■スポンサードリンク
吉原御免状
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
吉原御免状の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.45pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全53件 41~53 3/3ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
主人公の松永誠一郎は宮本武蔵の最後の弟子で天才的な剣士。吉原を舞台に冷酷無慈悲な裏柳生の武士と死闘を繰り広げる一方、吉原の絶世の美女達との交情もたっぷり描かれているのがこの作品だ。 ただ、この作品のテーマは松永誠一郎の活躍にあるのではなく、それ故にこの作品には他の通常の歴史活劇や剣豪小説にない深みや重みがある。そのテーマは吉原の真の歴史であり、その吉原を築いた(今は歴史の裏側に消えていった)傀儡子一族にある。吉原が傀儡子一族を生き延びさせるためにどのように造られたのか、そして傀儡子とはどのような一族であったかが、詳細に描かれていて、この独特な歴史観が非常に興味深い。 本書の終わり方は、やや尻切れトンボであるが、続編の「かくれさと苦界行」があるようなのでそちらでどのような続きがあるのか楽しみだ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
これはあまりに完璧なヒーロー小説だ。主人公の松永誠一郎、こんなに女にモテて、それでいて、たぶん同性が恋焦がれる男。でも松永誠一郎、戦っている時よりも、女を抱いている時よりも、午下りの吉原、「待合の辻」の縁台に腰掛けて、そのけだるさの中でまどろんでいる情景が実は一等かっこよく思える男なんである。この人、群れないでひとり屹立してるのがなんともいいんだよねぇ。使命とかしがらみとかにまったく縛られていない強さ。男として、いや人として、夢を見させてくれる小説である。 もちろん大きな部分での小説世界のフレームもよく出来てる。しかし、隆慶一郎、これがデビュー作だなんてなぁ。松永誠一郎、誠さんが、本人の意志と関係なく巻き込まれていく、裏柳生と吉原の傀儡子一族との戦いなんだけど、傀儡子、道々の輩への共感と憧憬、あるいは不当な差別への反感を抱く一方、戦い終結の切り札として松永誠一郎の出自(後水尾天皇の皇子)を持ち出すことの、網野史学の全肯定、みたいなあたりが、唯一喉元に引っかかる。うん、天皇制の是非、天皇の意味論、みたいなイデオロギー的なこととはちょっと違って、松永誠一郎を天皇の子に設定する必要性、というか物語の補強にちょっと戸惑いを覚えるのだ。大きな物語としてはこれで完璧なんだろうけど、別に皇子じゃなくていいじゃん!っていう。逆に松永誠一郎自身が本来持つ高貴さ、人としての清らかさみたいなものを血で穢された気分。まぁ、この小説の評価すべき点が百あるとしたら一とか二くらいの些細なことだけど。 この小説のあと、続編とも言うべき「かくれさと苦界行」や、この小説で松永誠一郎の夢として語られる挿話を独立させた「影武者徳川家康」が書かれる訳だから、「吉原御免状」は、デビュー作というだけでなく隆慶一郎のすべての世界の起点となっている作品でもある。 この小説、きっと、歳を重ねて何度でも読むことになろだろうな。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
隆慶一郎の、網野史学からヒントを得てつくりあげた独特の世界をご存知のかたには周知の筋書きであるが、天皇のご落胤+吉原という、従来は間接的にしか繋がっていなかったふたつをダイレクトに結びつけてしまったのが本作の大きな特徴である。したがって、この作品におけるテーマも、徳川封建社会vs天皇を中心に自由に生きる道々の者、という構図になっている。 これが一歩間違えば天皇制賛美に繋がってしまうのは網野史学に対する批判と共通する部分であるが、痛快な歴史小説として読む分にはそんな知識はどうでもいいことだ。歴史小説家は数あれど、隆氏以上のエンターテイメント性を持った作家はいない。ここは吉原の普段知ることのない風俗の描写、剣技の冴えの描写、そして徳川のインテリジェンス(忍者とも言う)といった各要素を楽しめればそれでいいだろう。 続編の「かくれさと苦界行」ともども大推薦できる、隆氏の傑作のひとつ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
吉原成立の秘密、徳川家康から下された「吉原御免状」とは? そもそも吉原とは一体どんな存在なのか? 宮本武蔵に育てられた剣士・松永誠一郎が、吉原を訪ね、吉原を理解していく過程で関わっていく裏柳生との死闘。 『影武者徳川家康』のテーマとも深く結びつきながら、より自由を勝ち取るための戦いに焦点を当てられている。 最終的な決着は次作『かくれさと苦界行』へと持ち越されるが、吉原をはじめ、江戸初期の風俗が生き生きと描かれ、歴史の中を泳ぐような知的快楽をも与えてくれる一書。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この本はあっという間に引き込まれてしまいました。歴史の常識を覆すような大胆な説や、登場人物の性格、全てが面白く感じました。また、しかし、ところどころに残虐な描写があったために、星を1つ引きました。歴史好きにはたまりませんが、残虐な描写が苦手な方(特に女性)はやめておいた方が良いと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
