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歓喜の仔



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【この小説が収録されている参考書籍】
歓喜の仔 上巻
歓喜の仔 下巻

歓喜の仔の評価: 3.58/5点 レビュー 24件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.58pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全14件 1~14 1/1ページ
No.14:
(4pt)

結論がいささか陳腐ですが、圧倒的な筆力は健在

「家族狩り」「永遠の仔」と社会的なテーマと重厚な文体でなかなか気に入っていた作家。
「悼む人」では設定がすとんと腹に落ちず、文体もやや力の抜けたあっさりした読後感にアレ?という感じでしたが、本作は「永遠の仔」を思い起こさせる重厚な物語。
ストーリーはかなり暗く、重い。3人の兄妹のこれでもかという過酷な境遇に、身につまされる思いがする。それに加えて両親の出会いから始まる転落人生も悲惨。3人の子供たちがどうなっていくのだろうと読み進むうちに、3人それぞれに支えとなる人たちが現れ、少しずつ人間性を回復していく。中でも、幼稚園児の香が仲間たちとともに新幹線に乗って旅に出るくだりは読みごたえがあった。
最終的なシラーの歓喜の歌からの「きょうだい」をモチーフにした結論は、まあ、こうでなければ終われないなという納得感とともに、やや語りつくされた陳腐な印象も拭えなかった。
歓喜の仔 上巻Amazon書評・レビュー:歓喜の仔 上巻より
4344022874
No.13:
(5pt)

美品でした。

本当に思ったより美品でした。
梱包の綺麗でしかも低価格でありがたかったです。
今、本を読んで楽しんでいる最中です。
ありがとうございました。
歓喜の仔 上巻Amazon書評・レビュー:歓喜の仔 上巻より
4344022874
No.12:
(5pt)

美品でした。

思っていたより美品でしかも届くのがはやくてびっくりです。
しかも低価格で・・ありがとうございました。
歓喜の仔 下巻Amazon書評・レビュー:歓喜の仔 下巻より
4344022882
No.11:
(5pt)

悪は裏切られる。それが人間が滅びない秘密だ

物語は一つの家族の複数の視点で進んでいく。
 母、兄、弟、妹、それぞれが現実世界から逃避するための世界を所有しており、そこに逃げこむことで精神をかろうじて保っている。どちらの世界でも弱い物同志が群れになり、凶暴な肉食獣から身を守っている。妹の発する「いっしょにいたら、だいじょうぶ。むれで、あつまっていたら、やられない。」というささやきが全体を通して聞こえてくる。両方の世界がクロスするような物語の作りはとても工夫されている。
 社会からどんどん堕ちていくような危うい作業が続く兄弟の日常が、ある事件をきっかけに大きく転換して、これまでのやりきれなさへの反動から一気に駆け上って「歓喜の歌」へとつながる終章は、多少芝居じみてはいるが、読んでいても堂々たる独唱が聞こえてきそうな高揚をもたらす。
 著者の「幼いもの」「弱いもの」に対する視線はいつも優しい。また「人間は悪ではいつづけられない」という信念も彼にとっては不変である。本作品でも最後に光明が見えて、救いや希望を感じることができる。もしかしたらこの特徴は最大の弱点かもしれないが、「悪をなすことで報いがある」「祈りの対価として救いがある」というような一般的な宗教の教義ではなく、「どれほど悪をなそうと、人は必ず善きものを生み、善きものを育ててしまう。そのとき、悪は裏切られる。それが人間が滅びない秘密だ」という言葉こそ我々が信じるべき教えなのではないかと思う。
 私は彼の新刊が出るたびに手に取るだろうし、人には読むことを勧める。天童荒太と同時代に生きて、彼の作品を読める幸せを喜び、それを共有したいと思う。
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4344022874
No.10:
(5pt)

期待よりも良かったです。

暗い内容ということでしたが、読み進めるほどに引き込まれるものがありました。
とても丁寧に作られていると思いました。

天童さんだからこそ!書けるものだと思いました。
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4344022874
No.9:
(5pt)

天童ワールド!

