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(短編集)
血縁
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血縁の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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読み終えて満足感はあるのですが、これは著者独特の「苦味のある旨さ」によるものだと思います。文章は相変わらずうまい。短編のお手本と言えるでしょう。 ただ、一つひとつコメントしようとすると、どうも欠点が目立つ作品が多いのです。 「文字盤」は、コンビニ強盗らしき男が現れたとき丁度電話が鳴り、店長が「でていいか」と書いたメモを見せるが男は反応しない、という出だし。読者にも展開が読めそうですが、そこはひねりが効いています。主人公の刑事に味があり、そういう面でも読ませます。この短編集ではこの作品が一番でしょう。 「苦いカクテル」は、父親の介護に疲れた主人公の女性と妹との関係を軸に展開する話。父の死が事件として取り上げられ法廷シーンへと進みますが、トリックに既視感があり、また、法廷シーンがあることで作り物感が強くなっています。 「オンブタイ」は、自動車事故で同乗者を死亡させ、自らも視力を失った男性の身に降りかかる出来事の話。奇抜な発想だとは思いますが、そのトリックがあまりにも人工的に過ぎます。 「血縁」は子供の頃からの姉妹の葛藤をベースに、高齢者へのデイサービスを行っている事業所を舞台に展開する話。超古典的なトリックを焼き直して使っています。それを是とするとしても、後味が悪い話です。 「ラストストロー」は、死刑執行を担当した刑務官を主人公に据えた話で、これという捻りやトリックはなく、ひたすら暗く重い話です。読後も重いものが残ります。 「32-2」は、奇妙なタイトルが目をひきますが、その意味が分かると何ということもない話です。犯人の意図は、それを成り立たせる状況設定との関係を含めてすぐに読めてしまいます。この作品だけ文章のトーンが違うので興味を覚える、といった程度の感想しか湧きません。 「黄色い風船」は、人間の病気と犬の生理との関係を知っていれば、すぐにストーリーの全貌が見えてしまいます。 このように見てくると欠点目立つのですが、どの作品も小さなアイデアを一つの作品に結実させる小説作りが見事で、どう展開するのだろうと思いながら、どんどんページをめくってしまいます。著者の安定した実力が感じられます。 | ||||
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2009年から2016年までに小説すばるに掲載された短編が7編収録されています。最初の話から、全編刑事が主人公かと思いましたが、最初だけで、あとは警察は直接関係ありません。ほぼ全編とも、最後に全てが結びつく爽快さを味わえる期待感を感じさせる緊張をはらんだミステリー。 ヘルパーの正体が謎の『オンブタイ』や、姉妹の暗部を描いた『血縁』、3人の元刑務官の繋がりが意外だった『ラストストロー』、何となくラストだけコメディテイストの『32-2』、犬の行動が真実を暴き出す『黄色い風船』など、ネタバレになるのであまり書けませんが、バラエティに富んでます。かなり無理があり強引だとか、それは鋭すぎる指摘や展開と感じる部分もありますが、全て筆者の作品への意気込みと受け取れます。 | ||||
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個人的には突っ込み所は満載だが、楽しめると思う。 「文字盤」では、身体動かせない人間に犬飼えだと?自分が満知子だったら『や~め~て~!夫の世話だけで手一杯!』と、心で叫ぶ。 「苦いカクテル」では「水さしいっぱいの水を全部一気に飲み干したとでも?」と。(←そういう事が出来ないのが病人だ) 「オンブタイ」では、肝心のラスト1行に「…人間の腕ってキロ単位だと思うよ」などw 長岡氏のご著書全般に漂う「つなげたいトコは分かるけど、何か一本「惜しい」って感じ」が逆に楽しくなってきたかも | ||||
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