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ファンタジスタドール イヴ



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【この小説が収録されている参考書籍】
ファンタジスタドール イヴ (ハヤカワ文庫JA)

ファンタジスタドール イヴの評価: 4.73/5点 レビュー 11件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.73pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全11件 1~11 1/1ページ
No.11:
(5pt)

レビュー

満足です
ファンタジスタドール イヴ (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:ファンタジスタドール イヴ (ハヤカワ文庫JA)より
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No.10:
(5pt)

あとがきが秀逸

夢野久作を思わせる古い文体や太宰のようなこじらせた登場人物、そしてバカバカしいオチにつなげるために張り巡らされた伏線。ニヤニヤするしかないですね
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No.9:
(4pt)

野崎作品の新境地

「[映]アムリタ」や「2」「know」など今までの野崎作品とは明らかに作風が異なる。

女体への倒錯したこだわりを持つ天才科学者が主人公は、その特異な性癖がトラウマとなり、異性を含めて他人と良好な人間関係を築けず、己の研究に没頭する。まるで昭和の古典的純文学のような、ある種頽廃的な雰囲気すら感じさせる作風だ。

野崎作品の定番である、読者をあっと言わせるどんでん返しもない。物語はある意味淡々と、狂気をはらみつつ静かに進む。

文体も時に古風。しかし時代は科学技術が進歩した近未来というギャップの不思議。

もとはアニメらしく、マンガ版も存在するなどメディアミックス展開されているようだが、この小説単体でも何の問題もなく楽しめる。
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No.8:
(5pt)

驚いた。

本編とのギャップに驚きを禁じ得ない。明るく可愛らしい本編とは異なりこちらは人間の暗黒面を浮かびあげるように、それでいて淡々と描写している。
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No.7:
(4pt)

アニメを知らない方でも楽しめます

私はアニメを知りませんでしたが、まったく問題なく話を読み進められました。
ただ残念なことといえば、やはりアニメに関係するためにか、それともページが指定されて少なかったのか、もう少し語られてほしかったなと、内容がもう少しあっても良かったなと思いました。
面白いだけに、語られない部分があったのは残念でしたが、それでも十分に楽しめます。
野崎まどが好きな方なら、アニメを知らなくても全然問題なく楽しめます。
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No.6:
(5pt)

野崎まどが描く理系男子の気持ち悪さは最高だね

人間失格が大好きでかなり童貞こじらせぎみの私にとっては大好物な内容でした。
ちなみにアニメは未視聴です。
主人公である大兄の異常なまでの女体への執着と、同じ研究室にきた女性の中砥、彼女を他の男性に奪われた遠智。
主人公が狂気に堕ちていく様が読者を惹きつけずにはいられない作品だと思います。
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No.5:
(5pt)

野崎まどファンには一発で受ける

SFの枠組みを使って、自分は特殊と思い込んで暴走する、どこまでも子供を抜けきらない男性の繊細さと馬鹿さ加減と、それを温かく見る女性の成熟とを描いた作品としてお薦めしたい。
人間にとって性への対応は本能に任せただけで進められることではなく、両親や身の回りから直接的に、間接的に、見て、聞いて、触って、嗅いで、学習しないと分からないものである。本作の主人公:大兄太子は、運悪くこの学習に失敗し続ける。その結果として、女性のごく一部への執着と女性全体への恐れや嫌悪が形成され、その代償として物理学研究に没頭して、果ては理想の人工女体を造るプロジェクトを推し進める。そんな大兄の自嘲の語りである。でもそれがファンタジスタドールを生み出すことになる。
本の帯には「こうして私は人と離別した」と人間嫌いな科学者の話のように書いているが、それは見せかけで、一時期とはいえ主人公の側にいて互いに影響しあった婦人が本編最後の数行で語っていることが真相なのだろう。野崎まど氏にしてはいつもより穏やかなどんでん返しである。
しかし、本当の意味のどんでん返しは小説の最後にあるのではなく、この小説そのものが依頼者(ファンタジスタドールのクリエイティブプロデューサー谷口悟朗氏)の要求を全て満たしながらもファンタジスタドール誕生のとんでもないダークサイドを大真面目に悲劇的喜劇に仕上げられてしまったことにあるだろう。野崎まど氏の見事な力技で、ファンなら見逃せない。
一方、明るく楽しいファンタジスタドールの前日譚と期待して読んだ方々にはこの小説は受け入れられないのではないか。
「明るいファンタジスタドールの成立には実は暗い話があったのだ」と納得するよりも、大兄太子って奴はバッカな男だねぇと苦笑するべき作品と思う。
大兄の研究機関の名称が「Y-ome」でオタクの2次元キャラへの「俺の嫁」宣言をいじっているところや、最後に掲載されているもっともらしいドール誕生に至る年譜を、著者はどんな顔をして書いたのだろうと想像すると、つい微笑んでしまう。
谷口氏は、解説「陰としてのファンタジスタ」で「『イヴ』には驚きが多くあり、喜ばしい発見」と書いているが、負け惜しみっぽい。若い野崎まど氏が上手だった。

