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(短編集)
島田荘司全集 IV
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島田荘司全集 IVの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点5.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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島田荘司のコンプリートを目指して、未読の作品を全集で読んでいる。これが実に良い、ということに気がついた。と言うのは、全てが改訂完全版となっていることもなのだが、後書きの中で、島田荘司自身が当時を振り返りながら、執筆当時のエピソードに触れているのだ。これがとても面白い。 この中の『確率2/2の死』と、『サテンのマーメイド』・『夏、19歳の肖像』の3作は、出版社にホテルに缶詰にさせられて書いたらしい。 そのため、『確率2/2の死』は、1985年9月に光文社文庫書き下ろしで、『サテンのマーメイド』は、同じ1985年9月に集英社からハードカバーで、『夏、19歳の肖像』は、翌月10月文藝春秋社からハードカバーでリリースされている。つまり、島田荘司はこの時期、出版社から新人作家として続々と作品をリリースできるかを試されていたのだ。 『確率2/2の死』に至っては、ホテルに籠もる際にアイデアのストックも無かったらしい。そして、島田荘司はこの後書きの中で、後輩新人作家たちに、ストックを蓄え、充分に準備して周到に準備して臨めとアドバイスもしている。ホントに優しいヒトだと思う。 そして、島田荘司は、この本の後書きの中で、『改訂完全版』としてリマスタするプロセスの中で、『夏、19歳の肖像』と『火刑都市』について、読み直してみて、自分の初期を代表する作品だと書いている。 これらの作品は、そういった状況で書かれたものではあるものの、島田荘司の基本 ・まず、ありえないくらいの奇想がある ・その奇想をいくつかの別の奇想が加わり、より深い奇想になる ・それを最後には論理的に帰結させてしまう は、完全に確立してて感心してしまう。すべてがしっかりと構築されている。 後書きを読み進むと実に面白い。のろのろとした講談社の対応の中、『占星術』と『斜め屋敷』がなかなか文庫化されず、恩義を感じているカッパ・ブックスに、『占星術』と『斜め屋敷』の文庫化を持ちかけられた話や、多くの賞に落選する中、暗中模索する島田荘司にビックリしてしまう。やはり、時代はというか出版界の重鎮たちは『清張病』とも言えそうな病にかかっていて、この天才の本質を見抜けなかったのを感じる。だから落選するのだろう。 そういった中、天才が暗中模索し、地肩の強さで乗り切っていく様も見える。そういう作品集である。 | ||||
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