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ナイフ
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ナイフの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.01pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全67件 1~20 1/4ページ
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感想を纏めてみて思ったのですが、下記にて取り上げる各短編はそれぞれ異なった視点から見ているのが面白いですね。 ●「ナイフ」についての感想 中学2年生のいじめられっ子の男の子、真司くんについて、父親の視点から書いた話です。いじめでありがちな「成績が落ちる」、「性格が荒む」などから始まり母親と父親が「息子はいじめられているのではないか?」と疑問に思うシーンから始まります。 その中で、「真司は1週間 ずっと下痢をしている」と書かれているシーンがありましたが、後述するように真司くん、中学2年生にもなって未だに白ブリーフを穿いているような男の子なので、そこは「中学1年生になって治って以来のほぼ1年ぶりのおねしょの再発」辺りにしてほしかったなぁ~と個人的には思いますね。おしっこを漏らしてしまった場合の対策も出来ますし、真司くん家ではおむつを穿いてもいいんじゃないかと思いました。学年こそ中学2年生ですが、身長153cmほどのちびっ子なので「ムーニーマン ビッグより大きいサイズ」の男の子用がとても似合うと思います。(表紙の男の子が真司くんだとした場合) そもそも親が息子(真司くん)の異変に気付いたのが「〇ね」とか「〇すぞ」と言ったような言葉遣いをするようになったからなのですが、白ブリーフを穿いているお子ちゃまのくせにイキっているのが可愛いですね。是非白ブリーフ一丁になって同じ言葉を言ってもらいたいです。何故かって?それは勿論、おしっこをちびった黄色いシミが付いたブリーフ1枚でそんなこと言っても全くカッコつかないからですよ。 そして真司君が荷物を川に落とされ、自転車もボコボコにされて泣きながら拾うシーンで以下のような描写が・・・ 「真司は向こう岸のコンクリートの斜面を這い上がっているところだった。紺色のブレザーの上着は夜の闇に溶けていたが、同じ色のズボンを穿いているはずの下半身は白いパンツしか着けていなかった」 「パンツから伸びる両脚は、葉を落とした木の枝のように細く頼りなげだった」 真司君はサッカー部で副キャプテンを務めているようですが、そんな子でもフィジカルは全然な感じで可愛いですね。筋力は全然無いけどすばしっこいタイプだったのでしょうかね? それにしても、夜の闇の中で白ブリーフはよく映えそうです。父親は「怪我はないか。濡れたのか。鞄はどうなった。自転車はどこにある。」等心配していますが、「おしっこは漏らしたのか?」、「白ブリーフの前の部分がまっ黄色になっていじめっ子達に笑われたのか?」をまず気にするべきですね。 「真司は自転車に乗って、土手沿いの道を遠ざかっていく。下半身はパンツのまま」とありますが、いくら中学2年生のちっちゃい男の子でも流石に職質されるんじゃ…、だって、川の水で濡れたなんて第三者には絶対に分からないので、おしっこ漏らしてぐしょ濡れになった白ブリーフ一丁で自転車漕ぐ中学2年生の男の子とか…、あ、おしっこ漏らしちゃった小学生だと勘違いされて大丈夫ですかね? あとはそもそも本当にそれはパンツだったのかというところからまずは気にした方が良いと思います。もしかしたらいじめっ子達によって、真司くんが元々穿いていた白ブリーフはお漏らしで汚されていて、代わりにムーニーマンみたいなおむつを穿かされていた可能性も否定は出来ないと思いました。 ラストはほのぼので終わります。 ●「キャッチボール日和」についての感想 気が弱くて身体も弱くて運動も出来ないいじめられっ子の男の子、中学3年生の大輔くんを、同級生の女の子の視点から書いた物語です。いじめにおいて典型的な「気が弱くて情けない子供のことを理解しない体育会系の親父」が出てくるのもとてもいじめに関するリアリティがあって良いですね。