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虚ろな十字架
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虚ろな十字架の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.94pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全120件 101~120 6/6ページ
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償っているのかそうではないのか、たとえ償っていたとしても法の裁きを受けていなければ償いとはいえない。 現行の法とはあまりにも方程式を導くような形であある。 行為に対しては、もっと心情を察するべきだ。 本書では、このように法と法を取り巻く社会に一石を投じています。 ストーリーの組み立ては理路整然としており、ミステリアスです。 前段の章で、ある点のシーンが出てきて、次のシーンからはまったく別のところからスタートしています。 そして、ある段階から、前段の章が活きてきます。 その時が来たら、前段の章をもう一度読み返すことをおすすめします。 本書では、取り巻く人びとを現在、過去を交錯させながら縦列に展開、そう思いきや、横方向に人のつながりを展開してしていき、まったく飽きさせないシナリオです。 点と点を描写し、その後、直線で結びつけ、直線が面となり、それが凝縮されて、ある視点が浮かんでくるのです。 悲劇でもなく、白黒をつけたものではなく、答えがないのかもしれませんが、いろんな角度から考えさせられ、印象深く余韻が残ります。 | ||||
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あー、もうなんて面白いの。 ホント東野圭吾さんは外れがなくて安心して読める。 読み終えるのがもったいない感じがする作品でした。 死刑制度についても、その矛盾点や葛藤などが克明に描かれていてとても心地がいいです。 読み終えた後、もう一度ゆっくり読みたいと即座に思いました。 | ||||
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プロローグを念頭に、読み進めるうちに読者を引き込む 手法や、伏線がつながって回収するまでの流れ、物語の中で 死刑や贖罪の是非・軽重・意義を語りかけてくること、 カバー写真の選択など、相変わらず秀逸な出来…。 しかし、プロットに聊かの無理やり感がある。 以下の4行、未読の方は注意! 作造はなぜ自首を?証拠隠滅をしない? 目的のためにはその行動は矛盾している。 そもそも、小夜子が仁科家を訪れる場面で、作造が居合わせるのも、 史也が不在な状況で小夜子が用件を話すのもちょっと…。 話の辻褄合わせにしては、東野らしくないと思った。 物語の不自然さがあってはテーマの重厚感が薄まってしまう…。 よって、「手紙」や「さまよう刃」ほどの心に響くモノはないと感じた。 娘を殺されると、ここまで心が壊れてしまう小夜子。 終盤での花恵の勝手な哀訴。 賛否あろうが、わからないでもないレベル。 我々は、フィクションを読み、当事者でないから客観的に 意見を述べるが、自分が当事者ならどうだろうか? そして、ちょっとズレるが、ただ、思ったこと。 「人間は過ちを犯すものだ」という意見には嫌悪感を持つ。 犯罪以前に、人生の岐路や選択で、感情を抑え、 先見性を持った判断への慎重さが不十分な人が多いような気が するから。 自分だって完璧ではないが、あの時どうしてそうしたのか? が理解できない輩が多い。 「だから人間らしい」「人間だもの」が受ける理由がそこにあるのかな…。 いや、それこそ、当事者じゃないとわからないってことかもしれない。 が、自分の言動によって、家族や仲間や他人までの人生が 変わってしまうことがあることは肝に銘じて生きていきたい。 犯罪や刑罰や贖罪を語る前に、体験しないようにするために大事なことだから…。 | ||||
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いつもながら一点の無駄な描写もなく結末へ一直線の構成力に圧倒される。それでいてストーリーを追っている瞬間にはそれと気づかされないのも見事としかいいようがない。こんな作家がいてはいまさら小説家を目指すことになんの意味があるのだろうか。 | ||||
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一気に読みました。 難しい問題だなーと思いました。 弁護士の人の話とか、目からうろこというか、 たぶん今までそんな事考えたこともなかったなと思ったところも。 花恵の後半の叫びというか、中原に言ったセリフ。 ずいぶんと自分勝手な意見だなとイライラしました。 この本の中の誰に感情移入して読むかによって違ってくるとは思いますが。 読んだ後、なんかもやもやが残る。 | ||||
