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虚ろな十字架
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虚ろな十字架の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.94pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全120件 21~40 2/6ページ
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中原道正。広告代理店に勤めていたが、その頃に小学校2年生の娘、愛美を失った。殺されたのである。中原と妻の小夜子、中原の両親が取り調べを受ける。犯人扱いされて警察に怒る中原。小夜子に事情を聴くと、どうやら買い物で家を留守にした時に強盗が入ったらしい。そいつが愛美を殺したのだ。しかし、盗まれたのは現金でたった4万円。そんな金額のために幼い命が奪われるというのは、全く理不尽である。 犯人は事件から9日目に逮捕された。蛭川という男で、強盗殺人などで無期懲役刑を受けていたが、半年ほど前に仮出所していたのだ。 事情が分かり、絶対に死刑にしてほしいと思う中原。しかし、公判が進むにつれて裁判の雰囲気が変わっていく。だが、蛭川は最終的に死刑になる。 その後、中原は会社を辞め、エンジェルボートというペットの葬儀屋を始める。小夜子とも離婚する。しかし、その小夜子が何者かに刺殺されてしまう。犯人は、町村作造という68歳の男。中原はその男を知らない。金目当ての犯行だというが、いくつか不審な点がある。事件が起こったのは小夜子が住む江東区の木場のマンションからすぐ近くである。しかし、犯人は北千住に住んでいたのだ。なぜそんなところまで行って犯行に及んだのか。凶器は出刃包丁だったが、それを処分もせずに自宅に持ち帰っている。また、小夜子はそんなに金を持っていそうな服装ではなかったのに、犯人は小夜子をターゲットにした。単なる金目当ての犯行とは思えなくなってくるのだ。 こういった伏線が謎となり、きちんとミステリーにもなっている。「手紙」のような、メッセージ性の強い作品である。蛭川の弁護士だった平井は言う。「死刑は無力です」と。そして、こうも述べる。「それぞれの事件には、それぞれの解決があるべきだ」。 難しい問題である。もちろん、死刑制度を廃止したり、終身刑を導入しても解決する問題ではない。死刑を執行すれば遺族が救われるわけでもない。重苦しい気持ちとモヤモヤした感情が残った小説だった。 | ||||
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東野先生の小説は大好きなので読み始めからワクワクします! この本読んで日本の犯罪について考えさせられました。 | ||||
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平成の大作家による恐るべき作品だとは思います。ただ、法的に根本的な疑義があります。刑罰の意味を問う以上、法律上も厳格な設定が求められるのではないでしょうか。以下、ややネタバレになります。 本書における現在を出版された2014年と仮定します。問題の事件は「20年以上前」の発生ですから1994年以前ということになります。この当時、殺人罪の公訴の時効は15年でした。遅くとも2009年には時効が完成していた計算になります。時効の進行が停止・中断される理由は本書には見当たりません。 時効が成立している事件を巡って、自首がどうしたとか、ましてや人を殺すとか、そんな話にはなり得ません。素晴らしい作品なのですが、この点が気になってしまいました。 殺人罪の時効は2004年に25年に延長されましたが、改正法施行後の発生が対象でしたから、本書の事件の時効は15年のままだったはずです。2010年4月に殺人罪の時効が廃止され、この時点で時効未完成の事件が対象になりました。つまり1995年4月以降の殺人には時効がなくなりました。 | ||||