主人公の女の子の方がよっぽど大輔くんの性格を理解しているのは笑えました。いや、笑っちゃいけないんですが…。 いじめの内容は典型的なもので、 ・パンツを脱がせる ・性器を落書きする ・的代わりにして煙草ダーツ などなどですが、一点気になったいじめがあります。「手首と机の脚を手錠で繋いだまま午前中の授業を受けさせる」コレ、もしかしておしっこのお漏らしを狙ったいじめなのではないでしょうか? 授業中に前に出てくるよう指名されてしまうとか、あるいは大輔くんが我慢出来なくなっておしっこを漏らしてしまえば、それでも身動きが取れないわけですから先生にも一発でいじめのことがバレそうなんですが、よくこんなリスキーないじめをやるなぁと思いました。子供って本当に教師のことをよく見ているので、おそらく1時間目から4時間目まで、「指名して黒板に何かを書かせる」ことが無いタイプの先生の時を狙ったのでしょうね…。 この大輔くんが登校拒否になる前の最後のいじめが、これもまぁ頭にドがつくほど典型的な「公開オ〇ニー」でした。 僕はつくづく疑問に思うんですが、いじめを見ているクラスメートの認知がおかしいとしか思えないんですよね…。いや、だって、「パンツを脱がされたなら男の子であればオ〇ン〇ンが出てくるのは当たり前」ですし、中学生ともなれば下の毛が生えているのも当たり前じゃないですか?無理矢理脱がされるのだからそういうものが露出するのは当たり前である筈なのに、何故かギャラリーって「無理矢理脱がされているいじめられっ子」の方を、まるで露出狂の変態みたいにキャーキャー騒ぐんですよね。ハッキリ言って、このテのいじめが成立するのって、いじめを傍観しているクラスメートがキャーキャー騒ぐからこそ成立すると思うのですが…。 あと、中学生なら精通しているのは普通なので、そこは「公開おもらし」にしてほしかったですね。これであれば、最後に我慢出来なくなっておしっこを漏らした大輔くんが悪いってことにも出来ますし、「中学3年生にもなっておもらし」という汚名も着せられますし、何より大輔くんのおもらしパンツを見て笑うことも出来るので…。更に辱めたいのであれば、一旦大輔くんにパンツを穿かせた状態のままおもらしをさせてパンツを穿けない状態にしてからおむつに穿き替えさせて、その状態でおもらしさせるとかの方がよっぽど辱められると思うのですが…。 兎に角、「公開オ〇ニー」はあまりにも芸が無さすぎる…。おもらしという「子供の失敗」をさせる方が屈辱感を与えられることをいじめっ子達は知るべきだと思いました。 欲を言うなら、脳筋オヤジが大輔くんを連れて乗り込んで来た時に、大輔くんはプレッシャーで吐いてしまうのですが、そこは嘔吐じゃなくてお漏らしが良かったなぁ…。 ●「エビスくん」についての感想 いよいよメイン、「エビスくん」についての感想です。 小学6年生のいじめられっ子、ひろしくんについて、ひろしくん本人の視点から書いた話です。 この年代って男の子の「男の子としてのプライド」がすごく高まる時期でもあって、それにも関わらず成長期がまだで女の子よりも身長が低いというとても可愛らしい時期なのですが、例によって「正義感が強く、ひろしくんがいじめられるのを可哀想だと思う女の子」も登場します。 ひろしくんは転校生のエビスくんにいじめられるのですが、流石小学生ということもあって、おしっこ関連やパンツ関連のいじめネタが豊富で素晴らしいです。 ・体育の時間の前に服を着替えていたら、「パンツ脱がせてやろうか」と背中に回られる。 ・エビスくんはぼくがトイレに行くときにも付いてきて、用足しの真っ最中にズボンを不意に持ち上げてパンツにおしっこがかかると、隣の女子トイレにまで聞こえるような大声で「きったねぇ、ひろし、しょんべん漏らしてやんの」と言う。 (女子からすれば、「ひろしくん、あのズボンの中におしっこちびったブリーフ穿いてるんだ・・・」ってなるでしょうね。) 例によって「胃が痛む」、「夜中に何度もおしっこに起きるようになった」とあるのですが、なんでここを「〇年ぶりにおねしょするようになった」にしてくれないんですかねぇ~。〇の中は1~2辺りで 究極のいじめがおしっこ関連のネタなのも最高でした。 