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黙示
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黙示の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.93pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全43件 21~40 2/3ページ
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相変わらず素晴らしいです。日本に住むすべての人に読んでもらいたい。 | ||||
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真山仁ファンとしては、ややストーリーのダイナミックさに欠けましたが、いつも通り主役の登場人物の3人がバラバラから徐々に絡み合っていき、進行のスピードが加速されて面白くなり、一気に読んでしまいました。 | ||||
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農薬研究製造の現場の人間と養蜂家の人間のそれぞれの葛藤とその周辺の人間像をていねい描写れています。 | ||||
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扱っているのは、「農薬」と「GMO(遺伝子組み換え食品)」だといえるだろう。ミツバチの蜂群崩壊症候群(CCD)を絡めたストーリーとなっていることにも見識を感じる。 ただ、その背景にあるのは、世界的食糧危機(黒船)が近未来に来ることを念頭に置いて我が国が取り組むべき農業改革に力点があるように感じた。 ストーリー自体は、小さな劇的な場面はあるが、比較的淡々と進行する。 消費者がGMOを拒絶する一方、飼料としてはGMOが入ってきている。世界各国の企業がGMO技術の蓄積を行う中、我が国としてどうすればよいかについて、どう考えるべきであろうか。 なお、知りたいのだがどこにも書かれていないことは、ニコチノイド系農薬が禁止された国では、蜂群の崩壊はなくなったのだろうか? というのは、wikiを読んでみても、ネオニコチノイド系農薬が主犯という認識には変わらないが、それ以外にも様々な仮説があるようで、どう考えればよいのか、読む前に比べて、少しわからなくなった。 | ||||
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官僚の考え方、マスコミ批判、農薬問題が含まれているが、非常に良く書けている。 冷静だし、洞察に富んでいる。中途半端という指摘もあるけど、みんな正解のない 問題ばかり・・・。官僚に対して甘すぎかな、という気がしないでもなかったけど。 私は公務員歴が長いけど、これだけ志の高い人はそうそうはいない。 何回も読み返したくなる本だ。 ”ハゲタカ”は最近読んで非常に面白かった。金融関係以外でもこれだけ書けるのに感心 した。”マグマ”も面白かった。駄作がないのはすごいことだ。 | ||||
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発売されて読んで、この度再読しました。初めて読んだときは、正直パッとしない地味な話しだなぁ…と思いました。読み直してみたらグイグイきました。真山ファンだけでなく、社会派が好きな方にオススメします。 | ||||
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色々なご意見あるとは思いますが、僕はすきです。真山さんファンにはオススメします | ||||
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本書は難しいテーマを分かりやすく、それに反して問題を単純化していない。環境問題は気になりながらも情報収集が十分でなかったと自覚している読者であれば真山ファンでなくとも十分楽しめ、環境問題の視点を手に入れることができるの。 環境問題に言及すると、とかく環境保護と企業の論理の二元対立になり、どちらかの視点で描かれるプロパガンダ出版物が多い中、企業側に農薬開発責任者、環境側に若手養蜂家を配し、二つの視点が軸になっている。そういった冷静な両論併記をしている反面、海外バイオ企業のロビー活動に乗っかって遺伝子組み換え種子の輸入を方向づけようとする若手政治家や、環境運動を善悪の視点で環境保護グループ内で過剰な行動に出る社会派主婦といった極端な視点を程よく不快に、また滑稽に描いている点が両論併記の根拠を補強している。 立場によって答えが180度変わるような問題を、分かりやすくバランスをもって伝えることは難しく、希少な作品だと思われる。ラジコンヘリコプターによる農薬事故を縦軸に、官僚、企業、市民運動家、フリージャーナリストといった多彩なプレーヤーを通してエンターテイメントとして面白くなければならないというハードルもクリアしている。ラストは予想を反してすがすがしいものになっているのも読者志向で書かれていることがうかがえる。 | ||||