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だけど、なぜか?宮部みゆきさんが、書いたのか? 思う様な、作品。 多分これまでの、東野さんが題材にしてへんかった、内容やからやろう、思う。 ただ、場面展開と、同時進行手法は、まるっきり宮部さんの手法。 | ||||
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11年前、愛娘をお金めあての強盗犯に殺された夫婦。 その強盗犯は仮出所中の元・殺人犯だった。 その事件が契機となり離婚することになった男の元へ、元妻が路上で殺されたと刑事が訪ねてくる。 元妻は、単なるお金めあてに刺殺されたのか? 犯人を死刑にしても、遺族の心に何も残らない。 たとえ刑務所に収監されたとしても 再犯率は高いまま。 「虚ろな十字架」とは元妻が書きためていたルポの中の言葉。 「殺人者をそんな虚ろな十字架に縛り付けることにどんな意味があるというのか」 殺人を犯した者にはすべて死刑を適用すべきなのか? 累犯犯罪者を社会はどうすべきなのか? 他の方も書いていましたが 作者の視点は「死刑」という制度の存続について 定まっていません。 しかしながら、それは作者の正直な気持ちの揺れではないかと思います。 そして、「冤罪」が発生する可能性がゼロではない ということも、我々は、考えなければなりません。 どちらかというと、犯罪被害者の親族の方が 死ぬまで十字架にかけられているのではないか・・・と思いました。 | ||||
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接点がないと思われていた犯罪被害者と加害者の意外な関係を明らかにしつつ、犯行動機を解明していく。 裁判員制度が始まってしばらく経ったが、死刑を含めて量刑の難しさを改めて考えさせられた。 | ||||
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悪くは無いです。 及第点以上です。 麒麟の翼、真夏の方程式、ナミヤ雑貨店の奇蹟と同じ点数は付けられます。 ただ、カッコウの卵は誰のものや使命と魂のリミットレベルの感動は無く、 新参者の様な爽やかさはありませんでした。 | ||||
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11年前にひとり娘を殺された中原は、数年前に妻と離婚し、仕事も辞めて伯父から引き継いだ会社で働いていた。そこに佐山という、娘の事件のときの担当だった刑事が訪ねてくる。中原の元妻の小夜子が何者かに刺殺されたという。中原は、離婚後の小夜子の行動を調べてみることにしたのだが・・・。 残虐な事件をニュースで見るたびに「犯人は死刑かな?」などと単純に考えていたが、犯罪と刑罰の問題というのはとてつもなく大きくて複雑なものだと思った。中原の娘を殺害した蛭川。彼は最後まで反省することはなかった。もちろん、被害者家族への謝罪もない。そんな男が死刑になったとしても、はたして被害者の家族たちは救われるだろうか?私は救われないと思う。どこへもぶつけることができない怒りや悲しみが、生きていく限り続いていくのではないだろうか。 刑務所に入ってもまったく反省しない者。罪の意識にさいなまれ、苦しみながら毎日生活している者。はたしてどちらが罪を償っていると言えるのか?この作品を読むと分からなくなってくる。 「世の中で起こる残酷な事件。それは、どれとして同じものはない。なのに、みんな同じ死刑にしてしまっていいのか?」登場人物の口を借りて作者が読み手に問いかけてくる。いったい誰がこの問いに答えられるというのか?人が人を裁くことがいかに大変なことか、読んでいて痛いほど伝わってくる。「罪は償わなくてはならない」そんな当たり前の言葉さえ気楽には言えない。 小夜子の生きざまが切なかった。娘を殺されたというつらさを、彼女なりに乗り越えようとしていたのに・・・。 一体どこの誰に、「この殺人犯は刑務所に○○年入れておけば真人間になる」などと断言できるだろう。殺人者をそんな虚ろな十字架に縛りつけることに、どんな意味があるというのか。 作者の言葉は、読み手の心を深くえぐる。さまざまな重い問題を含んだ、読み応えのある作品だった。 | ||||
