万延元年のフットボール

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万延元年のフットボールの評価:

4.17/5点 レビュー 64件。 A ランク

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平均点4.17pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全207件 161〜180 9/11ページ
No.47
(5pt)

言霊

読み始めた瞬間、この本の中に引き入れられてしまった。独特の文章で書かれた不思議な光景は頭の中に焼き付けられるほどの印象の強さを持っており、難解な文体もさほど苦にならず読み進んでいける、まさに日本文学屈指の名作だと思う。発生した暴動と万延元年の一揆が重ね合わされ、時系列が次第に曖昧になっていく様に感じられるのだが、そんな手法も驚くべき物だと言えるのではないかと思う。とにかくものすごいインパクトである。
 心のどこかに暗い影の差している登場人物達の“新生活”を描く作品。弟の一揆の首謀者への憧憬から起こる暴動や、折に触れては語られる生涯を持って生まれた息子の存在など鮮烈な描写には事欠かない。それらも単にイメージをごった煮にしてしまうのではなく、それぞれ関連性を持たせて構成しているようで、本から受ける印象の割にはよく空中分解せずにすんだものだとそちらの方に感心してしまったりした。鮮烈、インパクト、という言葉を先ほどから多用しているが、印象しかのこらない作品ではなく、人物の人間性の描き方もえぐみや重みがあって凄く良かった。
 値段に関して言えば、確かに文庫本には割に合わない値段だろうと思うが、単行本を買うつもりで購入すれば別に損にならない内容だと思う。ぜひ読んでもらいたい一冊。
万延元年のフットボール Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボールより
4061121820
No.46
(5pt)

言霊

読み始めた瞬間、この本の中に引き入れられてしまった。独特の文章で書かれた不思議な光景は頭の中に焼き付けられるほどの印象の強さを持っており、難解な文体もさほど苦にならず読み進んでいける、まさに日本文学屈指の名作だと思う。発生した暴動と万延元年の一揆が重ね合わされ、時系列が次第に曖昧になっていく様に感じられるのだが、そんな手法も驚くべき物だと言えるのではないかと思う。とにかくものすごいインパクトである。
 心のどこかに暗い影の差している登場人物達の“新生活”を描く作品。弟の一揆の首謀者への憧憬から起こる暴動や、折に触れては語られる生涯を持って生まれた息子の存在など鮮烈な描写には事欠かない。それらも単にイメージをごった煮にしてしまうのではなく、それぞれ関連性を持たせて構成しているようで、本から受ける印象の割にはよく空中分解せずにすんだものだとそちらの方に感心してしまったりした。鮮烈、インパクト、という言葉を先ほどから多用しているが、印象しかのこらない作品ではなく、人物の人間性の描き方もえぐみや重みがあって凄く良かった。
 値段に関して言えば、確かに文庫本には割に合わない値段だろうと思うが、単行本を買うつもりで購入すれば別に損にならない内容だと思う。ぜひ読んでもらいたい一冊。
万延元年のフットボール (講談社文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)より
4061960148
No.45
(5pt)

新生活への勇気

人は程度の差こそあれ、人には言えないような痛みや苦しみ、悩みを抱えながら生きているのだと思います。そして、時々それらは当事者を危機的状況に追い込みます。一旦このような危機的状況に陥るとなかなか抜け出せません。なぜなら、そこから抜け出すには自分を変えなければならないからです。この場合、自分を変えるとはそのような痛みや苦しみ、悩みに対して正面から向き合って、それを乗り越えるということです。この小説は非常に簡単化すれば、人はどのようにして危機に陥り、どのようにしてそれを乗り越えるかを描いた作品だと思います。そして、読者も乗り越える苦労を追体験させられます。結構キツイです。個人的には、蜜の視点で読んでいたため、鷹と菜採に対する嫉妬という名の危機を乗り越えることができたかどうかは疑問です。ただそんな時、菜採の次の言葉を思い出します。「昨夜ずっと考えているうちに、私たちがその勇気さえもてば、ともかくやり始めることはできると思えてきたのよ、蜜」
万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1)より
4061310275
No.44
(5pt)

