暗幕のゲルニカ

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評判

暗幕のゲルニカの評価:

4.19/5点 レビュー 199件。 B ランク

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平均点4.19pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全397件 301〜320 16/20ページ
No.97
(4pt)

眠れなくなる!

今読み始めて7章までいきましたが大変面白いです。
翌日が仕事なのも忘れてどんどん引き込まれてしまいます( ^^)
現代に生きる人のピカソへの思いとピカソと同時代を生きた人のピカソへの思いが交代交替ででてきてまるで映画のように感じました!
暗幕のゲルニカ Amazon書評・レビュー: 暗幕のゲルニカより
4103317523
No.96
(5pt)

私たちはゲルニカのメッセージをきちんと受け取るべきなのかもしれない

「ゲルニカ」--。最初にこの絵に出会ったのはテレビだった。深夜番組だったと思う。テレビの中のゲルニカを見て、涙が出てきた事を覚えている。独り暮らしで使っていた小さなブラウン管テレビ。それでもゲルニカは私の心を抉るインパクトがあった。こんな経験は自分だけかと思っていたが、どうやらゲルニカには人々に強烈な印象を与える何かがあるのだろう。本書は「ゲルニカ」に心を奪われた人々の物語。9.11をきっかけに「ピカソの戦争」というテーマで展覧会を企画したMoMAのキュレーターである瑶子が、ピカソがゲルニカで訴えたかった事を世界に示す。暗幕は平和に目をつぶる行為の比喩である。もしかすると、世界の惨状に目を向けない私たちも世界に暗幕をかけてしまっているのかもしれない。そんなことも考えさせられた。怖くても暗幕は取らなければ! そして本物の「ゲルニカ」をいつかはこの目で観たい。
暗幕のゲルニカ Amazon書評・レビュー: 暗幕のゲルニカより
4101259623
No.95
(5pt)

私たちはゲルニカのメッセージをきちんと受け取るべきなのかもしれない

「ゲルニカ」--。最初にこの絵に出会ったのはテレビだった。深夜番組だったと思う。テレビの中のゲルニカを見て、涙が出てきた事を覚えている。独り暮らしで使っていた小さなブラウン管テレビ。それでもゲルニカは私の心を抉るインパクトがあった。こんな経験は自分だけかと思っていたが、どうやらゲルニカには人々に強烈な印象を与える何かがあるのだろう。本書は「ゲルニカ」に心を奪われた人々の物語。9.11をきっかけに「ピカソの戦争」というテーマで展覧会を企画したMoMAのキュレーターである瑶子が、ピカソがゲルニカで訴えたかった事を世界に示す。暗幕は平和に目をつぶる行為の比喩である。もしかすると、世界の惨状に目を向けない私たちも世界に暗幕をかけてしまっているのかもしれない。そんなことも考えさせられた。怖くても暗幕は取らなければ! そして本物の「ゲルニカ」をいつかはこの目で観たい。
暗幕のゲルニカ Amazon書評・レビュー: 暗幕のゲルニカより
4103317523
No.94
(4pt)

使命感

美術の教科書でしか見たことがない「ゲルニカ」……。
 絵画に全く興味のない私でさえ、どんな作品だったか思い出せるということは、よほど強烈な印象だったのだろう。
 その制作過程を描いた部分が一番ワクワクした。
 
 決してピカソが絵筆を折ることがないよう、様々な敵から守った愛人ドラ。
 「ゲルニカ」を戦禍から逃し、アメリカ“MoMA”へ持ち込み、真のメッセージを世界に向け発信しようとしたバルド。
 この20世紀パートの登場人物からは、強い意志、使命感が感じられ、生き生きと描かれていた。
 
 しかし、21世紀パートの登場人物の主役である瑤子の描き方が雑。命が吹き込まれていなかった。
 「9.11」と「ゲルニカ」を結びつけたのは理解できるが、成功したとは言えない。 
 表現の繰り返しが多過ぎるのも気になった。ちょっとしつこい。
 瑤子が、テロ組織「バスク祖国と自由」に拉致されるあたりからは、「うーん……?」と唸るしかなくて、最後の展覧会の描写に至っては、盛り上がるどころか、興ざめ。
 
 パブロ・ピカソの代表作の一つ「ゲルニカ」が生まれた背景を知ることができたことは良かった。
暗幕のゲルニカ Amazon書評・レビュー: 暗幕のゲルニカより
4101259623
No.93
(2pt)

