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聖家族
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聖家族の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.84pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全19件 1~19 1/1ページ
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血生臭い日本の「鬼門」東北地方の裏歴史をリリカルな文章で描いた大作。まず特筆すべきは素晴らしくリズミカルでくせになる文体で、この大冊をかなり短時間で読み終えることが出来た。サウンドノベルになったと聞いたが、それも納得。死刑囚として収監されていた次兄が処刑されてラストを迎えるが、冒頭と繋がる見事な構成で、輪廻転生を繰り返す聖家族の神話だと、私は読んだ。東北の鬼才古川日出男渾身のメガノベルで、いつまでも読んでいたくなる魅力を感じる。 | ||||
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個人的な感想だが、古川日出男にしては非常に読み易く、どんどんページが進んだ。まあ、単に彼の熱量の高い文章に慣れたためかも知れないが。血生臭い殺戮シーンが多く目を背けたくなるが、時空を超えた家族の絆を描いており、タイトルに偽りはない。そして特筆すべきは、裏の東北史とも言うべきこだわりで、全編に作者ならではの東北愛を強く感じた。まだ前編だが、古川日出男らしい「東北」にこだわったエンタメ大作として高く評価したい。 | ||||
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長いです。また,独特な文調は「ベルカ,吠えないのか?」であらかじめ分かってはいましたが,非常に読みづらいです。 さまざまな軸が時間を超えて展開されていきますが,徐々につながりをもっていきます。 歴史的な背景への織り込み方に圧倒されました。久しぶりに途中で読むのをやめようかと思った本でした。 | ||||
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どうしてこんなに評価が高いのでしょう? 日頃、本屋さんや巷で評判になっている本ばかり読んでいる私には、この作品は難易度が高すぎました。 同じ言葉を何度も何度もしつこくしつこく繰り返したり、箇条書きのようにセンテンスを短く紋切り型にしたり・・・。 残念ながら非常に読みづらかったとしか言いようがありません。 この小説にたくさん星を付けられる程の、高い知能や鋭い感性の無い自分にもガッカリです。 でも、読み終わった後の達成感は星5ツです。 | ||||
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文庫は読んでいないので、文庫にレビューもなんであるが。 購入したのは文庫であるからして、御免。 この名前、マジか。と思った牛と羊。とてもかわいい兄と弟。やっていることはまるでかわいくない。かわいくないが、とても素敵な兄と弟。それを見届ける妹。 そういえば、こちらのご両親、えぇトキミたちドコかラきタノ?ミステリーもいいところ。フェードインからのフェードアウト、とても上手い。たぶん、お笑い担当。 妹の旦那、存在感半端ない。と思ったけれど、どこに出番あったっけ?いろいろ駆けまわらされるから忘れちまった。・・・名前だけでの存在感?すーげーぇ。 ところでこの本、ジャンルなんでしたか? 興味ひかれるとかそういう方向の意味で、面白い本。 あ、そういえばワンちゃんが出てくるぞ!! | ||||