新生活への勇気

人は程度の差こそあれ、人には言えないような痛みや苦しみ、悩みを抱えながら生きているのだと思います。そして、時々それらは当事者を危機的状況に追い込みます。一旦このような危機的状況に陥るとなかなか抜け出せません。なぜなら、そこから抜け出すには自分を変えなければならないからです。この場合、自分を変えるとはそのような痛みや苦しみ、悩みに対して正面から向き合って、それを乗り越えるということです。この小説は非常に簡単化すれば、人はどのようにして危機に陥り、どのようにしてそれを乗り越えるかを描いた作品だと思います。そして、読者も乗り越える苦労を追体験させられます。結構キツイです。個人的には、蜜の視点で読んでいたため、鷹と菜採に対する嫉妬という名の危機を乗り越えることができたかどうかは疑問です。ただそんな時、菜採の次の言葉を思い出します。「昨夜ずっと考えているうちに、私たちがその勇気さえもてば、ともかくやり始めることはできると思えてきたのよ、蜜」
万延元年のフットボール Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボールより
4061121820
No.43
(5pt)

新生活への勇気

人は程度の差こそあれ、人には言えないような痛みや苦しみ、悩みを抱えながら生きているのだと思います。そして、時々それらは当事者を危機的状況に追い込みます。一旦このような危機的状況に陥るとなかなか抜け出せません。なぜなら、そこから抜け出すには自分を変えなければならないからです。この場合、自分を変えるとはそのような痛みや苦しみ、悩みに対して正面から向き合って、それを乗り越えるということです。この小説は非常に簡単化すれば、人はどのようにして危機に陥り、どのようにしてそれを乗り越えるかを描いた作品だと思います。そして、読者も乗り越える苦労を追体験させられます。結構キツイです。個人的には、蜜の視点で読んでいたため、鷹と菜採に対する嫉妬という名の危機を乗り越えることができたかどうかは疑問です。ただそんな時、菜採の次の言葉を思い出します。「昨夜ずっと考えているうちに、私たちがその勇気さえもてば、ともかくやり始めることはできると思えてきたのよ、蜜」
万延元年のフットボール (講談社文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)より
4061960148
No.42
(3pt)

「生き延び」ないといけないにしても。

読んでいると不愉快が雪の奥でも進行する腐敗さながらに押しよせてくる。そしてその不愉快は細部から喚起されている。つまり、うまいぐあいに読者は小説世界にのみこまれてゆく・・・。してやられるのである。読んでいる期間に私はこの村のリアルな夢を見たほどだ。

いつもながらの大江の大道具小道具が出てきて、しかもそれらは重層的構造的に相互作用する。太い枠組みのうちにみっしりと詰め込まれた古い文書、新しい文書――まるで蔵の奥から取り出してきて眺めるみたいな――を読んでいく感覚である。

「救済」がテーマのひとつになっている。それはとても気に入らない。蜜にはやはり出口が用意されており、彼は、いちばんさいしょ入っていた「穴ぼこ」、それからさいごに入っていた「穴ぼこ」からも、出ていくことをする。私は用心に用心してその救済や希望を拒否するつもりでいたのに、大江の強い引き縄のせいで解決や希望や期待や救済や和解の方面へずるずると引っ張っていかれた。これこそすばらしい大江の手腕というわけなんだろう。だがそれでも読み終えて私は憮然とする。蜜や菜採子が子どもたちを育てる決心をし、谷間から出てゆき、鷹への無理解を理解し、鷹の骨はS兄の骨とともに墓に入り、鷹は御霊となり・・・などなどに私は満足できない。結局は出ていって「生き延び」ないといけないにしても、だ。甘い、ちいさい、ということをどうしても思う。
万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1)より
4061310275
No.41
(3pt)

「生き延び」ないといけないにしても。

読んでいると不愉快が雪の奥でも進行する腐敗さながらに押しよせてくる。そしてその不愉快は細部から喚起されている。つまり、うまいぐあいに読者は小説世界にのみこまれてゆく・・・。してやられるのである。読んでいる期間に私はこの村のリアルな夢を見たほどだ。

いつもながらの大江の大道具小道具が出てきて、しかもそれらは重層的構造的に相互作用する。太い枠組みのうちにみっしりと詰め込まれた古い文書、新しい文書――まるで蔵の奥から取り出してきて眺めるみたいな――を読んでいく感覚である。

「救済」がテーマのひとつになっている。それはとても気に入らない。蜜にはやはり出口が用意されており、彼は、いちばんさいしょ入っていた「穴ぼこ」、それからさいごに入っていた「穴ぼこ」からも、出ていくことをする。私は用心に用心してその救済や希望を拒否するつもりでいたのに、大江の強い引き縄のせいで解決や希望や期待や救済や和解の方面へずるずると引っ張っていかれた。これこそすばらしい大江の手腕というわけなんだろう。だがそれでも読み終えて私は憮然とする。蜜や菜採子が子どもたちを育てる決心をし、谷間から出てゆき、鷹への無理解を理解し、鷹の骨はS兄の骨とともに墓に入り、鷹は御霊となり・・・などなどに私は満足できない。結局は出ていって「生き延び」ないといけないにしても、だ。甘い、ちいさい、ということをどうしても思う。
万延元年のフットボール Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボールより
4061121820
No.40
(3pt)

