ムーン・パレス

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評判

ムーン・パレスの評価:

4.36/5点 レビュー 104件。 B ランク

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平均点4.36pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全212件 121〜140 7/11ページ
No.92
(5pt)

冒頭の英文の美しさにほれ込んで購入

本屋さんで冒頭の英文を目にしてほれ込んで購入した一冊。極上の青春小説です。

柴田元幸さんのとても優れた翻訳も出ています。

(「なか見!検索」で冒頭が読めるので、冒頭部分と私の訳を載せます)

It was the summer that men first walked on the moon. I was very young back then, but I did not believe there would ever be a future. I wanted to live dangerously, to push myself as far as I could go, and then see what happened to me when I got there. As it turned out, I nearly did not make it. Little by little, I saw my money dwindle to zero; I lost my apartment; I wound up living in the streets. If not for a girl named Kitty Wu, I probably would have starved to death. I had met her by chance only a short time before, but eventually I came to see that chance as a form of readiness, a way of saving myself through the minds of others. That was the first part. From then on, strange things happened to me. I took the job with the old man in the wheelchair. I found out who my father was. I walked across the desert from Utah to California. That was a long time ago, of course, but I remember those days well, I remember them as the beginning of my life.

(拙訳)人類が初めて月を歩いた夏のことだった。当時僕はとても若かったけれど、自分に未来があるなんて信じていなかった。僕は危険な生き方をしてみたかった。行けるところまで自分を追い詰めて、それで僕に何が起こるのか見てみたかった。結局、それはほとんど失敗だった。少しずつ、僕の持ち金はゼロに近づいていった。アパートも引き払って、路上生活をすることになった。もし、キティー・ウーという女の子がいなかったら、僕はおそらく餓死してしまっていただろう。キティーには、その少し前に偶然出会っていたのだけど、僕はやがて、その偶然を、心構えの1つのあり方だと見なすようになった。他者の心を通して自分を救うことができるのだ、と。それが、始まりだった。それからというもの、奇妙なことが僕に降りかかるようになった。僕は、車椅子に乗った老人の面倒をみる仕事をした。僕は、僕の父親が誰であるのかを知ることになった。僕は、ユタからカリフォルニアまで砂漠を歩くことになった。もちろん、ずいぶん昔の話だ。でも、僕はその頃のことをよく覚えている。僕の人生の始まりとして。
ムーン・パレス Amazon書評・レビュー: ムーン・パレスより
4105217038
No.91
(5pt)

冒頭の英文の美しさにほれ込んで購入

本屋さんで冒頭の英文を目にしてほれ込んで購入した一冊。極上の青春小説です。

柴田元幸さんのとても優れた翻訳も出ています。

(「なか見!検索」で冒頭が読めるので、冒頭部分と私の訳を載せます)

It was the summer that men first walked on the moon. I was very young back then, but I did not believe there would ever be a future. I wanted to live dangerously, to push myself as far as I could go, and then see what happened to me when I got there. As it turned out, I nearly did not make it. Little by little, I saw my money dwindle to zero; I lost my apartment; I wound up living in the streets. If not for a girl named Kitty Wu, I probably would have starved to death. I had met her by chance only a short time before, but eventually I came to see that chance as a form of readiness, a way of saving myself through the minds of others. That was the first part. From then on, strange things happened to me. I took the job with the old man in the wheelchair. I found out who my father was. I walked across the desert from Utah to California. That was a long time ago, of course, but I remember those days well, I remember them as the beginning of my life.

