スクールボーイ閣下
評判
スクールボーイ閣下の評価:
4.59/5点 レビュー 32件。 D ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全42件 1〜20 1/3ページ
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スクールボーイ閣下の評価:
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今回はアジアや中国、英領だった香港が舞台で、そこのイギリス人にカーラから報酬を受けていると思われる人物を探り・・・という展開になっておりました。
「ミステリ名作絶対201」というガイドブックの座談会で、評論家だった瀬戸川さんが、ル・カレについて、売れた性で中国や中東の事象に関らないといけなくなった、という発言がありますが、「リトル・ドラマー・ガール」が多分、中東問題で、本書が中国ではないかと思いますが、長い間翻訳されず、座敷童扱いだったエリック・アンブラーの「グリーン・サークル事件」でも中東問題が取り扱われているので、この頃の時代状況で、共産圏との確執と中東問題は、政治性に敏感だった作家は関わらざるをえなかった様に思えます。
その後、現在(2024年くらい)中国とアメリカの覇権争いや、ロシアのウクライナ軍事侵攻の時代になりましたが、ル・カレがどういう風に思ったり、作品にしたりしたら・・・とか考えてしまいます。個人的にも、中国対アメリカは想定内でしたが、ウクライナ戦争は想定外だったので、始まった際は結構驚きました。また世界情勢が緊迫していて、第三次世界大戦の戦前、或いはもう始まっているという状況ですが、戦争が人間の現象ではなく、営為みたいで悲しいです。英領だった香港も中国に返還されましたが、英領の頃の方がいい、という人も多いそうで、中国政府と香港在住の方で険悪になっていたり・・・とまだ謀略小説のネタになりそうな事象が多いのも不幸に思えます。
この人の作品は、一応好きで読んでおりますが、一回読んだだけでは判読できず、二回読む事が多いのですが、本書も二回読みまして、長いのでうまく読解できたかは微妙ですが、それでも何とか読み終わり、読解したーつもりですがー感じです。
という個人的な感想はともかく、本書も他のル・カレの作品同様楽しめたので、できれば「ティンカー、~」からシリーズ順に読む事をお勧めしておきます(前作で判明する裏切り者のキャラクターの名前がはっきり出てくるので)。
ル・カレの作品らしく、緻密に構築された、アジアが舞台の謀略小説。是非ご一読を。
蛇足ですが、作中で印象に残った文章を挙げると、
債権者刑務所に生まれて、自由を買いとるのに生涯をすごす世代がある
いまは政治よりも美女をのせる新聞が多くなればなるほど、世の中はるかによくなる可能性がふえるんだ
となりました。
失われた30年で生きづらくなった世代と、週刊誌でヘアヌードが増えたけど平和じゃない、今の日本を考えさせる文章に思えました。
あと、作中にピムという名前が出てきた様に記憶しておりますが、「パーフェクト・スパイ」の主人公ですかね?