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東北の名家、新興宗教など歴史とフィクション(妄想)が交錯し読む物を惑わせます。妄想に浸り込んで彷徨するのがひとつの楽しみ方だと思いますが、私は妄想の中に組み込まれた、高校の教科書には決して載ることのない東北の裏面史に心惹かれました。700年に渡る東北の軌跡は「日本はひとつではなかった」ことに気付かされます。そもそも日本史の教科書は日本がひとつであることを前提に構成されているので、もうひとつの日本はむしろ積極的になかった物として描かれているからでしょう。本書はもうひとつの日本史を知る教科書としても読むことができるのですが、記述は時系列ではなく時間も場所も交錯して読む物を惑わせます。これを読みにくいと感じるか、作品の味と感じるかは読み手次第なのだと思います。 本書は2005年から異なる媒体で、独立した作品としてリリースされた物を最終的に一冊の作品として組み上げたつくりになっているそうです。私が感じた一見さん感はそんなところからなのでしょう。しかし苦労して書いた力作を常連さんだけの世界に閉じ込めてしまうのは、作者の本意ではないでしょう。その証拠に作者公式サイトに人物相関図や全体像が解説されています。こちらは読み終わった後で参照するのがいいでしょう。 | ||||
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青森の名家、狗塚家の祖母らいてうとその孫三人を中心に配し、そこに流れ込みそこから流れ出す血脈と歴史と妄念とを、圧倒的なスケールと疾走感で描いた大作。癖と毒と衒いと中二病臭にあふれた文章、回収されない数々の謎、あちこち飛び回り錯綜しあさっての方向に向かい決して収束しないストーリー。ここまで読者に不親切な小説も珍しいが、それでも読み始めると引き込まれてしまう、不思議な魅力を持った小説。 | ||||
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古川日出男氏の小説は今回が初めて。エンタテイメントでデビューしてから純文学へ移行するパターンはここ10年ほど散見される作家の変遷だ。僕は「何故日本の純文学作家は歴史をテーマにしないのか?」と不思議に思っていたのだが、著者はこの二段組700ページを超える大著でそれに挑戦している。とにかく実験手法のオンパレードのような小説だ。土俗/近代、家族/個人、地方/都市、etcetcをを狗塚家という家族を中心にして、時空を自在に変化させ作品は進む。その手法も、散文詩、メタフィクション的な視点の導入による客観化、音楽的手法によるリアリズム的因果関係のズラし、と様々な仕掛けに満ちている。しかし、まだ完成度が低くストーリーテリングにおいて大成功とは言えない。確かに小説形式の限界に挑んだ小説ではあるし、著者の志は高い。その点を買って★四つなのだが・・・・。うーん・・・。著者はまだまだこれから頑張って貰いたいし、本作を超えるメガノベルを書いて欲しい。 追伸:しかし、こういったスタイルの大著を出版させる集英社は懐が深い。 | ||||
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東北を舞台にある家族の歴史を描いた大河小説。 写真ではわかりませんが、この本異様に分厚いです。 京極夏彦並み。もうこれだけでおなかいっぱい。読み応え十分です。 内容は、実験的な文体で描いたサーガといった感じ。 東北地方の隠された歴史なんかもふんだんに盛り込まれているので、筒井康隆や上野遼、京極夏彦、小栗虫太郎なんかが好きな人にはたまらないと思います。ただし、ややくどいので苦手な人は読みきれないかもしれません。 とにかく読み終わった達成感がある本です。 | ||||
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上下2段組、738ページの大作。読むのに10時間かかった。 なぜ東北なのか、なぜ東北弁をしゃべるのか。 最後まで理解の外にあった。 「異能の者を輩出し続ける青森の名家・狗塚家、ばば様狗塚はくてうには孫が三人。 人ならざる存在の長男、狗塚牛一郎。死刑囚となる殺戮を犯した次男、狗塚羊二郎。 末は胎児と更新する長女、狗塚カナリア。 彼らはなぜ流氓のみとならなければならなかったのか」 という帯の惹句の概要であるが、そういう概要でいいんだろうか。この小説は。 | ||||
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この作家はとある文芸誌でピンチョンに言及し、今の時代、ピンチョンやガルシア=マルケスや村上春樹に対抗できないでどうするというようなことも言っていた。 さてこの大長編だが。 なるほど、たしかにピンチョンの向こうを張っているようには思える。 だが深さというものが感じられぬ。文章の疾走感はあるが、長編小説の特色としてある、謎めいた世界への探検というものがあまりない。 ベールの向こう側を解き明かし、作品全体の方向性を開かれたものにしてゆくことが成されていないのではないか。 また文章がしばしば断片的でいびつな構成をなしている。 読んでも分解された印象しか感じられないような。 面白いところも間歇的に出てくるので、それならもっと短くして凝縮したものにしてほしかった。 一種の詩として読めば、少しは点が上がるか。 | ||||
