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重力ピエロ
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重力ピエロの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.65pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全267件 121~140 7/14ページ
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重力ピエロは伊坂幸太郎の初期の作品ですが 私の中ではまだこれを超えるものは出てない。 ミステリー的な謎解きや伏線に、それほど驚きはないし 一気に読ませるようなストーリー構成のうまさでは最近の作品のが完成されていると思うし どんどん面白く進化しているとは思うのだけれど…でもこれが伊坂幸太郎の原点だ!と勝手に思っています。 兄である主人公と、弟の春。 春は、母親がレイプされた結果身ごもった、半分だけ血のつながった弟だ。 ある日主人公の会社が、最近起きていた連続放火の被害をうけ、 放火現場の近くに必ず残されている落書きに気づいた春は、兄とともに調査を始める。 たまたま身近で起きただけのはずの連続放火とグラフィックアートの関係の謎と 許せない犯罪がなければ自分の存在がなかったという、矛盾を抱えた春の存在が 次第に深く絡み合って…。 犯罪を憎む気持ちと、それがなければ存在しなかったという矛盾を抱えた家族。 物語はすごく重いテーマをはらんでいるのだけれど その文章は、軽く、明るく、うつむくところがない。 それはまさに物語の中で春がいう台詞通り。 「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ」 これが伊坂幸太郎の文章の根っこの成分なんだろうな、と思います。 彼らの母親の選択も、父親の揺るがない信念も 主人公がやろうとしたことも、 物語の結末の、春の行為も 正しくなかったことも、あるかもしれない。 いや、はっきりと、してはいけないこともある。 けれど、読み終わったあと、嫌な気持ちにはならない。 それは多分、彼らの決断が、自分の正しさを信じる一種の狂気のようなものではなく 勧善懲悪のような、わかりやすい気持ちよさでもなく ただ空中ブランコのピエロが、一瞬だけ重力を忘れさせてくれるように すべてを越えてふわりと飛んでいくような、軽やかなすがすがしさを感じさせてくれるから。 まさにこれが伊坂作品の真骨頂、と思うのです。 | ||||
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友人の勧めで購入。 はまると一気に伊坂ワールドに引き込まれて、読み終わるのは早かったです。 一気に読み切った感想は「スゴイ!!」の一言。 後からジワジワ考えさせられる「興味深い」本です。 この作者の別の本も読んでみたい気にさせる一冊。 | ||||
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この本はいまの世の中にある決まり事に対する挑戦である。確かに弟は罪を犯し続ける。放火、そして殺人。しかし法の網がかからないところで悪さをしている人間がごまんと存在する。法を犯す人間は、法を犯さずとも人を不幸にする人間よりも「絶対的に悪」なのだろうか。そして家族。血のつながった者=家族。それが全てなのか?レイプと言う悍ましい現実の結果生まれた子供は、一生社会からの蔑視に甘んじなければいけないのか。如何様にも解釈出来る「血縁」こそが、生まれた子供への愛を持つことよりも大事なことなのだろうか。法を犯せ、と言っているわけではない。私刑を許すことは有り得ない。「オーデュポン〜」に登場する「桜」が示すように、社会が信じるルールや善悪の判断では計れない「価値観」が存在するのではないだろうか。人は目に見えるものや生まれながらにあるものに安心し、守られている。また時に、それらに対し無力感を以て仕方がないと涙する。しかしルールとは「自分」にとって「答え」なのかは神ならぬ我のみぞ知る。作者は「自分の感情を信じろ」と我々に問い掛けているのではないか。自分を信じること。この道はひたすら難しいものなのか、否、安らかなるものなのか、それこそ神のみぞ知る。 | ||||
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重い。発想的には良いのですが、ちょっと内容がクドイ感じがしました。 | ||||
