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天に星 地に花



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天に星 地に花の評価: 4.59/5点 レビュー 22件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.59pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全22件 21~22 2/2ページ
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No.2:
(5pt)

「天に星、地に花、人に慈愛」。それは、世の中を美しくする。

久留米の大庄屋の次男坊、庄十郎は危うく命を失う疱瘡から生還したのを機に
故郷には帰らない覚悟で、助けてくれた木林鎮水について医師の道を目指す。
診療に訪れる患者の口を通して、飢饉に苦しむ人びとの様子、大庄屋の責任、
一揆寸前の農民の様子が、生なましく描かれる。
餓死者も出るような厳しさと苛斂誅求を究めるお上への恨み、そして束の間の
平穏な暮らし。
晴が続くと雨乞いをし、雨が降れば降ったで病虫害を憂える。
まったく、農民の暮らしには心配の種だけはいっぱいある。

しかし、それはいつも変わらず続いている人びとの営みに他ならない。
主人公の患者に対する真摯な姿勢を「病を克服する最後の決め手は、
患者に宿っている治る力」、「医は祈り」という言葉で表現する一方で、
「世にあまたいる医師の多くが、おのれのみ満足し、…」と、現代にも
通じる医者の世界にもチクリ。
天に星 地に花Amazon書評・レビュー:天に星 地に花より
4087754170
No.1:
(5pt)

筑後平野に生きた人々

大庄屋の家に生まれ医師となった主人公を中心として江戸時代中期の市井に生きる人々が描かれている。
大庄屋の家族とともに無名の農民達の日々の生活もよく描かれている。
当時の久留米藩の無謀過酷な搾取税制と戦った農民達の物語でもある。
けっして派手さは無いが感動がじんわり淡々と浮かんできた。

福岡県小郡市出身の作者の殆ど地元(あくまで現代のクルマ移動だとね)あたりが主な舞台。
西に背振山・北に宝満山・近くに花立山、そして南に向かって明るく開けた広大な筑後平野。
地理的な臨場感が伝わってくる。
(大分自動車道を福岡方面に戻る時の甘木ICと筑後小郡ICの間あたりの左側の風景が主舞台のやや北になるのかな。花立山は本当に低い山だ。)
そして龍のような大河が筑後平野の風土を完成させ、この作品の骨格の一部を成している。

豊穣の秋となった筑後平野を描いた緒方修一氏のカバー絵も素晴らしい。
読了後にしみじみ眺めていると、稲刈りに励む百姓夫婦そして畦を歩き去る医師のあふれんばかりの喜びが伝わってくる。
「今年は良かったなー」とか言葉を交わした後なのかな。
カバーではない状態のこの絵が欲しい。

同じ作者の「水神」、こちらも素晴らしい作品。
未読の人には先にこちらから薦める。
筑後平野久留米藩もの、という意味での連作なので。
天に星 地に花Amazon書評・レビュー:天に星 地に花より
4087754170

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