天童さんを「永遠の仔」で知り、それから他の著書も読んでいます。
今回も早く読みたかったです。
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4344022882
No.8:
(4pt)

ついに登場。

『永遠の仔』から、
ずいぶんな時間を経ての今作。

その力の入れようは、
読めばわかる。

現代日本の底辺にいる少年たちが主人公。
父親は蒸発、
母親は寝たきり、
家族の経済を支えている17歳の少年。

学校でいじめられ、
孤独な12歳の少年。

そして、見えないものが見えてしまう、
6歳の少女。

3人兄妹は、
殺伐としながらも、
何とか寄り添って生きている。
また、
それぞれの生活の中で、
かすかな光を求めてもがいている。

彼らがなぜそこまで落ちたのか。
現在と、過去を行ったり来たりする。
また、寝たきりの母親の視線も入ってくる。

そして、
同時代を生きるパレスチナの少年。
フィクションの登場人物として、
17歳の少年が、
空想の友人として夢想する。

救いのないまま、
上巻は終わる。
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No.7:
(5pt)

痛みと、わずかな希望と。

上巻で、
まるで空想の物語として描かれていたパレスチナの少年が、
実態として浮かび上がってくる。
戦争、
それも一方的に侵略を受けている国の少年が、
この豊かと言われている国で、
豊かさのかけらも手に入れられない少年。

大人たちの都合で、
いや、
資本主義の行き詰った社会で、
弱者は搾り取られるだけ、搾られる。
それでも、それぞれが生きようとする力が、
何かを揺り動かしていく。

そして、
ラストのどんでん返しにはやられた。
フィクションの強さをまざまざと見せられる。
さすがに一言。

いつもながら痛みを伴った天童荒太の傑作。
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4344022882
No.6:
(5pt)

天童さん、お帰りなさい

「悼む人」や「包帯クラブ」以来、他人を傷つけることに過敏になり過ぎているような言動が目だっていた。
知覚過敏というか、そんなに他人の痛みを恐れていたら何も書けないのでは、と心配していた。
 そして本書に対する早い方のレビューに酷評が続いた。…怖くて、本書を買うのがちょっと遅れてしまった。

 だけどお帰りなさい。力強く天童荒太は帰ってきた。戦地のような過酷な環境で歯を食いしばる少年・少女たちを引き連れて。
そして実際の戦地で死と隣り合わせに懸命に生きる少年・少女までも視野に入れて。

 想像できる限界に近い過酷な環境で暮らす三人の兄妹。
彼らをさらに追い詰める非合法社会の住人、合法的で健全な学校社会の住人。
フィクションだから、デフォルメされてはいる。もちろんこんな学校ばかりじゃない。

 誠とリートのリンクは、だんだんと迫力を持ってきている。リートは想像上の人物かもしれない。
でも、それが誠を強くしてくれるのなら、いいじゃないか。
 幽霊が見える香の能力は、今のところ無駄な設定に思える。でも、なにかそれが香の本質を表しているようにも思う。
 正二がいい子過ぎる。
 父の信道が、何だかこの厳しい現実にそぐわずフワフワしている。
 母の愛子が植物状態の寝たきりになる経緯は不自然な感じがする。

 いくつかの違和感を抱えながら、物語は下巻へ。

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4344022874
No.5:
(5pt)

影は実在となり、だまし絵は霧散する

しっかりと、あるべきところにあるべきものが落ち着いてゆく。
ハッピーエンドなはずがない。非合法社会の住人は、一度目をつけたものを死ぬまであきらめない。
 それでも戦う意志が、抗い、貫く意志があることを歓喜の歌の場面は表しているのではないか。
フィクションなのだ。歌っていいではないか。レ・ミゼラブルを見よ!

 前半のいくつかの違和感が、きれいに拭い去られる。
本作はミステリーとしても成り立っていたのか。
 香の能力にも、正二の献身にも、皆、理由があったのだ。

 獣の「群れ」とは、ただ身を寄せ合い依存しあう者たちではない。
自立しないもの、意志を持たぬ者は置いて行かれるし、相手にされない。
自立した者同士が、それぞれを尊重してこそ「群れ」なのだ。
 これが天童荒太の最終的な答えではあるまい。
 だが、こうして次の世代を生きる者たちに明確なメッセージを送ろうとする姿勢は、モノカキとして実に立派なことではないか。

 今度は天童さんに、リートの世界に立って小説を書いてほしい。
リートは今、背景からようやく血肉を得た所なのだ。
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No.4:
(4pt)

絡み合う過去

現代と過去を行き来していくうちに明らかになる事実。
やはり筆の力がものすごい。
永遠の仔とは明らかに違うけれども、根っこが同じに感じる風景がもの凄い迫力だ。
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No.3:
(4pt)

