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降霊会の夜
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降霊会の夜の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.98pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全31件 21~31 2/2ページ
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時間を現在と過去を繰り返しながら、物語を進める浅田さんの手法には、いつもながら引き込まれました。時代が人をつくるのか、人が時代をつくるのか、永遠に近いテーマが考えさせられます。 | ||||
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初めての電子書籍本として選びました。確かに浅田次郎流の流れを降霊会と言う特殊な手段で表す手法は面白いと思います。 | ||||
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読み進めていくうち、自分自身のこれまでを思い出そうとしていた。そして、思い出したこと、それは楽しいことよりも、悲しいこと。それらが本当はどんなことだったのか、考える。確かめることはできないのだけど。 | ||||
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浅田次郎さんの創作を読むのは、多分これが初めてで す。ちょっとした嫌悪感が溝を作り、終には無視に至る子 どもの残酷さと、互いに求め合っていたことに気付かぬ ままやり過ごす青春時代の無神経さ、その残照を死者に 憑かれた者を通じてふり返るという仕掛けにまずは参り ました。 「人間は、嫌なことを片っ端から忘れていかなければ、 とうてい生きてはいけない。でもな、そうした人生の果て の幸福なんて、信じてはならない」とか「いったいにあの ころの若者たちは、親和のために言を翻したり、頭を下 げたりはしなかった。『ごめんね』は禁句だった。だから ほんのささいな行きちがいから友人を失うことがしばしば だった」という言葉に思い当たることがあって、胸にジー ンと来てしまいました。おまけに奥付けをみると作者は わたしと同い年。そこでもう一度納得してしまいました。 昔、「小説の神様」と呼ばれた人がいましたね。この人 はその平成版といっていいのではないでしょうか。 | ||||
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『ALWAYS三丁目の夕日』や『太陽の季節』を髣髴とさせる小説である。 一人の女性を助けたことから、そのお礼として霊媒師による降霊会に誘われる男の話だ。初めのうちは幻想的な雰囲気の中で物語が進んでいくが、いつの間にか、それもリアリティーを持った小説として立ち上がってくる。このへんの展開は、やはり著者の熟練の技にして成し得るところなのだろうと思う。 苦い思い出として残っている過去の出来事。それが降霊会の場において、次第に明らかになっていくのだが、主人公が考えてもいなかった意外な事実や、知り得なかった関係者たちの想いが、霊媒師の口を通して次々と語られていく。そんななか、テンポの良い文章によって、戦後の復興期を生きてきた主人公とその時代の光景が、モノクロフィルムの映像を見るように、見事に蘇ってきた。戦争や高度経済成長という近代日本の転換点、それを著者がどうとらえているのかも、回想の部分で、しっかりと語られており、興味深い。 この小説を読めば、誰しもが、悔悟とともに、過去の自分を顧みることになるのではなかろうか。私自身、読み進める中で、自己の少年時代や恋愛の記憶を、自然と振り返っていた。そして、心の中に閉じ込めていた過去の忌まわしき自分と向き合っていたのである。その結果、自分の勝手な解釈によって、周りの人たちの気持ちを傷つけたことも数多くあったと、今さらながらに気付かされてしまった。罰せられなかった罪ではあるが、それだけに心に重くのしかかってくる事実の数々だ。しかし、自分の生き方を見つめ直すという心の動きは大切なことであろうし、そうした精神作用を促すうえで、これは大いに役立つ小説だと思う。 ただ、一言付け加えさせてもらえれば、主人公がこれまでどういう生き方をしてきたのかが最後まで判然とせず、そこが消化不良といった気持ちとして残ってしまった。 | ||||
