ザ・ロード

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ザ・ロードの評価:

4.15/5点 レビュー 73件。 D ランク

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平均点4.15pt

Amazonレビュー一覧

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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全90件 21〜40 2/5ページ
No.70
(3pt)

破滅した世界に生き残った父子の絶望的な旅(ロード)を描いた物語。

冬の気配がし始めた荒野。彼と息子は、生き延びるために旅を続けていた。野宿しながら、廃墟の中から必要な品を探し出し、灰とほこりの焼け野原を、少しでも暖かい南を目指して進んでいく。生き物の気配のない世界だが、それでも時おり出会うのは人間で、彼は助け合おうとしないばかりか、警戒し、脅威となりそうなものはやり過ごすか戦うのだった。そしてその度に純真な息子は助けてあげてほしいと懇願する。灰色の雪が舞い始めた。明け方、隣の息子を起こさないよう野宿の場所から離れてする咳に血の味がした。

破滅した世界に生き残った父子の絶望的な旅(ロード)を描いた物語。

*******ここからはネタバレ*******

この世界が、一体どんなものを表しているのか具体的な情報がとても少ないので、イメージしにくく読み進むのが困難でした。

要は、何らかの理由で世界が壊れて、ほとんどの生命も絶え、生き残った人間がそこに残った僅かな必要品や(食べるために)お互いの体を求めて争う世界に、生存のために旅する父子の姿を描いた作品のようです。

このお父さんは、すごいサバイバルスキルを持っていて、食料を含めた生活必需品を探すのも、ちょっとしたものなら作るのも直すのも、少しでも安全に過ごすことも、とても上手です。でも、この物語中ずーーーーーーーーーーーっっっっっと続く先の見えない旅の中では、卓越した生き延びるスキルがかえって苦しみを長引かせているような気がするのはヘタレな私だけでしょうか。

読むのも苦しい中、一生懸命完読しましたが、結局最後まで同じように苦しいことの連続で、この世界が破滅した理由もよくわかりませんでした。

最後に父親が亡くなった時、ほとんど間を置かずに他のグループの人たちが少年を受け入れてくれたのが希望です。父親がずっと他の人達を拒絶してきたからそれまで他の人たちと関わることがなかったけれど、人を助けたい気持ちが強い少年には、皮肉だけれど、これで良かったのかも知れませんね。

それにしても、肉体的にも精神的にも、こんな過酷な状況の中で生き延びられるってホントすごい、と驚きの連続でした。

読点のほとんどない文章で、結構長い文章もあって、これは意識的に読みにくくされていたのでしょうか?

正直、なんでこの本を読もうと思ったのか覚えていない(笑)のですが、これは完璧大人向けの本だと思います。
ザ・ロード (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)より
4151200606
No.69
(3pt)

破滅した世界に生き残った父子の絶望的な旅(ロード)を描いた物語。

冬の気配がし始めた荒野。彼と息子は、生き延びるために旅を続けていた。野宿しながら、廃墟の中から必要な品を探し出し、灰とほこりの焼け野原を、少しでも暖かい南を目指して進んでいく。生き物の気配のない世界だが、それでも時おり出会うのは人間で、彼は助け合おうとしないばかりか、警戒し、脅威となりそうなものはやり過ごすか戦うのだった。そしてその度に純真な息子は助けてあげてほしいと懇願する。灰色の雪が舞い始めた。明け方、隣の息子を起こさないよう野宿の場所から離れてする咳に血の味がした。

破滅した世界に生き残った父子の絶望的な旅(ロード)を描いた物語。

*******ここからはネタバレ*******

この世界が、一体どんなものを表しているのか具体的な情報がとても少ないので、イメージしにくく読み進むのが困難でした。

要は、何らかの理由で世界が壊れて、ほとんどの生命も絶え、生き残った人間がそこに残った僅かな必要品や(食べるために)お互いの体を求めて争う世界に、生存のために旅する父子の姿を描いた作品のようです。

このお父さんは、すごいサバイバルスキルを持っていて、食料を含めた生活必需品を探すのも、ちょっとしたものなら作るのも直すのも、少しでも安全に過ごすことも、とても上手です。でも、この物語中ずーーーーーーーーーーーっっっっっと続く先の見えない旅の中では、卓越した生き延びるスキルがかえって苦しみを長引かせているような気がするのはヘタレな私だけでしょうか。