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伊坂さんは、思索の人だなぁ というのが読後の第一印象。物事に対する、色々な見方を登場人物を借りて、提示しているように思える。それぞれの考え方が、彼ら(彼女ら)の個性に投影されているので、現実的かどうかは別として、役回りなんかが、とてもわかりやすい(作品を書き上げる苦労も大変だろうけど)。 仁リッチが、自社の社員に訓示を垂れる、”遺伝子と会社の社員”のくだりは、大いに納得させられた。 ウェストレイクのドードマンダーもののような会話の妙(うざったい箇所もあるけれど)と、多岐にわたる情報量に比べると、ものがたりそのものが、つまらなく思えるのが難点。ミステリじゃなくて、ブンガクなのかなぁ。 | ||||
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この作品で伊坂ワールドに触れ 以来全作品を購入しました。 話の内容はとても重いのに 読み終えた後はなんとも清々しい気持ちになります。 全ての会話に意味があり 何度でも読める作品です。 是非映画を観る前に小説で。 | ||||
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テーマは重いのに、どこか飄々としていて、軽いタッチで読まされてしまう、これが伊坂作品の最大の特徴でしょう。妻が、母が強姦の被害者になったら。自分がその被害にあった結果の子どもだったら。自分が直面したら、その事実の重さに押しつぶされてしまうだろうと思えるような設定。どの立場にいても、これから先の人生がつらいものでしかないように思えるのに、泉水と春、その両親の4人家族は、どの家族よりも強い絆で結ばれている。何より素晴らしいのは、この両親だろう。 周りの冷たい視線をものともせず、2人の子どもを分け隔てなく育てた母。犯罪の被害にあい、妊娠したことを告げられた時に「産もう」と決心したのは父。この二人にとっては『子どもが産まれてくる』というその事実のみが大切であり、原因はどうでもよかったのかもしれない。なかなかできない選択だと思うけれど、みじんも後悔していないその潔さが爽快だ。 連続して起きる放火事件の謎と遺伝子の謎がどう絡み合ってくるのか、楽しみながら読めた。これだけの重い内容を中心に据えながらそれをミステリーに仕立てる手腕の素晴らしさ。それに加えて、家族のつながりという別のテーマでもきっちり読ませてくれる。血がつながっているってどういうことなのか。まじまじと考えたことがなかったが、親子というのは、心がつながるために血のつながりは必要ないんだろうと思えた。病に倒れた父の最後の言葉、「お前は俺に似て嘘が下手だ」に、ほろりときた。 近日映画が公開されるようだが、サーカスのシーンがどう描かれている見てみたい。ここがキーポイント、タイトルの所以でもある大事なシーンだ。映像化されるとどういった作品になるのか、そちらも楽しみだ。 | ||||
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映画化されるのを知り、 『フィッシュ・ストーリー』に続いて読みました。 “人と人とのつながり” 赤の他人、家族の違いこそあれ、 根底にあるものに共通性を感じました。 今作は、そこにミステリー要素も盛り込まれ、 先が見えない面白さに一気に読みきってしまいました。 〜 春が2階から落ちてきた 〜 桜が咲き始める今の季節にピッタリの作品。 ぜひ、同作を読んで、家族への思いに浸ってみてください(笑顔) | ||||
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父母と兄弟の4人の家族。 その家族には過去に忌まわしい辛い出来事がありました。それは、弟の春が母がレイプされその結果生まれた子供だったと言うことです。 従って、父親も兄の泉水も春とは血の繋がりを持ちません。でも、そんな事実は関係ないくらい親子、兄弟の結び付きが強い家族です。 そんな家族の周りで、連続放火事件が起きます。それに関連すると思われるグラフィティアートも出現します。 この二つの出来事の関連を追及する謎解きが始まります。 遺伝子の問題やネアンデルタール人とクロマニョン人の関係、桃太郎伝説、梅毒に対するマラリア療法、そしてガンジーに代表される様々な発言の引用などがあり、知的好奇心を大いに満足させてくれます。 そして、この本全体はミステリー仕立なのですが、ユニークな登場人物と機知にとんだ会話やユーモア精神に彩られて、非常に読者を楽しませてくれます。 犯罪とその刑罰の問題や、性的犯罪の問題など、様々な問題が内包された、その意味では「重い」小説なのですが、こうした作者独特の語り口で、そうした「重さ」を感じさせない作りになっています。 いろんな意味で楽しめる作品です。 | ||||