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とにかく深い物語でした。 個人的に「死刑」についてどう考えるか、それは問題にならないほど 奥行きのある、思慮深い筆運びに感動しました。 本書に描かれる「死刑についてのいろいろな考え方」は その全てに「そうかもしれないな・・・」と思わせるものでした。 この命題については本当に「真の答え」などはないのだろうとも思います。 ただ、人は「真の答えなどないのだ」と認識してそれでも考えることが必要だ、 そう言う姿勢が必要だ、と、そう思いました。 死刑についてどちらの意見をお持ちの方にも、また、裁判員などで その任に当たる人にも、是非読んで頂きたい。 それから、登場人物の描き方、その掘り下げ方、それが何とも上手い。 全く違う価値観の人物をなんとも上手く表現しきって居ると感じました。 驚きと、感動と、悩みの種を同時に頂いた素晴らしい作品でした。 | ||||
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P.304の14行目からP.306の6行目までの花恵の哀訴が白眉。この個所に遭遇して「ああこの小説を読んできて良かった」としんそこ思った。このせりふの前では法律論や道徳論のなんと「虚ろな」ことであろうか。 | ||||
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題材となっているものから「罪と罰」を思い出しました。中に出てくる登場人物に両極になるような考えの蛭川と小夜子、被害者と加害者の対比は読み応えがあり心揺さぶられると思います。最初の書き出しは最後の詰めになる登場人物の繋がりからはいり、突然現在に移るので戸惑いますが徐々に伏線から肉ずけされ中盤へと流れ込み、キーとなる言葉が出てきます。 そこからは読者への問いかけとなる「殺人」「刑罰」「死刑制度」「贖罪」「更生とは」と考えなかった人にも考えさせられる事柄が沢山散りばめてあります。導きてとなる主人公?があまり感情的にならずひとつひとつ迷い考えながら終盤までたどり着くのは、いかにも「東野圭吾」作品らしいと感じました。 同種族の人に死を望む生き物は、たぶん人間だけでしょう。善悪は一人一人の環境や尺度により変わりますそれを私は否定もしません、只々哀しい生きものだと思うだけです。帯に「娘を殺されたら犯人に何を望みますか?」に対する答えは「死刑」ではなく「死」だと思うからです。 私は22項の「人を殺した者はどう償うべきか、この問いに模範回答は無い、あなたが悩んで出した答えが、今回に関しては正解なのだと考えることにします」という言葉が作者なりに導いた答えのように感じて心に残りました | ||||
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東野圭吾さんの本はとても大好きです。今回もとてもよかったです。あっという間に読み終わりました。 | ||||
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近年の東野圭吾の作品で一番面白かったと思う。 テーマがかなり重いが、その分読み応えがあり、特に色々な疑問が解決する後半は一気に読んでしまった。 筆者の作品だと「手紙」や「さまよう刃」とか、あの路線。出てくる登場人物が悲惨な人ばかりで、しかも死刑制度が深く絡んでくるのでシリアスで重い。 殺人犯といっても色々な人がいて、皆が同じ死刑で良いのか?と、そういう話です。 | ||||
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ということを言いたいんではないでしょうか。 死刑制度をテーマにした本は、推進論か廃止論かのどちらかに偏るのがほとんどではないかと思います。この本の宣伝に「死刑は無力だ」とあるので、一見、死刑廃止論に偏っているのではないかと思うかもしれません。 でも、私は、東野さんのこの本は、最後まで、偏ることがないように大変慎重に書かれていると感じました。それを、一貫性がないとか、結論から逃げたいう風に感じた方もいるのかもしれません。 ただ、結論を決めてどちらかに偏って書く方がよっぽど簡単だと思います。東野さんは、簡単に済ませられないということ自体を伝えようとしているんじゃないでしょうか。この本に登場する女性の執筆する文章の空白はそれを示していると思いました。また、万引きの話を持ち出して、人それぞれ事情が異なることを示しているのは、抽象的に類型化したり場合分けしたりして罰を決めることは出来ないのではないかということを示していると思いました。 この本は、私たちが普段殺人事件のニュース等を見ながら、「あんなやつ死刑だ」と安易に口にしていることに対して、そんなに簡単な話なのか、と疑問を呈してくれていると思います。 他方で、「国が殺人をしてはダメだ」とか言う、目の前にいる人から離れたところでしているような議論にも、疑問を呈していると思います。 刑罰ってなんなのか、罰は与えられたら終わりなのか、罪を償うってなんなのか。 そして更には、命ってなんなのか、生とは、死とはなんなのか。 最後の方にわざわざ出てくる蛇の話は、生と死というところまでの疑問を投げ掛けているのではないでしょうか。 この本を読んで、多くの人が悩むことを願います。私も、悩み続けていきたいと思います。 | ||||