「生き延び」ないといけないにしても。

読んでいると不愉快が雪の奥でも進行する腐敗さながらに押しよせてくる。そしてその不愉快は細部から喚起されている。つまり、うまいぐあいに読者は小説世界にのみこまれてゆく・・・。してやられるのである。読んでいる期間に私はこの村のリアルな夢を見たほどだ。

いつもながらの大江の大道具小道具が出てきて、しかもそれらは重層的構造的に相互作用する。太い枠組みのうちにみっしりと詰め込まれた古い文書、新しい文書――まるで蔵の奥から取り出してきて眺めるみたいな――を読んでいく感覚である。

「救済」がテーマのひとつになっている。それはとても気に入らない。蜜にはやはり出口が用意されており、彼は、いちばんさいしょ入っていた「穴ぼこ」、それからさいごに入っていた「穴ぼこ」からも、出ていくことをする。私は用心に用心してその救済や希望を拒否するつもりでいたのに、大江の強い引き縄のせいで解決や希望や期待や救済や和解の方面へずるずると引っ張っていかれた。これこそすばらしい大江の手腕というわけなんだろう。だがそれでも読み終えて私は憮然とする。蜜や菜採子が子どもたちを育てる決心をし、谷間から出てゆき、鷹への無理解を理解し、鷹の骨はS兄の骨とともに墓に入り、鷹は御霊となり・・・などなどに私は満足できない。結局は出ていって「生き延び」ないといけないにしても、だ。甘い、ちいさい、ということをどうしても思う。
万延元年のフットボール (講談社文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)より
4061960148
No.39
(5pt)

本当の事をいおうか

いやーー、すごい本を読みました。

様々な時間におけるたくさんの事件が、続々と、続々と出てきて、フォローするのが大変でしたが、それらが終末において、ものすごい勢いで解きほぐされていきます。というより絡み合っていく。その、緻密さがすごいです。

出てくる事件とは、思いつくままあげると、万延元年の一揆、60年安保、戦後すぐの兄の殺害、妹の自殺、障害を持った子供の誕生、妻のアル中化、友人の縊死、、、等等。

とってもスケールの大きい推理小説としても、非常に楽しめる感じです。

しかも、内容においても、人間の根幹に迫る(?)ようなものでもあるのです。

たとえば、鷹四(主人公の弟)は、「本当の事」を考えているんですが、本当の事とは、「ひとりの人間が、それをいってしまうと、他人に殺されるか、自殺するか、気が狂って見るに耐えない反・人間的な怪物になってしまうか、そのいずれかを選ぶしかない、絶対的に本当の事(P258)」なんだそうで。「そういう本当の事を他人に話す勇気が、なまみの人間によって持たれうる」かどうか、と問うわけです。兄の蜜三郎に。

で、鷹四の言う「本当の事」とは一体何の事なのか?小説の中の、どの事件に関連してくるのか?鷹四自身のどんな行動、identityに結びつくのか?と、ね。いやーすごい。すごいんですわ。

巻末の「著者から読者へ」で大江自身が「この小説は僕にとってまことに切実な意味で、乗越え点をきざむもの」と書いているように、著者にもこの作品に相当な思い入れがあるようです。ね。

が、読むにあたって、僕の方が「乗越え」ないといけなかったこともありました。

まず、血や肉の生々しい描写があって、時々しんどくなりました。それと、大江らしい難解な文体は、なれるまでずっとしんどかったです。主語と述語がやたら離れてるとか。

ともかく、読み応えありましたー。
万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1)より
4061310275
No.38
(5pt)

本当の事をいおうか

いやーー、すごい本を読みました。

様々な時間におけるたくさんの事件が、続々と、続々と出てきて、フォローするのが大変でしたが、それらが終末において、ものすごい勢いで解きほぐされていきます。というより絡み合っていく。その、緻密さがすごいです。