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時事問題を論じるとき、一筋縄ではいかないご時世です。 地球温暖化に警鐘を鳴らす人は原発推進派だと勘ぐられ(実際そういう人物もいるようです) 農薬反対の自然保護派の中には、遺伝子組換え植物を積極的に推進していこうという もくろみを持った人もいるでしょう。 本作は農水省の若きキャリア・養蜂家・農薬会社の開発者、3人を視点人物に据えて話が展開していきます。 丁寧な筋書きを紹介されているレビュアーの方もいらっしゃるので、 私は以下の点を付け足したいと思います。 本作で問題になっているネオニコチノイド系農薬、 ユーロではそのうち3種の使用禁止が決定しました。 期間は2013年10月から2年間。 理由は、ミツバチ激減の理由を探るため―。 わが国では、科学的な根拠・関連性が証明されなければ、 おそらく使用禁止にはならないでしょう。 しかし、確定的な根拠はなくても疑わしいから期間限定で禁止してみようというのは、 英断だと思います。 それによって、2014年以降の主に菜種・大豆のヨーロッパにおける生産高が、 かなり減少する模様です。 この情報は、先物取引業者からのものです。 インフレが世界を襲うと警鐘する学者やアナリストが多い中で、 大きなリスクを負うことになるいもかかわらず、ユーロはこのような決断をしたわけです。 それほど、私たちが直面している環境問題は切羽詰まった状況にあるといってもいいと思います。 専門家の危機感を、一般人も共有しなくてはなりません。 この小説の終盤で、 農薬会社の屋上に養蜂家が巣箱を持ち込む場面が出てきます。 ハッピーエンドとはいかないまでも、私にはこんな終わり方でいいのかな、と感じました。 日本の優れた農産品を積極的に輸出しようという計画も、 これから襲ってくる人口爆発・新興国で進行中の中流階級増加・著しい気候変動等を考えると、 国内での自給率を上げる方が緊急課題なのではないかと感じてしまいます。 本作はもちろん問題に答えを与えてはいません。 考えるのは読者各々ですよね。 | ||||
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2013年の高校生英語ディベートは「米の関税廃止」農業問題の本を読む過程でこの本に出会いました。普段小説というものを読まないので,小説的にした部分は今回の読書には邪魔。(「いるいる」という表面的に問題を理解して,正義感を振りかざしてホームページに一方的に危険をあおる女性のくだりや,主人公とおぼしき農薬会社の社員と犬の散歩で出会った女性との情事,うまくいっていない妻との出会いや関係など) 登場人物が多いのは問題を多角的に捕らえるには必要だと思いますが,あまりに多く,それもちょっとしか出てこないので,これも煩わしいです。 結局,読後感は農水省も頑張って,ばかな政治家に抵抗しながら,農業にむらがる企業をコントロールしながら,「強い農業をめざす」といった感じ。小説には珍しく参考文献の一覧があり,書かれた内容には信憑性がありそう。ただ,どうしても総花的で現在の関心事,「日本の農業は関税廃止によってどうなるか」という疑問には当然のように答えてもらえませんでした。 | ||||
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さすが真山仁という感じの本。 その圧倒的な取材力や問題提起、先見性などは圧巻であり、普段のニュースの見方を大きく変える。 コラプティオでの産業としての原発の側面や本作のGMOの問題は、新聞を読むときなどに注目してしまう。 昨今の異常気象を体験していると、地球が大丈夫なのかと深く考えてしまう。 そんな中で、農業の在り方や食の重要性を問う本作は、TPPという問題を超えた大きな問題を意識させてくれ、また今後私たち日本人がどのようなことを考えていくべきか、つまり弱小産業としての農業から強気産業としての農業への転換が、今後予想される食糧問題に対しての大きなリスクヘッジになり得るということ、また食料を自国で自給できるということが、将来を俯瞰するうえでとても重要であるということ、を強く感じさせる。 