密やかな結晶
評判
密やかな結晶の評価:
3.94/5点 レビュー 77件。 A ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全112件 41〜60 3/6ページ
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密やかな結晶の評価:
3.94/5点 レビュー 77件。 A ランク
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人は最後まで、どんなに自由を剥奪されようと、諦めてはいけない、というのだろうか。
はなから諦めた人間に、未来はないという物語なんだろうか。
小川さんの紡ぐ物語は何か一つのわかりやすい訴えを投げかけるのではなく、
全体からじわじわと、と同時に部分部分のすべてに、ささやかで大切なメッセージが込められているように思うので、今回のこの物語も、「こういうことが言いたいんだと思います」などと安易なことは言えない。
とはいえ、感じたことを一応、書いてみる。
この物語を読む人は、ホロコースト(特にユダヤ人迫害)を思い浮かべると思う。第二次世界大戦の日本の憲兵隊も連想する。その状況に当てはめるように読むと、一方的に自分の一部であった数々の物や記憶を剥奪されようと、それを取り戻せなくても、自分の「声」を失ってはいけない、という想いが込められてるように思う。
物語の中に出てくる「物語」(主人公が執筆している小説)も、声について強調されている。また、「消失」を強制される主人公は、はなから消失していくことを受け入れ、抵抗しない。いっぽう、消失しない人であるR氏は、危険であると知りながら、主人公に消失した記憶を取り戻させようと、必死だ。
結末、自由になるほうはどちらか。ここにこの物語の強いメッセージを感じる。
以前読んだフランクルの『夜と霧』で心に伝わってきたことと、どこか共通している。
小川さんの小説は、いつも、物事は解決されない。だから、すっきり爽快の探偵ものなどを好む人は、もしかするともやもやするのかもしれない。
でも、繊細に丁寧に心の微細な部分に入り込んでくる言葉で、魅了してきて、すっかりこの世界に閉じ込められる。完璧な小説の世界に取り込まれます。
この物語、とても好きで、大切なほんになりました。
とにかく、「おじいさん」が素敵すぎて、だいすきで、涙しました。