おもしろかったんだけど

おもしろかった。
おもしろかったんだけど、なんだかなー、という感じがぬぐえない。

ゲルニカを称賛するのもいいけれど、同じような表現や説明が多すぎる。
はじめはよかったんだけど、だんだん陳腐に感じられるようになった。

登場人物も同じ。
20世紀パートと21世紀パートを行ったり来たりするたびに
あれ、これ、さっき聞いた話だよねー、というのが何回も繰り返された。
重複を省いたら、半分の厚みになるんじゃないか。

20世紀パートは、それなりに魅力的だけど、
21世紀パートがいただけない。
ヨーコ・ヤガミは、結局何をしたの?
富と権威に守られて、ニューヨークとスペインを何度か飛行機で行ったり来たりするだけで、
何にも仕事をしていないみたいに思えるんだけど。

「説明」じゃなくて「描写」が欲しい。
『楽園のカンヴァス』には描写があったし、キュレーターは仕事をしていたと思う。
暗幕のゲルニカ Amazon書評・レビュー: 暗幕のゲルニカより
4101259623
No.92
(4pt)

使命感

美術の教科書でしか見たことがない「ゲルニカ」……。
 絵画に全く興味のない私でさえ、どんな作品だったか思い出せるということは、よほど強烈な印象だったのだろう。
 その制作過程を描いた部分が一番ワクワクした。
 
 決してピカソが絵筆を折ることがないよう、様々な敵から守った愛人ドラ。
 「ゲルニカ」を戦禍から逃し、アメリカ“MoMA”へ持ち込み、真のメッセージを世界に向け発信しようとしたバルド。
 この20世紀パートの登場人物からは、強い意志、使命感が感じられ、生き生きと描かれていた。
 
 しかし、21世紀パートの登場人物の主役である瑤子の描き方が雑。命が吹き込まれていなかった。
 「9.11」と「ゲルニカ」を結びつけたのは理解できるが、成功したとは言えない。 
 表現の繰り返しが多過ぎるのも気になった。ちょっとしつこい。
 瑤子が、テロ組織「バスク祖国と自由」に拉致されるあたりからは、「うーん……?」と唸るしかなくて、最後の展覧会の描写に至っては、盛り上がるどころか、興ざめ。
 
 パブロ・ピカソの代表作の一つ「ゲルニカ」が生まれた背景を知ることができたことは良かった。
暗幕のゲルニカ Amazon書評・レビュー: 暗幕のゲルニカより
4103317523
No.91
(2pt)

おもしろかったんだけど

おもしろかった。
おもしろかったんだけど、なんだかなー、という感じがぬぐえない。

ゲルニカを称賛するのもいいけれど、同じような表現や説明が多すぎる。
はじめはよかったんだけど、だんだん陳腐に感じられるようになった。

登場人物も同じ。
20世紀パートと21世紀パートを行ったり来たりするたびに
あれ、これ、さっき聞いた話だよねー、というのが何回も繰り返された。
重複を省いたら、半分の厚みになるんじゃないか。

20世紀パートは、それなりに魅力的だけど、
21世紀パートがいただけない。
ヨーコ・ヤガミは、結局何をしたの?
富と権威に守られて、ニューヨークとスペインを何度か飛行機で行ったり来たりするだけで、
何にも仕事をしていないみたいに思えるんだけど。

「説明」じゃなくて「描写」が欲しい。
『楽園のカンヴァス』には描写があったし、キュレーターは仕事をしていたと思う。
暗幕のゲルニカ Amazon書評・レビュー: 暗幕のゲルニカより
4103317523
No.90
(2pt)

う〜ん。

原田マハさんのピカソ、ゲルニカを描いた作品。ピカソを導師と崇める彼女の、満を持しての作品かと期待しましたが、感想は、う〜ん。
とにかく、同じ表現や説明が多過ぎ!此処ぞ、というフレーズは一回だから響くもので、あまりにゲルニカを神聖化し賛美しまくっても、始めは心に響きましたが、途中からはもういいよ、ってなります。
「楽園のカンヴァス」大好きです!
あまりに壮大なテーマで風呂敷を広げずに、人間ピカソと愛人たちの物語とか、読みたいなー!マハさんの作品で。
暗幕のゲルニカ Amazon書評・レビュー: 暗幕のゲルニカより
4101259623
No.89
(2pt)

