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悪しき狼
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悪しき狼の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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シリーズ6作目らしいが、本シリーズを手に取るのは初めて。酒寄進一氏の翻訳ということで興味を惹かれた。黒幕の正体は読んでいるうちに分かってしまうので謎解きミステリーというより警官小説と考えた方がよさそう。犯罪解決を軸に描写される登場人物の心理や感情が織りなす物語。ストーリーの軸は、ある少女の殺人事件を発端に謎が解き明かされ、世界規模の幼児性愛犯罪者のネットワークが判明するというもの。悪魔的で容赦のない罪が語られるが、新聞記事を読む感覚に近くやや客観的な印象に留まり、罪の深さや恐怖は覚えなかった。この種の作品では登場人物の魅力が鍵なのであるが、スーパーヒーローでもなく等身大の人間を主役に置いたところは物足りなさを覚えた。しかし、読みやすい翻訳で時間潰しにはお勧めできる作品だと思う。 | ||||
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ペドフィリア犯罪小説。 過去にトラウマのある方にはオススメ出来ませんが、 オリヴァーとピアの絆はより堅固なものになってゆきます。 最後にどんでん返しが待っているので、ファンの方は必見かも知れません。 | ||||
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この小説に出て来る警察官以下、すべての人物が愚か者か異常者です。著者はそういうつもりで書いているのではないのでしょうが、そうとしか思えないのです。この著者の作品は全部読んでいます。その傾向はだんだんひどくなっているような気がします。ドイツ、日本での出版の時期、実際に書かれた順番などを知りませんので「段々」なのかどうかは正確ではありません。そもそも、この著者は人生、人間、小説に関して何か勘違いしているのか、もともと小説家としての能力がないのだと思います。そんなに嫌なら読まなきゃいいのと言われそうです。しかし、私は、欧州の警察とか検察とか刑事裁判に興味があるので、その方面のミステリをつい衝動的に買ってしまうのです。但し、人の好みは様々です。他の方のレヴューは高評価です。このような小説をリアリティがある、あるいは現代の世界の悪しき傾向にメスを入れる、とかでそのような評価をされたのだと思います。そこで思い出すのは、欧州の昔の(もっとも広い意味での)傑作ミステリの著者には第二次大戦を経験した人が多かったということです。戦闘機乗りもいました。つまり現実の理不尽な「死」を体験しているわけです。よって、彼らの書くミステリ(冒険小説)には圧倒的なリアリティと躍動感があり、加えてサービスも満点であったのです。それに比べると近時のその方面の著者にはそれらの要素が書けるようです。北欧ミステリもただ単に残虐に過ぎず、警察官等も無能です。実に残念なことです。著者に有能な警察官を描く力量がない、ということでしょう。 | ||||
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前作『穢れた風』では「あれあれ、どうしちゃったの?」と言いたくなるくらい ダメっぷりが際立ったオリヴァーでしたが、本作では見事復活と言わないまでも まずまずの活躍を見せてくれます。もっとも主席警部となったピアの奮闘には負けますが。 少女の溺死死体が発見され、次いでドイツの人気キャスターが襲われますが、 その事件をめぐって醜悪な犯罪の実態がしだいに明らかになっていきます。 権力とお金のある人々の背徳的な欲望が社会の陰の部分で犠牲者を生み出していきます。 こうした犯罪の存在はメディアでも取り上げられていますが、現実には 実態がなかなか暴かれないところにもどかしさを覚えます。 登場人物も多彩で、ピアの今のパートナーであるクリストフや彼の姪のリリーの 存在がストーリーにふくらみを与え、衝撃的なラストへと一挙になだれ込みます。 ミステリー作家としてのノイハウスの円熟ぶりを改めて味わえた一冊でした。 | ||||