(拙訳)人類が初めて月を歩いた夏のことだった。当時僕はとても若かったけれど、自分に未来があるなんて信じていなかった。僕は危険な生き方をしてみたかった。行けるところまで自分を追い詰めて、それで僕に何が起こるのか見てみたかった。結局、それはほとんど失敗だった。少しずつ、僕の持ち金はゼロに近づいていった。アパートも引き払って、路上生活をすることになった。もし、キティー・ウーという女の子がいなかったら、僕はおそらく餓死してしまっていただろう。キティーには、その少し前に偶然出会っていたのだけど、僕はやがて、その偶然を、心構えの1つのあり方だと見なすようになった。他者の心を通して自分を救うことができるのだ、と。それが、始まりだった。それからというもの、奇妙なことが僕に降りかかるようになった。僕は、車椅子に乗った老人の面倒をみる仕事をした。僕は、僕の父親が誰であるのかを知ることになった。僕は、ユタからカリフォルニアまで砂漠を歩くことになった。もちろん、ずいぶん昔の話だ。でも、僕はその頃のことをよく覚えている。僕の人生の始まりとして。
ムーン・パレス (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ムーン・パレス (新潮文庫)より
4102451048
No.90
(5pt)

失いながらも、必死に自分を作り上げようとする人たちへ

よく指摘されることだが、いわゆる青春小説。
同じ青春小説といっても「キャッチャー・イン・ザ・ライ」とは違う。
「キャッチャー・イン・ザ・ライ」が孤独にさいなまれながらも自己否定を続ける少年の物語ならば、
こちらは失っても失っても何かを掴み取っていくそんな青年の成長の話。

師であり唯一の近親でも会った叔父の喪失に始まり、祖父であり親友でもあった老人の喪失、そして最後に行き着いた父親の喪失、
と次々と大切な人々を失う。
しかし、主人公マーコは失い、傷つきながらも少しずつ何かを掴み取っていく。

人生において青春時代はもっとも輝かしいときといわれるが、その期待の半面無残な青春を送った人々も多いと思う。
あるいは毎日の仕事に疲れ果て、自分が何を残してきたのか疑問に思うこともあるかもしれない。
だが、この本はそうして猜疑心と喪失感にさいなまれた人生を送っても、そのなかには何かをつかみ取れる、すべてを失ってもまだ何か残っているという感じを読者に与えてくれる。

他のレビューでも指摘されているとおり、実は荒削りな部分もあり、統一感がない部分もある。一部にはあまり必要ではな異様に思われるエピソードもあるという意味で、もっと純化できる作品ではあったと思う。
しかし、それでもなおこの小説はなんとなく毎日を追いまくられている人々に人生の意義があることを思い出させてくれるはずだ。
ムーン・パレス Amazon書評・レビュー: ムーン・パレスより
4105217038
No.89
(5pt)

失いながらも、必死に自分を作り上げようとする人たちへ

よく指摘されることだが、いわゆる青春小説。
同じ青春小説といっても「キャッチャー・イン・ザ・ライ」とは違う。
「キャッチャー・イン・ザ・ライ」が孤独にさいなまれながらも自己否定を続ける少年の物語ならば、
こちらは失っても失っても何かを掴み取っていくそんな青年の成長の話。

師であり唯一の近親でも会った叔父の喪失に始まり、祖父であり親友でもあった老人の喪失、そして最後に行き着いた父親の喪失、
と次々と大切な人々を失う。
しかし、主人公マーコは失い、傷つきながらも少しずつ何かを掴み取っていく。

人生において青春時代はもっとも輝かしいときといわれるが、その期待の半面無残な青春を送った人々も多いと思う。
あるいは毎日の仕事に疲れ果て、自分が何を残してきたのか疑問に思うこともあるかもしれない。
だが、この本はそうして猜疑心と喪失感にさいなまれた人生を送っても、そのなかには何かをつかみ取れる、すべてを失ってもまだ何か残っているという感じを読者に与えてくれる。

他のレビューでも指摘されているとおり、実は荒削りな部分もあり、統一感がない部分もある。一部にはあまり必要ではな異様に思われるエピソードもあるという意味で、もっと純化できる作品ではあったと思う。
しかし、それでもなおこの小説はなんとなく毎日を追いまくられている人々に人生の意義があることを思い出させてくれるはずだ。
ムーン・パレス (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ムーン・パレス (新潮文庫)より
4102451048
No.88
(5pt)

とりとめのないのない文章を読むだけでも良い

大して小説を読んでいるわけではないのですが、僕の中でベスト一冊です。
文章を読んでいるだけで良いと感じた本。

今まで孤独を感じたことがあるという方はぜひ読んでほしい。
ムーン・パレス Amazon書評・レビュー: ムーン・パレスより
4105217038
No.87
(5pt)

