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(短編集)

人形はこたつで推理する



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【この小説が収録されている参考書籍】
人形はこたつで推理する (講談社文庫)

人形はこたつで推理するの評価: 4.17/5点 レビュー 6件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.17pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(3pt)

和みのミステリという新境地

腹話術人形の鞠夫が探偵として事件の謎を解き明かす、我孫子武丸の「人形シリーズ」第一弾。人形が探偵で人間がワトソンという、とんでもない推理小説だが、鞠夫の正体は実は、人形を介すれば明敏になる、冴えない腹話術師の朝永その人なのだ。朝永の別人格たる鞠夫、朝永、彼に淡い恋情を抱く保母の妹尾の三者が織り成す賑やかなストーリーが微笑ましい。本作は「ドラえもん」と図式が類似している。鞠夫をドラえもん、朝永をのび太、妹尾を静香と置き換えると分かりやすい。ただ、ストーリーテラーはバイプレーヤーの妹尾だ。鞠夫を探偵に据えながら、妹尾の視点で、事件と並行しながら、彼女と朝永のぎこちない関係が語られる。四つの短編中、「人形をなくした腹話術師」に最高点を付けたい。主役の鞠夫が「殺される」という前代未聞の展開の中、独力で事件に挑む朝永と妹尾が頼もしい。「ドラえもん」の幻の最終回で、未来に帰るドラえもんを安堵させる為に、のび太が独りでジャイアンに挑むのだが、この話もそれにオーバーラップする逞しさを感じさせる。鞠夫と共生しなければ自我を保てない朝永の姿は、ドラえもんとのび太同様、幾多の問題を孕んでいるようにも思える。が、この鞠夫は、毒舌ながらも、朝永の安定剤に甘んぜず、二人のワトソンのキューピッド役を果たすという憎めない奴なのだ。この二人の今後に、心配は無用というものだろう。ミステリの枠だけに嵌まらない、朝永と妹尾の成長の物語。コージーだからといって侮れない、なかなかの名作である。
人形はこたつで推理する (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:人形はこたつで推理する (講談社文庫)より
4061859765

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