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団塊の世代とおぼしき主人公の男性。迷い込んできた女性に誘われて降霊会に。自分から別れてしまったむかしの恋人への想いを胸に参加したものの、やって来たのは主人公に想いを寄せていた人たちの霊。予期しない霊たちの問わず語りで明らかになっていく主人公の青春時代の空白。霊たちの、区切りをつけるために「さよなら」を言ってほしかった という言葉にあるように、ひとつひとつの想いに区切りをつけたいのだけど、そうはいかないので想いが残る、その想いにひきずられて人は生きていく、そういうものだよ人生って。ということを語っているのかな と思います。最後は、怪異譚になりますが、主人公の分かれた恋人への想いも・・・です。せつなさの残る小説でした。 | ||||
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こういうジャンルが、だいすきなのです。宮部みゆきの「あやし」「おそろし」「孤宿の人」「あかんべえ」「小暮写真館」、恩田陸の「ネクロポリス」など、心霊ミステリー、というのでしょうか。 とくに、宮部みゆきは、けなげにいきる庶民の生活に、無念のおもいをもった死者のものがたりがかさなって、せつなさとやさしさのある、わたしのだいすきな世界です。江戸情緒も満喫できる作品も、おおいのです。 わたしは、浅田二郎作品ははじめてなのですが、タイトルと、カバーイラストで、買ってしまいました。 人生の歳月をかさねると、だれしも一度や二度、弱い立場のものを助けられなかったり、愛するものを守れなかったり、おおきな悔いをのこしたことがあるのではないでしょうか。 主人公は、浅田二郎の分身のような、初老の作家のようです。ふとした偶然にめぐりあった、なぞの女性をきっかけに、こころにつよくのこっているひとの霊をよびだす、降霊会にいざなわれます。 小学生のころ、おなじクラスにいた、不幸な少年。悲惨な家庭に育った彼は、トラックにひかれてしまうのです。犠牲者、その親、見守りながら救えなかったひとびとのたましいが、次々と召喚されます。そして、事実があきらかにされます。 つぎに、ノンポリであった大学生のころ、悪い友人にみえをはって、いなかからでてきたばかりの、世間知らずの美少女を、誘惑することになります。ひとりならず、不幸にしてしまうとは、つゆしらず。 死者、もしくは、生者の霊のことばによって、主人公は、徐々に過去のわだかまりから解放されていきます。死後の霊にも、救いがあるのかもしれない。涙腺を、ぐりぐりと刺激するのが、浅田二郎の得意わざのようです。 浅田二郎は、日本ペンクラブ会長、「泣かせ屋」として、有名です。 ところが、最後の4ページで、世界は一転して、救いは幻になり、和解は分解に変化する、とんでもないどんでんがえしがまっていました。 読後、うちのめされてしまって、にがい余韻というか、幻惑感に、しばし呆然としました。 人生に真実はない。人生に解答はない。人生に救いは‥‥? | ||||
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なかなかレビューを書く気になれなかった。なぜなら読み終わって、心が刹那さに溢れて溢れて仕方なかったからだ。 本書には主人公にまつわる二つのストーリーが収められているが、そのいずれもが期待を裏切らないもの。 全ての感情が全身に駆け巡るのを感じながら読了した。そのような経験はあまりない。 まさか本当に本書の中で降霊会をやるとは予想していなかったが、夜中に読んでいると自分の後ろに気配を感じてしまうほどの現代怪異譚。 主人公を代えての続編を期待してやまない。 | ||||
