消えた少年

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消えた少年の評価:

3.40/5点 レビュー 5件。 C ランク

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平均点3.40pt

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全2件 1〜2 1/1ページ
No.2
(2pt)

描きたかったのは夫婦問題?

スウェーデンのリゾート地ゴットランド島が舞台です。同じくスウェーデンの作家ヨハン・テオリンには荒涼とした人口密度の少ない島、エーランド島シリーズ4部作がありますが、そちらの話にちらっとゴットランド島が出てきました。同じバルト海に浮かぶ島でも雰囲気が全然違うようで、どんなところなんだろうと興味を持ちました。作者アンナ・ヤンソンもゴットランド島生まれだそうです。
この作品は女性警官マリア・ヴェーンを主人公としたシリーズの8作目だそうですが、日本ではまだ2冊しか翻訳されていないようです。

結論から言うと、思っていたいわゆる北欧ミステリとは違って、ややがっかりしました。いや、ジャンルとしては北欧ミステリに入るのでしょうが。北欧ミステリには大きく分けて2つの種類があるように思います。上記のヨハン・テオリンや、スティーグ・ラーソン、アーナルデュル・インドリダソン、カーリン・フォッスム、ジョー・ネスボ、ジェイムズ・トンプソンなどのように、雪と氷、白夜と極夜、海や空の淡い色彩と闇、屈折した心理などがイメージされる静謐で陰鬱な雰囲気のもの。そしてもうひとつは、女性警官や探偵が主役で、彼女たちが抱える仕事や日常生活の悩みに重きを置いた女性小説とも言うべきもので、カミラ・レックバリやレーナ・レヘトライネンなどがこれに当たります。アンナ・ヤンソンのこの作品は後者の方でしょう。

少年の失踪事件が起こり、後に別の男性も消えてしまうのですが、主に描かれるのは女性たちの抱える問題とその心情で、事件はその合間、合間にしか出てこないという印象です。登場人物たちが結婚、離婚、再婚、同棲を繰り返しているあたりは北欧の恋愛事情を思わせますが、3組の夫婦やカップルはどれもうまくいっていなくて、妻や恋人である女性たちが、夫に対する不満、自分のものにならなかった恋人への思慕などを延々と述べるばかりなのにうんざりしてしまいました。これはヒロインの女性警察官マリアも同様で、なんだこれは、書きたかったのは夫婦関係の方なのかと思えるほどです。誰も彼もが、夫が大事にしてくれない、彼は私のことなどどうでもいいのだ、浮気しているに違いないなどと妄想のように考えていて、愛してくれる男がいないのなら、いったい何のために生きているのかみたいな話で、人生には恋愛しかないのか?他にも大事なことがいっぱいあるだろうと思ってしまいました。

最後の方では流れが唐突に変わり、マフィア、売春、ドラッグ、武器密輸、あげくは核廃棄物売買の話なども出てきて、心理や猟奇ミステリというよりは国際犯罪小説と言うべきかも。そして内容の3分の2は女性小説なので、何をめざしているのか非常にわかりにくい話でした。私は女性ですが、女性の不満と日常生活の話は特に読みたいと思わないので、レックバリやレヘトライネン同様、この作者もこれ以上読むのはやめておきます。評価を下げてしまってすみません。
消えた少年 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 消えた少年 (創元推理文庫)より
4488175058
No.1
(3pt)

登場人物の愛憎は見事に伝わってきますが、核心に至る展開には、もっと深さが欲しかったです。

舞台はスウェーデンの離島、ゴッドランドで発生した、少年の失踪事件がストーリーの主軸です。
小さな地域の中での、数組の家族のやや鬱屈した人間関係や生活事情を背景に、最初のうちは押さえ気味にストーリが進行します。若干じれったい感じを持ちつつ、中盤で2件目、3件目の事件が発生するあたりから、少しずつ、展開がスリリングになって行きます。
ですが、核心までのつながりが、ちょっと唐突な気がしました。
それなりに伏線が張られていますが、中盤から終盤、核心に至るところは、もっと深く、多く書いてあった方がよかったような気がします。
社会事情や歴史上の問題を背景を描かれるのが、北欧ミステリ(に限らないかもしれませんが)の楽しみですが、本作では、ゴッドランドが旧ソ連諸国に隣接することから生じる、不法入国や密貿易の問題が描かれています。
ゴッドランドの地理的な位置ならではのことであり、この部分は興味深く感じましたが、全編を通して、より色濃く描かれていれば、ストーリーの展開がより説得力が高まったと思います。
上述のとおり、ストーリーの展開には、もっと深さと量があればと思いはしましたが、それぞれの家族が、親子関係、家族関係の悩みを抱えており、日々苦悩する様子が巧に描かれており、登場人物に感情を移入させれたところは良かったと思います。
消えた少年 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 消えた少年 (創元推理文庫)より
4488175058