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いかにも、2カ所に掲載したものを、つなぎ合わせた感が強く、 納得がいきません。 古川 日出男のストーリー感が乏しいのです。 | ||||
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分厚い古川日出男の新作長編。あまりのリズム感、疾走感で小説を読むというより長編の詩を読んでいる感覚がする。彼の文章は、声を出して読むべきなのかもしれない。 小説は結構速く読み終えてしまう自分なんだけど、彼の作品は、そのスピード感に巻き込まれず、自分を抑制しながら読むようにしている。面白すぎて、いつまでも読み続けたい小説だ。 この小説も、題名の通り、ある兄弟の話を中心に、家族、血縁を現代から、明治、幕末と時代を飛びながら、会津や青森といった東北の歴史を絡めるという筋書きはあるけど、それ以上に彼の語り口に惹かれる。 ちょっと前に読んだ夢枕獏の『東天の獅子』に呼応するように、格闘技の話が出てきて、ちょっとびっくり。偶然なんだろうが不思議な気がした。 どこまで、世に受け入れられるかは分からないけど、自分の中では、古川日出男は、かなりのお気に入り。でもなぜ自分がこんなにも好きなのかは分からない。なんでかな? | ||||
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ここまで読者に媚びない作品も珍しい。この著者の作品はまだ『ベルカ、吠えないのか』『アラビアの夜の種族』しか読んでいないが、二冊ともここまで読みにくくはなかった。読みにくいのは独特の文体もさることながら、物語に時系列や筋や、なにかそういう整然とした流れがないからだろう。計算されつくした混沌とでもいうか。だから粗筋が書きにくいし、テーマを絞った論評もしにくい。心構えとしては、登山か発掘調査ぐらいの感覚の、かなり攻めの読書姿勢を要求される。 意見は分かれると思うが、個人的にはそういう読書も結構好きだ。一読めでは正直わかったことよりわからなかったことの方が多い。だけどそこに何か、わからないものがあるのはわかる。その挑発に何度でも答えたくなってしまう。作品の方から読者に歩み寄ってくることは決してない、高飛車でクールな謎の転校生みたいな本だ。 この小説を読んで一つ強く感じたのは、私たちが日本の歴史として学び、今も無意識にそう信じているものが、ごく局所的な地域の歴史にすぎないということだ。ここに描かれている東北は、言葉も、文化も、ものすごくエキゾチックだ。「日本」とくくってしまうことが申し訳ないような、そんな未知の歴史を垣間見ることができるのもこの小説の醍醐味だろう。 | ||||
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著者の古川さんとは同郷(郡山)、同世代です。 だからでしょうか、この壮大な物語の行間のひとつひとつから熱い何かがグァーッと伝わってきました。 ストーリー細部の整合性を越えた世界に圧倒されます。 | ||||
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どこでも絶賛している人しか見ないんですが、本当に皆さんそう思ってるんでしょうか? こんなに癖の強い文章、毒のある内容で、賛否両論となるのがふつうだと思うのに、これを貶したらもののわからないやつだと言われてしまいそうで、わかんないと言えずに必死に誉めてるのではないかという気がする。 本当にこれをすごいと思う人ばかりだというのなら、世の中賢い人ばかりですね。 私には理解できなかった。 読みにくいばかりだった。 古川日出男はもともとストーリーを追う作家ではなくて、文章表現が魅力なのだけど、それでここまで長編だと…キツイですわ、マジ。 | ||||