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平成の大作家による恐るべき作品だとは思います。ただ、法的に根本的な疑義があります。刑罰の意味を問う以上、法律上も厳格な設定が求められるのではないでしょうか。以下、ややネタバレになります。 本書における現在を出版された2014年と仮定します。問題の事件は「20年以上前」の発生ですから1994年以前ということになります。この当時、殺人罪の公訴の時効は15年でした。遅くとも2009年には時効が完成していた計算になります。時効の進行が停止・中断される事情は本書には書かれていません。 時効が成立している事件を巡って、自首がどうしたとか、ましてや人を殺すとか、そんな話にはなり得ません。素晴らしい作品なのですが、この点が気になってしまいました。 殺人罪の時効は2004年に25年に延長されましたが、改正法施行後の発生が対象でしたから、本書の事件の時効は15年のままだったはずです。2010年4月には殺人罪の時効が廃止され、この時点で時効未完成の事件が対象になりました。つまり1995年4月以降の殺人には時効がなくなりました。 | ||||
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殺人者犯を刑務所に〇〇年入れておけば真人間になる などと誰が断言できるだろう。殺人者をそんな虚な十字架に縛り付けることにどんな意味があるというのか。 現在の司法制度の根っこにある問題を東野圭吾らしい濃密な人間関係の中で浮き彫りにしていく。高校時代に重たい十字架を背負った一流大学病院の小児科医の生き様として人間の道徳心を問われると同時に被害者のその後を考えさせられる作品。 加賀刑事ものと違って、活躍するのは被害者の夫という設定はこれまでの東野作品にはない面白みだと感じる。 容疑者Xの献身、麒麟の翼と似た、派手さはないが、心にずしんと来る 名作といっていいのではないでしょうか。 | ||||
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一つの命を奪ったけど二つの命を救ってくれた。一つの命を奪ったことへの償いはずっと続けている。これからも続ける。でもそれを中断して服役することが必要なのか。服役すれば今の償いは続けられなくなる。しかし・・・。いつもながら考えさせられる。 | ||||
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スラスラ読みました。民放の2時間ドラマにぴったり。何も考えたくない時って誰にでもあります。 まじめな話、今やこの程度の娯楽小説を書かせたら、東野さんは東西随一の作家さんの一人であることは疑いの無い事実です。読者に考えることを要求しない小説であるとはいえ、こんなにたくさんの長編小説を次々に出すって・・・・ほとんど超能力? 「わたしが書いているところを、決して見てはなりませぬ」状態だったりして―――『鶴の恩返し』―――東野先生の担当編集者が10人くらい居て、先生に簡単なプロットを与えられ、せっせと粗原稿を書いていたりたりしてね(あるいは、その逆で、東野先生に簡単なプロットを提示するシステム?)。慣れてしまえば、担当編集者もそれなりに案も浮かぶし、文章も書けるのでしょうから。 直木賞の選考委員(長?)であられる東野先生は、ますますご多忙。小説の売れない現状、日本文学の発展―――たぶん??―――に必要な小説家なのでしょう。ただ、精神に負担なく、ひとりだけで、こんな小説をバンバン書きあげているとしたら、巷間噂されているように、東野先生≒AIかも?? | ||||
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死刑の意味について考えさせられました。今までは人を1人殺したら、当然死刑だろうと思っていました。もちろん無過失であれば別ですが、命は等しいはずです。1人の命を奪ったら、自身が死んで償うべきです。そうしないと犯罪は無くなりません。ただ、この本の中で罪を償って子供の命を救い続けてきた人が、罰を受けるべきかというには考えさせられます。ただ、そんな人は稀ですし、本質は分かりません。とすると、永遠に過酷な環境での労働がいいと思います。 | ||||