出てくる事件とは、思いつくままあげると、万延元年の一揆、60年安保、戦後すぐの兄の殺害、妹の自殺、障害を持った子供の誕生、妻のアル中化、友人の縊死、、、等等。

とってもスケールの大きい推理小説としても、非常に楽しめる感じです。

しかも、内容においても、人間の根幹に迫る(?)ようなものでもあるのです。

たとえば、鷹四(主人公の弟)は、「本当の事」を考えているんですが、本当の事とは、「ひとりの人間が、それをいってしまうと、他人に殺されるか、自殺するか、気が狂って見るに耐えない反・人間的な怪物になってしまうか、そのいずれかを選ぶしかない、絶対的に本当の事(P258)」なんだそうで。「そういう本当の事を他人に話す勇気が、なまみの人間によって持たれうる」かどうか、と問うわけです。兄の蜜三郎に。

で、鷹四の言う「本当の事」とは一体何の事なのか?小説の中の、どの事件に関連してくるのか?鷹四自身のどんな行動、identityに結びつくのか?と、ね。いやーすごい。すごいんですわ。

巻末の「著者から読者へ」で大江自身が「この小説は僕にとってまことに切実な意味で、乗越え点をきざむもの」と書いているように、著者にもこの作品に相当な思い入れがあるようです。ね。

が、読むにあたって、僕の方が「乗越え」ないといけなかったこともありました。

まず、血や肉の生々しい描写があって、時々しんどくなりました。それと、大江らしい難解な文体は、なれるまでずっとしんどかったです。主語と述語がやたら離れてるとか。

ともかく、読み応えありましたー。
万延元年のフットボール Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボールより
4061121820
No.37
(5pt)

本当の事をいおうか

いやーー、すごい本を読みました。

様々な時間におけるたくさんの事件が、続々と、続々と出てきて、フォローするのが大変でしたが、それらが終末において、ものすごい勢いで解きほぐされていきます。というより絡み合っていく。その、緻密さがすごいです。

出てくる事件とは、思いつくままあげると、万延元年の一揆、60年安保、戦後すぐの兄の殺害、妹の自殺、障害を持った子供の誕生、妻のアル中化、友人の縊死、、、等等。

とってもスケールの大きい推理小説としても、非常に楽しめる感じです。

しかも、内容においても、人間の根幹に迫る(?)ようなものでもあるのです。

たとえば、鷹四(主人公の弟)は、「本当の事」を考えているんですが、本当の事とは、「ひとりの人間が、それをいってしまうと、他人に殺されるか、自殺するか、気が狂って見るに耐えない反・人間的な怪物になってしまうか、そのいずれかを選ぶしかない、絶対的に本当の事(P258)」なんだそうで。「そういう本当の事を他人に話す勇気が、なまみの人間によって持たれうる」かどうか、と問うわけです。兄の蜜三郎に。

で、鷹四の言う「本当の事」とは一体何の事なのか?小説の中の、どの事件に関連してくるのか?鷹四自身のどんな行動、identityに結びつくのか?と、ね。いやーすごい。すごいんですわ。

巻末の「著者から読者へ」で大江自身が「この小説は僕にとってまことに切実な意味で、乗越え点をきざむもの」と書いているように、著者にもこの作品に相当な思い入れがあるようです。ね。

が、読むにあたって、僕の方が「乗越え」ないといけなかったこともありました。

まず、血や肉の生々しい描写があって、時々しんどくなりました。それと、大江らしい難解な文体は、なれるまでずっとしんどかったです。主語と述語がやたら離れてるとか。

ともかく、読み応えありましたー。
万延元年のフットボール (講談社文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)より
4061960148
No.36
(2pt)

そもそも「出口」は存在するのか?

物心ついた頃より、ここ(東京)は田舎者の溜まり場で、常に気っ風と威勢
だけを気にかけていた祖父達は、その大元締めだと思っていた。 

だから日本は何処へ行っても同じ、それが嫌なら外国へ行くしか無い、と。

高校・大学を通して安部(公房)と大江に傾倒し、前者は大き過ぎてひれ伏
したが、後者の作品は脳内的に身近で、楽に自身を投影出来た。

本書や「日常生活の冒険」などでこの国に「真の田舎」がある(らしい)事
を知ったが、当時それは大した問題ではなく、それよりも「こんな(登場人
物)風に思う奴はザラにいる(当然自身も勘定済み)けれども、実際にこん
な風に喋り、動く事の出来る奴は、俺の知る限り一人も居ないね」。

