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黙示
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黙示の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.93pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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農業と食糧がテーマ。農水官僚、養蜂家、農薬開発者を通して著者の問題意識を明らかにする社会派小説。農薬によって生活が維持されていることは否定できず、農薬が毒になるか薬になるかは使う側の問題。GMO(遺伝子組み換え作物)は人類が新しく手に入れた打ち出の小槌で、多少危険だとしてももはや誰も止められない。外国企業にやりたい放題に日本の市場を荒らされる前に、政府として研究を怠ってはいけない。 単行本は2013年刊。当時は3.11の記憶も新しく反原発の空気がまだ日本を覆っていた時期でした。本作を通して、著者は安易な二分法に陥ることの危うさを暗に訴えようとしたようにも思えます。 物語の展開はやや消化不良。農薬開発者の平井と懇ろになったFPの結城さおりが美人局として噛んでいそうな感がありましたが、本人の転勤で結論は明らかにされないまま。ミステリーのような謎解きを期待すると肩すかしを食らいます。 | ||||
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アマゾンで買った本のみレビューしています。物語・作り話が好きなので小説しか読みません。リアリテイー等は関係ありません。事実と違うなどと言ってる人がいますが、なぜ事実じゃないと知っているのでしょうか?学者が書いているから?不思議で仕方がありません。物語では信長は本能寺で死ななくてもいいのです。面白いか面白くないかのみが判断基準です。それではよろしくお願いします。 | ||||
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さすが真山氏、文章は読ませる。それだけでも読む価値はある。 しかし農薬のフィクションをノンフィクションのように語るのはフィクションの作法を逸脱している。内部告発(問題提起)の体で嘘しかない。これを信じる読者への誠実さが「ゼロ」であることが残念だ。 駄目な点 0)農業政策の問題を盛り込んだと思われるが、話が発散していて共感を得られない。日本の農業が輸出する点と、中国に買収される点が述べられているのである。問題点として同じで、挙げるのは単なる発散でしかない。(真山氏の危機感よりも)小説としての面白さを追求してほしい。 1)現在の農薬は100gくらい食しても健康被害がないと認識している。それを希釈した薬剤に少量暴露しただけで数人の被害者が出るのはフィクションである。アレルゲンはSFとしてありと思えるが一般被害がある時点で「とんでも」である。 本質的に氏が「農薬」に対する理解が低いと思わざるを得ない。専門家でないのでそれはいい。でも「明らかな嘘」ならば別の薬剤にして欲しかった。現在存在する薬剤を嘘で批判している時点で、「とんでも」である。そのことを理解して読む必要がある。科学知識に関しては「全部嘘である」。重ねて述べるがフィクションならばこのような表現を行わない。 2)具体的な「ネオニコチノイド系」を標的にするのは悪手であった。 アレルゲンを原因にストーリーを引っ張るのは「フィクションであればあり」だと思う。しかし希釈された剤に暴露した数人の健康被害はあり得ない。原液を使う農家はどうなんだよと突込みが入るわけである。 発刊当時はともかく、西洋ミツバチへのネオニコチノイド系農薬の影響は少ないと報じられている。真山氏の見解は置いておくとして、事実でないことを事実として表現するのは問題である。 面白い点 人物の練り込みや葛藤が非常に面白い。読み物として非常に優れている。上記のように事実とはかけ離れていることに注意。 面白さで4点。締めが締まらなかったので-0.5点。フィクションと嘘を混同しているので-0.5点。 | ||||
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時事問題を論じるとき、一筋縄ではいかないご時世です。 地球温暖化に警鐘を鳴らす人は原発推進派だと勘ぐられ(実際そういう人物もいるようです) 農薬反対の自然保護派の中には、遺伝子組換え植物を積極的に推進していこうという もくろみを持った人もいるでしょう。 本作は農水省の若きキャリア・養蜂家・農薬会社の開発者、3人を視点人物に据えて話が展開していきます。 丁寧な筋書きを紹介されているレビュアーの方もいらっしゃるので、 私は以下の点を付け足したいと思います。 本作で問題になっているネオニコチノイド系農薬、 ユーロではそのうち3種の使用禁止が決定しました。 期間は2013年10月から2年間。 理由は、ミツバチ激減の理由を探るため―。 わが国では、科学的な根拠・関連性が証明されなければ、 おそらく使用禁止にはならないでしょう。 しかし、確定的な根拠はなくても疑わしいから期間限定で禁止してみようというのは、 英断だと思います。 それによって、2014年以降の主に菜種・大豆のヨーロッパにおける生産高が、 かなり減少する模様です。 この情報は、先物取引業者からのものです。 インフレが世界を襲うと警鐘する学者やアナリストが多い中で、 大きなリスクを負うことになるいもかかわらず、ユーロはこのような決断をしたわけです。 それほど、私たちが直面している環境問題は切羽詰まった状況にあるといってもいいと思います。 専門家の危機感を、一般人も共有しなくてはなりません。 この小説の終盤で、 農薬会社の屋上に養蜂家が巣箱を持ち込む場面が出てきます。 ハッピーエンドとはいかないまでも、私にはこんな終わり方でいいのかな、と感じました。 日本の優れた農産品を積極的に輸出しようという計画も、 これから襲ってくる人口爆発・新興国で進行中の中流階級増加・著しい気候変動等を考えると、 国内での自給率を上げる方が緊急課題なのではないかと感じてしまいます。 本作はもちろん問題に答えを与えてはいません。 考えるのは読者各々ですよね。 | ||||
