法なのかもしれない。 | ||||
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特に気に入った小説は「守護神」「ジェネレーションX」「風に舞いあがるビニールシート」の3つでした。「守護神」では懸命に勉学に励む若者の背中をそっと押してあげる女学生の優しさが印象的でした。「ジェネレーションX」では主人公2人が始めはぎこちないのですが、色んな事を知っていくうちに温かい心の交流が生まれてくる過程が非常に楽しく描かれています。「風に舞いあがるビニールシート」は元夫婦のお互いを思っているのにすれ違っていく様が切なくて途中、涙が溢れてしまいました。温かくも切ない短編集に心を奪われて時間が経つのも忘れて読み上げた本でした。 | ||||
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6つの短編集です。 「器を探して」「犬の散歩」「守護神」★★★ 「鐘の音」★★★★★ 「ジェネレーションX」★★★★ 「風に舞いあがるビニールシート」★★★★★ 全体で★★★★という感じです。 話の結び方が上手だなあという印象を持ちました。 特に「ジェネレーション」についてはある種落語の落ちのような、潔い切れを感じました。 「鐘の音」は物語の作り方がとても好きな作品でした。 登場人物と仏像との関係、心の触れ合いとでもいうのでしょうかが、とてもうまく描かれた作品でした。 また、話の展開、結びも上手です。 誠実に研究調査する作者の姿勢を感じました。 「風に舞いあがる」は短編とは思えない広がりを感じる作品でした。 性行為の描写が少しくどいかなという気はしましたが、 作品の展開もまたその時々の主人公の心情、心の移り変わりにとても共感を感じながら、 読み進めることができました。 「鐘の音」「風に」とも、物語の時間軸が、過去と現在と動く作品にもかかわらず、 混乱することなく、また鬱陶しさを感じることなく、 楽しめる文章力は対したものだと思いました。 | ||||
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