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小学2年生の娘を殺された夫婦が殺人犯に対して死刑判決を勝ち取ったものの虚無的になり、判決後に夫婦関係を続けられなくなって、離婚。事件の11年後に元妻が殺され、犯人が自首するが、奇妙な偶然の一致に気づいた元夫が事件の背景を調べ、意外な過去の出来事と事件の真相に辿り着く話。 愛美の殺人事件とその裁判、小夜子の殺人事件の顛末、花恵が仁科史也と出会うまでの出来事、仁科史也と井口沙織の間の出来事などが重層的に描かれ、最後に1つの物語として収束していく。 事件の背景にある過去の出来事が謎のまま物語が進んでいき、真相は予測困難であった。花恵が仁科史也と結婚するくだりなどは相当無理があると感じたが、真相を知るとそれなりに納得できる理由があることがわかる。仁科史也と井口沙織の出来事の処理に関しては、用意周到な割にはあまりにも愚かだと感じはするが。 殺人加害者の家族の問題を取り扱った『手紙』、殺人被害者の家族の問題を取り扱った『さまよう刃』と共通の問題を取り扱いながら、死刑廃止や懲役刑の有効性に疑問を投げかけ、さらに「人を殺した者はどう償うべきか」という重い問題に踏み込んでいる。 刑務所に入れられながらも反省しない「虚ろな十字架」と、罰を逃れながらも日々の生活で償いをする「重い十字架」を対比させているところも印象に残った。 (ネタバレ) 法律には疎いのだが、花恵と仁科史也が乳児を殺したのは15~16歳であり、今から自首をしたとして懲役等の罪に問われることがあるのだろうかと疑問に感じた。 | ||||
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最初から中盤までモヤモヤウズウズ。ラストはずるい(苦笑)。読了後も何度となく考えてしまう"生"と"死"。 人と人との心が何処まで向き合えるかを問う作品でした。 | ||||
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東野作品、多作なのに駄作なし。これが自分を含む多くの人間の評価だと思います。全てが上手い。にくらしいほど上手く、引き込まれる。今作も巧みな人間描写でぐいぐい読ませる。ラストは「あれだけはやめてくれよ」と思いつつ読み結局そうだったので鬱になった。ちょっと現実離れした展開や、結末が何となく予想できてしまったあたり、ミステリとしては???だが現代社会に投げかける読み物としては一級品。 | ||||
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離婚した元妻の死に不信を覚えた主人公は独自の調査を始めるのだが・・というお話。 この本を読んで、人を殺したらどのように償ったらいいのか?被害者遺族が救われる道はあるのか?というようなことをいろいろと考えさせられました。 ただ、ミステリーとしてはある程度予測がついたので、もう少し意外なラストだとよかったかなと思いました。 あと死刑の話に焦点を置いていたのが、途中から微妙に話がずれていった気もしています。その2点が残念ですが、基本的にとてもよいお話だったし、すごく感動したので星4で。 | ||||
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「遺族は単なる復讐感情だけで死刑を求めるのではない。家族を殺された人間が、その事実を受け入れるにはどれほどの苦悩が必要なのかを、どうか想像して頂きたい。犯人が死んだ所で被害者が蘇るわけではない。だが、では何を求めればいいのか。何を手に入れれば遺族たちは救われるのか。死刑廃止というのなら、では代わりに何を与えてくれるのだと尋ねたい。(中略)仮に死刑判決が出たとしても、それは遺族にとって勝ちでも何でもない。何も得ていない。ただ必要な手順、当然の手続きが終わったに過ぎない。死刑執行が成されても同じことだ。(中略)だったら死刑でなくても構わないではないかという人もいるだろうが、それは違う。もし犯人が生きていれば、『なぜ生きているのか。生きる権利が与えられているのか』という疑問が、遺族たちの心を更に蝕むのだ。死刑を廃止にして終身刑を導入せよとの意見もあるが、遺族たちの感情を全く理解していない。終身刑では犯人は生きている。この世界のどこかにいて、毎日ご飯を食べ、誰かと話し、もしかすると趣味の一つぐらいは持っているかも知れない。そのように想像することが、遺族にとっては死ぬほど苦しいのだ。だがしつこいようだが、死刑判決によって遺族が何らかの救いを得られるわけでは決してない。遺族にとって犯人が死ぬのは当たり前のことなのだ。よく『死んで償う』という言葉が使われるが、遺族にしてみれば犯人の死など『償い』でも何でもない。それは悲しみを乗り越えていく為の単なる通過点だ。しかも、そこを通り過ぎたからといって、その先の道筋が見えてくるわけではない。自分たちが何を乗り越え、どこへ向かえば幸せになれるのか全くわからないままだ。ところがその数少ない通過点さえ奪われたら、遺族は一体どうすればいいのか。