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容疑者Xの献身



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【この小説が収録されている参考書籍】
容疑者Xの献身
容疑者Xの献身 (文春文庫)

容疑者Xの献身の評価: 4.19/5点 レビュー 856件。 Sランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.19pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全678件 461~480 24/34ページ
No.218:
(5pt)

うん。やっぱ東野圭吾くん天才

すんげぇおもしろい。もちろん徹夜。
男っていうのは基本バカなんです。不器用なんです。小さな正義感からちょっとしたことでも女性のためならいろいろしたくなるんです。
今回はものっすごい頭の固い数学者が女性に恋しちゃって「うお」って感じになってるんです。
これについて友人の湯川先生も「お前どうしたんだようそだろ」みたいなこと感じてますから、もう異常事態うぃっしゅ♪です。
若干湯川先生も今回は理屈とか抜きにして楽しそうです。
最後の描き方うまいね!子供のやつ!あれきっと見ちゃってたんだね!ですぐ学校戻ったんだね!そういうところを細かくあえて描かないのがうまいね!
うめぇって思わず口に出しました。子供!きみの純粋さがわかるよ!子供!
容疑者Xの献身 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:容疑者Xの献身 (文春文庫)より
4167110121
No.217:
(5pt)

面白かったです。

東野さんという作家は、
論理的で緻密な構成の「本格」っぽい縦糸と
恋愛・家族愛・青春・ファンタジーといった「文学」っぽい横糸を、
感情的でなく淡々と、でも丁寧に織り込んで、
ミステリという1枚布に仕上げる名手だと思います。
この「容疑者Xの献身」もまさにそんな小説で、
ミステリでもあり純愛小説でもあります。
その献身の理由(きっかけ)が最後の数ページになって
初めて明かされることこそが最大の謎解きです。
本来ガチガチの本格モノが好きな私にとって、
そこまで夢中で読まされたこと、それ自体が謎解きで
あったことに驚かされました。
次の作品もどんな織物なのか、楽しみです。
容疑者Xの献身Amazon書評・レビュー:容疑者Xの献身より
4163238603
No.216:
(5pt)

東野ミステリーナンバーワン!

 この作品で東野圭吾が直木賞を受賞したので、以前から気になっていましたが自分は文庫本しか読まない主義なので、文庫化されやっとこの作品に触れることができました。 過去に東野ミステリーをいくつか読破しましたが、この作品が間違いなくナンバーワンです。 数学者石神の作り上げた隣人の母娘の起こした殺人事件を隠すためのトリックは、思わずうなってしまいました。それを、暴いてしまう湯川もさすがです。 とにかく読んでみて損はなしです。 皆さん実際に読んで、このトリックに感嘆してください。 
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4167110121
No.215:
(5pt)

純愛には出来ない、ならない。だから「献身」

トリックも最後にならないと分からず、誰も幸せになれない内容だから良い小説だと思います。
結局、石神の思いは報われなかった。私には、靖子は石神を思ったから自首したのではなく(深い愛情に感動はしたと思いますが)、娘の為と自責の念からのもの。と、読めました。
犯罪者は犯罪者。
東野圭吾としては、湯川に「素晴らしい頭脳を、そんなことに使わねばならなかったのは、とても残念だ。非常に悲しい。」と代弁させてる気がします。
石神が靖子達によって、生きる事の喜びを得た。これだけでも充分に納得の行く動機です。人間は生きる目的を見失うと、毎日が絶望の惰性で生きるだけだから。
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4167110121
No.214:
(5pt)

数学への愛情とプラトニック・ラヴは等価関係にある

冒頭の殺害シーンと主人公の登場からもう一気に物語へと惹き込まれた。そのスピード感は見事。人物設定と間然とする所のないプロット(トリック)も云うことない。文句なしの傑作。それにしても、最後の疑問だが、(1)P≠NP問題はそもそも数学的に解けるのだろうか?(2)哲哉と靖子はいずれ結ばれるのであろうか?
容疑者Xの献身Amazon書評・レビュー:容疑者Xの献身より
4163238603
No.213:
(4pt)

これは純愛か?