とりとめのないのない文章を読むだけでも良い

大して小説を読んでいるわけではないのですが、僕の中でベスト一冊です。
文章を読んでいるだけで良いと感じた本。

今まで孤独を感じたことがあるという方はぜひ読んでほしい。
ムーン・パレス (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ムーン・パレス (新潮文庫)より
4102451048
No.86
(2pt)

美しい文章だが、内容が希薄

相変わらず美しい文章を書く作家であるが、内容が希薄である。第一の問題点としては、世の落ちこぼれのような主人公に魅力がまったくないこと。共感しようにも、ここまで変な男だと共感のしようがない。第二には、読んでいてどうでもいいようなことが、くだくだといつまでも書かれていること。いったい、セントラルパークでの孤独を何度、同じように言い換えれば気が済むのだろうか。第三には偶然が多すぎること。世の中に偶然はあるが、それが何度も小説に出てくると、作り物に見えてしまう。英語の勉強にはいいが、物語としては非現実的で稚拙である。
ムーン・パレス Amazon書評・レビュー: ムーン・パレスより
4105217038
No.85
(2pt)

美しい文章だが、内容が希薄

相変わらず美しい文章を書く作家であるが、内容が希薄である。第一の問題点としては、世の落ちこぼれのような主人公に魅力がまったくないこと。共感しようにも、ここまで変な男だと共感のしようがない。第二には、読んでいてどうでもいいようなことが、くだくだといつまでも書かれていること。いったい、セントラルパークでの孤独を何度、同じように言い換えれば気が済むのだろうか。第三には偶然が多すぎること。世の中に偶然はあるが、それが何度も小説に出てくると、作り物に見えてしまう。英語の勉強にはいいが、物語としては非現実的で稚拙である。
ムーン・パレス (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ムーン・パレス (新潮文庫)より
4102451048
No.84
(5pt)

残酷なまでに美しくない青春

古い本。たまたま古本屋で見つけて買っておいたのを読んだ。初めてポール・オースターを知ったのは大学生の頃だ。もう20年も前になる。

当時は、全然読む気にもならなかったのに、この年になって、読むようになるとは。不思議。

柴田元幸の訳もすばらしいが、切ないくらい美しい文章で、残酷なまでに美しくない青春、人生を描いている。

この世界には、なんと悲劇が満ちていることか。しかも、その悲劇が人の目にも触れず、何でもないように流れていく世の中。無常だなぁ。

今になって、オースターのよさに気付くとは、もったいないことをした。
ムーン・パレス Amazon書評・レビュー: ムーン・パレスより
4105217038
No.83
(5pt)

残酷なまでに美しくない青春

古い本。たまたま古本屋で見つけて買っておいたのを読んだ。初めてポール・オースターを知ったのは大学生の頃だ。もう20年も前になる。

当時は、全然読む気にもならなかったのに、この年になって、読むようになるとは。不思議。

柴田元幸の訳もすばらしいが、切ないくらい美しい文章で、残酷なまでに美しくない青春、人生を描いている。

この世界には、なんと悲劇が満ちていることか。しかも、その悲劇が人の目にも触れず、何でもないように流れていく世の中。無常だなぁ。

今になって、オースターのよさに気付くとは、もったいないことをした。
ムーン・パレス (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ムーン・パレス (新潮文庫)より
4102451048
No.82
(2pt)

期待が大きかったのか

うーん、あまりぴんと来ない小説でした。
原書で読んだから、私の理解力が足りないことも大きいかと思いますが…。
全体を覆う寂寥感や諦観に対し共感できませんでした。
淡々とした文章、
1つの段落や章がかなり長いスタイルも最近では新鮮で、
独特の世界を持つ作家なのだろうと思います。
ムーン・パレス Amazon書評・レビュー: ムーン・パレスより
4105217038
No.81
(2pt)

