すべて真夜中の恋人たち

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すべて真夜中の恋人たちの評価:

3.37/5点 レビュー 127件。 C ランク

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平均点3.37pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全150件 121〜140 7/8ページ
No.30
(5pt)

切なくて、痛い。

美しいんだけど、切なすぎて胸が痛かった。
生きていくって、ホント、起きて食べて仕事して寝て、だけじゃなくて、ホントしんどいもんだ。
誰かの人生の登場人物になるって、必要なことなんだ。
すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)より
4062779404
No.29
(5pt)

言葉が綺麗。

284ページの主人公の心情描写が美しく、何度も読み返しました。私は読むのが速いので2時間もあれば読めてしまいますが、この本は言葉の美しさを楽しみながらじっくり読むのがおすすめです。
すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)より
4062779404
No.28
(4pt)

私は好きでした。

もちろん起承転結はありますが、ドキドキハラハラするようなストーリーがあるわけではないので、ストーリー展開をスリル感やドキドキ感と共に楽しみたい、みたいな人にはあまり向かないかもしれません。
話の世界観に浸りながら読む、という感じの話なので、好き嫌いが別れる小説だと思います。面白かった。買ってよかったです。

ただ、「全て真夜中の恋人たち」というフレーズが出てきたくだりは、ちょっとありきたりで残念な気もしましたが(^^;)
すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)より
4062779404
No.27
(4pt)

切ない物語でした

女性の恋心が経験や年齢で違うのか変わらないのかも知らないで言うのもおかしいのですが、描かれた30歳半ばの女性のそれはとても頼りなくて切なく、わたしには、もっとずっと若い方のもののように思えました。もちろん、人によるのでしょうけれど。
しかも、この方は、それが本人にとって心地がいい一面があるとはいえ孤独なので、淋しさが恋心をさらに切ないものにしています。まことに気の毒に思いました。
多用するひらがな記述が、物語の雰囲気に合っていてとても良かったのですが、最後の方の心情描写はさすがに冗長で、せっかくの盛り上がりが逆に削がれてしまいました。
すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)より
4062779404
No.26
(4pt)

寂しい時や、自信が無い時に

川上未映子さんの本に出て来る台詞はエグいけど、一方で爽やかだったりします。
生き方には色々あって、どれが良いとか悪いとかは無くて、偶に傷つけるし支えあうのが人なんだって思いました。
ラブストーリーの部分より、それを軸にして描かれる女性たちの生と性が面白かったです。
すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)より
4062779404
No.25
(4pt)

すべて真夜中の恋人たち

と打ち込みたくなる、声に出したくなる題名に惹かれました。
私も喋るというよりは聞く方が多いので
その中で独特な考え方を持ちそれを何時間も話す主人公の周りの話の人たちは個性的で、その
話に耳を傾けるというのはとても面白い時間でした、そして主人公冬子も自分の事を話始めるようになり
自分の考えを伝えて行く話、今の自分と重なるような気がして、がんばれがんばれと読みながら思っていました。
上辺ではなく、ちゃんとお話をしているな、ちゃんと生きてるなと思う一冊です。出会えてよかったと思います。
すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)より
4062779404
No.24
(5pt)

この本を満たす孤独と静寂とナイーブさ

低評価が多いことに驚きます。

この本は物語の展開の早さとか、スリルとかミステリーとか、そういうものではありません。そういう、物語の筋道や展開を楽しむものでは無いんです。

ひとりの女性の静かな独白であり、美しく不器用で、純粋な彼女の心理描写を、読む人が自分の孤独だとか人を想う気持ちとか傷つきやすさとかを重ねながら、じっくり味わうことを楽しみとする物語です。

人付き合いが下手で大人しくて浮いてしまうような人っていると思います。活発に動くことによって自分はがんばってる、努力してる、っていうような人は、そんな静的な生き方にイライラするでしょう。

でも、人はそれぞれ大切にしていることは違います。彼女の静かな打算のないピュアな想いに、わたしは心惹かれました。この作品に覆われたなにか高貴な美しさや静謐を楽しめる人には、本書の価値が分かるでしょう。
すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)より
4062779404
No.23
(5pt)

