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(短編集)
人形はこたつで推理する
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人形はこたつで推理するの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.17pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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腹話術人形の鞠夫が探偵として事件の謎を解き明かす、我孫子武丸の「人形シリーズ」第一弾。人形が探偵で人間がワトソンという、とんでもない推理小説だが、鞠夫の正体は実は、人形を介すれば明敏になる、冴えない腹話術師の朝永その人なのだ。朝永の別人格たる鞠夫、朝永、彼に淡い恋情を抱く保母の妹尾の三者が織り成す賑やかなストーリーが微笑ましい。本作は「ドラえもん」と図式が類似している。鞠夫をドラえもん、朝永をのび太、妹尾を静香と置き換えると分かりやすい。ただ、ストーリーテラーはバイプレーヤーの妹尾だ。鞠夫を探偵に据えながら、妹尾の視点で、事件と並行しながら、彼女と朝永のぎこちない関係が語られる。四つの短編中、「人形をなくした腹話術師」に最高点を付けたい。主役の鞠夫が「殺される」という前代未聞の展開の中、独力で事件に挑む朝永と妹尾が頼もしい。「ドラえもん」の幻の最終回で、未来に帰るドラえもんを安堵させる為に、のび太が独りでジャイアンに挑むのだが、この話もそれにオーバーラップする逞しさを感じさせる。鞠夫と共生しなければ自我を保てない朝永の姿は、ドラえもんとのび太同様、幾多の問題を孕んでいるようにも思える。が、この鞠夫は、毒舌ながらも、朝永の安定剤に甘んぜず、二人のワトソンのキューピッド役を果たすという憎めない奴なのだ。この二人の今後に、心配は無用というものだろう。ミステリの枠だけに嵌まらない、朝永と妹尾の成長の物語。コージーだからといって侮れない、なかなかの名作である。 | ||||
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