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2013年の高校生英語ディベートは「米の関税廃止」農業問題の本を読む過程でこの本に出会いました。普段小説というものを読まないので,小説的にした部分は今回の読書には邪魔。(「いるいる」という表面的に問題を理解して,正義感を振りかざしてホームページに一方的に危険をあおる女性のくだりや,主人公とおぼしき農薬会社の社員と犬の散歩で出会った女性との情事,うまくいっていない妻との出会いや関係など) 登場人物が多いのは問題を多角的に捕らえるには必要だと思いますが,あまりに多く,それもちょっとしか出てこないので,これも煩わしいです。 結局,読後感は農水省も頑張って,ばかな政治家に抵抗しながら,農業にむらがる企業をコントロールしながら,「強い農業をめざす」といった感じ。小説には珍しく参考文献の一覧があり,書かれた内容には信憑性がありそう。ただ,どうしても総花的で現在の関心事,「日本の農業は関税廃止によってどうなるか」という疑問には当然のように答えてもらえませんでした。 | ||||
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著者の旺盛な問題意識によって、農薬およびその政策として現代の日本の農業を取り巻く諸問題について非常に勉強になります。(中盤まではとても面白いとも思いました。) ですがその半面で、著者の熱心さが仇になって、とでも言うのか、次々と新しい問題提起がなされて、議論の的がどんどん変わってしまいます。農薬の問題で始まっていたはずが、気付くと遺伝子組換作物の話が中心になっている・・・というように。 これらの問題はどれも、簡単に結論を出せないものばかりだと思いますが、小説に納得・共感しながら読み進める上では、曲がりなりにもそれぞれの問題へのオチというか、決着の仕掛けが欲しかったです。本文中に書かれているように、「何が正しくて、何が間違いか。そんな風に簡単に分けられるものではない。」とは思うのですが、一方で小説という装置の中においては、結論の出ない問題だからといって次々と問題提起をするというのが成功なのだろうか、とも思います。せっかく膨らんだ議論も、いつの間にか政治的な話でツツツと流れて行ってしまうのもなんだか残念です。 ですから、日本の農業の現状・問題点を知る、という目的で読むのには非常に適した本だと思います。 登場人物についても少し違和感を感じました。 主役の一人、養蜂家代田ならば農薬について(ネオニコチノイド系農薬の前世代である有機リン系農薬にも問題があることを理解している以上)ポストネオニコチノイド系農薬が出て来ても根本的には生態系に問題が起こると考えて、ネオニコチノイド系農薬の全廃だけではなく農薬一般の全廃を求める、という行動になるのではないか(いかに農家との共存が大切だとしても)、と思ってしまいます。また、人間に対して農薬を曝露させる実験などできない以上、この十年間において国内出荷量を三倍に伸ばしているネオニコチノイド系農薬の人間への影響はこれから生じるかもしれない、という危機感があると思います。 もう一人の主役、平井に関しても、子供の発作が雑誌に露見したことが、なぜ、「密告」というほど強いことになるのか、公明正大な人物に見え、事実は全て出すという行動になるのではないかと期待してしまうだけに相容れなさを感じてしまいました。 重ね重ね、面白い小説ではあります、ですが、小説に夢中になる、というよりは様々な問題点に唸らされる、という感じです、というのがわたしの感想です。 | ||||
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「ハゲタカ」の著者による農薬と養蜂を軸に食料問題に切り込んだ経済小説。TPP問題などで食料に対する意識が高まっている今、とてもタイムリーな話だと思います。 真山氏は今まで、企業買収、エネルギー、マスコミなどにたいする問題提起を周囲の人間模様を織り交ぜながら浮きだたせることがものすごくうまく、物語の中にぐいぐいひき込まれてゆきますが、本作品については、業界知識がない私にとって、農薬と養蜂の問題、農作物工場の問題などそれぞれに関係性が曖昧で、全体の筋が今ひとつ見えてきません。また、話に関係ないと思える登場人物も多く、多分、食料問題の範囲があまりにも広すぎて、真山氏自身どこにしぼって作品を書くべきかにとても苦労されてるのではないかと推察します。そのため真山氏の作品でいつも味わえるジェットコースーターに乗った後のような読了感が味わえませんでした。次回作に期待します。 | ||||
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