日本の農業の弱さを指摘する声が多く、またTPPなどから守っていこうという勢力が多いが、もっと長いスパンを見て考えていく必要があるということを痛感させられる。 本作は大きな問題提起をしている本であり、普段日本人がなかなか感じない、またはなんとなく知っているけどそこまで問題視していない大きな問題を気付かせてくれる本であり、真山仁のすごさを改めて感じさせてくれるものとなっている。 私は著者の作品がかなり好きであり、ファンであるが、今後も隠れた問題をどんどん提起していってほしいと思うし、私自身、著者の本を購入することなどで応援していきたい。 | ||||
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TPPを含む農業(食糧)の問題、農薬問題など題材の魅力は充分に感じられる。 物語のすすめ方も滑らかで、読みやすい。ただ、読了した時、「えっ、これで終わり」というのが実感。 私見では、登場人物の造型に問題がある。小悪人が出てくるが、巨悪はいない。冒頭の方では、農薬会社での主導権争いがあるように描かれるが、尻切れトンボ。別に、役人全てが悪人だと思っているわけではないが、本書に出てくるのは、概ね良心的な連中ばかりなので、かなり違和感がある。主人公の浮気(不倫)も、必要とは思えない。 それと、遺伝子組み換え作物(本書ではGMO)についても、微妙。それでも、アメリカの穀倉地帯の旱魃の部分は、リアリティがある。ただ、何かGMOの引き立て役のようにも思える。 もっと、リアルかと思ったけど、幕の引き方も含め、少し“おとぎ話”に寄っている。 | ||||
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『はげたか』以来、真山仁さんの本は読んでいませんした。 『黙示』は今これから日本列島が直面する問題の開幕を告げた ものと感じました。 現職官僚も関係業界もただ事ではない時期に 突入。 一読者の勝手な希望は、列島住民とその子孫の生死に関わるこの問題 の今後を真山さんの魅力溢れる筆致で書き続けて頂きたい事です。 | ||||
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■書名 黙示 真山仁 / 新潮社 / 本 / 2013年02月22日 / Amazonで見る ¥ 1,785 ■全体的な感想 農薬を軸にした農業問題の小説。 真山氏の本は好きでよく読むのですが、この本は小説の色合いが薄く ノンフィクションに寄った内容になっている。 あまり手に汗握る内容ではなかった。 この人の小説の中でも、金融系は結構な迫力があるが、その他のジャンルについては背景説明に多くの記述が割かれてしまっているので、少しトーンが落ちるな。 | ||||
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農業をネタとしたフィクションの場合、現場礼賛的(農的ライフスタイル礼賛)な要素が入りがちです。 そこをあえて切り落としている点に好感を持ちました。 そもそも「食糧生産としての農業」と「日本の農村文化継承」は切り分けて考える必要があるのですが 「日本の農業」というカテゴリーで語ってしまうと一緒くたになってしまい、両者の矛盾がかち合ってしまいます。 最近の農業小説「限界集落株式会社」黒野伸一や「幸せの条件」誉田哲也はその矛盾をテーマにしているという点で面白かったですが、 本作では、後者の「農村文化」はあえて切り落とすことで、より深く「農業」の問題に踏み込むことに成功しているように思います。 農林水産省主観、農業資材メーカー主観で語られるGMO・農薬・新農業施策はとても興味深かったです。 特に『「環境保護」の蓑に隠れた農薬批判が実はGMO推進の布石である』『日本の耕作放棄地に中国が目をつけている』 『農水省は兼業農家を中心としたJA的勢力をはやく切り捨てたい』 といった視点は「さもありなん」と思わせるに十分な材料が提供されており、勉強になりました。 また、自らのライフスタイルや食生活の本質を省みないまま「日本の農業や環境」を語り「TPPやグローバル資本主義」を批判する 浅い議論に対する著者の怒りには大変共感する部分がありました。 「元戦場カメラマンの養蜂家」という設定も私自身のプロフィールと重なる部分もあり、その葛藤にもリアリティを感じられました。 農業に対する基礎知識がないままで読むと、一つ一つの課題がもつバックグラウンドを理解するのに時間が掛かり ちょっと足早で退屈なのかもしれませんが、私にしてみるとこれぐらい詰め込んだ上で「ある視点」を提供しているという点で面白く 最初から最後までノンストップで読んでしまいました。 5年後には古くなってしまう情報かもしれないので、まさに「旬は今」の小説です。 | ||||