で、結局「私達の“根”を探るべき本書が(本来相容れる事の無い)リベラ
リズムと土着の血で固めた“お伽話”だったじゃシャレにもならん・・」に。

あれから数十年が過ぎ、6年前初めて東京を離れた際に「真の登場人物」に
出くわす事を密かに期待したが、どの「地方」も(最早?元来?)その痕跡
すら見出せなかった。

今も私は、リベラリズムこそが私達日本人に残された唯一の道である、と信
じているが、自身で仕掛けられた罠の中で、曖昧な微笑みを浮かべ佇んでお
られる大江氏の姿を見るに付け、改めて、一度たりともそんなもんがこの国
に存在したためしが無い事を思い知らされる。

そもそも、私たちには安部公房がお似合いで、「飢餓同盟」の世界から永遠
に抜け出せないって事か?
万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1)より
4061310275
No.35
(2pt)

そもそも「出口」は存在するのか?

物心ついた頃より、ここ(東京)は田舎者の溜まり場で、常に気っ風と威勢
だけを気にかけていた祖父達は、その大元締めだと思っていた。 

だから日本は何処へ行っても同じ、それが嫌なら外国へ行くしか無い、と。

高校・大学を通して安部(公房)と大江に傾倒し、前者は大き過ぎてひれ伏
したが、後者の作品は脳内的に身近で、楽に自身を投影出来た。

本書や「日常生活の冒険」などでこの国に「真の田舎」がある(らしい)事
を知ったが、当時それは大した問題ではなく、それよりも「こんな(登場人
物)風に思う奴はザラにいる(当然自身も勘定済み)けれども、実際にこん
な風に喋り、動く事の出来る奴は、俺の知る限り一人も居ないね」。

で、結局「私達の“根”を探るべき本書が(本来相容れる事の無い)リベラ
リズムと土着の血で固めた“お伽話”だったじゃシャレにもならん・・」に。

あれから数十年が過ぎ、6年前初めて東京を離れた際に「真の登場人物」に
出くわす事を密かに期待したが、どの「地方」も(最早?元来?)その痕跡
すら見出せなかった。

今も私は、リベラリズムこそが私達日本人に残された唯一の道である、と信
じているが、自身で仕掛けられた罠の中で、曖昧な微笑みを浮かべ佇んでお
られる大江氏の姿を見るに付け、改めて、一度たりともそんなもんがこの国
に存在したためしが無い事を思い知らされる。

そもそも、私たちには安部公房がお似合いで、「飢餓同盟」の世界から永遠
に抜け出せないって事か?
万延元年のフットボール Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボールより
4061121820
No.34
(2pt)

そもそも「出口」は存在するのか?

物心ついた頃より、ここ(東京)は田舎者の溜まり場で、常に気っ風と威勢
だけを気にかけていた祖父達は、その大元締めだと思っていた。 

だから日本は何処へ行っても同じ、それが嫌なら外国へ行くしか無い、と。

高校・大学を通して安部(公房)と大江に傾倒し、前者は大き過ぎてひれ伏
したが、後者の作品は脳内的に身近で、楽に自身を投影出来た。

本書や「日常生活の冒険」などでこの国に「真の田舎」がある(らしい)事
を知ったが、当時それは大した問題ではなく、それよりも「こんな(登場人
物)風に思う奴はザラにいる(当然自身も勘定済み)けれども、実際にこん
な風に喋り、動く事の出来る奴は、俺の知る限り一人も居ないね」。

で、結局「私達の“根”を探るべき本書が(本来相容れる事の無い)リベラ
リズムと土着の血で固めた“お伽話”だったじゃシャレにもならん・・」に。

あれから数十年が過ぎ、6年前初めて東京を離れた際に「真の登場人物」に
出くわす事を密かに期待したが、どの「地方」も(最早?元来?)その痕跡
すら見出せなかった。

今も私は、リベラリズムこそが私達日本人に残された唯一の道である、と信
じているが、自身で仕掛けられた罠の中で、曖昧な微笑みを浮かべ佇んでお
られる大江氏の姿を見るに付け、改めて、一度たりともそんなもんがこの国
に存在したためしが無い事を思い知らされる。

そもそも、私たちには安部公房がお似合いで、「飢餓同盟」の世界から永遠
に抜け出せないって事か?
万延元年のフットボール (講談社文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)より
4061960148
No.33
(3pt)

どうなんでしょ? タイムスリップ小説で錯乱しているとこがいいのか?

