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四度目の氷河期
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四度目の氷河期の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.08pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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全体的には楽しく読ませていただきました・・・差別や偏見、それぞれがそれぞれで生きる社会の中で、それぞれの正解と思えるものを見つけ出し少しずつ前に進む・・如何に私たち人間が周りの環境に大きな影響を受けて生きているかが分かり・・人間は社会性の中に生きていると強く感じますが・・この社会性には良い面も悪い面もあり、それを理解して自身の人生に活かしてほしいと感じます・・特に若者にはね!・・自分も経験ありますが、良くも悪くも大人や社会の一部を否定したり、漠然とした根拠のない思想を巡らしたとしても、それがあなたの選んだ歩みなら「動じない心を育てる必要があります」この作品からも、そういった強さと弱さと人の心は誠に弱いものだと感じます・・ | ||||
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成長するにつれて目立ってきた外国人のような彫の深い顔に薄い茶色の髪と目、どうして自分は他のみんなと違うのか?物心ついた時から父親はいないし、尋ねても母親は何も言ってくれない。保守的、排他的な田舎で、シングルマザーと息子の2人家族は目立ちすぎて冷たくあしらわれています。しかも息子は多少、発達障害の気があり、授業中に教室でじっと座っていることができません。彼は常に体に穴が開いているような気持ちをずっと持ち続けてきました。口べたで不器用で、友達もできずにいつも1人で山や森で遊ぶ毎日。母親が遺伝子関係の研究所に勤めていたこと、研究で旧・ソ連に滞在していたことがあり、それらの事実から彼は、もしかして自分は母親の研究対象だったクロマニョン人のDNAをかけあわせて母親が作った実験作品だったのではないか?と思い始めます。自分の長い手足や大きな手、茶色の髪と厚い唇などがとてもよく似ていると思えたから・・・。 そんな彼の、小学校、中学、高校の成長物語です。そして、ちょっとセンチメンタルで初々しい見事な青春物語という点で、他のレビューアさんたちとまったく同感。荻原氏はエンターテイメント作品を書かせたら読ませるし、本当にうまいと思います。 ただ、個人的にはラストがちょっと・・・でした。全編623ページ中592ページまではまさに星5つ、けれど残りの30ページが・・・。どうして作者がああいう終わり方を選んだのかよくわかりません。 少しネタばれが入ってしてしまうかもしれませんが・・・彼女、サチはもうロシアから帰国するための飛行機にも間に合わず、今頃は行方不明として関係者も大使館も、たぶん警察まで出て大騒ぎになっているでしょう。彼も、もう値打ちがなくなってしまったものながら、あれを盗んだことには変わりない。主人公はどうしてそんなことをしたのか、やむにやまれぬ主人公なりの精神的な理由があったわけですが、どうも話の流れに無理があるように感じてしまいました。人に、しかも他国で迷惑をかけ、国際問題にもなり、自分にとっても大きなトラブルになるであろうこんなことを、自分だったら決してわざわざやらないと思ってしまいました。それを言えば主人公は、それまでもいつも、状況を読むということができず、自分の感じるままに行動してしまう人間なのですが。 しかも2人はもしかして死んでいるかもしれない状況です。なんであんな天候なのに、あんな場所へ行くのか?文脈から、スノーモービルであそこから抜け出せないことは明らかですし、雪はどんどん激しくなり、あそこへ2人が来ていることは誰も知らないのだから、当然助けも来ません。けれど、「だいじょうぶ、ここをうまく抜け出ることができるって。だって隣にサチがいるから。」という言葉でだけ、作者は彼らが助かることを暗示しようとしているようです。常識で考えたらあれは助からない、けれどそんなことを言うのはヤボというものなのでしょう、きっと。どうもこのあたりが納得できなかったです。 もしかしてこれは大人になってしまった自分の、ものすごく分別的で常識的なつまらないものの見方なのかもしれません。ここは素直に感動するところなんだろうな、と。ラストシーンのために、どうもこんな感想になってしまったのが残念です。 | ||||