死刑廃止とは、そういうことなのである」 (本文より) 「だいたい人殺したって、死刑になる人間なんて一握りしかおらんだろ。多くの場合、20年以内には出所することになる。それが傷害致死ならもっと短い。 遺族の気持ちを考えろ派の皆さんは、なぜこうした人たちの無念を思いを汲み取って、『人を殺したら例外なく全員死刑にしろ』という結論に達しないのか。遺族にとっては、殺意があったとかなかったとか、殺した人数が一人とか複数とか、殺害方法が残忍かそうでなかったとかなんてどうでもいいことだよね」 (5ちゃんねるより、名無しさんのご意見) 「直接的に殺さんでも、いじめやパワハラで自殺に追いこむとか、自殺しなくても学校中退、PTSDとかでその後の人生めちゃくちゃになるとかあるよな。 その場合、加害者を殺したいくらい憎いと思うのだが、その人たちの無念は一体誰が顧みてくれて、誰が救ってくれるんだ。 正義の名の下に堂々と『憎いこいつを殺してくれ』と訴えることができて、しかもそれが叶えられる人々はある種の特権を持っているんだよね。 ある意味羨ましいよ」 (名無しさんへ、わたくしのお返事) | ||||
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人を殺してはいけない 十戒の一節です。単純明快で 逃れようがありません。 でも 人は 罪を犯します。犯した罪は償わなければなりません。 では 償うとは…。仁科史也という人物の生き様を通して 償いの本当の意味を知るに至りました。 彼は 自ら自分を裁き 真摯に生きて償いを全うしました。 償いが彼の人生でした。 法で裁く事も 裁かれる事も 真の償い前では 無意味です。 読み終えたあと 暫く 感慨に浸りました。 ありがとうございました。 | ||||
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東野圭吾さんの作品の中でも好きなジャンルの作品で引き込まれています 死刑廃止論について考えさせられました | ||||
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待ちに待った東野圭吾さんの新作。発売初日に買って、5日間寝かせて飢餓感を煽ってから、一気に読みました(笑)。いつもワクワクさせてくれる、こういう作家は他にいないですね。 そして本作は期待に違わぬ出来。彼の全作品の中でも名作の部類に入るのではないでしょうか。殺人の贖罪。刑務所で何年か過ごせば、それで罪を償ったことになるのか。警察に捕まらなければ、罪は償えないのか。重く大きな問いです。 それを評論で表現するのではなく、小説で表現するのが東野さん。そして答えはない。それを見つけるのは私たち読者なんですね。 | ||||
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かの有名なドストエフスキー『罪と罰』、直訳すれば「犯罪と刑罰」というタイトルでなんだか刑法のテキストみたいだ。そしてミステリー作品の中では異色的に、審判の行方も描いた『虚ろな十字架』は犯罪(犯人)の実態と量刑の意義を考える上でも面白い読み物だ。なので私は「東野版『罪罰』」と呼びたい。 トリックは無いが、真相を報せるまでの展開のスリリングさ、幾重にも絡みついた伏線、さすが東野作品。最近、氏の作品を読み漁ってもハズレ、時には途中投げが多かったが、これは久々の傑作! | ||||
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死刑について考えさせられる さすが、東野さま。 死刑についてどう考えるかは読んでから、自分で考えてください | ||||
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とてもキレイな状態で満足しています。ありがとうございました。 | ||||
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相変わらず淡々と描かれていて読者としては すーっと話にのめり込んでいけるにも関わらず 読後は正解が出せずに頭を抱え込んでしまう作品でした。 学生だったら感想文にもってこいの内容だと思います。 でも学生ではないのでこの行き場のない感情をどうしたら いいのか・・・どうしてくれるんだ圭吾! | ||||
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