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修道院の第二の殺人
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修道院の第二の殺人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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イギリスの大人気ベテラン女流作家ナイト女史の英国ヴィクトリア朝歴史ミステリー第1弾です。1988年の刊行から現在までに十七作が書き継がれているという本シリーズは、どうして今まで紹介されなかったのだろう?と不思議な程の誠に素晴らしい傑作だと思います。やっぱり縁という物なのでしょうか、こうして見ると欧米にはまだまだ未訳の傑作がごろごろと転がっていそうですね。私は今年本書と巡り会えた幸運を素直に感謝したい気持ちで一杯です。 英国のヴィクトリア朝エジンバラ市の修道院で働く女サラと女子修道院学校の女性教師リリーが続けて殺される事件が起きて、サラの夫のパトリック・ハイムズが自首して来た末に絞首刑に処される。しかし彼は生前妻の殺害は認めたが、女性教師の殺人には関与していないと頑なに否認していた。彼と処刑の前に会見したエジンバラ市警察のファロ警部補は、亡き妻の忘れ形見である義理の息子のヴィンス医師と共に、非公式に再捜査を開始するのだった。 本書は本文が304頁とコンパクトで長過ぎず短過ぎずの丁度良さで、歴史ミステリーという特異さや堅苦しさを全く感じさせない非常に快適な読み心地です。推理の方は、手口が絞殺事件とごく平凡で動機も限られ単純に思えますが、ところがどっこいこれが見えない所で密かにとんでもない企みが仕組まれておりまして、なめてかかるとどえらい目にあいます。そして巧妙な伏線も思いも寄らない場面に仕掛けられていますので、どうかくれぐれもご用心してお読み下さいね。著者は人情噺を織り上げる才能にも長けていまして、ファロ警部補の故人である妻リジーとの出会いから永遠の別れまでの劇的な物語や義理の息子のヴィンスと心を通わせる親子愛のドラマは感動的で心を惹かれます。そして本書で最も気に懸かるのが、ファロ警部補が一目惚れした未亡人の美貌の女優アリソンとの燃え上がる恋で、大袈裟に言えばミステリーの真相を知る事以上に彼の二度目の恋が成就するのかどうかの恋の行方にすっかり心を奪われるでしょう。これ以上は書けませんが、私は結果がどうであれ彼の純粋に心からなる愛を捧げた真摯な感情は尊いと思いますし、本書はいろいろとあっても間違いなく恋愛小説として一級品だと信じています。 著者は第一作の本書でミステリーの素晴らしい書き手である事を証明し強烈に印象づけてくれました。酸いも甘いも噛み分けた人生の機微に通じる著者の確かな力量を信じて、これから先も続々と翻訳されるであろう作品群を可能な限り読んで行こうと思っています。 | ||||
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