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復讐する気持ちは分かる。世の中には理不尽な判決が多々ある事も分かる。イカれた日本の法律も分かる。ただ殺人を許容する事は許せない。確かに復讐で殺しても構わないと思う、ただ罪は償うべきでは?家族からすれば自分達に災いをもたらした者に復讐をしたい気持ちは当然だろう。し自分も同様の事を考えてしまうだろう。著者はきっと現在の裁判での罪と罰のあり方に一石を投じたかったのでないだろうか?被害者と加害者のあり方。償うべき罰とは。理不尽からは理不尽しか生まれない。罰とは何かを考えさせる作品でした。 | ||||
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本書に出てくる一文 「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」 まさにそれを描いた作品で、 重いテーマにもかかわらず、 「おもしろく」読むことができた。 復讐をミステリーの謎解きにすりかえた点が 見事という他ない。 文章全体にも奇をてらった感じがなく、 それでいて随所随所に伊坂節ともいうべきユニークさがあり、 明確なテーマに沿ってストレートに描かれているので、 読みやすく、かつ考えさせられる、 実にいい作品だと思います。 | ||||
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淡々とした語り口なのに、内容的には、親子や兄弟の絆を考えさせる重いテーマを扱っています。 謎解きいうミステリーの要素がストーリーの縦糸ですが、本筋は親子や兄弟の微妙な距離感の描写にあると思います。 伊坂氏の作品を読むのは、『グラスホッパー』に続き本作で二作目ですが、 人や場面の描写が、たとえ一人称で語られていても、いつも客観性をまとっているような気がします。 どこか、冷めたようなスタイルに、登場人物に感情移入していくことに、最初必ずとまどいます。 意図しての事なのでしょうが、この辺が伊坂作品の好き嫌いの分かれるところなのかもしれません。 血のつながりという“重力”を超えようともがいている家族の姿がリアルに感じる後半、 父が二人の息子にかける言葉に、私は感動を覚えました。 映画化もされるとのことですが、原作を先に読んで、どのような映像に仕立てるのか見てみるほうがお勧めです。 | ||||
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家族を実感する時、特別な言葉や特別な表現はいらない。 じっと相手を見つめて、心からの想いを伝える。 それで、繋がり、温かさ、生きている意味をお互いが分かち合える。 それを教えてくれる場面で、不覚にも、涙を流してしまった。 父を、母を、兄を、家族を、思い浮かべながら読んでいたら、温かいものがこぼれていた。 小説に感動し、そして自分の家族に感謝していたのではないかと思う。 話の密度、仕掛けの巧妙さ、登場人物の描き方といった全体として、 この小説が突出したものかと問われると、そうは言えないように思う。 しかし、間違いなく、この小説は傑作だ あの場面で 父から子へ 伝えられた 一言 小説を傑作へと導びく言葉が、ここには待っている | ||||
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初出は2003年4月。伊坂幸太郎が1970年代生まれとして初めて直木賞候補となった作品である。ぼくの読後感ではむしろ芥川賞受賞であるべき作品だと強く思う。これを選考から漏らす選考委員は失格だと断言してしまいたい。この作品のテーマは『家族』だ。『家族』はなぜ『家族』なのだろう。ローランド・カークの音楽を無意識に聴き、兄弟・父子・母子の間で交わされる会話が、その答えを示すかのように輝き続ける。言葉をキャッチ・ボールする春と泉水、そしてその二人を見守る末期癌の父。登場する人物の誰もがラストに向かって光を強める。 この慈愛に満ちた小説を生み出す暖かみある力に、これから生み出される作品に期待するな、という方が無理だ。伊坂幸太郎の才能は村上春樹以上かもしれない。 | ||||