ひろしくんがおしっこをしに行こうとすると、エビスくんに捕まります。最初は「ウ〇コをしに行きたいって言え」と強要するのですが、ひろしくんがしたいのがウンチではなくおしっこの方だと分かると、「しょんべん漏れそうなんだろ?だったらち〇ぽ出してここからトイレまで歩け」と更に強要します。その後蹴りを入れられたりするのですが、ひろしくんは「下腹から力を抜くとおしっこが漏れてしまいそうだった」とかなり切羽詰まった様子。限界を迎えそうなひろしくんは「自分が出したら次はエビスくんも出して」という条件を付けることでなんとか対等の立場に立とうとします。そして実際におちんちんを出してしまうのですが、出した瞬間にエビスくんは「もういいよ。やめた。お〇ん〇んを早くパンツの中にしまえ」と言って椅子にどっかりと座ってしまいます。 このままひろしくんはおしっこを漏らしてしまうのでしょうか?ひろしくんが約束のことを確認しようとした時に、エビスくんは無慈悲にも言い放ちます。 「言っとくけど、お前まだ歩いてないからな、約束なんて関係ないぞ」 そうなのです。エビスくんの要求は「お〇ん〇んを出してトイレまで歩いて行け」というものでした。それに対してひろしくんは「ぼくがお〇ん〇んを出したら次はエビス君の番やで」と言います。この時点でお互いの認識が食い違っていることが分かりますかね?纏めるとこうなります。 【エビスくんの要求】 ひろしがお〇ん〇んを出してトイレまで歩いて行くこと 【ひろしくんの要求】 ぼくがお〇ん〇んを出したら、エビスくんもお〇ん〇んを出すこと 【エビスくんの理解】 ひろしがお〇ん〇んを出して「歩いたら」、自分もお〇ん〇んを出して歩く あまりのショックにひろしくんはとうとう 全身からいっぺんに力が抜けてしまい、下腹をあわてて引き締めたが遅かった。じゅっ、という音とも熱さとも感触ともつかないものがおちんちんの先に広がり、パンツの前の方が急に重くなった。ほんの少しだけ、幼稚園の年少組の時以来だった。 いや漏らさんのか~い。そこは全部おもらしでしょ…。あれだけおもらし寸前までおしっこ我慢しててパンツへのおしっこちびりで止められるなんてことあるか?しかも「幼稚園の年少組の時以来」って…。おねしょとか実はおもらししてたとかをカウントから除外してないですか?どう考えてもひろしくんが今までの小学校生活でおしっこを漏らさずに乗り切れたとはとても思えないのですが…。 それにしても、このおしっこちびり描写の緻密さといい、作者の重松清さんは小学生時代に何度かおもらしを経験したのではないかと思わせるリアリティーがありますね。 個人的には、エビスくんの「しょんべんか?クソか?」と聞いたシーンは「(ひろしが穿いてるのは)パンツ(あるいはブリーフ)か?、おむつか?」って聞いてほしかったですし、「おちんちんを早くパンツの中にしまえ」と言うシーンも、たとえひろしくんが穿いてるのがパンツであっても「おちんちんを早くおむつの中にしまえ」と言ってほしかったです。そこからひろしくんはおむつを穿いてると決めつけて、「ならズボン穿いたまましょんべんでいいよな?」って流れにもっていければ最高だったのに…。 長くなりましたが、他の2編とは異なりまだ救いがあるのが、クラスメートの友達は普通にひろしくんと仲が良くて、エビスくんの方がむしろ孤立している感じなことですね。ここら辺、クラスメートがいじめっ子あるいは傍観者だった「キャッチボール日和」よりはまだ救いがあります。 長くなりましたが、完全なおもらしこそないものの、おしっこちびりのシーンはありますし、「ナイフ」では中学2年生の男の子の白ブリーフ一丁姿のシーンもあるので、興味を持った方は是非読んでみてくださいね。このように興奮出来るポイントがとても多く、文句ナシの☆5です。この本で何回お世話になったか分かりません。 | ||||
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いじめを当事者でない視点でみれれば本のストーリーとして看過できるのですが、実際いじめの受けていた方とかこれからの子供にはあまりこの内容をみてどう思うかという点ではぎもんは残ります。 | ||||