読むのも苦しい中、一生懸命完読しましたが、結局最後まで同じように苦しいことの連続で、この世界が破滅した理由もよくわかりませんでした。

最後に父親が亡くなった時、ほとんど間を置かずに他のグループの人たちが少年を受け入れてくれたのが希望です。父親がずっと他の人達を拒絶してきたからそれまで他の人たちと関わることがなかったけれど、人を助けたい気持ちが強い少年には、皮肉だけれど、これで良かったのかも知れませんね。

それにしても、肉体的にも精神的にも、こんな過酷な状況の中で生き延びられるってホントすごい、と驚きの連続でした。

読点のほとんどない文章で、結構長い文章もあって、これは意識的に読みにくくされていたのでしょうか?

正直、なんでこの本を読もうと思ったのか覚えていない(笑)のですが、これは完璧大人向けの本だと思います。
ザ・ロード Amazon書評・レビュー: ザ・ロードより
4152089261
No.68
(5pt)

火は闇を照らす光の源である

先ず世界があった。
世界は"二度とはもとには戻せないもの。ふたたび同じようには作れないもの。"であり、そこにある"すべてのものが人間より古い存在"である。
唯一無二にして完全無欠、奇跡のような。その世界の有り様を「善」と呼ぶ。

すべての生命はその出自である環境に適応することが生存の条件であり、人間も例外ではない。人間が他の生命と異なるのは、その欲望が肉体という檻を破り無制限に肥大してしまったことだ。
生まれたての人間はニュートラルな存在であり、生き延びるためにはその微妙なバランスを常に「善」の側に加重し続けなければならない。愛する者を守りたいなら、その者にも「善くあれ」と教え込まねばならない。自らと愛する者へのたゆまぬ働きかけ、「善」への駆動だけが人間と世界の共存を成立させる。

しかしその不断の努力を怠った瞬間、欲望を抑え込むことに失敗した瞬間、人間はいとも簡単に「悪」へと転落し、その罪業は自らの母体さえも地獄に変える。人間は世界を道連れに自滅しながら、初めて取り返しのつかない無知を自覚する。もはやすべてが手遅れであり、無意味である。

"おそらく世界は破壊されたときに初めてそれがどう作られているかが遂に見えるのだろう。"

シビレている場合ではない。
ザ・ロード (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)より
4151200606
No.67
(5pt)

火は闇を照らす光の源である

先ず世界があった。
世界は"二度とはもとには戻せないもの。ふたたび同じようには作れないもの。"であり、そこにある"すべてのものが人間より古い存在"である。
唯一無二にして完全無欠、奇跡のような。その世界の有り様を「善」と呼ぶ。

すべての生命はその出自である環境に適応することが生存の条件であり、人間も例外ではない。人間が他の生命と異なるのは、その欲望が肉体という檻を破り無制限に肥大してしまったことだ。
生まれたての人間はニュートラルな存在であり、生き延びるためにはその微妙なバランスを常に「善」の側に加重し続けなければならない。愛する者を守りたいなら、その者にも「善くあれ」と教え込まねばならない。自らと愛する者へのたゆまぬ働きかけ、「善」への駆動だけが人間と世界の共存を成立させる。

しかしその不断の努力を怠った瞬間、欲望を抑え込むことに失敗した瞬間、人間はいとも簡単に「悪」へと転落し、その罪業は自らの母体さえも地獄に変える。人間は世界を道連れに自滅しながら、初めて取り返しのつかない無知を自覚する。もはやすべてが手遅れであり、無意味である。

"おそらく世界は破壊されたときに初めてそれがどう作られているかが遂に見えるのだろう。"

シビレている場合ではない。
ザ・ロード Amazon書評・レビュー: ザ・ロードより
4152089261
No.66
(1pt)

北斗の拳

平成30年のベスト本として紹介されていたのでかなり期待して買ったのですが、
私の想像力不足のせいか、ただのディストピアの話だな、というだけでした。

敬愛する角幡さんも絶賛ですし賞もとっている作品だそうなので、本が悪いのでなく、私が悪いのだと思います。

ただ世紀末救世主も世紀末覇者も出てこない北斗の拳にしか思えなかったです。秒殺で図書館に寄贈しました。
ザ・ロード (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)より
4151200606
No.65
(4pt)