アラサー校閲者の想いが切なすぎる

先日図書館から借りた本を読んでいたら、一文字の誤植に気づいた。「パラダイム」の「ダ」が「タ」になっていた。そしてその「タ」の右上には鉛筆書きで「゛」が書き添えられていた。几帳面で丁寧な筆跡で書き込まれたその濁点を見て、これは常に自分の文章を校正される立場の文筆家か、あるいは逆に常に人の文章を校正する立場の職業的な校正者の手による書き込みだなと直感した。
 図書館の蔵書に書き込みをするのはマナー違反だ。だがこの書き込みの裏にある、誤りを見つけたらそうしないでは気が済まないという職業的な生真面目さに、少し嬉しいような共感を覚えた。以来、職業的な校正者あるいは校閲者というのは、いったいどんな人たちなのだろうかと気になりつづけていた。
 通勤途中の車内でしか本を読めない私は、滅多に文庫か新書サイズより大きい新刊本は買わないことにしている。それでも、この川上未映子の新作をつい買ってしまったのは、主人公の職業がフリーの校閲者だったこともひとつの理由だった。

 こんなシーンがある。主人公の「わたし」は三十四歳の一人暮らしの校閲者。家のポストに投げ込まれる地域の情報誌みたいなものを暇つぶしに目を通す。
 「十分間ほど読んでみるだけで七カ所の間違いがあり、わたしは爪でそこにあとをつけていった」
 とある。ふむフム、校閲者の習性とはやはりそういうものなのか。わが意を得たりである。そんなきっかけがあって物語の中に入り込んでいくことができた。よい読書とはどれだけ感情移入ができたかで決まる。そういう尺度がある。その観点からいうとこれは私にとって最高にいい読書であった。
 読み進むうちにどんどん入り込んだ。三十四歳の孤独な女の気持ちになりきった。物語の終盤、主人公が切々と初老といってもいいさえない片思い相手の中年男への想いを声に出さず語る。
 「(三束さんは、)毎日、何を食べ、どんなふうに過ごし、誰と過ごし、何を大切に思い、どんなことを考えて暮らしているのか、わたしは何も知らなかった。どんな所で眠り、どんなところで本を読み、どんな人と、どんな話をして笑うのか。どんなことに腹をたて、どんなことが憂鬱で、眠るまえにはいったいどんなことを考えているのか。三束さんは、どんな女の人がすきなのだろう。これまでどんな女の人をすきになったのですか。どんなふうにすきになったのですか。もしわたしがきれいだったら、三束さんは夢でしてくれたようなことを、ほんとうのわたしにしてくれましたか。三束さんはどんな夢をみるのですか。わたしとしゃべることをすきだと言ってくれたけど、それはただ、しゃべるだけですか・・・・」
 この切ないモノローグを、読んでいる私は自分の声で語ってしまっていた。読みながら主人公になりきっていた。自分が冴えないオッサンであることは頭から完全に消えていた。
これ位入り込めたのは、角田光代の『八日目の蝉』を読んでいて、若い女の乳児誘拐犯になりきってしまって以来のことだ。川上未映子の作品は幾つか読んでいるが、その中でも「入り込めた」加減は本作がダントツである。
 ほとんど引き籠りに近い「わたし」は年一回、自分の誕生日でもあるクリスマスイブの晩にだけは夜の街を散歩する。そうして自分の誕生日を静かに祝う。そんな一年を十何回か過ごしてきたのが大人になってからの彼女の人生だった。
 「わたしの誕生日を、一緒に過ごしてくれませんか」
 その台詞を、私は泣きながら主人公の「わたし」と一緒に言っていた。
 今どきこんな時代遅れで清らかな三十女がいるだろうか。こんな物語があるだろうか。呆れるほどに、「よかったなあ」と思う。

 日本の文学なんてとか、芥川賞作家なんて所詮とか、いつもは思っているような人にも、たまにはどうとお薦めしたくなる一冊です。
すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)より
4062779404
No.22
(4pt)

私は好きです。

この本は嫌いな人は、本当に嫌いみたいですが、私はけっこう
楽しめました。
すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)より
4062779404
No.21
(5pt)

余韻に浸る

爆笑問題の太田光のおすすめとあって、読んだ本。

読者の想像に任せる、といった余白部分が多いのが好印象。
聖のことについては特に。
すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)より
4062779404
No.20
(4pt)

真夜中の描写は素晴らしいがおわり方にがっかり

一見、同じ川上姓の弘美の「先生の鞄」を思わせる恋愛小説。
二人の会話が「光」をめぐった美しい言葉に溢れていて
「先生の鞄」のほのぼのとはちがったキラキラした
感じが少しある。こうした言葉の使い方は見事。
特に出だしの真夜中をめぐる言葉が良い。だけどなあ、
あの物理の先生がニセモノだったという小説の終リ方
はあまりにも安易でがっかりした。もっと工夫が
あるだろうに。宇宙と世界にはまだ終わりが
ないけれど、個人の人生と小説には必ず終わりが
ある。主人公が死ぬ、あるいはこれまで話は全部
嘘というのが一番安易な終わらせ方だよ。
すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)より
4062779404
No.19
(4pt)