この小説のテーマはトリックと純愛?(私は自己犠牲だと思いますが)です。
一つ目のトリックは一流です。
トリックの質は違いますが「葉桜の季節に君を思う」と同じような衝撃を感じました
思い込みがあった私にはこのトリックはわかりませんでした。
そういう意味では十分楽しめました
しかし、二つ目のテーマである純愛?に至る過程が今一歩不十分と言うかわかりにくいです
なぜこれほどまでに自己犠牲を払うようになったのか、
数学教師の心の変化や心の闇、心の襞といった面の描写が不十分です。
なぜそうなのかがトリックと違ってあまりにチープすぎて
納得できませんでした。
まあ、普通に読んでる分には十分楽しめます
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4167110121
No.212:
(5pt)

東野圭吾的な作品

東野圭吾の作品を愛読している人なら、序盤でトリックが分かったと思います。
例えば、最初の章の描写は、東野圭吾作品では最後になって最も重要な意味を持っているのが分かります。
後、作者はアンフェアなトリックを使わないことと、アリバイの曖昧な完璧さと、序盤で重要な?情報をそれとなく隠していること、石神の人間描写の部分から、トリックが推察できました。
そういう意味では、従来の東野圭吾の作品の延長上の作品であるといえます。
ただ、それを差し引いても、飽きることなく読み進めることができました。
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No.211:
(4pt)

シリーズ初の長篇作品

刑事・草薙がもちこむ不思議な事件を
友人である科学者・湯川が科学的知識で解く
推理小説、シリーズ三作目。
今回は、初の長篇です。
昔の夫につきまとわれ、お金をせびられる靖子。
彼女とその娘・美里は、突発的に前夫を殺してしまう。
靖子にひそかに思いを寄せていた隣人・石神は
その殺人の隠匿に手を消すが。。。
石神の隠匿計画はうまくいくのか、
あるいは警察や湯川が、石神の計画を全貌を暴けるのか。
今回、一見不思議な出来事はありません。
湯川がかかわるのは、石神がむかしの同級生で
その天才的頭脳を認めていたから。
そんな石神の計画は、細部まで見事ですが
このお話はトリックや謎解き以上に
犯人たちや湯川の心情にひきこまれます。
直木賞受賞作。
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No.210:
(5pt)

ミステリーとして傑作

純愛うんぬんの話はさておき、ミステリーとして傑作だと感じました。
トリックの大胆さ・周到さ、伏線の巧妙さ、さりげない叙述トリック等、
第一級のミステリだと思いました。
作者のミステリ作家としての力量がよく表れていると思います。
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4167110121
No.209:
(4pt)

真実の愛とは……

「真実の愛」とは私欲を排し、愛する者の幸福のみを希求する感情に基づくものとされている。
その意味で捉えるなら、この数学者は「真実の愛」を知っていた。
トリックは見事だが、天才数学者と称されるほどのトリックではない。普通に読み進めていても、8割は予想通りの内容だった。いささか曲解なのかもしれないが、人生で初めて抱いた恋という感情によって彼の能力が制限されていたとさえ思える。
数学者の数に対する愛情は驚異的だ。代数学をやっている友人がいるが、数字に対する彼の態度は、常識的な感覚からいえば異常である。
もしも、そのような数学者の感情が人間に対して向けられたら、どれほど純粋な愛となるのだだろう……
確かに彼に犯したことは社会的には許されざるべき行為だ。しかし、それによって彼の愛が否定されるべきものではない。勘違いしている人が多いが、愛は道徳的なものではない。愛は残酷で反社会的なものにもなりうる。しかしそれでもなお素晴らしいと認めざるを得ない。戦争という残虐な行為が完全に否定されえないのは、大切な者を守るという愛が存在しているからだ。誰かを愛するということは、誰かを不幸にするということ。私達の世界では通常目立たないが、これは厳然たる事実である。
どうしようもなく究極的な状況に陥れば、人はいくらでも残虐になるのではないだろうか?そして、そのことを第三者が糾弾することは、少なくとも愛に支配された当人にとっては、(重い刑罰を受けるとしても)何の意味もないのではないだろうか?
少なくともこの数学者はそうだった。そして、彼の心は純然たる愛で満たされていた。
そういった意味では、本作品は世の中に流布する過度な愛の賛美に対して、疑問を呈しているとも捉えられるかもしれない。もちろん逆の見方も可能だ。
容疑者Xの献身Amazon書評・レビュー:容疑者Xの献身より
4163238603
No.208:
(4pt)

天才の答え

私が出来る、あなたの為の行動。
それは論理的で、そして罪深い。
容疑者Xは、傍から見れば異常としか映らない行動を起こす。天才の頭の中の式に当てはめれば、犯罪でさえも瞬時に答えが導き出されたのだろうか。淡々としていて感情が感じられなかった。自分の逃げ道を塞いでまでも成し遂げる偏った愛し方。それを示す方法。その結末・・・。
どういう思いでの犯罪か。本作品の筆者の別作、「白夜行」と似ていて、それでいて結末が異なる。その点も面白かった。どちらの「彼」の方が幸せだったのか考えてみるのも良いかも。
作中に容疑者Xとはまた別の天才登場。彼は名は湯川。別名ガリレオ先生?で筆者の作品に既出らしい。というわけで、、ガリレオ先生ファンにもオススメかも?ですよ。
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4163238603
No.207:
(5pt)

