黒の回廊
評判
黒の回廊の評価:
4.23/5点 レビュー 13件。 D ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全52件 41〜52 3/3ページ
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黒の回廊の評価:
4.23/5点 レビュー 13件。 D ランク
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
旅行小説に数あれど、ほとんどが一人旅を扱ったもので、パックツアーが素材というのは珍しいのではないか。
ちょうど海外旅行がレジャーとして定着し始めたころだ。
アンカレッジ経由の北回りヨーロッパ行きという設定が時代を感じさせる。残念ながらこの時代の旅行は知らない。
欧州は乗り継ぎを含めて24時間くらいかかったそうだ。
12時間でひとっ飛びの現在のほうが楽に決まっているが、北極点通過やアラスカの空港の話を読むと、不便な時代に一度は行っておきたかった気もする。
女性ばかり三十人の欧州ツアーが開催される。
ベテラン添乗員門田の視点で描かれる旅行風景は、生き生きとして眼前に情景が映るようだ。
出発前に講師として同行するはずだった女性旅行作家がキャンセルしてしまい、代わりに土方という若い弟子が来ることになった。
彼女を部下として使う気の門田と、教養を買われたと胸を張る土方のすれ違いがいかにもありそうで、読みごたえがある。
ツアーというのは、一種の閉鎖社会だ。上下強弱関係が生じるし、嫉妬や反発も生まれる。
移動する「小日本」と共に欧州の風光明媚な地が清張の筆で活写されるのだから、退屈なわけがない。
この部分だけでも十分に面白いが、ミステリーだから当然殺人事件が起こる。
利害関係のないツアー客同士で、殺すほどの恨みが生じるものだろうか。
この設定ならば、凡庸な作家なら「女は虚栄心と嫉妬のかたまりで、おまけに愚かだ」といったありきたりな内容にしてしまうだろう。
が、清張がそんな低俗な女性観で満足するわけがない。
終盤で明らかにされるヒロインの知性と冷静さは、頭を下げたくなるほど見事なものだ。それにひきかえ男連中の情けなくてショボイこと。
前半に散りばめられた違和感の残る描写が、すべて伏線として回収される。見事だ。
最後の1ページで、ある人物が仰天ものの発言をする。
常軌を逸したセリフなのだが、人物像を丹念に作り上げているだけに、「コイツなら有りえる」と納得してしまうのだ。
有名ではないが、清張作品の中でも頭一つ抜けた傑作だ。