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荻原浩で、しかもこのタイトルからして、ちょっと前の就職氷河期の頃の、奮闘する女子大生の話かと思ったら、ぜんぜん違っていた。 ‘ぼく’こと南山渉(みなみやまわたる)のおおむね4才から高校を卒業する18才手前までの、“自分探し”の物語である。 「ぼくは普通の子どもとは違う。」ワタルは、5才を過ぎて幼稚園に入園してから自覚しはじめる。最初は「おとなしく座っていることができない」程度だったが、成長するにつれて、他の子供に比べて身長が伸び、髪が茶色で、貌のほりが深くなり、足も速くなる。なにより、父親がいない。町では親子でよそ者扱いだ。そして、なんとワタル少年は、「ぼくはクロマニヨン人の子どもだ」と思い込んでしまう。 そこから先は、男子だったら多かれ少なかれ誰もが経験する、小学校から高校までの成長過程の物語が、例によって快調な“萩原節”で語られる。夏休みのトム・ソーヤばりの自然体験、第2次性徴によるカラダの変化、異性への目覚め、陸上競技に打ち込む青春、母の病気、そして“自分探し”の末に訪れる“ほんとうの父親探し”。 私はそのリーダビリティーにのせられて、一気呵成に読み進んでしまった。 本書は、他の萩原作品のような「何かに奮闘する」スタイルのお話ではないし、大きな転回はないが、読んでいて何かしらエネルギーを感じた。やっぱり萩原浩らしい、不思議と心温まる物語だった。欲を言えば、彼らしいユーモアがもっと随所に見られると良かった。 | ||||
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荻原浩がビルドゥングスロマンに挑むとこうなる,ってことかなぁ。 「ぼくはクロマニヨン人の子どもだ」という仮説に気づいてからの秘密の道具づくり,自分の中に別の生き物が棲んでいるように感じる第二次性徴。情熱を注ぎ込む対象を見つけてからの成長。母親に対する想い。それぞれのエピソードは安心して読めます。 ところが,この物語全体を通してのテーマは何だろう?となるとちょっと首をかしげざるを得ない。本全体が18歳の主人公が振り返った幼少からの回想記になっているからか,エピソードが多すぎ。本来濃密なエピソードたちが散漫に流れるってことは,単に詰め込みすぎなんでしょうか。 それでも,終盤まで読んで,改めて冒頭を見直してみると,作者がこの本を通して語りたかったことは何かをを実感できます。そのへんはさすが荻原作品です。 | ||||
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普通ではないのはクロマニヨン人の子だから…という発想に まずついていけるかどうか。 それを ずっと思い込み続ける主人公についていけるかどうか。 斬新ではあると思います。 | ||||
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タイトルを見て、「僕たちの戦争」や「明日の記憶」っぽい作品を思い浮かべたのですが、 荻原さんの作品?って思いながら読みました。 「さよなら、バースディ」っていう作品を読んだ時も同じように感じたのですが、「四度目の氷河期」、「さよなら、バースディ」は、荻原浩さんファンでも、好き嫌いが分かれる気がします。 私は、このお話は良いなって思ったけれど、主人公に感情移入ができなくて、星3つです。 10代後半から、20代前半の方にお薦めしたい本です。 | ||||
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荻原浩さんには絶対的な信頼を抱いているのですが、 今作はイマイチだったなぁ。 シングルマザーの母のもとで育ったワタルは、 他の子たちよりも異常に成長がはやく、運動能力も人並み外れている。 そしてハーフとしか言いようのない日本人ばなれした風貌・・・。 父のことを何にも聞かされていないワタルが 自分のアイデンティティを求めて生きる姿を描きます。 ワタルが自分の父親をクロマニヨン人だと思いこんでしまうという発想には はじめはうまく入り込めなかったけど 読み進めていくうちにその発想の斬新さには気づかされました。 片親で他の子とどことなく違うワタルはなかなか友達ができずに孤独な少年時代を過ごす。 母も忙しい仕事に就いており、ほとんどの時間を一人で過ごした少年の孤独は すさまじいほどだったはずなのに、その悲しさも不幸さもがまったく感じられない。 ひたすらに「自分とは何か」を求め、 クロマニヨン人化していく少年の姿がなんとも言えません。 中学に入って広い視野を持つようになると自分よりすごいヤツはゴロゴロいる。 それに気づいてしまってからの展開があまりに平凡。 せっかくのクロマニヨン人という面白い素材がありながらも 平凡な青春小説になっていったことが非常に残念です。 最後にちょっとした事件があるけれどそれほどのインパクトもなく・・・。 もっとクロマニヨン人という題材とうまく活かしてほしかったです。 | ||||