オススメします

文庫になったので早速購入。
内容自体は、読んでいる途中はどうしてこれが直木賞!?
なんて思ってしまった。しかし、最後まで読んで納得です。
更に長編のためこれまでの短編とは違い、人物の心情などを
細かく描かれていて、最後はとても切ない気持ちになりました。
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No.206:
(5pt)

これを機会に

東野圭吾は多作の作家で、青春ミステリでスタートを切って以来、社会派サスペンス、恋愛小説、メタフィクション、ユーモア小説などなど、幅広い作風で傑作を生み出してきた。
直木賞、本格ミステリ大賞、このミステリーがすごい!第一位、週刊文春ミステリーベスト10第一位、本格ミステリ・ベスト10第一位、と数々の栄冠に輝いたこの作品は、これからもずっと彼の「代表作」として語られることになるだろう。
この小説は、完全犯罪を期する数学の天才石神に、物理学者湯川が挑む謎解きを軸とし、愛や友情など人間関係のドラマをからめた複合的なストーリーである。作者の実力が遺憾なく発揮され、それらの要素が全くばらつかず、一つに融けあっている。
視点となる登場人物を入れ替えながら描写することで、謎が解かれるさまがわかりやすく、また登場人物の心情の揺れ動きなども明瞭になる。
無駄なシーンはそぎ落とされ、次々と展開していくので、退屈することなくラストまで通読できる。
「代表作」と「最高傑作」が食い違う創作者は数知れない。確実に東野圭吾の「代表作」であるこの小説に、私は五つ星をつけるが、これを彼の「最高傑作」だと言う気はない。彼には他にも素晴らしい作品が多数ある。
存分な知名度を得たこの「代表作」に、「名探偵の掟」からの東野ファンである私が望むのは、これが彼の他の傑作群を世に知らしめるきっかけとなってくれることだ。
東野圭吾作品をこれで初めて読むという人には、読後、他の作品にも手を伸ばしてみてほしい。もっとサスペンスを楽しみたい人なら「天空の蜂」、愛する人の為の犯罪が描かれる作品ならば「白夜行」、この作品が重すぎると感じる人には「怪笑小説」や「「あの頃ぼくらはアホでした」、といったように。
「代表作」を読んだだけで終わることなく、多くの人が他の東野作品を読み、自分なりの「最高傑作」を見つけてくれることを、一ファンとして祈ってやまない。
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4167110121
No.205:
(4pt)

トリックが最後まで分からなかった

天才数学者「石神」のトリックが最後まで分からないようになっており、事件の真相が分かるまで目がはなせない展開だった。警察が事件の真相を追究するのと同時に、石神の同級生の天才物理学者「湯川」も独自の手法で事件の真相に迫っていくやり方もおもしろかった。ただ、湯川が事件の真相に気付くには少しヒントが少なかった気がした。また、靖子が想いを寄せている男性の間で、靖子をめぐりやりとりがもう少しあってもよかったと思う。
容疑者Xの献身Amazon書評・レビュー:容疑者Xの献身より
4163238603
No.204:
(4pt)

純粋な男の犯罪

数学者である石神は、思いを秘めた女性が殺人を犯した現場に遭遇し、彼女と彼女の一人娘を救うためにトリックを仕掛ける。
そのトリックは誰も想像し得なかったもので、警察も読者も事件の重要な部分をだまされたままラストへ向かう。
湯川は、友人である数学者と刑事の間で気持ちを揺り動かされていた。しかし、単独で徐々に真実に近づく。
石神は、全てを完璧に仕組んでいた。アリバイというのは嘘を組み込んで作り上げるものだが、彼は真実を組み上げて作っていく。そして、それらは決して破綻しないのだが、湯川によって真実が暴かれそうになると、全てを覆す最大のトリックを仕掛ける。
しかし、それは、彼の純粋な愛を貫くがための行動だと湯川も驚くしかなかった。
事件の全容をひっくり返すトリックは驚きだけでなく、読者の涙を誘わずにはいられない。
作者も決して華美な言葉、大げさな言葉は使わない。警察の捜査も地味に進むが、進展しているようで、進展しない。意外とゆったりと時間が進んでいた。
しかし、不意に時間が速度を増す。そこからは夢中で読んだ。それまで霧の中をさまよっていたが、晴れたところに出る。それは最良の決断であり、最悪の場所だった。
最後の決意を知ると、秘めた思いの大きさがじんわりと心を打つ。
短編集を読んだあとだと、全体が流すぎるんじゃないかとは思う。
でも、あのゆったり感があってのラストの慌ただしさと、感動が味わえるのだろう。
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4163238603
No.203:
(5pt)