う〜ん。

原田マハさんのピカソ、ゲルニカを描いた作品。ピカソを導師と崇める彼女の、満を持しての作品かと期待しましたが、感想は、う〜ん。
とにかく、同じ表現や説明が多過ぎ!此処ぞ、というフレーズは一回だから響くもので、あまりにゲルニカを神聖化し賛美しまくっても、始めは心に響きましたが、途中からはもういいよ、ってなります。
「楽園のカンヴァス」大好きです!
あまりに壮大なテーマで風呂敷を広げずに、人間ピカソと愛人たちの物語とか、読みたいなー!マハさんの作品で。
暗幕のゲルニカ Amazon書評・レビュー: 暗幕のゲルニカより
4103317523
No.88
(5pt)

自由と平和のための戦い

イラク空爆前夜、当時のアメリカ国務長官コリン・パウエルが国連本部で記者会見した際、そこにあるはずのタペストリーが暗幕で隠されていたという出来事があったそうだ。
それが、ピカソのゲルニカのレプリカだった。

その出来事に立脚されているが、物語中の「現在」は仮名を与えられた人物達が生きる、少し仮想の現在になっている。
その少し仮想の21世紀と、「ゲルニカ」を描いているピカソとそれを撮影するドラ・マールが生きる20世紀が、同時進行に語られる。
少々、複雑な進行をしているわけだが、ゲルニカの空爆と9.11やイラクへの空爆がぴたりと重なり合い、その野蛮に対するアートからの抵抗が呼応する。
そして、ドラのピカソへの愛と、瑤子のイーサンへの愛が共鳴しあう。
どこまでが事実に基づいており、どこからが創作であるのか、溶け合ってわからないほど。
物語がどこへたどり着くのか、ページを繰るのももどかしくなる。

私の敵は、戦争である。暴力である。憎悪である。
絵筆一本で闘ったピカソと、美の守護神となることで共闘した人々の祈りに満ちた物語だった。
暗幕のゲルニカ Amazon書評・レビュー: 暗幕のゲルニカより
4101259623
No.87
(5pt)

自由と平和のための戦い

イラク空爆前夜、当時のアメリカ国務長官コリン・パウエルが国連本部で記者会見した際、そこにあるはずのタペストリーが暗幕で隠されていたという出来事があったそうだ。
それが、ピカソのゲルニカのレプリカだった。

その出来事に立脚されているが、物語中の「現在」は仮名を与えられた人物達が生きる、少し仮想の現在になっている。
その少し仮想の21世紀と、「ゲルニカ」を描いているピカソとそれを撮影するドラ・マールが生きる20世紀が、同時進行に語られる。
少々、複雑な進行をしているわけだが、ゲルニカの空爆と9.11やイラクへの空爆がぴたりと重なり合い、その野蛮に対するアートからの抵抗が呼応する。
そして、ドラのピカソへの愛と、瑤子のイーサンへの愛が共鳴しあう。
どこまでが事実に基づいており、どこからが創作であるのか、溶け合ってわからないほど。
物語がどこへたどり着くのか、ページを繰るのももどかしくなる。

私の敵は、戦争である。暴力である。憎悪である。
絵筆一本で闘ったピカソと、美の守護神となることで共闘した人々の祈りに満ちた物語だった。
暗幕のゲルニカ Amazon書評・レビュー: 暗幕のゲルニカより
4103317523
No.86
(1pt)

周りが言うほど、、、

内容が突飛すぎる。
特に後半の展開が飛躍しすぎでついていけなかった。早く結末だけ知りたくて読み急いでしまった。
こんな滑稽な小説が、直木賞の候補だなんて、おかし過ぎる。
暗幕のゲルニカ Amazon書評・レビュー: 暗幕のゲルニカより
4101259623
No.85
(2pt)

周りが言うほど、、、

内容が突飛すぎる。
特に後半の展開が飛躍しすぎでついていけなかった。早く結末だけ知りたくて読み急いでしまった。
ただ、作者の美術に対する思いは十分に伝わってくる。
暗幕のゲルニカ Amazon書評・レビュー: 暗幕のゲルニカより
4103317523
No.84
(5pt)