善悪の素因数分解

リドリー・スコットの『悪の法則』を観て衝撃を受けたので、脚本を書いたコーマック・マッカーシーの小説を読んでみた。
『ザ・ロード』は、多分戦争が原因で滅び、冷えていきつつある世界を、主人公の父と息子が、寒冷化から逃げるように南を目指して旅をするという話。
終末がテーマの映画や小説は数多あるが、これほど悲惨な終末世界の描写はなかなかないのではなかろうか。
そういう状況のなかで発生する葛藤は、善悪や生死の素因数分解をしているような感覚を味わえた。
ザ・ロード (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)より
4151200606
No.64
(2pt)

リアリティーを感じない

あまり作中の説明がないので、「何故人間が滅びたのか?」とか「どうして人々は文明の再建を諦め奪い合い殺しあってるのか」とか「何故殆どの生命が死に絶えた世界で人間がいきていられるのか?」という重大な疑問が突っかかって世界に入っていけない。
いずれ説明されるのかと思ったら、最後まで説明されないまま終わった。えぇ・・。
まず、その三つの疑問は絡み合っているので、一つの説明がなされたならほかの説明も無くてはおかしいわけで、それなしで話を進めているのは単にプロットが甘いのではと思ってしまう。
例えば核戦争で滅びたのなら、生物がいない理由もわかるが、そうなると今度は放射能まみれの世界で何故人間が平然と着の身着のままで歩いてるのかと突っ込んでしまう。病原菌が原因でも同様だ。
北斗の拳みたいな世紀末漫画なら突っ込むだけ野暮だろうが、この小説は他の描写にリアリティがあるだけそこがより気になる。
と言うか、どう言う理由で滅びたとしてもこの展開はおかしい。生き物が生きていけない世界で人間が着の身着のままで生きていけるわけがない。むしろ真っ先に滅びるだろうし、荒れ果てた世界では動物たちが我が物顔で跋扈するだろう。
ただそう言う世界だと、悪人より動物たちの方が余程脅威な訳で、そうなってくると「終末の世界で悪人から子供を守ろうとする父親」と言うものが描けなくなる。そんな事情でリアリティーは無視されているのだろうと邪推する。
人間を全く信用しない父親と言うのもよくわからない。てっきりゾンビウィルスが蔓延してるからとかそう言う理由かと思ったが、特に理由もなしに人々は狂暴化してるようだ。文明とかどうなってるのかの説明も無いし、悪い意味で漫画みたいなリアリティーのなさ。
これがベストセラーって言うのは不思議なようでそうでもない。家族を守る父、みたいなの出すと設定やストーリー展開が大甘でも大ヒットしてしまうのはハリウッド映画などを見てるとよくあるから。
だが私は受け入れられなかった。後訳もところどころおかしい。
ザ・ロード (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)より
4151200606
No.63
(5pt)

美しい詩のような物語。

何回か読んだ後でも、たまにパラパラと開いてそこに書いてある文章を読み返しています。
小説でありながら、全編がとても美しい詩を思わせます。
美しい文章だけではなく、物語もとても完成度が高いと思います。
たいていの物語は一度読んだきりですが、この本はこれから何度も読み返していこうと思います。
ザ・ロード (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)より
4151200606
No.62
(5pt)

それでもなお、全うに生きる

何らかの理由で人類の文明が荒廃した世界で生きる親子二人の逃避行。
父親は息子に色々と言い聞かせるが、時には綺麗に生きられない時もある。
それでもなお、全うに生きようという意志が彼らの運んでいる火なのではないだろうか。
ザ・ロード Amazon書評・レビュー: ザ・ロードより
4152089261
No.61
(5pt)

それでもなお、全うに生きる

何らかの理由で人類の文明が荒廃した世界で生きる親子二人の逃避行。
父親は息子に色々と言い聞かせるが、時には綺麗に生きられない時もある。
それでもなお、全うに生きようという意志が彼らの運んでいる火なのではないだろうか。
ザ・ロード (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)より
4151200606
No.60
(3pt)