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amazon商品紹介より以下、 受賞歴 第14回(1998年) 坪田譲治文学賞受賞 内容紹介 「悪いんだけど、死んでくれない?」ある日突然、クラスメイト全員が敵になる。 僕たちの世界は、かくも脆いものなのか! ミキはワニがいるはずの池を、ぼんやりと眺めた。 ダイスケは辛さのあまり、教室で吐いた。 子供を守れない不甲斐なさに、父はナイフをぎゅっと握りしめた。 失われた小さな幸福はきっと取り戻せる。 その闘いは、決して甘くはないけれど。 社会問題となった「いじめ」について描く。 『ワニとハブとひょうたん池で』『ナイフ』『キャッチボール日和』 『エビス君』『ビタースィート・ホーム』を収録。 『キャッチボール日和』には荒木大輔が登場。また当時のヤクルトと横浜の選手や監督も登場しているし、『ビタースィート・ホーム』はモンスターペアレントを題材にしている(Wikipediaより)。 どの作品も心残るものがあり個人的には『キャッチボール日和』 『エビス君』が良かったなと思うんだけど、 親や本人子ども、先生、近所・・ 様々な視点から考えていくっていうのがいい。全部の立場から問題を考えていくと複雑になっていく。 学校の教材にしたいくらいだな。教科書にのらない? 子どもには親心を、親には子ども心を、 自分もかつて子どもだったじゃないか。 あの時何考えてた? いじめてた? いじめられてた? そんなの無かった? 時代に関係なくいじめってあるもの。 色々と思い出すなぁ。 でも結局は、戦わなければ生き残れない、どっかのライダーのセリフなんだな。 人間て、弱くも強くもある生き物。 自分はつい先週、鍛えよと思ってひらパーのメテオ(高所急降下)に3回ほど乗ってきたが、 問題を解決へ方向を決める頭や、実行に移す行動力。 何にせよ、自分には厳しく行こうぜ、と思う。何だこの感想(笑)。 重松さんの本を賞とったもので読み始めたのだが、 人に薦めたい本だなぁ確かに、と思いました。へけ。 | ||||
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いじめとは残酷だ。なぜあれだけの事が言えるのだ。暴力ができるのだ。読んでいて泣けてきた。ただ、なぜかこの短編には希望があった。それは時間が経つごとにいじめの意味が変わり、家族が一体になっていったのだ。この一文は痺れた。「お父さんのこと、嫌いか、情けないと思うか?でも、お父さん、それしかできないんだよ」家族なら本音で向き合わねばいかん時がある。思春期の悩みは時間が解決するのかもしれない。嵐が過ぎるを待つことも大切である。私には予習の一冊でした。 | ||||
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記憶に残っていた作品です。急に思い立ちもう一度読みたい気持ちになりました。 スグに配送してくれたので、気持ちが冷めないうちには読めて嬉しい♡('˘`๑) | ||||
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私はこの作者の小説が大好きです。私はいじめを嫌う。 いつか、私は彼の小説をもっと買うだろう。 | ||||
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本書では、いじめという重いテーマを、様々な人物の視点から切り取っている。 私はまだ子どもを産んだこともないし、本書に出てくる登場人物ほどひどいいじめを 受けたことはないが、彼らの抱える思いに不思議に共感出来た。 また、一口にいじめられっ子と言っても、人それぞれ。 親に心配かけまいと強がる少女、いじめに抵抗する根性がない少年、いじめられても尚いじめっ子を好きだと思う少年。 いじめられっ子をひとくくりに描かないで、彼らの価値観や複雑な感情を丁寧に描き出しているのがよかった。 こんなにも重いテーマを扱っているにも関わらず、最後は小さな光を描いてくれるのも好感が持てた。 | ||||
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いじめをテーマにした短編集。 子供だけでなく大人目線の作品もあるので、年齢問わずにお勧めしたい。 | ||||