巧みな物語に記憶を呼び覚まされた

こんどバスクに行くんですよと知り合いに言ったらこの本をすすめられた。ゲルニカ。気になって調べたところ、ゲルニカにはゲルニカはなく、マドリッドにある。そういう話もこの小説の複線になっている。原田マハさんはテレビの美術番組で見たことがあり、何をする人なのかなと思っていたがこういう小説を書く人なんだ。キュレーターとしてMoMAにいたこともある。登場人物の一人がMoMAのキュレーターというこの小説は彼女の経験と見識に裏打ちされて、大胆な筋書きながら絵空事とは思えない本物感が随所に出ていて読みごたえがあった。

ピカソは20世紀の芸術の代名詞みたいな人だけれども、子供のころに箱根の森美術館でピカソの陶芸コレクションを見たときには、「これの何がいいのだろう」と思った。長じて2回、ピカソの展覧会に行った。ひとつはMoMAのPicasso and Portraiture(1996)、もうひとつはTATE ModernでのMattisse Picasso(2002)。後者においてはマチスの存在感が圧倒的だったが、ピカソの描いた肖像画ばかりを集めたMoMAの展覧会はピカソの自在さと力強さとそれらの源泉となった彼にまつわる実在の人間の息吹が伝わってくるもので、強く印象に残っている。なかでも彼のミューズとなった女性たちのそれぞれの個性がカンバスに生き生きと再現されていて、彼女たちを知っているような気にさえなった。印象に残っているのはビスクドールのように端正なオルガ。母性溢れる温かなマリーテレーズ。そして、首の長い花として描かれたフランソワーズ。なぜかドラ・マールのことはあまり印象にない。そのとき自分が絵をみたかぎりでは、ピカソはマリーテレーズのことをもっとも愛したのではないかと思った。

しかし本書での主役はドラ・マールである。彼女がこの歴史的な作品の制作過程を写真におさめていた。ゲルニカはピカソにとっても特別な作品であろう。そのコンセプトの誕生から絵の完成までをともにしたドラ・マールとの関係が壊れたのは必然だったかもしれない。ピカソが苦しみ抜いて描いたゲルニカは、祖国を守るために世界を放浪するという悲劇の運命を背負っていた。この絵の母ともいえるドラを見るたびにそのことが思い出されただろう。ゲルニカがなければ二人の関係は少なくとももう少し長続きはしていただろうか。あるいは、ゲルニカを作るために二人の関係は続いたのか。というようなところは、本書の脇道の話だが、読みながら20年以上も前にニューヨークで見たピカソポートレート展の記憶が押し寄せるように戻ってきて、その後ほとんど思い出すことのなかった絵そのものもぼんやりと思い出されてきた。ピカソがマリーテレーズに会いにいっているかもしれない、「次の女」を見つけようとしているかもしれない、と思っていたたまれなくなるマリーテレーズ。でも「が、このいたたまれなくなる感じがいっそ好きだった」。マハはそんなふうにドラを描く。ポートレート展では絶対に「泣く女」もあったはずなのに、はっきり像を結ばない。その理由さえこの本が与えてくれているような気がした。

あの展覧会は9.11以前のことだった。2003年にパウエル長官が国連安保理会議場のロビーで会見したときにゲルニカのタペストリーに暗幕がかけられていたというのは本当のことらしいが、知らなかった。それに憤った大コレクターの言葉を目にして原田マハはこの小説を書くと決めた、と東洋経済オンラインのインタビューで読んだ。おなじインタビューでこの作品は10%が史実で90%がフィクションであるとも書いてあった。フィクションの部分の最大の謎は「誰がゲルニカに暗幕をかけたのか」である。普通に考えるとホワイトハウスだが、深読みをするとあの人であるような気もする。それにしても、ヒトラー。最近読むどんな本にも出てくると言ったらいいすぎか。ピカソも含むモダン・アートの作品をわざと劣悪な展示環境で価値のないもののように展示した「退廃芸術展」なるものがあったことをこの本で初めて知った。芸術が政治の道具にもなり得るし、政治に対する武器にもなり得るということの証左である。

この小説に描かれる八神瑤子のゲルニカを借り出すための命懸けの戦いは、「映画みたい」な話ではなく、十分にありえた話だろう。芸術もビジネスにまけずおとらずかけひきとパワーゲームの世界であり、展覧会はキュレーターが全人格をかけてつくりあげたコンテンツだ。今回、自分の行った展覧会についての記録をネットで調べてみたが、たとえばMoMAのサイトではExhibition Historyとして展覧会の記録を開館当時のものまでさかのぼることができる。マドリッドではゲルニカを必ず観に行こうと思った。「世界が崩れる瞬間を見てしまった、創造主の目」をした牡牛に対面しに。
暗幕のゲルニカ Amazon書評・レビュー: 暗幕のゲルニカより
4101259623
No.83
(5pt)