世界の純文学も、日本のマンガを基にするようになったか

文明終焉後のアメリカでの、父と子のむごたらしく過酷な生存劇。

訳者のあとがきでも触れられてますが、おおまかなストーリーラインは、
日本で70年代に大ヒットし、アメリカでも80年代に影響を与えた、時代劇アクション漫画「子連れ狼」
(「新子連れ狼」の導入部分)を基にしています。

過酷な状況での父と子の彷徨と別れ、には普遍性があるのでしょうが、
いくらなんでも、小道具登場人物イベントまで、そのままやるはなかったと思いますが。
(ひょっとしてタイトルも、冥府魔道、ロードトゥパーディションからなのか)
ザ・ロード (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)より
4151200606
No.59
(5pt)

父と子のロードムービー

情景描写の文章が逸脱なので、話にぐいぐい引き込まれた。
読み進んでいくうちにわかると思うのだけど、これSF小説だと思った。
でも、単にSFだけではなく、生き残るためのサバイバルであり、父と子の
物語でもある。
父と子の会話のやりとりが結構好き。
誰がいっているのか、説明せずにわかるので、文字の位置が工夫されているのが良かった。
ザ・ロード (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)より
4151200606
No.58
(5pt)

痺れる本

夫が持っていた本を奪って一気に読みました。
人が壊してしまった地球で、アメリカをひたすら南に旅する話です。
父はショッピングカートを押し、息子はナップザックを背負い、大事なものは息子の背中にあります。
なにかが起こってしまうとき、カートは置き去りにせねばならないから。

子を持つ人は要注意で、読了後、子に頬ずりをし過ぎて鬱陶しがられます。
ザ・ロード (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)より
4151200606
No.57
(2pt)

私には合わなかった。

テンポが良い作品が好きな人には、おそらく合わないでしょう。
読み終わりました。
全体として、クオリティは高いのだろうと思います。
現実味がある描写なのだろうと思います。
しかしながら、私にとっては退屈なシーンもありました。
ザ・ロード (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)より
4151200606
No.56
(4pt)

モノクロームの世界を行く親子連れ

モノクロームの世界を行く親子連れ=しとしとと雨が降り注ぐ灰色の世界:「」で括らないお互いの会話はまるで頭の中の独り言のようで寂寥感をいやますばかりだ…先のない二人の行く末が辛くてなんどもページを繰る手を止めてしまった。やがて訪れた海…父にとって息子は明日を生き抜く輝きだが、人々が孤立し自然界すら死に絶えたような世界で果たして息子に未来はあるのだろうか?いや人類にとっても…
ザ・ロード (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)より
4151200606
No.55
(5pt)

マッカーシー アメリカの夢と幻

おかしなことにアメリカの現代ゾンビドラマ『ウォーキングデッド』が重なる。WDの演出家たちは、本作と本作の映像化「ノーカントリー」を見たに違いない。父と幼い息子の設定、アポカリプスの時代設定等が重なる。もちろんあとがきにもあるように、日本の『子連れ狼』もどこかでつながっているような気がする。
父は息子を命がけで守り、時に人間的な決断に迫られる。息子はどこまでも神が愛した子のように純粋で、人間に最後は良心があることを我々読者にしらせてくれる。
最後の最後、誰もが涙するだろう。枯れるほど出る人もいるだろう。その涙の意味を考えながら、マッカーシーの次なる世界へと
私たちは旅するのだ。
ザ・ロード Amazon書評・レビュー: ザ・ロードより
4152089261
No.54
(5pt)

面白いかと聞かれれば面白くないと答える、が…

純文学のすごさが実感できる作品なのは間違いない。

絵画で喩えると、子供が描いた絵のような印象である。
レンブラントのように整然とした印象ではなく、
ゴッホを思わせる荒削りな作風であると言える。
難しい語彙や難解な表現は一切なく、
日常で使用する平坦な言葉で構成されている。
句読点が存在しない文体には余裕が一切感じられず、
追い詰められた男の心情が痛いほど伝わって来る。
子に「善き者たれ」と訓示を垂れる父親ではあるが、
人間として強いわけではなく他人を見殺しにする。
実にリアルな人間像を描ききっており、読者の感情移入を誘う。