武蔵が残した凄絶な強さと、そして罪なほどの優しさを持つ青年剣士が主人公の、 彼に魅せられた人々が織り成す時代活劇。 その時代の日常に生きる人々が、ロマン溢れる背景と共に巧みな文章で描き出されていました。 また時代物の醍醐味ともいえる活劇シーンはスピード溢れる美しい剣さばきを見事に描いていて、 大変読み応えがあります。作中では多くの登場人物が出てきますが、その誰もがとても個性的で、 魅力に溢れています。 ただしいて言うならば、史実や説を述べる際の多少のくどくどしさも目に付きました。 確かに史実を元にあらゆる情報を独自に織り交ぜ、 イマジネーションを発揮するのはとても素晴らしいのですが、そちらに気をとられすぎてページが嵩んでしまったように感じられます。 私個人が、時代物は好きですが勉学的な歴史はあまり好きでないこともそう思う要因かな?? その為か起承転結の「結」部分が、尻すぼみになってしまったところが残念です。 中盤過ぎたあたりまでをとても面白く読んでいたため、個人的にはもっとガツンとした終結が見たかった。でもこれは贅沢でしょうね(笑)期待しすぎてしまったのかも。歴史への造詣の深い方や興味のある方には、☆5つでも足りないくらいの面白さだと思います(^^) そのような方には本当にお勧めの一冊です☆ | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
登場人物のキャラクターの魅力、活劇の魅力、吉原という特別なロケーション設定の魅力、ストーリーの魅力、・・・ 第一級品の時代小説です。そして、何より、この作品は、網野史学、日本中世史学の第一人者であった網野善彦氏のその歴史感を濃厚に反映した、知的エンターティメント時代小説として燦然と輝いていると思います。この作品から湧き上がる知的わくわく感は、ちょっと他の時代小説では味わえません。この作品から、『かくれさと苦界行』、『影武者徳川家康』、・・・ 隆慶一郎の諸作品に埋没するのもいい。網野善彦氏の史学書物に走るのもいい。どちらにしても、あなたの知的悦楽は約束されます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
肥後山中で宮本武蔵に育てられ、二天一流の教えをうけた松永誠一郎。師の遺言に従い、理由もわからないままに江戸は吉原へと出てくるが、そこで待っていたものは、徳川家康の手による認可状「神君御免状」をめぐっての、裏柳生との血で血を洗う争奪戦だった。我が敬愛する作家、隆慶一郎の記念すべき処女作です。流麗な文章といい、巧みな筋の運びといい、とても処女作とは思えないできばえです。さらには、後の多くの作品でも主題となっている傀儡子や山窩など、為政者から人に非ずと人としての地位を認めてもらえず差別されながらも、自由に気ままにそしてしたたかに生き延びていく流浪の者たちへと向けられた視点、史実として一般に受け入れられていることへ懐疑の目を向け、残されている史料を縦横無尽使い、独自の歴史観を持っての考察などなど、処女作にしてすでに完成していた作家といえるのではないでしょうか。作者が第一作で目を向けた先は花街・吉原。飾り立てた花魁が行き交う華やかな町、「男には極楽女には地獄」の欲望と恨み辛みが積もりに積もった、それだからこそ余計に活気にあふれる町。しかしそれは表の顔。一歩裏に回ってみると、そこは・・・、と書けるのはここまで。詳しく書きたいんですが、あんまり書くと興味をそいでしまうことになりかねないので。この吉原の真の姿、史料を元に作者が想像を膨らませて創り上げた吉原像にすぎないのかもしれませんが、それでも、もしかしたら・・・と思わせるには充分で、今まで知っていると思っていたことが覆されていくゾクゾクとした快感はたまりません。松永誠一郎と、ある一族の存亡と誇りを懸けた戦い、お気に召したら、続編『かくれさと苦界行』も読んでみてください。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
宮本武蔵の直弟子、松永清一郎のストイックな剣士ぶりが冴える(つまり作者の筆も冴える)「かくれさと苦界行」のプロローグ的作品。吉原という異界と柳生御密団との相克が少しずつ明かされる物語だが、当時の吉原の風俗が活き活き綴られ、それだけでも時代小説としては高得点だ。まず舞台設定からしてが荒唐無稽!柳生宗達の弟子が吉原の総元締めで、そいつがまた凄腕の剣豪で美青年。大映映画の最盛期だったら絶対映画化、それも大ヒット作となっていただろう。後に最愛の妻となる少女の頃のおしゃぶ(って変な名前)との出合いもちょっとだけ出てきます。吉原とはまさにこの世(還俗)とは異なる社会であり、その中で生き死にする人々が読み物を豪華にしてます。映像的でなかなかよろしい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
夭折した隆慶一郎氏の処女作。 宮本武蔵に育てられた青年剣士・松永誠一郎と裏柳生との激しい戦いを描く。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
宮本武蔵に育てられ、二天一流の免許皆伝となった天皇の落胤が主人公。彼は江戸に赴くと同時に色里吉原の棟梁となり、とある書状をめぐって幕府方の裏柳生と戦うはめになるのだった……と書くと、奇天烈な話に聞こえるだろうし、実際に奇天烈ではあるのだ。 しかし、それをねじ伏せてしまう筆力と資料の豊富さ、そしてなによりも魅力的な人物に魅了されてしまい、なんら問題なく読めてしまいます。 「影武者 徳川家康」に連なる、隆慶一郎ワールドのひとつ。少しリンクはずれてはいますが。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
松永誠一郎の剣技も柳生の執念も凄いが、ただの色町だと思っていた吉原がこんなに素敵すぎる、偉大な価値を持っていたなんて。。。タイトルからもわかるとおり御免色里。今日の吉原とはおよそかけ離れた誇り高き存在である。一読の価値あり。続編のかくれ里苦界行もオススメです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
主人公、松永誠一郎はとにかくかっこいいです。強くてやさしくて、純情で、シャイで...。 あんな男に見つめられたら、女性だったら誰でも惚れてしまうのでしょうね。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!