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たんぽぽ団地のひみつ



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【この小説が収録されている参考書籍】
たんぽぽ団地
たんぽぽ団地のひみつ

たんぽぽ団地のひみつの評価: 3.67/5点 レビュー 9件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.67pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全9件 1~9 1/1ページ
No.9:
(4pt)

お決まりの昭和ノスタルジーだけど、昭和マニアにはなつかしさ満載です

重松清氏の作品を読むのはこれが初めてです。どういう作風の方かも知らず、”団地””ひみつ”などのキーワードから、なんとなく昭和のNHK少年ドラマみたいな話かなと期待して読みました。
読後あとがきを読んだら、実際、作者が小学校の同級生からもらった当時のガリ版印刷の作文集を見てアイデアを思いつき、それにNHK少年ドラマのテイストを加えたということです。

小学6年の杏奈は、お父さんと一緒におじいちゃんが住んでいる団地を訪れます。そこは老朽化して年内いっぱいで取り壊しが決まっています。引越し先を探すでもなく、これからどうするつもりなのか何も言わないおじいちゃんの本心を確かめるための訪問でした。
退去が進んでだんだんとからっぽになってゆく古い団地。そこはかつて多くの家族がまるで親戚のように助け合って暮らしていた活気ある場所でした。
1973年には少年SFドラマ「たんぽぽ団地の秘密」のロケ地になり、住民たちもエキストラ出演して、楽しかった当時の思い出を今も大切にしている人たちもいます。
結局ドラマはあまり視聴率を取れず、主役だった少年小松ワタルは、その後芸能界から姿を消してしまい、今はスランプ中の売れない映画監督になっていました。団地が取り壊されることを知った監督は、不本意に終わった40年前のドラマの続編を作ろうと奮い立つのですが・・というお話です。

ストーリーは、杏奈とその家族が生きている現代と、ワタル君がドラマ撮影中だった73年が交互に語られます。なのでいじめや受験といった現代の事情と、なつかしい昭和の両方が描かれています。
作者さんが1963年生まれということですから、その前後数年に生まれた方にはとてもなつかしい雰囲気でしょう。映画「三丁目の夕日」にSF風味を加えた感じでしょうか。エピソードも小物もノスタルジー感満載の、正直言ってベタベタな感動作品ですが、後味もいいのでほのぼのと楽しめると思います。表紙になっている団地のY字型スターハウス棟と給水塔のジオラマがとてもいい感じです。
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No.8:
(4pt)

シゲマツ作品史上、もっとも幸福なエンディング!

帯に「シゲマツ作品史上、もっとも幸福なエンディング!」と、あるように、ご都合主義だろうがSF設定が矛盾してようが、強引に幸せなエンディングに突き進んでいく物語。

だってお話なんだもの。絵空事なんだもの。

この強引さに馴染めない人もいるだろうけど、私はすっかり重松清の罠に誘い込まれ、おデブでダメダメな純平とプライドの高いカノンの頑張りに泣かされました。

重松清の作品には欠点があるけど愛おしい人間がたくさん登場しますが、登場の瞬間に涙ぐんでしまいます。それで活躍の場面では落涙。

この涙はとても清々しい。(清だけに)
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No.7:
(3pt)

最後がグダグダ

今、50代以上の人が読むと懐かしい感じ。団地に住んでたことある!・・・みたいな人ならもっと懐かしいかも。

 タイムスリップものを重松清が書くとこういう感じになるんですね。でも、ちょっと下手かも。余り論理的じゃない。

 最後の場面は盛り上がるところなのに、ただグダグダしてるだけみたいな。でもこの場面、映像にすると映えるかも。映画化希望!
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No.6:
(5pt)

小松亘監督が長い沈黙を破って制作する新作は何とあのドラマの41年後の続編!

1973年、つぐみ台三丁目団地のスターハウス棟を舞台としたSF少年ドラマ『たんぽぽ団地の秘密』がTV放送された。
 その時に主役を演じていた小松ワタルは現在は俳優を引退し、売れない映画監督となっていた。
 監督は思い出の団地が取り壊し間近なのを知り、視聴率低迷のために不本意に終わらされたドラマの41年後を描く続編の制作を企画する……!
  
 重松清さんって、こんな筒井康隆のような作風の作家だったのでしょうか。
……と思ってもう一度プロローグを読むと、本作の構造が何となく分かったような気がします。
 いやカントク、素晴らしい続編映画ですね。この映画、見たいです!
 失礼ながら今までずっと下積みだった小松亘監督がいきなりはっちゃけて“狂い咲き”して綿毛をまき散らしているような映画です。これで枯れてしまっては元も子もないのでこれをきっかけに破竹の勢いでブレイクして頂きたいものです。
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No.5:
(5pt)

不幸ネタが少なくてgood!

映画になればすごい感動すると思うし、読んでても最後の方は鳥肌が立った。重松にしては、珍しく救われるのがいい。
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No.4:
(5pt)

黄色い野の花は、綿毛になり、空に帰らなければ

今日とは、4月21日、一日だけのことではなく、過去と未来のあらゆる日々が重なりあっているのではないでしょうか。

アルバムのある一頁のことではなく、その一頁を真ん中にした前後の厚み、過去と未来の映像の重なりあいのことではないでしょうか。

重松清さんは63年、ぼくは60年生まれ。この物語は、同年代の人びとには、たくさんの「そうだったなあ」「そうだよな」「そうかもな」をプレゼントしてくれることでしょう。

まず、この物語にも、重松さんはいつもと変わらず、巧みな描写をちりばめています。

「正面からこっちに歩いてこられると、ずうっと向き合っている格好になって、待ち受けるほうは間が持たない。いまさら気づかないふりをして横をむくわけにもいかないし」(p.71)。こういう経験はぼくらにもよくありますが、こんなに上手に書くことはできません。