世界の終焉を生き延びる親子の旅は悲惨だが、
現代に生きる私たちの生活もまた、薄氷を踏むような危険と隣り合わせである。
たまたま運が良いから、平穏に暮らせているに過ぎない。
ほんの些細なきっかけで、昨日までの幸福が砕け散るかもしれないのだ。
だからこそ、この物語を「お話の中の出来事」で片付けられないのだろう。

ただ、この物語を愛せるかどうかは、愛するに値する家族がいるかいないかで違って来ると思う。
物語の子供は従順だが、そうではない子供を持つ親はたくさんいる筈だ。
この父親のように身を削ってまで家族に尽くしても、その愛情が裏切られることがある。
恩知らずな家族の世話に明け暮れている人が読んでも「所詮は作り話」と、思うだけかもしれない。
そういう意味では、現実の方が悲惨で残酷なのだ。
ザ・ロード (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)より
4151200606
No.53
(4pt)

神話を思わせるディストピアSF

動物も植物も都市も完全に焼け尽くされ、厚い雲と灰と埃だけが支配する冷たい世界をただ南へ歩き続ける父と子の物語。「ブラッド・メリディアン」と同様の文体で描いたディストピアSFだが、あまり凝った文章ではないので読みやすい。

 男の子は8~10歳くらいか。読み進むと、核戦争が起こった数日後に産まれたことが明かされる。文明の世界を知らずに育った無垢な子供の言葉が、人間本来の善の部分を象徴している。
 「メリディアン」に比べると当然アクションシーンが少なく、核の冬の中を行くので自然叙景の魅力も乏しいが、父子の切ない会話がいい。

 生き残った人間は食人鬼と化し、親子を襲う。父が殺した男は、その後、仲間に食われてしまう。彼らを取り巻く状況は危険に満ち、冬に追われて雪の中を震えながら歩む彼らの運命はいつ尽きるとも知れない。肺を冒され咳とともに血を吐きながら、父親は「希望」である息子を守り生き残るために、廃墟の中に食料と衣料を探す。

 ようやく海に行き着いたものの父親は力尽き、幼い息子がひとり残される。しかし幸運にも同じように“火を運ぶもの”であり“子供を食わない”善きファミリーに息子は出会い、旅がさらに続くことが示唆される。
 極限の環境下でも人間であるための条件は何かを追求した小説だが、ストーリーとしては救いがあるようでもあり、またないようでもある。

 父子の名前は最後まで記されない。父の屍の傍らで息子は泣き続け、ファミリーに引き取られるとき「父の名を呼んで別れの言葉を言う」が、それでも父の名は記されない。
 神に名がないように、この物語の主人公に名はなく、土地にも道にも、そして川や湾や海についても具体名はいっさい記されず、それがこの物語を原初的、神話的なものにしている。
ザ・ロード (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)より
4151200606
No.52
(5pt)

なんて、、、悲しくも美しいんだ

まず、彼の作品は本当に映画を目の前で観ているかのような臨場感と素晴らしい言葉の表現力がある。
とても悲しい物語なので読まない方がいいと。言われたことがあり読まないでいましたが、ずっと気になっていました。
本当に悲しい物語ですが、親子の愛や登場人物の内面を表現する言葉の言い回しが美しい。静か過ぎるくらいに穏やかで愛情に溢れている。残酷な世界と親子愛との対比がそれを強めている。
環境が劣悪でもこんな優しい子が育つものなのか?とも。不思議な感覚と感動と悲しみが味わえる作品です。
読むべき。
ザ・ロード (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)より
4151200606
No.51
(5pt)

火を運ぶ者達の物語

崩壊した世界を歩く父と子を圧倒的な筆力で眼前に映し出す。
言葉による表現だけで、こうも立体的な世界が立ち上がるとは。
文章の巧さは、読者の想像を容易にさせる。
また、詩的な文章は芸術的で美しい。

残酷で変えることの出来ない世界の中に、脆い人間の情念を対比させることによって、
物語を強烈にドライブさせるマッカーシーの常套手段は、今作でも特に堪能できる。

翻訳者の黒原敏行氏の日本語訳も本当に素晴らしいと思う。
マッカーシーの訳出していない著作の刊行も切に願います。
ザ・ロード (ハヤカワepi文庫) Amazon書評・レビュー: ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)より
4151200606