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まずミステリとしてよくできています。プロローグに登場する少年少女の初恋がどう事件として関係してくるのか。自分なりに想像しながら読むことができました。もちろん、事件の核心は想像しきれませんでしたが、決して「それはずるい」っていう謎解きにはなっていませんでした。 作中には3種類の殺人者がでてきます。ささいなことで人を殺し、更正するどころか、反省もしない人。やむにやまれず、人を殺し、そのことでずっと苦しんだり、自分なりの贖罪に一生をかけてきた人。家族を守りたいばかりに、短絡的に殺人を犯した人。作中の一人は、理由が何であれ、人を殺せば死刑にすべきと主張しますが、この三つの異なる殺人は、すべて死刑がふさわしいですかっていうのが作者の問いかけのようです。私としては、死刑執行の仕事など、できそうもないので、そもそも死刑制度には賛同できませんが、死刑にするしかないような人がいるのも事実です。作中のある弁護士は「多種多様な結末があってもよいのではないか」と言いますが、確かに大岡裁きのようなものがあってもよいかもしれません。 本書は、死刑を取り上げていますが、死刑に限らず、そもそも刑務所に入れることにどれだけの意味があるのか、考えざるをえません。社会が前科のある人を受け入れないという問題があるとはいえ、更正しない人もたくさんいますし、知的障害者や高齢者もたくさん服役しています。何のための刑罰なのか、刑務所なのか。被害者サイドからすれば、加害者が刑罰を受けても得るものは何もないですし。かといって代案もないし。誰もが納得する方法はないでしょうね。そのせいか、読後にもやもやが残ります。 | ||||
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当たり前のことだけど、加害者と被害者、その家族…の人生を変えてしまう犯罪について、考えるきっかけになりました。 この本のとおり、これが正解というのはないけど、被害者が自分の犯した罪をどう償うか考えたことで加害者やその家族は救われるのではないかと思う。 自分が今の生活をできていることに、生きていることに改めて感謝…感謝!の本。 | ||||
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東野圭吾、ほんとスゴイですね。 ここのところ刊行されたものは面白いものの、読んだ後に残るものがないと思っていたのですが、本作は「容疑者Xの献身」(個人的には東野作品の中の最高傑作だと思っていますが)並みに考えさせられるモノを持った良作です。 死刑とは何か、犯罪者は更生できるのかなんて、これまでそういったことに関わったことがないため真摯に考えた事なんてありませんでしたが、蛭川が死刑を刑罰ではなく運命として受け入れたという件あたりからはもう最後まで心に何か引っ掛かりながら読了しました。それにしてよくこういう展開を思いつくものだと感心します。代表作のひとつになるのは間違いないのでは。この週末での一気読み、オススメします。 | ||||
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面白かったか、面白くなかったかというなら、面白かった。 ただ、小説としての齟齬を感じた。 一貫性がなかったのだ。 本の中盤までは、まるでノンフィクションの話を読んでいるようだった。 それほどに、作者の思想がにじみ出ていたのだと思う。 「小説」というフィクションの話を読んでいるようには感じられなかった。 逆に言えば、それほどに鬼気迫っていた。 だがそれ故、読むのが少々つらかった。 私は「小説」を読みたかったのだ。 「小説」は中盤以降から始まる。安心して虚構の面白さを感じ 読み進められた。 ただし、推理小説を読み慣れている人、或いはこの東野圭吾の ファンには「手口」が容易に推し量れる内容だったのではないだろうか。 些末な事は分からないが、こういう理由でそういう事件が起きた、 というのが推理出来てしまったので、それを確認するために 読了したようなものだった。 本書のテーマ、死刑について、は考えさせられる部分があったが この内容での結果・死刑の是非はご都合主義な展開により 作者は逃げたのか、と思ってしまった。 まさに「虚ろな十字架」を書いたのだろう。 | ||||
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