修道院の第二の殺人
- 歴史ミステリ (189)
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ミステリー好きと思われる評者の方がこの作品を酷評していましたね。でもわたしはこういうのもエンターテインメントとしてありなんじゃないかと思って読みました。本好きの方なら大体3〜4時間くらいで読了されたんじゃないでしょうか。 本格的なミステリーファンでかつ小説好きのひとにとっては主人公の魅力に加え、ストーリーが単線ではなく複線、複々線と重層的であって、かつ時代考証や業界の内部事情、扱われている素材(たとえば絵画、あるいは拳銃などの武器など)についての専門的な知識・蘊蓄、そういったものが全て揃っていて始めて名作ということになるのでしょう。わたしも相当な本の虫ですのでよく分かる気がします。 この小説はたしかにプロットとしては一捻りあるものの、ビクトリア朝のエジンバラに対する時代考証は浅く、作者のシェークスピアに対する理解も通り一遍のものであると思います。しかし彼女の作り出した主人公のファロ警部補とヴィンスはそれなりに魅力的で、楽しめるんじゃないですか。みんながみんなそんな本格派である必要はないんじゃないかと思います。 この作者の本はこれから続々と翻訳される予定のようです。あくまでライトミステリーとしてですが、ちょっとフォローしてみようかなと考えています。肩の凝らない読み物も悪くないですよ。 | ||||
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日本で未だ紹介されていないイギリスの女流作家アランナ・ナイトの『修道院の第二の殺人』(1988年)が、ミステリの名作初出版(2012年)と知り読むことにした。 19世紀のヴィクトリア朝時代のスコットランドの首都エジンバラ市警察で活躍するジェレミー・ファロ警部補が活躍するフーダニットミステリの第一作である。 巻末で本書を翻訳した法村里絵氏は、本書を絶賛していたが、読了後どうしても評者にとって本書がそんなに傑作だとは思えなかったのである。 確かにヴィクトリア時代のエジンバラを舞台にしたことによる時代背景としての興味を与えてはくれたが、ミステリとしてのプロット自体が古臭くフーダニットものとしても平凡であるとしか言いようがない作品だと思ってしまった。 主人公のファロ警部補や義理の息子ヴィンスなど登場する人物たちの会話(翻訳の評価はしません)が空々しく感じ始めるとページを繰るのも面倒になってきてしまった。 とにかくこのジャンルの作品には、読者の好みも多様であるから、本作を面白く読めなかったのは評者だけかもしれない。 が、この程度の作品を刊行する前に、R・D・ウィングフィールドの未訳本『A Killing Frost』と『Winter Frost』の二冊を、早く刊行してほしい!と東京創元社さんへ提言したい。 | ||||
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イギリスの大人気ベテラン女流作家ナイト女史の英国ヴィクトリア朝歴史ミステリー第1弾です。1988年の刊行から現在までに十七作が書き継がれているという本シリーズは、どうして今まで紹介されなかったのだろう?と不思議な程の誠に素晴らしい傑作だと思います。やっぱり縁という物なのでしょうか、こうして見ると欧米にはまだまだ未訳の傑作がごろごろと転がっていそうですね。私は今年本書と巡り会えた幸運を素直に感謝したい気持ちで一杯です。 英国のヴィクトリア朝エジンバラ市の修道院で働く女サラと女子修道院学校の女性教師リリーが続けて殺される事件が起きて、サラの夫のパトリック・ハイムズが自首して来た末に絞首刑に処される。しかし彼は生前妻の殺害は認めたが、女性教師の殺人には関与していないと頑なに否認していた。彼と処刑の前に会見したエジンバラ市警察のファロ警部補は、亡き妻の忘れ形見である義理の息子のヴィンス医師と共に、非公式に再捜査を開始するのだった。 本書は本文が304頁とコンパクトで長過ぎず短過ぎずの丁度良さで、歴史ミステリーという特異さや堅苦しさを全く感じさせない非常に快適な読み心地です。推理の方は、手口が絞殺事件とごく平凡で動機も限られ単純に思えますが、ところがどっこいこれが見えない所で密かにとんでもない企みが仕組まれておりまして、なめてかかるとどえらい目にあいます。そして巧妙な伏線も思いも寄らない場面に仕掛けられていますので、どうかくれぐれもご用心してお読み下さいね。著者は人情噺を織り上げる才能にも長けていまして、ファロ警部補の故人である妻リジーとの出会いから永遠の別れまでの劇的な物語や義理の息子のヴィンスと心を通わせる親子愛のドラマは感動的で心を惹かれます。そして本書で最も気に懸かるのが、ファロ警部補が一目惚れした未亡人の美貌の女優アリソンとの燃え上がる恋で、大袈裟に言えばミステリーの真相を知る事以上に彼の二度目の恋が成就するのかどうかの恋の行方にすっかり心を奪われるでしょう。これ以上は書けませんが、私は結果がどうであれ彼の純粋に心からなる愛を捧げた真摯な感情は尊いと思いますし、本書はいろいろとあっても間違いなく恋愛小説として一級品だと信じています。 著者は第一作の本書でミステリーの素晴らしい書き手である事を証明し強烈に印象づけてくれました。酸いも甘いも噛み分けた人生の機微に通じる著者の確かな力量を信じて、これから先も続々と翻訳されるであろう作品群を可能な限り読んで行こうと思っています。 | ||||
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