巧みな物語に記憶を呼び覚まされた

こんどバスクに行くんですよと知り合いに言ったらこの本をすすめられた。ゲルニカ。気になって調べたところ、ゲルニカにはゲルニカはなく、マドリッドにある。そういう話もこの小説の複線になっている。原田マハさんはテレビの美術番組で見たことがあり、何をする人なのかなと思っていたがこういう小説を書く人なんだ。キュレーターとしてMoMAにいたこともある。登場人物の一人がMoMAのキュレーターというこの小説は彼女の経験と見識に裏打ちされて、大胆な筋書きながら絵空事とは思えない本物感が随所に出ていて読みごたえがあった。

ピカソは20世紀の芸術の代名詞みたいな人だけれども、子供のころに箱根の森美術館でピカソの陶芸コレクションを見たときには、「これの何がいいのだろう」と思った。長じて2回、ピカソの展覧会に行った。ひとつはMoMAのPicasso and Portraiture(1996)、もうひとつはTATE ModernでのMattisse Picasso(2002)。後者においてはマチスの存在感が圧倒的だったが、ピカソの描いた肖像画ばかりを集めたMoMAの展覧会はピカソの自在さと力強さとそれらの源泉となった彼にまつわる実在の人間の息吹が伝わってくるもので、強く印象に残っている。なかでも彼のミューズとなった女性たちのそれぞれの個性がカンバスに生き生きと再現されていて、彼女たちを知っているような気にさえなった。印象に残っているのはビスクドールのように端正なオルガ。母性溢れる温かなマリーテレーズ。そして、首の長い花として描かれたフランソワーズ。なぜかドラ・マールのことはあまり印象にない。そのとき自分が絵をみたかぎりでは、ピカソはマリーテレーズのことをもっとも愛したのではないかと思った。

しかし本書での主役はドラ・マールである。彼女がこの歴史的な作品の制作過程を写真におさめていた。ゲルニカはピカソにとっても特別な作品であろう。そのコンセプトの誕生から絵の完成までをともにしたドラ・マールとの関係が壊れたのは必然だったかもしれない。ピカソが苦しみ抜いて描いたゲルニカは、祖国を守るために世界を放浪するという悲劇の運命を背負っていた。この絵の母ともいえるドラを見るたびにそのことが思い出されただろう。ゲルニカがなければ二人の関係は少なくとももう少し長続きはしていただろうか。あるいは、ゲルニカを作るために二人の関係は続いたのか。というようなところは、本書の脇道の話だが、読みながら20年以上も前にニューヨークで見たピカソポートレート展の記憶が押し寄せるように戻ってきて、その後ほとんど思い出すことのなかった絵そのものもぼんやりと思い出されてきた。ピカソがマリーテレーズに会いにいっているかもしれない、「次の女」を見つけようとしているかもしれない、と思っていたたまれなくなるマリーテレーズ。でも「が、このいたたまれなくなる感じがいっそ好きだった」。マハはそんなふうにドラを描く。ポートレート展では絶対に「泣く女」もあったはずなのに、はっきり像を結ばない。その理由さえこの本が与えてくれているような気がした。

あの展覧会は9.11以前のことだった。2003年にパウエル長官が国連安保理会議場のロビーで会見したときにゲルニカのタペストリーに暗幕がかけられていたというのは本当のことらしいが、知らなかった。それに憤った大コレクターの言葉を目にして原田マハはこの小説を書くと決めた、と東洋経済オンラインのインタビューで読んだ。おなじインタビューでこの作品は10%が史実で90%がフィクションであるとも書いてあった。フィクションの部分の最大の謎は「誰がゲルニカに暗幕をかけたのか」である。普通に考えるとホワイトハウスだが、深読みをするとあの人であるような気もする。それにしても、ヒトラー。最近読むどんな本にも出てくると言ったらいいすぎか。ピカソも含むモダン・アートの作品をわざと劣悪な展示環境で価値のないもののように展示した「退廃芸術展」なるものがあったことをこの本で初めて知った。芸術が政治の道具にもなり得るし、政治に対する武器にもなり得るということの証左である。