当事者たちのためのテキストかも

30代の独身女性たちの愛情問題や仕事に対する姿勢、生き方のことなどを書いた小説。読後すぐ小説として盛り上がりきれていないんじゃないかな、と思ってふと考えたのだけど、中学生の激しいいじめを扱った前作『ヘブン』もこの本も、30代の独身女性や、いま、中学でいじめられている子、いじめている子、といった当事者たちが読むと参照できるテキストになっているのではないかな。その分、作品は説明的になってしまっているかもしれないけれど、当事者が読むと、考えや気分を整理して、自分なりに登場人物たちと自分を比べて考える、そんなテキストとしては有効だと思える。
 読んで面白かった面白くなかった、ではなくて、読者が本当に苦しいときに手をさしのべてくれる小説、そんな風に考えると、見方が変わってくる。
【以下ネタばれ】それにしても、はじめて「した」直後に、彼(高校生同士)に、「君をみてるとね、ほんとうにいらいらするんだよ」なんて言わせられるのは、川上さんだけかもしれません。
すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)より
4062779404
No.18
(5pt)

美しい

紡ぎ出される言葉全てが美しい。
どこか切なく、温かいラブストーリー。
この世の中で、こんなにも幸せな関係があるのか?純粋で、透明な世界観。
間違いなく、1番美しく綺麗な言葉、世界観。
読まないのはもったいない!
すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)より
4062779404
No.17
(5pt)

何も起こらないような、それでいて、ちゃんと何かが起こっている物語

この物語は、何度も何度も読み返すような、じっくりと読むためのものだと思います。

ただ、登場人物達の会話や話の流れを辿るだけだと、
この物語はびっくりするほど何も起こらないというか、
単調で陳腐なものだという感想だけが残ってしまうだけだと思います。

ですが、「わたし」が一人称で語る世界を(この小説を読む人が)時間を掛けて読み解こうとしてみると、
少しずつ、じわじわと登場人物の“思い”が滲み出てくるような、「わたし」が語っていない部分の見えないものが浮かび上がってくるように思います。

この本を読みながら、見えないもの・語られないものをかみしめて、
「これは自分も感じたことのあるものだ。これは誰かの物語だけども確かに自分の物語だ」と、
ささやかながらの優しい力をもらえました。
すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)より
4062779404
No.16
(5pt)

恋の切なさが静かに染み込んでくる恋愛小説

『すべて真夜中の恋人たち』(川上未映子著、講談社)を読みながら、自分が恋をしていた当時の、彼女が私のことをどう思っているのか分からない時の落ち着かなさ、彼女になかなか思いが伝わらないもどかしさ、彼女のことで頭の中がいっぱいになって、他のことは何も考えられなかったこと、どうしても彼女に会いたくて他のことが手に付かなかったこと、彼女の言葉や仕草を思い浮かべるだけで、苦しいぐらい胸がときめいてしまったこと――をありありと思い出して、切なくなってしまった。恋愛小説でこんな気持ちになったのは、本当に久しぶりのことだ。

34歳の「わたし」がカルチャーセンターで出会った58歳の「三束さん」に寄せる思いは、例えば、こんなふうに表現されている。「毎日、何を食べ、どんなふうに過ごし、誰と過ごし、何を大切に思い、どんなことを考えて暮らしているのか、わたしは何も知らなかった。どんなところで眠り、どんなところで本を読み、どんな人と、どんな話をして笑うのか。どんなことに腹をたて、どんなことが憂鬱で、眠るまえにはいったいどんなことを考えているのか。三束さんは、どんな女の人がすきなのだろう。これまでどんな女の人をすきになったのですか。どんなふうにすきになったのですか。もしわたしがきれいだったら、三束さんは夢でしてくれたようなことを、ほんとうのわたしにしてくれましたか」。

今、幸せな恋をしている人も、失恋してしまった人も、恋することを忘れてしまった人も、この本によって「特別な時間」を堪能することができると思う。
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4062779404
No.15
(5pt)

恋の切なさが静かに染み込んでくる恋愛小説

『すべて真夜中の恋人たち』(川上未映子著、講談社)を読みながら、自分が恋をしていた当時の、彼女が私のことをどう思っているのか分からない時の落ち着かなさ、彼女になかなか思いが伝わらないもどかしさ、彼女のことで頭の中がいっぱいになって、他のことは何も考えられなかったこと、どうしても彼女に会いたくて他のことが手に付かなかったこと、彼女の言葉や仕草を思い浮かべるだけで、苦しいぐらい胸がときめいてしまったこと――をありありと思い出して、切なくなってしまった。恋愛小説でこんな気持ちになったのは、本当に久しぶりのことだ。

