銃・病原菌・鉄
評判
銃・病原菌・鉄の評価:
4.07/5点 レビュー 476件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全972件 881〜900 45/49ページ
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銃・病原菌・鉄の評価:
4.07/5点 レビュー 476件。 B ランク
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英雄豪傑が歴史を動かしてきたとする大衆的な史観、人種間の優劣に原因を求める優生学的史観、
経済構造がすべてと語るマルクス主義的唯物史観、社会構造や精神にその原因を探るアナール派史観、等等。
生物学者が書いた本書は、これらに対し、動植物の分布環境がすべてを決定してきた、とする画期的な
歴史の仮説を提唱してくれる。
本書の考察は旧大陸と新大陸の関係への疑問からはじまる。なぜスペインはアステカ帝国やインカ帝国を
征服できたのか?なぜその逆のことがおきなかったのか?この疑問に対し、以前は白人文明の優位性、
はては白人種の優位性による説明がされていた。これに本書は真っ向から反対する。いわくヨーロッパ人が
優れていたわけではない、ただ旧大陸は新大陸より横長であるため、動植物の交流が多く、多くの動物を
家畜化した結果ヨーロッパ人は伝染病に対する耐性を獲得していたにすぎない、と。反対に新大陸は
東西の移動範囲が限られ、動植物の分布も貧弱であったため、先住民は伝染病に対する耐性を獲得できない
ままでいた。このため、スペイン人が上陸した後、あっという間に伝染病が広がり、文明が滅んでしまった、
というのが本書の説く歴史である。それは人種間や文明間の優劣があったからではない、文明が育った
自然環境という些細なことが全ての要因だったわけだ。
その他にも、世界の数多くの地域に取材しながら、なぜヨーロッパ人が世界の中で優位に立っていったのか、
が、いかにも生物学者が書いた本らしく、極めて客観的・論理的に解説されていく。その論理構成たるや、
見事の一言。世界の歴史を舞台にした壮大なフィールドワークとでもいうべき、きわめて実証主義的な視点が、
本書の論理構成に鉄壁の信頼性を付与している。ヨーロッパ人は優れていたのではない、ただ動植物の
自然環境に恵まれていただけなのである。従来の史観に対するこの強烈な鉄槌、痛快である。まさに
唯物史観ならぬ、唯動植物史観の堂々たる登場、というところか。本書の読書にとって、これまでの
自分の歴史観ががらりと変わること間違いなしの体験であろう。
小さい現実の観察から論理を飛躍させ、壮大な歴史を構築するというこの壮大な仮説構成力は、感動的で
すらある。歴史に興味のある人はもちろんのこと、優れたロジック展開や思考法を学びたいすべての人に
すすめたい本と言えよう。
ピュリッツァー賞を受賞し世界的にも名高い本書は、間違いなく、自分の読書史上10冊の内にも入る
名著である。このような本に出合えたことに感謝して5点満点献上。本書で感動を覚えた方には、同じ
著者による続編「文明崩壊」もあわせておすすめしたい。