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内容ではなく、作者名だけで安心して手に出来る本。 読書好きにとって「荻原浩」は、そんな貴重な「ブランド」である。 だからこの小説も、当然予備知識なしにページを捲りはじめた一冊である。 不思議なプロローグと、主人公「ぼく」のいたいけなモノローグ。 その二つがシンクロした時は、「さすがは荻原浩」と興奮を隠せず、 ページを捲る手にも力が入った。 「ぼくの父親は1万年前のクロマニヨン人」と思い込み、ひとり黙々と 内なる野生を磨いてゆくクロマニヨータな設定の破壊力は、そこらの 凡庸な作家には思いもつかない斬新なものではないだろうか。 が、 残念ながら中盤あたりから物語が「失速」してしまったことは否めない。 というか、青春小説にはありがちなパターンの連続で、新鮮さがない。 (母が癌という設定は、某フランキーの小説さえ連想させてしまう) 「ぼくは無骨で孤独なクロマニヨン」という素晴らしい設定がありながら、 クロマニヨン的無骨さや不器用さは物語の進行とともにナリを潜め、 石田衣良の池袋小説よろしく仲間のために田舎町を奔走する少年アンチ ヒーロー物っぽい雰囲気になってしまったのも、残念だ・・・・・。 どうせなら、父親は本物の「クロマニヨン人」でもよかったのではないか。 もちろん、そんなことをしたらこの小説の「文学的なテーマ」が台無しに はなってしまうだろうが、荻原浩なら壮大なSFエンターテイメントとして、 面白く消化できたと思う。 とにかく、「四度目の氷河期」の主人公は饒舌すぎた。 旧石器時代のクロマニヨン人というよりも、昭和40年代の貧乏大学生 な思考回路を持つ「ぼく」の行動をリスペクトすることは、残念ながら できなかったというのが正直なところである。 作家としては文句ナシに素晴らしい荻原氏だか、青春小説を執筆の折には 石田某のような軽薄さと不真面目さを身に付けていただきたいものである。 | ||||
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シングルマザーの子供として田舎町に生まれた少年の成長物語。 高校卒業目前までを追いかけます。 母親が父親を明かさなかったため、氷河の中に発見されたクロマニヨン人と 思い込んだ子供というちょっと変わった設定。 ストーリーテラーとしての作者の人物の作り方、関わらせ方はうまいなあと思います。 物語の幕に向けてのスピード感もとても好きです。 本を読む時間を楽しめると言う点に付いては二重丸なのですが 何か、ひっかかるもの、消化不良な思いが残りました。 確かに、父親像を持つことができず 周りから区別され、差別され、自分自身も人とは違うと思いつつ アイデンティティ探しに漂流する。 それもわかるのですが なんというのか、とってもわかりやすいというのか すごく記号みたいな印象がするのです。 先が読めちゃうと言うことでもありません。 うまく言えないんですが アイデンティティ喪失に漂流してるのは もっと普通な、両親もそろって、成績もそこそこで というな子たちのように感じるのです。 うまく言えないんですが 物語のための舞台設定って印象がどうしても残るんです。 | ||||
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母が決して語らない父のこと。父親は誰か?思い当たったワタルは、その日から 自分自身を変え始める。少しずつ成長するワタル。変わっていくのは体だけではない。 心もしっかりと確実に成長していく。「人とは違う」「普通」、その線引きをする基準は 何だろう?いや、そんなものは初めからないのだと思う。だれも明確にそのことを断言 できる人はいないだろう。けれど、人はそういう線引きをしたがる。そのことから抜け 出したワタル。人はこうして成長していくものだとあらためて思った。そうそう、作者の 荻原さんの言いたいことは、83ページの3行目だそうなので、そちらもじっくりと・・・。 タイトルに深く関係しています。 | ||||
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