道化師の蝶
評判
道化師の蝶の評価:
3.30/5点 レビュー 73件。 E ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全35件 21〜35 2/2ページ
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道化師の蝶の評価:
3.30/5点 レビュー 73件。 E ランク
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田中慎弥さんの芥川受賞作品『共喰い』を読むために
文藝春秋3月号をそもそも買ったのである。
でも序盤のほうで、町や川の描写を読み続けるのに
飽きてしまい読むのを放棄してしまった。
純文学が好きと言いながら、描写にあまり関心がない(自分がんばれよ)。
話自体は好きだから、そのうち読む。
で、
すっかり手をつけずに放置しているのも
もったいないから、今頃になって、もう一人の芥川受賞者、
円城氏の『道化師の蝶』をなんとなく読んでみた。
私がいままで(おもに日陰で)生きてきた中で
言えることは、
自分にとっての良い発見はいつも
自分の興味の範囲外に転がっているということだ。
思っていたよりずっと興味深い小説で、食い入るように読んだ。
最初は
「言語のナンタラをナンタラしてある、とにかく専門的で難解な実験小説」
との噂を聞いていたので敬遠していた。
そんなものは高尚な弁論を得意とする教養人同志が
土下座する庶民の頭を踏んづけながら
楽しく読むのが正しいと思っていた。
(そして、そんな庶民様の土下座している足の指をお拭きするのが
私をはじめとする奈落底の住民である)
学問的な解釈で納得するのは難しいとしても、
文体がわかりやすいので、
とりあえず何が書いてあるかはわかる。
要は、
非常に多くの言語を会得し、その言語で書いた文章を残しては
次の町へと姿をくらますある小説家の
行方と素性を探るという内容だ。
この小説には「わたし」が複数出てくる。
観念的なことではなく、実際に章ごとに違う人物が「わたし」と交代して語るのだが、
よくある「語り手バトンタッチ制」小説とは異なる点がある。
その「わたし」たちは、登場人物の誰かであることは間違いないのだが、
わざわざ名前を名乗らないし、
まるで「まったく名乗る必要もない」というように淡々と話を進める。
だからといえど、神視点と呼ばれる、ただの出来事俯瞰文章でもない。
その人物がつけた「記録」の集合といえば一番近いだろう。
軟弱精神嫌悪家でおなじみの石原東京都知事さまは
この小説を「一人よがりで、読まされる読者がかわいそう」と評していたが、
少なくとも近年食傷ぎみとされる「軟弱ボクチン」パターンの小説ではない。
かぎりなく「自分濃度が薄い小説」といえる。