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本書は、著者らしく、農薬誤散布事件を冒頭に置いて、農薬会社の誠実さあふれる技術者、農水省の若い女性キャリア、元戦場カメラマンの養蜂活動家の3人の動きと思いが最初はバラバラに描かれながら、次第に農薬会社、農水省や永田町、地方の農村の様々な関係者、動き、思惑が拡散・交錯し、最後に大きな大きな動きが見えてくるという著者らしい展開が、テンポのいい語り口と虚実をリアリティを以、「黙示」のタイトルに相応しいラストまで一気に描いている。 主旋律としては、先達レビューで言われる通り、TPP・日本の農業の未来・食糧安全保障の3つのテーマをしっかり結びつけた骨太の問いかけになっている。読者が最も強く受け止めるべきは、TPP反対論で多く云われる日本の食糧自給が、TPPにより悪化する以上に、自然体で瀕死となるだろう暗澹たる未来予想図=黙示である。細部に神また悪魔が宿るとは古くからの至言だが、著者が示す事実や実状の一つ一つをまず読者が我がこととして調べ直して考えることなしに、黙示の意味するところは分からないだろう。 「黙示」自体が、キリスト教・ユダヤ教の原点に根差す、日本人には理解し辛い概念であるが、私の拙い理解では、黙示は単なる予言ではなく、一方で啓示であり、そこに示されることを受け止めた上で、如何にして民が生きていくかを神が問うているものだろう。 また、本書の原題が「沈黙の代償」であることを思えば、「黙示」には、本文中で何度も引用されるレイチェル・カーソンの「沈黙の春」を踏まえた部分があるだろう。同書は、本書に啓発された者が改めて読むべき最初の一冊であり、我々に彼女が示したところから、何を学び何を無視し何を行動しまたしなかったのかが、考えを進める上での第一歩であると強く感じた。 以上を主旋律といったのは、副旋律として本書ではたびたび3.11以降の日本のエネルギーの問題に言及されている故である。農薬は原発、GMOは米国からの輸入ガス火力と類推すべきであり、そうしたアナロジーを置くことで、養蜂活動を地産地消の自然エネルギー、ではあのプロジェクトは?、そして、早乙女議員や土屋はアレだなと組み立てることで、不毛な神学論争を繰り返した民主党政権崩壊後において我々は改めてエネルギー問題(原発問題ではない)を我がこととして地に足つけた再考すべきと分かるだろう。 (これまで、色々な思惑があったにせよ、日本がエネルギーと食糧で何とか米国隷属の最後の一線を守ってきたことは、シェールガスとTPPのメリットの前に、語られることも踏みにじられつつあることを、どれだけの人が理解しているだろう?あ、別に私はシェールガスもTPPも反対する立場ではないのですが。) それにしても、いつもながら、著者の作品の人物はリアリティ溢れている。今回でいえば、政治家と官僚達は、こういう人達も確実にいると知る者には、うんうんと得心させられるし、平井と代田の揺れる思いと考えは、我々自身と思えるところだ。 些末ながら、珍しく色気とサスペンスを仕掛けた部分は伏線の回収が曖昧で残念といえば残念だが、かえって読者に想像の余地を残したとも思うので減点とはしない。その点では、描き込み不足だが平井の会社の関係者もああいう会社らしい人物像を揃えていて面白かった。 | ||||
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著者の旺盛な問題意識によって、農薬およびその政策として現代の日本の農業を取り巻く諸問題について非常に勉強になります。(中盤まではとても面白いとも思いました。) ですがその半面で、著者の熱心さが仇になって、とでも言うのか、次々と新しい問題提起がなされて、議論の的がどんどん変わってしまいます。農薬の問題で始まっていたはずが、気付くと遺伝子組換作物の話が中心になっている・・・というように。 これらの問題はどれも、簡単に結論を出せないものばかりだと思いますが、小説に納得・共感しながら読み進める上では、曲がりなりにもそれぞれの問題へのオチというか、決着の仕掛けが欲しかったです。本文中に書かれているように、「何が正しくて、何が間違いか。そんな風に簡単に分けられるものではない。」とは思うのですが、一方で小説という装置の中においては、結論の出ない問題だからといって次々と問題提起をするというのが成功なのだろうか、とも思います。せっかく膨らんだ議論も、いつの間にか政治的な話でツツツと流れて行ってしまうのもなんだか残念です。 