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実に重いストーリーです。でもとてもいい小説です。作者の作品につきものの涙・人情・笑いはありません。 主人公である初老の男が自らの心の奥深くにしまい込んでいる深い悔悟の念。 ストーリーは主人公が少年時代と青春時代の一時期に経験した二つの出来事を軸としています。 東京オリンピックを数年後に控えた戦後復興のまっただ中と、学園紛争が終焉を告げようとする飽食の時代への転換期。 世の中が平和に豊かに変わっていく中で、主人公の前で命を絶っていった友人・恋人たち。 そして降霊会でのその者たちとの邂逅。 豊かさ、繁栄のなかで見捨ててきたとものとは… 物語の最後は現世からも霊たちからも見放されたような孤独な初老の男が一人佇みます。 主人公は作者自らを投影したものかも知れません。時代背景も作者の生まれ育った当時そのままだと思います。 さらに穿った見方をさせて頂ければ、この作品は東日本大震災後に書かれた作者の最初の作品であるところに注目したい。 被災地では、失われた多くの命がある。我々は心から死んだ人たちへ「さよなら」を言っているのか。 残され、悲惨な生活を強いられている多くの人々が今もいる。 我々もこの物語の主人公のように、繁栄のなか見て見ぬふりをしながら、所詮他人事のように、いつの日か記憶の片隅へと彼らを追いやっしまうのだろうか。 作中の科白が胸に沁みる。 「罪がないとおっしゃるのですか。」「何をいまさら。忘れていたくせに。」 | ||||
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いい小説でした。 浅田次郎の持ち味のひとつである、 甘さ、ハートウォーミングな部分がこれっぽちもない、 ものすごく苦いストーリーです。 もしかしたら、 本作のテーマは、 作家が、 自分の人生を振り返ったときの心境かもしれないと深読みしました。 一人称ですし。 そこが私小説っぽいしかけになっています。 孤独。 読み終わると、 男の孤独が胸に迫ってきます。 大事な友を捨てる。 愛する女を捨てる。 愛された女を拒絶する。 見捨てた友や友人は苦しく辛い人生を送っているはず。 悔悟の日々。 そんな記憶を抱え、 悔悟の人生を生き続けた男。 自分のしたことを忘れては行けないと誓い、 何とか許してもらえないかと願う生き方。 過去にこだわる男というのは、一見、美しい。 そんな男の生き方を、 降霊会は結局打ち砕きます。 老いてなくても大人の男なら、 心当たりのあることかも知れません。 浅田次郎は、 この小説でそういう生き方に救済は、 訪れないことをはっきりと告げています。 この小説の最後が一番の読みどころだと思います。 おそらく主人公の昔の罪を許されたいという願いは叶えらました。 そして人生の黄昏を前にした強烈な孤独に直面します。 降霊会の結果、 過去の悔悟すら、 実は身勝手な想いでしかないことを突きつけられるから。 最終行が心に沁みます。 従来の浅田次郎の小説とは違います。 例えば「ぽっぽや」のように、 人生の悔悟は癒されました。 そこが浅田作品のスイートスポットだったと思います。 本書では、 主人公に癒しは訪れず、 更なる孤独に陥ります。 リアルです。 そこがお勧めの理由です。 | ||||
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浅田先生の小説では「ありがとう」と「ごめんなさい」の大切さが繰り返し伝えられていることは周知のことと思われますが、今回は「さよなら」の大切さが伝わってくる内容です。別れの儀礼を蔑にすれば、過去を切り離して前に進むことはできません。又、神から与えられた幸運に感謝せずに怠惰な生活を送った人間の末路、神から与えられた試練に耐え抜いた人間が得る喜びと安息も見事に表現されてます。 あまり具体的なことを書いてネタばれになっては面白くありません。是非、手にとって読んでいただきたい小説です。自分の来し方を振り返って恥ずることがなかったか考えることになるでしょう。 ただ、ひとつ文句を言わせていただければ、この内容で続編を作るのは大変難しかろうということです。新たなシリーズが私の好きな心霊系になるかもしれないと喜んでいたのですが、この内容では続編は作りにくいでしょうし、浅田先生は筆が遅いから次回作までかなり待たなければならないかもしれません。シリーズ物なら担当編集者が無理にでも書くように仕向けて下さるかもしれませんが、読みきりでは「至高の恋愛小説であり、第一級の戦争文学であり、極めつきの現代怪異譚を確かに書いてやったんだから文句はあるめえ。」と浅田先生は開き直られることでしょう。 担当編集者の方はご苦労も多かろうと思いますが、私も最近は体調が悪くそう長くはなさそうなので、是非とも浅田先生が次回作に取り組まれるよう指導していただきたく宜しくお願い申し上げます。 | ||||
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