女性型アンドロイドの始まりを書くことから、理想の女をアンドロイドで造るというヴィリエ・ド・リラダン著未来のイヴ (創元ライブラリ)に倣ったのではないだろうか? ちょっと古い文体と漢字の多用は正漢字・歴史的仮名遣いで翻訳されている「未来のイヴ」を意識してなのかもしれない。
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No.4:
(5pt)

不気味の谷のシュールさ、開発者の情念を切り取る物語

アニメ未見、野崎まど劇場のみ既読で拝読。言わずもがなだが、イヴはクリスマスイヴのイヴ(前日譚)であると同時にアダムとイヴのイヴでもあるダブルミーニングだろう。
ドールと呼ばれる戦闘美少女の開発物語を、美談で糊塗せず幻想に逃げず、ただそういうものとして描く。基礎理論付けの話で完成体は出てきません。アニマ等といったタームを押さえて、あるいは人間失格や人でなしの恋を踏まえて語るのが正しいのだろうけど、まずもって想起したのはリリエンタールの末裔であった。工学研究を支える開発者の、技術の話では届かない、情念という業の部分を抉るもの。近代日本文学のフォーマットを模倣することでズレたおかしみを醸すものでもあるので真面目と戯れの境界は判然としないが。

アニメとは全く別物らしい。とはいうものの、聞く処によるとアニメのドールも随分滑稽な形で実戦投入されるそうで、ソリッドなものなら何もおかしくない所に萌えを混ぜた実装で奇矯さが浮かび上がる感触は共通なのかも。笑えばいいのか、底意を読み取るべきなのか、どうにも呑み下しにくい不気味の谷のシュールさが光る。Twitterで研究室の男はマルチか初音ミクを作りたがっててキモいと発言して炎上した理系女子に読んでほしい、もしくは読んでほしくない小説。
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No.3:
(5pt)

ピグマリオンコンプレックスは「人間失格」なんだろうか?

「『人の限界』を超える存在の誕生」を描き続ける作家、野崎まどの最新作。同名のアニメも在る様だけれども
小生はアニメはほとんど見ない事から、野崎まど個人のファンとしてレビューさせて頂きますのであしからず

物語は幼い頃から「女体」に対して異常な興味を示し続けてきた主人公・大兄がその興味の対象を失い続ける
幼少年期から始まる。父に連れられて訪れたルーブルでのミロのビーナスの乳房に衝撃を受け、からかい半分で
自分の体に触れさせててくれた女中の娘の本音に恐れを抱き、「学者になろう」と誓い合った小学校の同級生の
着替えを盗み見していた事に最初から気付かれていた事を恥じ入る…そんな大兄が研究者として何を生み出すのか?