ですから、日本の農業の現状・問題点を知る、という目的で読むのには非常に適した本だと思います。 登場人物についても少し違和感を感じました。 主役の一人、養蜂家代田ならば農薬について(ネオニコチノイド系農薬の前世代である有機リン系農薬にも問題があることを理解している以上)ポストネオニコチノイド系農薬が出て来ても根本的には生態系に問題が起こると考えて、ネオニコチノイド系農薬の全廃だけではなく農薬一般の全廃を求める、という行動になるのではないか(いかに農家との共存が大切だとしても)、と思ってしまいます。また、人間に対して農薬を曝露させる実験などできない以上、この十年間において国内出荷量を三倍に伸ばしているネオニコチノイド系農薬の人間への影響はこれから生じるかもしれない、という危機感があると思います。 もう一人の主役、平井に関しても、子供の発作が雑誌に露見したことが、なぜ、「密告」というほど強いことになるのか、公明正大な人物に見え、事実は全て出すという行動になるのではないかと期待してしまうだけに相容れなさを感じてしまいました。 重ね重ね、面白い小説ではあります、ですが、小説に夢中になる、というよりは様々な問題点に唸らされる、という感じです、というのがわたしの感想です。 | ||||
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農薬、遺伝子組み換え作物、TPP。現代の食糧問題に切り込みながら、官僚の悲哀も描く。残念だけれど、盛り込みすぎで散漫な印象。緻密な取材で読ませる真山氏だが、本作は反対に人物造形の薄さが浮き出たか。特に、登場女性が魅力に欠ける。女性農水官僚、蓮舫張りの女性政治家、女性FP、主人公の妻…キーパーソンが女性だが、深みがない。次回作に期待。 | ||||
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「ハゲタカ」の著者による農薬と養蜂を軸に食料問題に切り込んだ経済小説。TPP問題などで食料に対する意識が高まっている今、とてもタイムリーな話だと思います。 真山氏は今まで、企業買収、エネルギー、マスコミなどにたいする問題提起を周囲の人間模様を織り交ぜながら浮きだたせることがものすごくうまく、物語の中にぐいぐいひき込まれてゆきますが、本作品については、業界知識がない私にとって、農薬と養蜂の問題、農作物工場の問題などそれぞれに関係性が曖昧で、全体の筋が今ひとつ見えてきません。また、話に関係ないと思える登場人物も多く、多分、食料問題の範囲があまりにも広すぎて、真山氏自身どこにしぼって作品を書くべきかにとても苦労されてるのではないかと推察します。そのため真山氏の作品でいつも味わえるジェットコースーターに乗った後のような読了感が味わえませんでした。次回作に期待します。 | ||||
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物語は、農薬散布中のラジコンヘリが小学生の集団に墜落し、農薬を浴びて意識不明の子供が出て大騒ぎになるシーンで始まる。しかも、被害者の父親は、その農薬の開発者なのである。開発者である平井は、加害者および被害者でもあるのだ。この物語において語られているものごとは単純な“正しいor間違い”といったスキームには収まらない。このことは本書で一貫しているテーマである。たとえば、事故の原因となるネオニコチノイド系農薬は、使用法さえ間違えなければ安全とされているが、放射能のように安全性も危険性も目には見えない・・・したがって、人々には不安が残る。だからと言って排除すればいいのかは、単純な二進法的選択や説明では解決されない。 物話は主に、農薬メーカーの開発責任者・平井、養蜂家兼ジャーナリスト・代田、農水省の女性キャリア・秋田、3人の視点、それぞれの思い、事情がトロイカのように交叉しながら進んでゆく。そして、この3人以外に登場する女性編集者・土屋のNAIVE(単純、深く考えない)な行動・・・根拠なく農薬と放射能を結び付けて、ネット上で危険性を訴える。彼女の無邪気ともいえる、責任を負わない、発信は、限度を超えて拡大して行く。土屋の存在が、主要な3人を際立たせることに繋がる。これは、著者の狙いであり・・・効果的であったと思う。組織の中で、言動に責任を負わされている3人の苦悩、奮闘ぶりが読みどころであろう。本書で語られる”日本の食と農業“は・・・農薬の是非、TPPでもたらされる農業への影響、米中の食糧戦略等々を含んだ大テーマですが、非常に興味深く、一気に読んでしまいました。著者の取材力に感心した。お薦め。 | ||||
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