34歳の「わたし」がカルチャーセンターで出会った58歳の「三束さん」に寄せる思いは、例えば、こんなふうに表現されている。「毎日、何を食べ、どんなふうに過ごし、誰と過ごし、何を大切に思い、どんなことを考えて暮らしているのか、わたしは何も知らなかった。どんなところで眠り、どんなところで本を読み、どんな人と、どんな話をして笑うのか。どんなことに腹をたて、どんなことが憂鬱で、眠るまえにはいったいどんなことを考えているのか。三束さんは、どんな女の人がすきなのだろう。これまでどんな女の人をすきになったのですか。どんなふうにすきになったのですか。もしわたしがきれいだったら、三束さんは夢でしてくれたようなことを、ほんとうのわたしにしてくれましたか」。

今、幸せな恋をしている人も、失恋してしまった人も、恋することを忘れてしまった人も、この本によって「特別な時間」を堪能することができると思う。
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4062779404
No.14
(5pt)

どうしたっていい(どうされても)

すごく良かったです。 恋がしたくなりました。 たぶんわたし達は死ぬのが分かっていながらも人生の間違い探しを続けます。 毎日の選択肢の中で、夜が終わる前に後悔し続けます。 何年も後になって気づく事もあります。 そんな時に思うのは光のようにあやふやな、現実にありがちな残り物のような気がします。 とても良い本です。
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4062779404
No.13
(4pt)

色々に読める話

自分の閉じた世界で満足していたような、世界の片隅でひっそり、誰にも見つからないように、
息をひそめて生きているような、女性が、恋をする話……だけではないのだ。
彼女の悲しみや痛みもわかるし、モテない系の女性には身につまされるような描写も多い。
しかし、主人公の一人語りなので、騙されてしまうが、この話はかなりグロテスクなのではないだろうか。
主人公が、意中の男性に会いに行くのに、いつも、酒の力を借りていく、その壊れ具合とか、
ネタバレになってしまうので詳しくはかけないが、この主人公の好きな男性も客観的にはどういう人なの?
主人公のことをどう考えていたの?と首をひねってしまうところがあるとか。
そして、もう一人の友人と言っていいだろう人物もちょっと、終盤に向けて怖くなってくるのだ。
私は、ラストの明るさや、主人公が自己の人生に対する姿勢を洞察する部分が好きだが、
実は、そういう読み方はまだまだ甘くて、作者はものすごく、この小説に色々仕掛けているのではないか、
それを考えるために、もう一度読み直してみようと思う作品だった。
川上未央子は一筋縄ではいかないなあ。
すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)より
4062779404
No.12
(4pt)

冬の勾い

川上さんの小説が好きで読んでいるので、この小説もすんなりと、異和感なく入ってきました。
くそれはまるで冬の匂いのような光りかただった。>というような、ふと散りばめられた文章に魅了されながら、読んでいる間ほんとうに幸せな時間を過ごしました。懐しいような、切ないような時間を。
すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)より
4062779404
No.11
(5pt)

ティースプーン一杯か二杯の量の体液

発達障害診断された少女から借りた「ヘヴン」を読み、本作を読む気になりました。
たまには軽い恋愛小説でもよいかなと思い手にしたのですが、勘違いでした。

少女は特段目立つ存在でもなく、高校生の時にこれも特段目立つ生徒でもない
水野くんに常套手段と捨てぜりふでトラウマを持つ。
著者は実にさりげなく流すが34歳を過ぎてもそれを引きずる。

社会人になり、唯一の友人として主人公と一見正反対の生き方をする聖が登場する。
そして水野君と正反対の三束さんが大人になったはずの入江の前に登場する。
入江の小さな隠し事を受け入れる三束や
同じく入江の小さな嘘に優しく対応する美容院が心地よい。

途中、高校の同級生が登場し、崩壊しても形を保つ夫婦生活を語り、級友の死を語り
元上司の通夜で元同僚が世間一般論で聖を語り、
またある日、たまたま交通事故の現場に立ち会い、人の死を入江に目撃させる。

本書で初めてセフレという言葉を知りましたが、「自由からの逃走」や「死霊」
も頭をよぎりました。

終盤に石川聖が初めて入江冬子の部屋に訪れます。
そこでの二人の会話に涙が出てきました。

それでもスプーン一杯の体液の結果を受け入れて強く生きようとする石川聖と
受け入れることができずに生きていく入江冬子。

著者は目に見えないものの描写がすばらしい。

読了して三束と冬子の会話にもしっかり伏線が在ったことに気がつきました。
実によく構成され、考えされた小説でした。

追伸
この作品は石川達三のように解説が付きません。
注意をして読まないと登場人物の嘘や押し込めた感情に気がつかず
読み終わってしまうようです。
すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)より
4062779404