「火花が出てきたら、ジジババ、ジジババ、って言っていると、どんどん火玉がふくらむからね」(p.209)。線香花火。憎たらしいほど巧みな表現です。

さて、物語は築五十年の郊外団地。「一人暮らしだと家族のおしゃべりを聞くこともないんだな」(p.61)とは七十代男性のこと。団地の現状を良く伝えています。

けれども、そこに小学生たちがやってくることで、物語が動きはじめます。重松さんがずっとテーマにしている「いじめ」も出てきます。「いじめに見えない、巧妙でずるい、いじめだ」(p.155)。「ハヤトの傲慢なイヤミに勝てるひと、誰かいないの?」(p.258)。

高齢者と小学生、おばあちゃん・おじいちゃんと孫、長老と幼子の出会い。これは伝統的な物語設定のひとつなのでしょう。

今度のこの重松作品でおもしろいのは、「物語の作り方」が主題になっている点です。「思いついたアイデアを、ここで二人でどんどん書いて、少しずつお話の形にしていって」(p.228)。「シナリオの形にはなっていない。シノプシスと呼べるほどのまとまりもないし、プロットですらない。場面やアイデアの断片がばらばらに並んでいるだけだ。長いものもあれば、ほんの一言のメモもある」(p.265)。

物語を少しずつ建築していく方法だけではありません。どのような世界観を物語にあたえるかも非常に大切です。「〈死んだ人と、また会える(ゆうれいやお化けではなく)〉。それくらいできなければ、「お話しの世界」の面目が立たない」(p.311)。

物語には死者が出て来なければならないのです。生者と死者が交わらなけれならないのです。「花が枯れて、綿毛にならないと、たんぽぽはどこにも飛んでいけないんだよ」「綿毛になって、風に乗って飛んでいって、遠くのどこかにたどり着いて、そこでまた、新しい花を咲かせるんだよね」(p.332)。重松清さんは死生観を築きつつある作家だったのです。一粒の麦もし死なずば。

生者と死者が交わるということは、現在と過去、そして未来が重なりあうことでもあります。「古びた三丁目団地の風景がさまざまに移り変わっていく。雪の降り積もった団地、春の花に彩られた団地、夕立のあとで大きな虹がかかった団地、中庭のケヤキの葉が美しく色づいた団地・・・・・一九六〇年代、七〇年代、八〇年代、九〇年代、ゼロ年代」(p.305)。「服装や髪形でわかった。いまの時代のひとたちだけではない・・・・・『ねえ、いままで三丁目団地に住んでいたひとが、みーんな、ここに集まってくれてるんじゃないの?』(p.358)。

中島みゆきを思い出します。「まわるまわるよ、時代はまわる、喜び悲しみくり返し
今日は別れた恋人たちも、生まれ変わって、めぐりあうよ」(「時代」)。

池澤夏樹も思い出します。「西洋人は世界を一枚の油絵のように見ている。遠近法を駆使しても実はぺらっとキャンパス一枚、奥行きはないんだ。アボリジニは無数の時間を重ねて見ている。祖先から子孫までぜんぶが見えている。重なっている」(「砂浜に坐り込んだ船」、p.189)。

すてきな付録を三点。

一。「負けることやあきらめることと、終わることとは違うからね、絶対に」(p.230)。

二。「エンドマークは、もちろん、〈The End〉ではなく、〈Good-Bye〉」(p.364)。God be with you.

三。「けれど、秀彦さんは違った。親しくなるにつれて、なぜか一人だけ「チコちゃん」と呼び始めた。「だって、そのほうがかわいいじゃないか」――十歳年上の、いささか太り過ぎの秀彦さんを恋愛の対象として考えるようになったのは、その言葉を聞いた頃だったかもしれない」。これは、男性に恋する女性の心理を重松さんがうまく描いたのでしょうか。それとも、ただの願望でしょうか。
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No.3:
(3pt)

爽やかな団地小説だが、子供目線が残念

昭和40年代の団地小説として楽しく読ませて
いただきました。
私見ですが、同様に団地を描く作家に朱川湊人
さんがいます。

イメージ的には 重松さん→明るい・爽やか
        朱川さん→暗い・ノスタルジー
という感じです。
ちなみに私はどちらも好きです。
私も子供の頃団地に住んでいたのですが、今は死んだ
も同然の団地が地域のコミュニティの役割をしっかり
果たしていたように思います。子どもが多かったので
活気があって、盆踊りなどのイベントも楽しかった。
ただ、この小説は終始子供目線で描かれている。
タイムスリップ感も楽しめ、爽やかでレモンライムを
飲んだ後のような読後感が残るのですが、団地の暗さ
や郷愁が感じられなかったのが惜しかったです。
あと、ケヤキの木の思い出、私もあります。
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No.2:
(2pt)

世界観は確かに重松さんらしいのですが・・。

重松さん作品「一人っ子同盟」も団地が舞台です。
上記に比べ、何か物足りないと言うか、こんな話?って
内容でした(タイムマシーンなのかな)
台詞や言い回しは「重松さんらしいな。」と思うのですが、
今ひとつ楽しめませんでしたね。
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No.1:
(2pt)

三丁目団地に住む、こころ温まる人たちとは!?

今年いっぱいで取り壊しが決まった、三丁目団地。
引っ越してゆく人たちばかりで、誰も住んでいない棟もでて
くる中、杏奈は父親と一緒に引っ越しを嫌がるおじいちゃんの
説得にやってきた。
偶然出会った父親の小学校の時の同級生や、その息子、知らなかった
家族のこと、40年も前の事件が現在の人の心を動かしてゆく。
今も住んでいる人、昔住んでいた人たちが巻き起こす、起死回生の
ファンタジー。
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