天才数学者の大掛かりな数式

読了後、面白かったでは無く読めて良かったと感じました。
天才数学者である石神が仕掛けた数式は、彼の全ての行動はその証明に必要なピースであり、不必要な式は一切無い物と理解した時の爽快感は素晴らしいものでした。
個人的には本格ミステリ物では東野圭吾の最高傑作だと思います。
容疑者Xの献身Amazon書評・レビュー:容疑者Xの献身より
4163238603
No.202:
(5pt)

湯川のライバル登場

探偵ガリレオ、予知夢を読んだ後にこの本を読みました。
前2作はそれぞれの事件が短編でしたが、今回は一冊まるごと1つの事件です。
最初に犯人は分かるのですが、後半予想外の展開となります。
また、湯川助教授の大学時代の好敵手であった人物との友情物語もあり、今までのガリレオシリーズとは一味違うように感じられました。
このシリーズは、長編で読んでも面白いです。
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No.201:
(5pt)

かくも悲しい物語・・・

「探偵ガリレオ」、「予知夢」に続く作品。
前者二作は短編で奇想天外なトリックを草薙、湯川のコンビで解いていく。
本作はこのシリーズで長編にあたり、物語そのものの厚みが出ている。
今までの化学や物理を用いるようなトリックは使われず、あくまでも登場人物である数学者の論理的ロジックを軸に話は進む。
すべては計算通り、湯川学が彼の友人であったこと以外は。
この手の物語では珍しく物的な証拠から物語の結末を引き出さない。
すべてはひとを思いやる気持ちから始まり、そして無残に終わる。
その気持ちが常識的尺度では測れないほど強いものだから、余計に悲しく感じる。
読み応えはあるものの、前半は昼メロや2時間ドラマものの体裁、その点、読者を引き込むものは少ない。
ここは草薙と湯川の間に生じる今までとは違ったアプローチを楽しむものだと感じた。
これを映画化するならば、キャスティングによる原作とは違った演出が必要だろう。
でなければ、観るものの感動はきっと引き出せない。
容疑者Xの献身Amazon書評・レビュー:容疑者Xの献身より
4163238603
No.200:
(5pt)

ただ、ただ号泣!!

遅ればせながら読みました。
あまりのやるせなさに、最後は涙が止まらなかった。
東野圭吾の本の中で、これが一番好きです!
今年の秋に映画化されると聞いて調べたら、
石神役は堤真一とのこと。
丸顔で目が細く、柔道部の顧問でガタイがいい
石神のイメージとはあまりにもかけ離れているので、
いったいどういう風に映画化されるか期待と不安が募ります。
私の頭の中ではドランクドラゴンの塚地さんみたいな人をイメージしながら
本を読んでたんだけど…。
容疑者Xの献身Amazon書評・レビュー:容疑者Xの献身より
4163238603
No.199:
(5pt)

ガリレオこと湯川学が挑む、数学の論理と純愛の論理の双対関係!

 探偵ガリレオシリーズの第3弾で初の長編小説。直木賞受賞作としてすでに数多くのファンを獲得しており、それは本書への250件近いレビューからも明らかである。今秋には映画化されるようで、おそらくその前に文庫化されることを想定すれば、本書に対する需要は増し続けるものと思われる。
 平凡な数学教師である石神に届いた「運命のチャイム」。いわば「純愛の論理」を「数学の論理」によって極限まで追い求めた男の心理を、切なさを交えて克明に描いた力作だ。多くのレビューが本書の価値や魅力を書いているであろうから、私が新たに付け加えることは多分ない。是非とも一読していただきたい。あえて印象を述べれば、湯川と石神の出会い・再会を描いた箇所には興味をそそられた。互いに別の道を歩むことになったとはいえ、そして二人の時間的距離がいかに開こうとも、両者の心理的距離は一瞬にして縮小するだけの関係であったことがよく分かる。
 またストーリーに直接的な関係はないが、石神が行った再追試における、答案用紙の裏に今の自分の考え=数学に対する自分の気持ちを書かせるという1シーンも強く記憶に残った。数学の本質なるものを教えようとする石神の教師としての熱意以上に、「数学を勉強することのそもそもの意味」に生徒が少しでも気がつけばそれだけで十分であるという学問論も決して無視できないように思うのだ。生徒が果たしてどのような「気持ち」を書いたのか、本書では描かれていないのが残念であるが、おおよその見当はつく。「数学と純愛」という一般人には似ても似つかないと思われるものの奥深くに潜む真理に私自身は理解が届いていないが、それは「崇高なるもの」の共通性なのであろうか。
 今後のガリレオシリーズにも大いに期待を寄せたいところである。月並みな表現で恐縮だが、いわゆる「美しいものには棘がある」、本書の鮮烈な装丁はそんな内面を物語っているのか・・・。
容疑者Xの献身Amazon書評・レビュー:容疑者Xの献身より
4163238603

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