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イジメがテーマの小説。テーマは重いのですが、重松さんならではの視線で描かれた家族模様に涙が溢れます。 | ||||
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最初の話を読んでいるときかなり心が折れそうになりました。私がいじめられていたときとすごく似ていたので、読むのがとても辛かったです。他の話も読んでいて辛かったのですが、どこかあたたかいところもあって、だけど心に突き刺さる…いじめが身近に起きている人には是非読んで欲しい本ですね。 | ||||
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本書は、その後数多くの名作を書き上げ、直木賞など多くの賞を受賞され ることになる著者にとって初期の作品集である。本書は、1997年に単行本 が刊行された後、1999年に「大人と子どもが共有できる優れた作品」に与え られる坪田譲治文学賞を受賞し、2000年に文庫化されたものである。 本書には、表題作の「ナイフ」に加え、「ワニとハブとひょうたん池で」 「キャッチボール日和」「エビスくん」「ビター・スィート・ホーム」の 5編が収録されている。 この5編の作品のうち、「ビター・スィート・ホーム」以外は、学校での いじめをテーマに書かれている。そして、いずれの作品でも、小学生や中 学生の子どもを持つ家庭が舞台になっている。暮らしは特に豊かというわ けではないが、明日の生活に逼迫するような貧しい暮らしでもなく、両親 も揃っていて生活は安定しており、大都市の郊外に子どもとともに住む、 という、これ以降の重松作品を象徴するかのような設定になっている。 また、いじめの描写は手加減がない。まるでドキュメンタリーを見ている かのような凄惨な描写は、読む方を時に辛くさせてしまうが、それも、解説 で如月小春氏が述べているように、「子どものいじめ」という難しい問題 を扱う作家としての責任の取り方なのだろう。作品の中では、いじめを、 プロ野球投手の闘いと重ね合わせたり、父親の旧友の姿や父親自身の姿と 重ねあわせたりしながら表現している。 本書の作品の中でも、著者ご自身もあとがきで「ぼくのいっとう好きな作 品」と述べる「エビスくん」は特に秀逸である。著者が大学時代に出会った 「相棒」への思いを背景に綴られたこの作品では、主人公のクラスに転校し てきたエビスくんが、出会い、主人公といびつなかたちでの「親友関係」を 持ち、先天性の病に苦しむ妹とかかわり、また転校して去っていく。少年た ちの不器用で繊細な心のひだが巧みに表現されていて、胸が熱くなってしま う作品だった。 多くのメッセージ性の濃い名作を世に出し続けていくことになる重松ワールド の原点を見るような作品集である。 | ||||
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全5編からなる短編集で、『ビタースィート・ホーム』以外は全て「いじめ」を題材にしており、その内容は、精神的にも肉体的にも結構つらい。 ただ「文字」の「羅列」を追っているだけなのに、それだけで胸の奥が痛いのは、自分でも客観的に何とも不思議な現象だと思う。 本書の語り手や主人公は、全てがいじめられる側の子どもたちである。 正直この手の内容は嫌いだし、読んでいても早く終わらないかなと思う。 そこを重松清は、ぼやかしなしで具体的にグサグサ描いてくる。 まぁだからこそ際立つ部分もあるし、そこを緩めちゃったら重松清が言いたい部分が伝わらないのかもしれないけれど、やっぱり苦手。 『ビタースィート・ホーム』は、珍しくちょっとしたオチもあって、殺伐まではいかない家族のちょっとしたサムさを描いた話は好きだった。 『日曜日の夕刊』(2007年)の『後藤を待ちながら』では、いじめていた子どもが主人公になっており、この子の気持ちも何となく分かる。 本書のそれも同様だけれど、いじめている側はいじめている感覚なんてなく、その理由はそれがただ楽しいから、取り巻きの子どもたちも闘牛ショウと同じで、ただ楽しいから加担している、見ている、止めない。 