なんか、村上春樹の世界の終わりとハードボイルドワンダーランドのモチーフになっているような気もする。 つまりは新鮮ではある。 彼らしくない長編だし。 だが、猟奇的な性差別表現的な変態性は大江文学の真骨頂なので慣れないと、ちょっと考えられない精神・本納欲求の表現の正確理解は難しいかも? ちょっと長すぎるが、読むのは文学好きのステータス、のひとつ、名作として避けては通れない。 必読。
万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1)より
4061310275
No.32
(3pt)

どうなんでしょ? タイムスリップ小説で錯乱しているとこがいいのか?

なんか、村上春樹の世界の終わりとハードボイルドワンダーランドのモチーフになっているような気もする。 つまりは新鮮ではある。 彼らしくない長編だし。 だが、猟奇的な性差別表現的な変態性は大江文学の真骨頂なので慣れないと、ちょっと考えられない精神・本納欲求の表現の正確理解は難しいかも? ちょっと長すぎるが、読むのは文学好きのステータス、のひとつ、名作として避けては通れない。 必読。
万延元年のフットボール Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボールより
4061121820
No.31
(3pt)

どうなんでしょ? タイムスリップ小説で錯乱しているとこがいいのか?

なんか、村上春樹の世界の終わりとハードボイルドワンダーランドのモチーフになっているような気もする。 つまりは新鮮ではある。 彼らしくない長編だし。 だが、猟奇的な性差別表現的な変態性は大江文学の真骨頂なので慣れないと、ちょっと考えられない精神・本納欲求の表現の正確理解は難しいかも? ちょっと長すぎるが、読むのは文学好きのステータス、のひとつ、名作として避けては通れない。 必読。
万延元年のフットボール (講談社文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)より
4061960148
No.30
(5pt)

物凄い本でした。

初めて読んだのですが、ぼくは物凄い本だなと思いました。世間的に名作と呼ばれている、であるとか、著者がノーベル賞をとった、とか、基本的にそういうことにはほとんど興味がないので、ぼくはこういった場で確定的な物言いができる立場にないのだろうと思うのですが、少なくとも、ぼく自身の体験にかぶさってくる物語であったことは確かだし、物語が流れていくその流れ方もとても自然に思えました。何かを暴こうとする者、何かをなぞろうとする者、そんなつもりもないのに何かを暴いてしまう者、結果的に何かをなぞってしまう者、そういった人びとの織り成す悲劇とも喜劇ともつかない、でも確実に劇的な物語。

 時代的なものか、それこそがいわゆる日本文学の日本文学たる「格調」というものなのか、決して読みやすい本でないことは確かですが、頑張って読み解く価値の十分にある本だと、ぼくは思います。
万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文庫 お 2-1)より
4061310275
No.29
(5pt)

物凄い本でした。

初めて読んだのですが、ぼくは物凄い本だなと思いました。世間的に名作と呼ばれている、であるとか、著者がノーベル賞をとった、とか、基本的にそういうことにはほとんど興味がないので、ぼくはこういった場で確定的な物言いができる立場にないのだろうと思うのですが、少なくとも、ぼく自身の体験にかぶさってくる物語であったことは確かだし、物語が流れていくその流れ方もとても自然に思えました。何かを暴こうとする者、何かをなぞろうとする者、そんなつもりもないのに何かを暴いてしまう者、結果的に何かをなぞってしまう者、そういった人びとの織り成す悲劇とも喜劇ともつかない、でも確実に劇的な物語。

 時代的なものか、それこそがいわゆる日本文学の日本文学たる「格調」というものなのか、決して読みやすい本でないことは確かですが、頑張って読み解く価値の十分にある本だと、ぼくは思います。
万延元年のフットボール Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボールより
4061121820
No.28
(5pt)

物凄い本でした。

初めて読んだのですが、ぼくは物凄い本だなと思いました。世間的に名作と呼ばれている、であるとか、著者がノーベル賞をとった、とか、基本的にそういうことにはほとんど興味がないので、ぼくはこういった場で確定的な物言いができる立場にないのだろうと思うのですが、少なくとも、ぼく自身の体験にかぶさってくる物語であったことは確かだし、物語が流れていくその流れ方もとても自然に思えました。何かを暴こうとする者、何かをなぞろうとする者、そんなつもりもないのに何かを暴いてしまう者、結果的に何かをなぞってしまう者、そういった人びとの織り成す悲劇とも喜劇ともつかない、でも確実に劇的な物語。

 時代的なものか、それこそがいわゆる日本文学の日本文学たる「格調」というものなのか、決して読みやすい本でないことは確かですが、頑張って読み解く価値の十分にある本だと、ぼくは思います。
万延元年のフットボール (講談社文芸文庫) Amazon書評・レビュー: 万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)より
4061960148