期待が大きかったのか

うーん、あまりぴんと来ない小説でした。
原書で読んだから、私の理解力が足りないことも大きいかと思いますが…。
全体を覆う寂寥感や諦観に対し共感できませんでした。
淡々とした文章、
1つの段落や章がかなり長いスタイルも最近では新鮮で、
独特の世界を持つ作家なのだろうと思います。
ムーン・パレス (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ムーン・パレス (新潮文庫)より
4102451048
No.80
(5pt)

一気に

怪しい雑貨店で見つけた文庫本でした。
「絶対読んでみることをお勧めします」
と書いてあったので、出張の待ち時間に読み始めました。

本当に飽きることなく、最後まで読めた本です。

父子関係、喪失と再生、死に向きあう生。
そういうことが月を象徴として書かれてあって、面白かったです。
ムーン・パレス Amazon書評・レビュー: ムーン・パレスより
4105217038
No.79
(5pt)

一気に

怪しい雑貨店で見つけた文庫本でした。
「絶対読んでみることをお勧めします」
と書いてあったので、出張の待ち時間に読み始めました。

本当に飽きることなく、最後まで読めた本です。

父子関係、喪失と再生、死に向きあう生。
そういうことが月を象徴として書かれてあって、面白かったです。
ムーン・パレス (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ムーン・パレス (新潮文庫)より
4102451048
No.78
(2pt)

実験的な人物像、話は退屈

主人公は自分の気持ちに異常なほど囚われる人物で、常識ある人には理解しがたい。
無理な人物像を実験的に作り出したといえばそれまでですが。
本人を立ち直らせる小道具の為に中国人の美女が彼の恋人となるが、彼女がもし
設定どおりの魅力的な人物ならナゼこれほどまでに駄目な男にあっさり惚れるのか
理解できない。女には人格がないとおもっている作者の底の浅い人間観が見える
気がして不快。(言いすぎ?)
ストーリーは偶然にたよりすぎで、意外な展開ではあるけど、フィクション
だからどうにでもできるなぁ、って思わせる隙を与えてしまう。
皆さんのレビューが余りにも良いので、これなら、と思って
英語の勉強のために、名翻訳者と言われる柴田元幸先生の翻訳作品のなかから
この本を選んで、併せて原書も買ってしまったけど、失敗でした。
まぁ、自分の場合勉強だからつまんなくても仕方ないか。
万人受けする話ではないので要注意ですよ。
ムーン・パレス Amazon書評・レビュー: ムーン・パレスより
4105217038
No.77
(2pt)

実験的な人物像、話は退屈

主人公は自分の気持ちに異常なほど囚われる人物で、常識ある人には理解しがたい。
無理な人物像を実験的に作り出したといえばそれまでですが。
本人を立ち直らせる小道具の為に中国人の美女が彼の恋人となるが、彼女がもし
設定どおりの魅力的な人物ならナゼこれほどまでに駄目な男にあっさり惚れるのか
理解できない。女には人格がないとおもっている作者の底の浅い人間観が見える
気がして不快。(言いすぎ?)
ストーリーは偶然にたよりすぎで、意外な展開ではあるけど、フィクション
だからどうにでもできるなぁ、って思わせる隙を与えてしまう。
皆さんのレビューが余りにも良いので、これなら、と思って
英語の勉強のために、名翻訳者と言われる柴田元幸先生の翻訳作品のなかから
この本を選んで、併せて原書も買ってしまったけど、失敗でした。
まぁ、自分の場合勉強だからつまんなくても仕方ないか。
万人受けする話ではないので要注意ですよ。
ムーン・パレス (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ムーン・パレス (新潮文庫)より
4102451048
No.76
(5pt)

オースターの文章スケッチに身を任せてしまえる

伯父さんの死から始まる死と破滅の物語。
読者に悲劇をつきつけ、同時に馬鹿げた劇が同居していきます。
オースターの悲劇を物語の積み重ねで喜劇に作り変えていく手腕はおもしろい。
それでいて悲劇のなかの感傷を壊さずに小説を終わらせてしまう。
 いたるところに鋭い感傷の世界が広がっているために
喜劇の世界をまるで違った世界観のように読者に感じさせるような小説です。
ムーン・パレス Amazon書評・レビュー: ムーン・パレスより
4105217038
No.75
(5pt)