大人がいじめをしないのは、それが楽しくないから、意味がないから。 それを子どもたちは分からない、子どもって蟻の巣に水を流したりして、時に無邪気に残酷なことを平気ですることもあるけれど、その理由もただ楽しいから、逃げる蟻が楽しいから、ただそれだけなんだと思う。 中でも『エビスくん』は、主人公はいじめられながらも、いじめるエビスくんも浜ちゃんも吉田さんも藤田先生も好きで、果ては宇宙に片思いをしている、この気持ち何となく分かるんよね…それもちょっとつらい。 自分は実写でもアニメでも「グロ」は嫌い。理解できん。 本書は坪田譲治文学賞を受賞しているけれど、精神的にも肉体的にも痛い描写が多くて、個人的にはお気に入りにはならなかった。 | ||||
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『ナイフ』は、5つの短編からなる作品集で、うち4作品はいじめを背景としている。いじめを受けている子供たち、そしてその家族に寄り添うように重松さんは語りかけてくる。子供の気持ち、親の気持ちそれぞれが理解できてしまうので、私は穏やかではない。挟み撃ちの状態で、琴線を鳴らされまくったようである。 いじめの描写があまりに露骨なので、読み進めるのに躊躇いを感じてしまうシーンがある。いたたまれなくなってしまうのだ。だからこそ、読み終わったときに、心に響くものを残してくれるのだと思う。 作品の中でいじめそのものが解決されるわけではない。現実もそういうものだろう。最後に出てきたのが希望というほど明るいものではなくても、小さな気づきがあれば今より少しは良くなる。悲惨さに終始するわけではではないが、突然、ドラマチックな幸せがもたらされるわけでもない。一歩だけでも前に進む勇気を与えてくれる。『ナイフ』はそんな作品集である。 ■ナイフ 私の妻が、中学生の息子 真司がいじめられていることに気づいた。真司のことで心を傷める妻は、目を背ける私をなじるようになる。自身の弱さとずるさを悟った私は、ふとしたきっかけで折り畳み式ナイフを手に入れてから、真司を守ることを決意する。 ・・・ いじめを受けている子を持つ父親の気持ちがせつない。強い男に憧れながらそうなれなかった父親と、いじめに立ち向かおうとする息子。息子の背中を見ながら、父親としての自分の強さに思い至るシーンは、美しさすらある。 ■エビスくん 小学校最後の秋、ぼくのクラスに転校生エビスくんがやってきた。エビスくんは、ぼくの親友になり、そしてぼくを毎日いじめるようになる。身体が大きいエビスくんに、クラスの皆は遠巻きに見ているだけだ。そして、抵抗しないぼくに、皆、愛想を尽かしはじめてしまうのだった。 ・・・ 入院している妹に生きる希望を与えるため、ぼくはエビスさまにあわせてやると約束する。いじめられても、なおエビスくんを嫌いになれないでいるぼくは、意を決して、エビスくんに妹との面会をお願いする。ぼくとエビスくん、そして妹の交差する思いにすっかり感激してしまった。 締めくくりは、15年後に開かれた同窓会だ。ここでのぼくのモノローグが素晴らしい。気がゆるんでいたら泣いてしまっただろう。 その他の収録作品は、ワニとハブとひょうたん池で/キャッチボール日和/ビター・スィート・ホーム | ||||
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いじめることもいじめられることもほとんどなかった私にとって、この小説を読んで、いじめの苦しみとか人間関係の難しさを強く思い知らされたことは衝撃的であった。いじめとは日常的に繰り返され、順々にいろんな人にやってくる、昨日笑っていたやつが今日は泣いている。しかし、それでも人は死のうと思ったりするものの、誰かにすがり、生にしがみついていく。だれもが心の奥に生きていくための芯の炎があるのではないだろうか、そんなことを強く感じさせられた一冊であった。 | ||||