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レイプ、殺人、ストーカー 作品中で扱っている題材は少々大人向けだが、家族や兄弟の繋がりに透明感を 感じる。 弟の春には特異な出生がある。彼を思いやる兄と両親を中心にその家族の思い が綺麗に語られる。類似した作品を見たことない。 本屋さんが読んで欲しい本に選ばれているようだ。 | ||||
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もし本気で「君は薔薇より美しい」とか「あなたの瞳は夜空の星のようだ」みたいな言葉で女性を口説ける男がいたら、そいつはかなりの凄腕だと思う。そんな寒いセリフが効くかよ!――仰る通り。でも逆に、それを決め手にもっていけるとしたら、天才的なプレイボーイ(この言葉もちょっと寒いけど)ではないだろうか。 文庫の解説には「洒脱なユーモアと緻密な構成で読む物を唸らせ、近年まれにみる資質の持ち主として注目を浴びている」と書かれている。それはその通りだが、あまりに一般論的でもある(解説だからいいんだけど)。そのことを俺なりに述べると、最初に書いた決めゼリフみたいな感じになるのだ。たとえば、その「洒脱なユーモア」も滑り落ちるぎりぎりのところにあったりする。 「仕事は一人でやるものだ」 「ビートルズは四人でやってましたよ」 「だから解散しただろ。ボブ・ディランは永遠に解散しないぞ」 この辺は外角低めすれすれのストライク(村上春樹っぽいけど)。でも、 「俺の息子たちには、この病院に花を置く発想がなかったからな」 「そういう繊細さを、親から教えてもらえなかったんだ」 「親の顔が見たいな」と父が言うので、私はすぐに父を指差した。 こっちはボール1個分外れてるかな、惜しいけど、みたいな感じだろうか。でもそれはそれでアクセントにもなっていて、伊坂ワールド全体を歩き終えると心地よい充足感につつまれる。感覚的に書いているようで、物語の先まで見通す力の高さ。たいした書き手ですわ、この人。 | ||||
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「アヒルと鴨のコインロッカー」で伊坂さんの面白さを知りこの作品を読みました。 他の作品と比較して、ごりごりのミステリーではなく、ヒューマン要素のある作品であると感じます。 読み終わった後に、悲しさの反面家族の絆の強さを感じました。 また、事件のトリック、所々で引用されている知識や先人の言葉が専門的であるにも関わらず、突出せずに上手く文章の中に取り入れられていました。 ストーリー、文章構成ともに唸らされた作品です。 | ||||
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人はDNAによって、親の遺伝子によって支配されるものなのか? そんなテーマを基にストーリーはすすんでいきます。 親子、兄弟の愛はDNAを超越していると思います。 相変わらず仙台市内の描写がたくみです。 | ||||
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著者の最近の作品である『ゴールデンスランバー』を読んだ時点では、 構成の上手い作家ではあるけど世でもてはやされるほどの作家ではない、という印象でした。 しかし、この作品を読んで、その考えが誤りであると知らされました。 この作家は恐ろしく小説が巧い。 文章が上手いのではありません。物語を書くのが上手いというわけでもありません。 もっと言えば、上手い、と書くより巧い、と書いた方がしっくりします。 適切な場所でそれとわからぬうちに伏線を張り、読者が忘れたような頃に再登場させる。 そのテクニックは、お見事、としか言いようがありません。 ただ、トリックや謎解きがメインのミステリとしては、少々わかりやす過ぎるきらいがあります。 が、一読の価値は多分と言ってあまりある程にあると思います。 | ||||
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タイトルからして正にそうなのですが、微妙にズレているのにそれがいちいち快感で、細部のフレーズも感覚的に妙にしっくりくるものが多く、全体の枠組みも実はしっかり作り込まれており正にオリジナルな世界を確立しています。 こうした特長を全て受け継ぎつつ、寓意のない寓話、騙し絵、エンタメに続く本作は私にとっては驚きの大感動作でもありました。 ワンコインで文庫を買えなくなって以降余りに馬鹿馬鹿しくて日本の小説を読まなくなって仕舞いましたが、久し振りに金を出して買う価値のある小説家に巡り会ったと断言出来ます。 | ||||
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