ピグマリオンコンプレックス、日本では相当に多い「二次元コンプレックス」なんかも含まれるであろうこの種の
性癖は俗世間では「薄気味悪い趣味」、「女性の人格を無視した悪癖」と断罪されるものでしか無いが、ここまで
真正面からこの性癖を描いた作品は始めて読んだ。しかも主人公大兄や彼と共に研究者としての道を歩む遠智の
女性の「不完全な肉体」や「自分を裏切る心」に対する絶望とそこから「究極の女性」を創造しようとするまでを
描ききったという点で破格の小説ではないだろうか?

彼らを唾棄すべきマッドサイエンティストと称して「多数」の側に立とうとするのは容易い話だが、誰しもが
その心の内に「究極の異性像」を抱えている以上、それは自己欺瞞に他ならない。その意味において大兄も遠智も
純粋過ぎる存在であったと言えよう。小生も実生活の上で「理想が高すぎる」と指摘される事が多い人間であるだけに
彼らの痛ましいほどの「究極の女性」に対する渇望は理解できる部分が多分にあった

その一方で数多のレビューで指摘されている様に「ファンタジスタドール」開発に至るまでの年譜などは野崎まど特有の
稚気に満ちた「仕掛け」であり、全体的に言えば陰鬱な雰囲気が漂う本作のバランスを取っている。「仕掛け」と言えば
外来語を「ファクタア」「ジャクジイ」などと表記するなど戦前の文学を徹底的に模した作りもやはり稚気の表れだろう

そしてラストシーンはやはり野崎まどと言うべきか…作中に登場する某女性が発した一言はこの回顧録という形で語られる
自らを「人間として大切な何かを欠いた存在」として内省し続けた大兄に救いを与える言葉は見事な「救い」であった
160ページにも満たない比較的短い物語ではあるが、読みごたえは他の野崎まど作品に全く引けを取らない一冊であった
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4150311307
No.2:
(4pt)

間口は決して広くない

この作品は、複数メディアで展開するコンテンツ『ファンタジスタドール』の小説である。

内容は、アニメの前日譚であり、かわいいドールやアニメ版主人公うずめも登場しない。

主人公を務めるのは、ドール誕生の一翼を担った男だ。

この男の人間性は、社会的に不適格であり、お世辞にも綺麗ではない。

『誰かを救うためにドールを作る』

『技術の発展で貢献する』
などは微塵も考えていない。

彼が求めているのは、幼少期に観たミロのヴィーナスであり、触れた女中であり、覗き見た同志の
身体なのである。

根底に眠る幼少期からの盲目的な憧れから脱することができず、
そして道を踏み外す。

物語終盤、彼は、人として踏みとどまるチャンスを無碍にしてきたために、
そのしっぺ返しを食らうのであるがここの描写が見事。

私は、この『ファンタジスタドール』という作品に、『エンジェリックレイヤー』という作品を重ねていた。

ドールの誕生には何か泣かせる話があるのではないかと想像していた。

しかし、そこにあったのは、どこまでも人間臭く、常人では直視することさえ憚られるような
どこまでも純粋な憧れだった。

間口は決して広くない。だからこそ、刺さった際は、心を抉られる。
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No.1:
(5pt)

もうひとつのファンタジスタドール

率直に言ってアニメのファンタジスタドールとは異質なお話です。
しかし、研究所の存在などから、確かにアニメのお話とリンクしています。
アニメでは、ドールのアウェイキングは超常的な現象のように描かれていますが、
重力傾斜という架空の理論に基づいた科学的な現象であるという点が面白いです。

大兄が女体に強い興味を抱くきっかけと、それを拒絶する歪んだ人生が描かれる序盤、
研究者としての葛藤、人間らしさについて悩む中盤、
人間を人間が作り出すことの異様性に苦しみ、そして形にしていく終盤、
どこも野崎先生の流れるような文体に引き込まれました。
なんといっても、エロティックな回想とそれに抗う描写が素晴らしく、
入鹿との精神的な離別のシーンは鳥肌が立ちました。

また、年表がついていたのも面白いです。
現在の世界とどのようなつながりがあるのか分かります。

イヴを読んでから、もう一度アニメ版を見るとまた見方が変わるでしょうね。
小明は俺のY-ome!
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4150311307

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