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川で少女の遺体が発見される。死因は溺死ではありながら、淡水ではなく塩素水によって死亡していることが判明したため、別の場所で殺害された後に現場に遺棄されたものだと推測される。一方、テレビの人気女性キャスターが半死半生の状態で発見される。しかし事件はそこでは終わらなかった。さらに新たな殺人事件が発生し…。 ---------------------------------- ドイツのホーフハイム刑事警察署のオリヴァー・フォン・ボーデンシュタイン主席警部とピア・キルヒホフ警部たちの活躍を描くミステリ・シリーズ第6弾です。このシリーズは日本では2012年『』を皮切りに、2013年『』、2015年『』、2017年『』と翻訳紹介されてきました。(ドイツ本国の出版は、『』、『死体は笑みを招く』、『』、『』、『』の順) 今回は少女の溺死事件、キャスターの拉致暴行事件、そしてもう一つ別の残虐な殺害事件と3つの案件に刑事たちが翻弄されていきます。互いに連関関係があるとは思えない3事件が、読者の忍耐力を試すかのように、ゆっくりとした歩みで進展していき、そしてやがて一つに切り結んでいきます。最後に真相が明らかになったときに、およそこの世とは思えないほど残忍なその事件の全貌に言葉を失うことになります。 作者レネ・ノイハウスはこれまでも、ナチズムの過去との対峙、閉鎖的共同体における冤罪被害、再生可能エネルギーをめぐる思惑、など、現実世界でも起こりうる社会の闇を描いてきました。今回の事件の背景には想像を絶する組織的陰謀が渦巻いていますが、それもまた大なり小なり実際に起こっていることであり、同様の材をもとに紡がれたミステリーはこの『悪しき狼』だけではないのです。 このシリーズも6作目に至り、ピアにもオリヴァーにも公私にわたって少しずつ変化が見られます。ピアは主席警部に昇進しています。 そして警察機構内部にも闇が巣くい、それが徐々にほころびを見せていくのです。凶悪事件の捜査のかたわら、組織を内部から崩壊させていきかねない事態を前に、ピアたちは焦燥を募らせていきます。 こうした十重二十重の物語構成が、最後はひとつに収斂していくさまは大変見事です。 あの“男”が主人公の“家族”を伴って逃避行に出る下りだけは合点がいきませんでしたが――あれでは逃亡生活の足手まといになるばかりで、単独で逃げたほうがよほど効率がよいと思うのです――、大勢の人間が複雑に交差した末に大きな闇が作りあげられていく物語を、私は眩暈を感じながら深く味わいました。 訳者あとがきによれば、このシリーズの邦訳は継続することが約束されているようです。次作ではピアの妹が初登場し、知られざるピアの家族関係が徐々に明らかになるのだとか。次作とは『Die Lebenden und die Toten』のことでしょう。今から楽しみです。 -------------------------------- *270頁:「ピアがもう一度をベルを鳴らそうとした」とありますが、「もう一度」のあとに余計な助詞「を」が紛れ込んでいます。 -------------------------------- この書を読みながら以下の小説を思い出していました。オーストリアのミステリー小説で、翻訳は『悪しき狼』と同じく酒寄進一氏です。 ◆アンドレアス・グルーバー『』(創元推理文庫) :ライプツィヒ警察の刑事プラスキーは病院で少女が自殺したという報を受けて現場に急行する。しかし少女の様子は自殺に見せかけた他殺のようだ。プラスキーは上司の指示を無視して独自に捜査を開始する。一方、ウィーンの弁護士エヴェリーンは、先輩弁護士の転落死と自分が最近扱った訴訟案件とに奇妙な共通点を見出す。彼女もまた、上司と反目しながら真相を追い始める…。 . | ||||
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「刑事オリヴァー&ピア」シリーズもこれで6作目で、女性刑事ピアも首席警部になっている。このピアがおそらく著者の分身というところで、最も感情移入がされている。 児童虐待をめぐる大がかりな犯罪組織を題材とした小説だが、ストーリーテリングはさすがに巧みで、一見無関係な複数の物語が平行して進行し、それが次第に交錯して全体像が見えてくる。最初のうちは登場人物と日付の前後関係に注意して読まないと筋がつかめないが、途中からは話の展開にどんどん引き込まれていく。 善人が悪人になり悪人が善人になるどんでん返しや意表を突いたオチも十分楽しめる。 また、警察官の人間関係や私生活上の悩みが描かれるのも最近の警察小説の定番となった感がある。 このシリーズでは司法解剖の場面が多く登場するが、描写が極めて詳細で迫真性があり、著者が最新の司法解剖の現場を詳しく取材していることがうかがわれる。 なお、酒寄氏の翻訳は相変わらず素晴らしいが、この本では所々に硬い表現があるように感じた。表題の「悪しき狼」とは童話の赤ずきんなどに出てくる「悪い狼」(ドイツ語の原題も同じ 英語ではbad wolf)のことで、ここでは児童虐待をする大人のことを指しているのだから、そのまま「悪い狼」でよかったと思う。 | ||||
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