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キャパの十字架



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【この小説が収録されている参考書籍】
キャパの十字架

キャパの十字架の評価: 4.36/5点 レビュー 74件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.36pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全64件 61~64 4/4ページ
No.4:
(5pt)

沢木耕太郎はこうでなくっちゃ

文藝春秋でも読んだし、NHKでもみたけど、沢木耕太郎らしいノンフィクションだ。

沢木耕太郎は、若いころキャパに関する翻訳をしていたという伏線があり、これが、「崩れ落ちる兵士」の真贋を執拗なまでに追うことの伏線にもなっている。

残念ながら紙面では、「茎の位置」なんかは伝わってこないし、キャパとゲルダの間を兵が一人走ったという想定も、「突撃する兵士」を見る限り、少し強引な気がしないでもない。

しかしながら、日時、場所、位置関係、カメラの特性を丹念に調べてている過程は、良質なミステリーにも劣らないし、そこから得られた結論は、その後のキャパの人生を見事に説明している。

写真から読み取れるものは、被写体である戦争の現実だけではなく、シャッターを押した人の人生でもあったわけだ。

やっぱり、沢木耕太郎はこうでなくっちゃ。
キャパの十字架Amazon書評・レビュー:キャパの十字架より
4163760709
No.3:
(5pt)

戦争カメラマン・キャパが誕生した瞬間。

最新の画像解析技術も駆使した現地での緻密な調査と、史料の分析に基づく、大胆な結論。
結論と言っても、もちろん筆者の推論に過ぎません。
でも、その結論が紛う方なき真実であると信じさせる説得力に満ちています。

戦争・報道という枠を超えて、写真の最大傑作のひとつである『崩れ落ちる兵士』。
果たして、兵士は、ほんとうに敵襲で崩れ落ちたのか?
筆者は歴史的論争に終止符を打つ、決定的な結論を導き出します。
しかし、『崩れ落ちる兵士』の結論は、筆者にとって新たな結論へのスタート点。
ここからが読ませます。
(ここまでも読まてせるのですけどネ)

キャパの名を不動のものとした一枚は、別の意味でキャパにとって最も重要な一枚となった。
そのキーワードである、本書のタイトルもまた秀逸です。

あっという間に読了、上質な数時間でした。
キャパの十字架Amazon書評・レビュー:キャパの十字架より
4163760709
No.2:
(5pt)

真実が知りたいという沢木さんの気持ちがひしひしと伝わってくる

本書は非常に面白かった。写真家キャパの有名なある1枚の写真。
それに疑問を持ち続けた沢木さんが、世界中を飛んで自分の足で調べて得た資料・証拠を積み重ね、推理の羽を広げ、ある仮説を立てる。
その過程が、実に丹念かつ詳細に描かれていて、優れたサスペンス小説を読んでいるような、素晴らしい推理小説の謎解きを読んでいるような、
帯に書かれている通り「スリリング」な読み応えが十分だった。
特に写真が撮られたと思われる場所(スペイン)での実地調査は、あたかも刑事の「現場百回」のような執念。
前の日に一日中調べた現場に、翌朝また行き、さらにその夕方、ある事に思いつくと、列車の予約もホテルの予約も放り出して、また行く。
(この思い立ったら止められないというのが、実に沢木さんらしくて楽しいのだが。)
本書は、ロバート・キャパという有名なカメラマンの、ある謎に迫ろうという歴史検証のドキュメントでありながらも、
こうした沢木さん自身の、いわば行動と思考のドキュメントという側面としても、読み応えがかなりあると思う。
そこが、最後はどこにたどり着くのか分からない、というある種スリリングな面白さを醸し出しているのではないだろうか。

作者本人も言う通り「状況証拠」が多い仮説なので、その解釈については、納得される方もされない方もいるであろう。
しかし、個人的にはかなりの説得力を感じたし、何より沢木さんの「真実が知りたい」という気持ちが、全編からひしひしと伝わってくるのが良い。
そして同時に、その「真実が知りたい」という思いこそ、沢木さんのキャパへの深い思い入れだということが、本書には十二分に横溢していると思う。

ところで、ひとつだけ。本書88ページの「写真18」だが、写真が上下入れ違ってしまっているのではないだろうか(私の本は初版)。
本書の写真キャプションは全て写真の下に記されており、だとするとキャプションを読む限り上が「ライフ」の写真で下が「ヴュ」の写真のはずだ。
せっかく入念で綿密な資料を積み重ねて検証していく本なのだから・・・。僅かな瑕も、実にもったいないと思う。

追記:
この調査の様子を、先日NHKがドキュメンタリー番組として放送した。沢木さんの仮説を3DCGを使って補強していた。エスペホの丘も見られる。
もし見逃された方は、再放送があるかもしれないので、そちらもチェックされるとよいかと思う。

追記2:
写真の入れ違いの件、後で文藝春秋社のサイトにお詫びが出ていることを知りました。キャプションの方が入れ違ってしまったのですね。
キャパの十字架Amazon書評・レビュー:キャパの十字架より
4163760709
No.1:
(5pt)

現地での綿密な調査に裏付けされた素晴らしい報告書

週刊文春の記事で偶々この本の発売を知ったのと、その前の週に横浜美術館で開催中のキャパとゲルダの写真展へ出かけた時、この本が対象にしているコルドバの兵士の写真も展示されていた縁もあって、この本はぜひ購入して読んでみなきゃと思い、発売日に購入しました。

先ほど読了しましたが、表紙をめくってからあとがきのページまで、食事と睡眠時間以外は殆ど一気に読んでました。 こんなに引き込まれた本は久々です。 細かい内容は買ってから読んで下さいということで、今このページで買おうか悩んでいる方がいたら買うしかないでしょ、という素晴らしい作品です。 きっとスペインにも行きたくなるんじゃないかな。(私はもうその気になっちゃってます。。。)
キャパの十字架Amazon書評・レビュー:キャパの十字架より
4163760709

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