我々は選択してきたか

「歓喜の仔」と題されているので「永遠の仔」につながると思われそうだが、読後感は「包帯クラブ」のトーンに近い。ミステリーの趣を持つことから、「悼む人」で天童荒太はどこへ行こうとしているのか戸惑ったが、ファンとしてはお帰りなさいという感じだ。ただし、その設定はありえないだろうと思うけれど。
 誠、正二、香、彼ら三人の兄弟はとても過酷な環境に生きている。生きざるを得ない。選ぶことはできなかった。子どもだからそれが普通だと思って読み進めていくと、実は彼らは自らの道を切り拓くために、決断をし選び取ってきたと思わざるを得なくなる。
 家族を養うために日夜働き詰めで、犯罪にも手を染める兄の誠、家族崩壊の後色彩を失った世界に生きる弟の正二、幽霊が見えると兄たちを困らせる妹の香。兄は戦火にまみれた土地に生きる友人を空想し、弟は不法滞在の子を友とし、妹は他国籍で問題を抱えた子たちを友とする。そして彼らの抱えている問題が動き出し、過酷な運命には抗えないと思われたとき、すべての事柄が伏線となり謎が解けるように微かな明るさを残しつつラストを迎える。
 暗く先行きのわからない現代に、おのれの運命を受け入れなおかつ切り開こうとする、その強さ、若さ。それと対照的に彼ら兄妹の父母や周りの大人の生き方が流されているように見える。選んできたか、君たちは選んできたのか、これから選んでいくのか、そういうメッセージとして受け取れる。

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No.2:
(4pt)

歓喜の仔をよんで

新聞広告で見てから永遠の仔以来、天童作品に触れてなかったので読みたいと思いすぐに購入しました。
家族3代に渡る物語なのに、祖父の時代の結婚式に二次会あるとか主人公が住む環境の土壌汚染がひどいままなど、
時代背景に若干無理がありますがほぼ一日で読み終えました。

過酷な極限状態に子供達だけさらされ、生き抜こうとする物語です。
音や色を失ってもそこにとどまろうとすることが理解できなくて、自分なら逃げるのになぜなんだろうと思いながら読み続けました。

子供たちは極限状態の中でそれぞれが生き抜く力を見せ付けて教えてくれます、想像力や友達の存在や群れる事。
中でも想像力が本人の代わりに翼となってシンクロしたり行動力の源になっていて、ゲームばかりしてたら
こういう想像力は失ってしまうのだろう。

途中、登場人物の多さとインターナショナルな名前の覚えづらさに辟易しましたが…
子供の生命力とか殺伐とした中で人との結びつきの重要性が感じられて好きな作品です。
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No.1:
(5pt)

3兄妹に奇蹟は起こるのか。生を生き抜くことの尊さを訴える、この物語に救いはあるのだろう

父は多額の借金を残したまま突然失踪し、母は事故で植物状態。残された3兄妹は、病院からも見放された母を介護しながら、借金を返済するために・・・やむなく犯罪を強いられていた。3兄妹の心は深い傷を負い、17歳の誠は音感を、小6の正二は色彩感覚を、そして5歳の香は臭覚を喪失してしまった。3兄妹には夢も希望も絶無の状態に閉じ込められていた。そんな彼らに、学校でのいじめ、差別、裏切り、裏社会の過酷な搾取・・・といった様々な拷問にも似た現実の悪意が執拗に襲いかかってくる。読んでいると、作者は一体どうしたいのだという気持ちになるのだが・・・。このような窮地に置かれた、子供は、自らの心の内に空想・仮想世界を創り出して、そこに生きることによって、現実に対処するようになることが実際にみられる。本書においては、長男・誠は、自らの想像の世界の中に創りあげた少年リートの存在が唯一の救いとなる。そして、誠の物語とリートの物語がいつしか交差・融合してゆく。言い換えれば、内なる心と現実の世界との境界がなくなっていくのである。この部分の記述をどのように読者が受け止められるかが本書の読みどころであるが、それは読者依存であろう。また、父に関する秘密を胸に秘めている“正二”、死んだ人間の姿が見えてしまう“香”・・・彼らも自らの物語をもっている、それが父と母の過去の物語と重なるとき・・・また別の物語のフィーチャーが・・・。本書は多重性と深淵さを合わせもっていて、本書を読みつくすのは容易ではない。しかし、頁をめくるとともに、幾度も“この物語に救いはあるのだろうか・・・”と思ってしまう。下巻を読み進んで行っても、その思いは消えない。3兄妹に奇蹟が起きて欲しいとはいうものの、奇蹟を起こさせないという作者の意図もあるのかもしれない・・・。
『仔』とは人間以外の子供を表現するときに使用する言葉。著者の用いた『仔』のイメージとは・・・悪が栄え、悪が勝つ、嫌な現実の世界を生き抜くことの尊さであろう、そのためには“子“は“仔“となって、まさしくケモノのように群れ、互いに支えあって生きる“本能”を身に付けている存在なのであろう。
また読んでもいいと思いました。
歓喜の仔 上巻Amazon書評・レビュー:歓喜の仔 上巻より
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