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溺れ谷
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【この小説が収録されている参考書籍】
溺れ谷の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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昭和30年代は、戦争からの復行で、色々な、事が変化した時代。私の祖父もいわゆる「芋飴工場」で、水飴の原料を作っていたが、砂糖の輸入自由化で、工場を閉じました。 | ||||
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この小説をカッパノベルスで読んでいた頃はロッキード事件報道の渦中(1976年春)。「構造汚職」と言われるものの実態の一例が、このミステリーとも言い難い小説には示されていた。 その頃はまた自分にとって高3の受験勉強の渦中。「溺れ谷」のカバーを「試験にでる英単語」に貼り付けて、学校では勉強していない振りをしていた。あぁ、恥ずかし。 と言うわけで、この「溺れ谷」は清張の多くの作品中最も自分には思い出深い作品。政治の腐敗を憎むことが知識人たらんとする人間の矜持だと無邪気に信じていた頃の思い出。誠に私的な追憶です。すいません。 | ||||
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題名が象徴的で清張作品ならではの詩的な感じがする。 字が大きい。そりゃその方が読みやすいけど、小さい字にすればページ数も減ってコストダウンになり、ひいては価格も安くできたのでは? (^_^;) さてさて、本作品が雑誌に連載されたのは1964年、東京オリンピックの時代であり、“あこがれの昭和30年代”最後の年だ。(本書の親本カッパノベルス版は1974年刊) “貧しいけれど心豊か”だったはずのその時代にも、男にだまされる女もいれば、女に泣かされる男もいた。あまりにも当然の話。 そして、利権のあるところに政治家と企業の癒着が発生するのもありがちなこと。本書のテーマの一つでもある。 同時に、「戦後強くなったのは、靴下と女」と言われた時期があったが、本作品が書かれた頃もまだそう言われていたはず。 しかし本作品を読むと、まだまだ男目線の社会だったことがわかる。「戦後、女と靴下は強くなった」という言い方は、戦前戦中の男女格差の甚だしさを逆照射しているとも言える。 だが、本作品の女はどうだろうか。 作者は彼女を共感を持って造形している。彼女の決意は、ヒッチコックの映画「汚名」(1946年)のバーグマンを連想させる。 彼女は現実の下で、自由であり、自由でしかあり得ない。彼女は他の決断もできたが、これを選んだのだ。 ちなみに、本書は「松本清張プレミアム・ミステリー」として刊行されているが、本シリーズ恒例のカッパノベルスカバー写真によれば「長編小説」とうたっていたことがわかる。『黒の回廊』や『二重葉脈』は「長編推理小説」)。 本書の場合、キャッチコピーふうに言えば、謎の事件は最後のページで起こる。 | ||||
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個人読書履歴。一般文学通算99作品目の読書完。1976/12/15 | ||||
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悪徳経済雑誌記者(トリ屋と呼ばれる)・大屋圭造は、往年の名女優・滝田香具子を亜細亜精糖社長・古川恭太を斡旋、消化し、自由化を控えて蠢く業界の動向を探ろうとする。ところが、女優の滝田は時の農務大臣の是枝にまわされ、大屋の思惑はからぶりとなる。しかし、古川の行動は奇怪そのもの。このことを追求するうちに、古川は精糖業界の水面下の動きにまきこまれていく。 一方、彼の同業の藤岡真佐子は鶴田という奇妙な人間(政界ゴロ)と接触していた。ひょんなことから大屋はこの鶴田を真佐子に紹介をしてもらうが、このことが契機で大屋は現職の農相が闇取引する現場をおさえることになる。 実はこの鶴田という男はドミニカ砂糖汚職事件の際の農政局長であったが、真佐子はこの汚職事件で犠牲になって自殺した課長の愛人で、鶴田に復讐の機会をねらっていた。大家はこの真佐子から精糖業界の汚職摘発を狙う矢口検事を紹介してもらい、そのおおらかな気質、正義観に共鳴し、協力を誓う。 亜細亜精糖は設立したばかりの工場を対立するN精糖に売却し、古川社長は大損をしたかにみえたが、実はこの措置は次にくる砂糖自由化への布石すぎなかった。 予想する展開にはならない。話が迷宮化するが、ストーリーは筋がとおっている。 社会の悪にはらをすえかね、ひとりの人間がそれに立ち向かうが、社会の大きなうねりが小さな人間の意図をかき消してしまう。 | ||||
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