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子供が育つということについて、子供も、母親も、父親もみんな常に一生懸命だ。 一生懸命だからなのだからなのだろうか?優秀な子供を持つ親に憧れる。 しかし、その家の教育が自分の家にそのまま当てはまることは無い。 それでも、自分の家庭だけが何かを間違っている気分になるのはどうしてだ? それを父親の責任にしてみたり母親に原因があるとしてみたりする。 お互いに間違もするし、失敗もする。それを認め、話合っていろいろ考えていくことに意義があるのではないだろうか? 本書の中で「ビタースウィートホーム」に最も共感した。よくここまでそれぞれの心理描写を描くことができる。 教育の悩みは尽きないが、こういう作品に癒される気がする。 | ||||
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いじめに関する、わりと短いお話が入っている。 読み進めると、心と胃が痛くなる。 でもきっと、現実はもっと悲惨で、哀しくて、怖いのだろうと思う。 親はサインを見極めたいが、子供は凄惨なコミュニティすら無くすのを怖がり、親に隠れて嘘をついてごまかして明るく振る舞って、見つからないようにしている。 だって、解決なんてしないし、あがけばあがくほど終わりが遠ざかっちゃうから。 この本の年代の子供たちがこれを読んで、どう思うんだろう。共感したり安心できたりするんだろうか。 | ||||
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イジメには「ナイフ」のように、本人の努力とまわりの力添えでなんとかなる場合がある。 実際、私(高校3年男子)はクラス中からハブや私物を隠される、靴の中に画ビョウ、と体験した。 結局は無視し続け、一人だけこちらに付いてくれた友人にまわりを抑えてもらい一人で首謀者3人を叩きのめすことで落ち着いた。 これはかなり極端な例になってしまったが、こうなるとやはりその首謀者がイジメに遭うわけなのです。 そのような経験もあり、私には非常にリアルに感じられました。 「嘔吐なんかするのかな」などと思わないでいただきたい。胃炎になりますし、潰瘍だってできる場合もあります。 本人はじゃれてるつもりでも被害者にとっては、洒落になってない場合もあります。 恐ろしいのが、作中にもあった教師や親のノープランでの介入なのだと身に染む思いで読ませていただきました。 ここ数年のインターネットの普及によって陰湿化は進んではいますが、「あぁ、こう言うのあったな」と思える作品でした。 | ||||
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タイトル作含む5作の短編集。 どれもイジメが軸となっている。 イジメと言えば暗くジメッとしたイメージが強い。 目をそらすことなく、そのような世界が描かれているものの、 どの作品も、爽やかなエンディングを迎える。一部の作品では、 思わず、感動して涙があふれそうになるくらい。 文庫版、作品だけでなく、 筆者のあとがきも、お勧めです。 こちらでは、涙があふれそうになったのではなく、あふれてしまいました。 | ||||
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子供が中学生ぐらいになったら、こんな現実が待ち受けているのかとちょっと心配になる。 いじめに打ち勝って欲しい親、現実を受け入れて何とか生きる子供。 切ないんだけど、シゲマツの小説って背景に青空を感じてしまう。 読後感がすがすがしいというのとは違って、やっぱり青空。 何もかも包み込んでしまう青空。 今、わが子はまだ父親と手をつなぐことに抵抗がないみたいだが、 もうそろそろかなぁ。 いつまで手をつないでくれるんだろう。 | ||||
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この本大好きです 私はこの本を読む前「きよしこ」という本を読んだんですけど 「きよしこ」もよくて、重松清さんの本が好きになりました 「ナイフ」はいじめについてのことなどが 何話もあり、つらいとか、悲しいとか色々な気持ちが描けていて 子どもの気持ちがわかっているから、私も共感できるところがありました いじめのことについて、深く考えられるお話です | ||||
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