この小説に描かれる八神瑤子のゲルニカを借り出すための命懸けの戦いは、「映画みたい」な話ではなく、十分にありえた話だろう。芸術もビジネスにまけずおとらずかけひきとパワーゲームの世界であり、展覧会はキュレーターが全人格をかけてつくりあげたコンテンツだ。今回、自分の行った展覧会についての記録をネットで調べてみたが、たとえばMoMAのサイトではExhibition Historyとして展覧会の記録を開館当時のものまでさかのぼることができる。マドリッドではゲルニカを必ず観に行こうと思った。「世界が崩れる瞬間を見てしまった、創造主の目」をした牡牛に対面しに。
暗幕のゲルニカ Amazon書評・レビュー: 暗幕のゲルニカより
4103317523
No.82
(4pt)

勉強になる

どこまでが事実なのかよく知らないながらも、ゲルニカの描かれた意図、ドラ・マール、の存在、ETAのことなど
とても勉強になりました。

楽園のカンヴァスの方が良いという意見がたくさんありますが、楽園のカンヴァスを読んだ時以上に「そうなんだ!」ということが多かったです。
でも楽園のカンヴァスも久しぶりに読み直してみようと思いました。

今のような時代だからこそ、例えば芸術の力で平和が実現するような世界が本当に来ると良いな、という祈り、願いを強く感じます。
暗幕のゲルニカ Amazon書評・レビュー: 暗幕のゲルニカより
4101259623
No.81
(4pt)

勉強になる

どこまでが事実なのかよく知らないながらも、ゲルニカの描かれた意図、ドラ・マール、の存在、ETAのことなど
とても勉強になりました。

楽園のカンヴァスの方が良いという意見がたくさんありますが、楽園のカンヴァスを読んだ時以上に「そうなんだ!」ということが多かったです。
でも楽園のカンヴァスも久しぶりに読み直してみようと思いました。

今のような時代だからこそ、例えば芸術の力で平和が実現するような世界が本当に来ると良いな、という祈り、願いを強く感じます。
暗幕のゲルニカ Amazon書評・レビュー: 暗幕のゲルニカより
4103317523
No.80
(3pt)

キュレーターの独りよがり

過去と現在を同時進行させながら、絵画や芸術史を題材にミステリーを展開する。筆者が得意とする構成はとてもいいのだけれども、なんかと比べると興ざめする。

まず、主人公のキュレーターがいいところに住んで、リッツを定宿にして、大富豪にもかわいがられてという、キャリアウーマンぶりが鼻につく。

そして何より、アートの力で戦争に対抗するために、ゲルニカをマドリードからニューヨークへ移すという分かったようで理解できない行動に、キュレーター様の独りよがりを感じる。
暗幕のゲルニカ Amazon書評・レビュー: 暗幕のゲルニカより
4101259623
No.79
(3pt)

キュレーターの独りよがり

過去と現在を同時進行させながら、絵画や芸術史を題材にミステリーを展開する。筆者が得意とする構成はとてもいいのだけれども、なんかと比べると興ざめする。

まず、主人公のキュレーターがいいところに住んで、リッツを定宿にして、大富豪にもかわいがられてという、キャリアウーマンぶりが鼻につく。

そして何より、アートの力で戦争に対抗するために、ゲルニカをマドリードからニューヨークへ移すという分かったようで理解できない行動に、キュレーター様の独りよがりを感じる。
暗幕のゲルニカ Amazon書評・レビュー: 暗幕のゲルニカより
4103317523
No.78
(4pt)

現代の問題意識を持って読むのにぴったりです。

ヨーロッパに反移民と極右の波がひたひたと押し寄せ,アメリカにトランプなどというおよそアメリカ民主主義とはかけ離れた大統領が誕生するとき,第1次大戦後の Naziが誕生するときに驚くほど似ている現代に,Francoと真正面から向き合った Picasso の作品を, 2011年の WT Center への飛行機の突入とからませてストーリーを展開していく様子は,大変共感して読むことができた。多分そのころよりも今はもっと Fascism の脅威が強まっていると思われる。この時期に是非この本を多くの読者に読んでもらいたいと思う。
暗幕のゲルニカ Amazon書評・レビュー: 暗幕のゲルニカより
4101259623