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読みやすく、解りやすいライトノベル全盛の時代です。書店にはコストパフォーマンスの 低い書物で溢れています。当サイトにも読みやすい書籍にレビューが集中傾向です。 その対極を行く作品だということは一目視ただけでわかりました。読む物を撥ね つけるかのような圧倒的なページ数は、一見さんをしり込みさせる常連さんだらけの Barを思わせます。予備知識ゼロで購入しました。 東北の名家、新興宗教など歴史とフィクション(妄想)が交錯し読む物を惑わ せます。妄想に浸り込んで彷徨するのがひとつの楽しみ方だと思いますが、私は 妄想の中に組み込まれた、高校の教科書には決して載ることのない東北の裏面史 に心惹かれました。700年に渡る東北の軌跡は「日本はひとつではなかった」ことに 気付かされます。そもそも日本史の教科書は日本がひとつであることを前提に 構成されているので、もうひとつの日本はむしろ積極的になかった物として描か れているからでしょう。本書はもうひとつの日本史を知る教科書としても読むこ とができるのですが、記述は時系列ではなく時間も場所も交錯して読む物を惑わ せます。これを読みにくいと感じるか、作品の味と感じるかは読み手次第なのだ と思います。 本書は2005年から異なる媒体で、独立した作品としてリリースされた物を最終的に 一冊の作品として組み上げたつくりになっているそうです。私が感じた一見さん感は そんなところからなのでしょう。しかし苦労して書いた力作を常連さんだけの 世界に閉じ込めてしまうのは、作者の本意ではないでしょう。その証拠に作者 公式サイトに人物相関図や全体像が解説されています。こちらは読み終わった後で 参照するのがいいでしょう。誰もがはじめは一見さんで入るものだと思って いますので。 | ||||
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取り憑かれたように二度続けて読んだが、まだすっきりしない。しかし、これが恐ろしい書物だということは理解した。 まず、この書物には夥しい数の謎が存在する。 例えば狗塚家と冠木家は何らかの深い繋がりがある。私にはルーツが同じと思えるのだが、それを決定付ける箇所はない。他には、牛一郎と羊二郎の兄弟はなぜ殺戮の旅に出たのか、彼らの父真大は何をどう分類したいのか、彼が勤める「見えない大学」とは結局どんな組織なのか、この本の天・地・小口にある鳥居の列のような不思議な模様に何か意味があるのかなどなど、読者は読み進めるうちに様々な謎を発見するだろう。しかしそれらの謎が全て解かれることはない。ミッシングリンクがあるからだ。 もう一つ、この書物の構造が何かおかしい。 詳しくは述べないが、最初と最後がある意味でつながる、ループ構造になっているのだ。つまり、読み終わった者は謎が解けないまま半強制的に最初に引き戻される。 私はこの書物を二回読んでかなり消耗した。史実と妄想の区別も付けられなくなった。 願わくば、全ての謎が著者自身や読者によって解明されていくことを。 | ||||
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2000枚の大長編。なにしろ上下2段組みで730頁もある!その分厚さにちょっと逡巡しました。しかし、期待は出来たので、2730円を出して買いました。その期待の根拠は、この作者に今まで裏切られなかったからです。 古川日出男の作品で今までに読んだのは、「13」「サウンドトラック」「アラビアの夜の種族」「ベルカ、吠えないのか」とそう多くはないのですが、どれもこれも素晴らしく面白かったし、その異様な文体の持つ力に酔わされたものです。 で、今回のこの作品、その文体がますます増強と言うか徹底と言うか、飛翔し疾走し激走しています。殆ど詩です。倒置や繰り返しの多用の持つエネルギッシュな効果、ここに極まれり。 今回も〈設定の勝利〉という面はあります。相変わらず、異様な世界。東北のある土地に代々続く名家、狗塚家の人々の年代記、と一言では言い切れない奥深い世界。母系ならぬ祖母系という異様な血筋。700年前にさかのぼる異能の祖先の系譜を室町時代、戦国時代、江戸時代、幕末、明治、昭和、平成と行きつ戻りつ錯綜し交響しあうストーリーの重層的にして相互浸透する、その因果の妙。武道や音楽や妊娠など、「不立文字」の世界を言語化しようという大胆な試み。 まぁ、若干辻褄が合わないと言うか、ストーリー展開に省かれたところなんかがあったりして、少し不満も残ったんですが、とにかく凄い作品であることは間違いありません。 | ||||
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