オースターの文章スケッチに身を任せてしまえる

伯父さんの死から始まる死と破滅の物語。
読者に悲劇をつきつけ、同時に馬鹿げた劇が同居していきます。
オースターの悲劇を物語の積み重ねで喜劇に作り変えていく手腕はおもしろい。
それでいて悲劇のなかの感傷を壊さずに小説を終わらせてしまう。
 いたるところに鋭い感傷の世界が広がっているために
喜劇の世界をまるで違った世界観のように読者に感じさせるような小説です。
ムーン・パレス (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ムーン・パレス (新潮文庫)より
4102451048
No.74
(5pt)

作者談:「彼が行きついたものは、始まりに過ぎない」

この小説に関する作者自身の言及は、「空腹の技法」というインタビュー集に沢山入っている。レビューのタイトルに引いた言葉も入っているので、この作品を気に入った人は一読を勧めます。

 1969〜71年、アポロ月面着陸とベトナム反戦運動の時代。現代アメリカ史の青春時代みたいな時間を、主人公はいつものオースターの作品同様に世間の動向とは全く関係せず、ひたすら受身かつ内向的にウロウロする。N.Y.から西海岸までを「西進」する彼の自分探しの旅に、ユタのインディアン遺跡、植民と西部開拓の歴史が重ねあわされる。

 作者自身がインタビューで応えているが、この話はアメリカの「進歩主義」に対する批判でもあるそうだ。過去の世代の過ちをアメリカ人は反復してしまうものだ、と。でも、その反復の先に希望を見出そうという意思を主人公は成長しながら得ていく。文字通り、何もかも失いながら、孤独の中で。人を絶望から救うのは偶然と他者の愛だ。そして、本当に希望が無くなった時にならないと、救いはこない。こういう説明が、何度も繰り返される。それを知っているから、主人公は孤独なラストであんなに力強くなれるのだ。感動的なエピソードだと思う。

 オースターの作品群の中では、ポジティブな味が強くエピソードも豊富なので、読みやすいです。例えば、「偶然の音楽」はいい小説なんだけど、鬱のときに読んだら非常にキツかった。でも、この小説は元気になった。僕同様、ヘコんでる人に読んでほしい本だと思います。
ムーン・パレス Amazon書評・レビュー: ムーン・パレスより
4105217038
No.73
(5pt)

作者談:「彼が行きついたものは、始まりに過ぎない」

この小説に関する作者自身の言及は、「空腹の技法」というインタビュー集に沢山入っている。レビューのタイトルに引いた言葉も入っているので、この作品を気に入った人は一読を勧めます。

 1969〜71年、アポロ月面着陸とベトナム反戦運動の時代。現代アメリカ史の青春時代みたいな時間を、主人公はいつものオースターの作品同様に世間の動向とは全く関係せず、ひたすら受身かつ内向的にウロウロする。N.Y.から西海岸までを「西進」する彼の自分探しの旅に、ユタのインディアン遺跡、植民と西部開拓の歴史が重ねあわされる。

 作者自身がインタビューで応えているが、この話はアメリカの「進歩主義」に対する批判でもあるそうだ。過去の世代の過ちをアメリカ人は反復してしまうものだ、と。でも、その反復の先に希望を見出そうという意思を主人公は成長しながら得ていく。文字通り、何もかも失いながら、孤独の中で。人を絶望から救うのは偶然と他者の愛だ。そして、本当に希望が無くなった時にならないと、救いはこない。こういう説明が、何度も繰り返される。それを知っているから、主人公は孤独なラストであんなに力強くなれるのだ。感動的なエピソードだと思う。

 オースターの作品群の中では、ポジティブな味が強くエピソードも豊富なので、読みやすいです。例えば、「偶然の音楽」はいい小説なんだけど、鬱のときに読んだら非常にキツかった。でも、この小説は元気になった。僕同様、ヘコんでる人に読んでほしい本だと思います。
ムーン・パレス (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ムーン・パレス (新潮文庫)より
4102451048