天地明察

【この小説が収録されている参考書籍】

評判

天地明察の評価:

4.20/5点 レビュー 418件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.20pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全422件 321〜340 17/22ページ
No.102
(5pt)

大願成就に熱く震える

09年11月の単行本の文庫化.加筆,修正されて分冊されており,こちらは下巻になります.

上巻以上に厳しい主人公の挑戦は,その壁の多さにこちらが挫けてしまいそうになりますが,
何度も倒れ,諦めかけながらも立ち上がり,前へと進み出す姿は,強く震えるものがあります.
そしてそれは主人公一人の力だけではなく,多くの人たちに支えられ,見守られてのものであり,
同時に,彼のこれまでの生き様であったり,人柄のものであることを改めて感じることになります.

終盤の流れは,いささか駆け足に感じるところもありますが,周りがめまぐるしく動いている中,
主人公だけはぶれず,自分たちを信じ,ただ黙々と己のなすべきことをこなす姿が却って印象的で,
静と動,そしてこの『速さ』の対比が,結末へと向かっていく独特の高揚感をあおり立てていきます.

そして多くの時間,出会いと別れ,彼らとともに願い,挑み続けてきてた末にたどり着く大願成就.
若き日の思い出を踏襲し,託された数々の思いが溢れかえる様子には,ただ胸が熱くなるばかりです.
また,ここぞで織り込まれるいくつかの『決め台詞』と,同じく大きな意味を持ついくつかの『音』は,
それらの情景が鮮やかに浮かび上がってくるのはもちろん,込められて思いまでも伝わってくるようです.
主人公を長きに支えた妻もすてきで,その強さと優しさは美しく,二人のやり取りもほほえましく映ります.

ただ,あえて言えば分冊だったのが残念で,できれば『一冊』として読み,味わいたかったところ.
上下巻,この二冊のボリュームなら全く問題なかったはずで,たとえ中断しながら読むのだとしても,
本が分かれたことで微妙な『隙間』が生まれたようで,いい作品だけにそこが少しだけ気になりました.
天地明察(下) (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 天地明察(下) (角川文庫)より
4041002923
No.101
(4pt)

じっくりと練り上げられていく下地

09年11月の単行本の文庫化で,『第31回吉川英治文学新人賞』と『第7回本屋大賞』の受賞作.
今回の文庫化にあたり上下巻へと分冊となり,また加筆と修正が加えられているとのことです.

全六章の半分,三章までを収めた本巻は,いかにも下巻のための上巻の感じではあるものの,
それは決して『過程』などで片付けられるものではなく,多くの人たちとの出会いにはじまり,
挑戦,挫折,復活と,先へと繋がる主人公の『下地』が練り上げられていく様子がうかがえます.

そんな主人公の少しどぼけた感もある様子は,堅苦しさのない穏やかな文章もあり好印象で,
作品へと引き込まれていくのと同じく,失敗や成功にも思わず感情が入っていってしまいます.

時代小説というより,一人の人間を綴った作品で,この巻だけでも結構な様子が描かれますが,
それでいて妙な暑苦しさを感じさせないのは,物語はもちろん主人公の魅力によるものでしょう.
また,そんな彼の周り集まる人物にも惹かれ,ほのかに漂う恋の雰囲気もほどよいアクセントです.

このあと,いよいよ下巻から大きく動き出すようで,この男の人生がどのように進んでいくのか,
これ以外にも,未だに見ぬ好敵手の大きな存在,恋の行方と,続きが気になって仕方がありません.
天地明察(上) (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 天地明察(上) (角川文庫)より
4041003180
No.100
(5pt)

日本人ってすごい

仙台に向かう東京駅で「あなたこそ読むべき」と薦めれた本。

元禄時代に、天文観測と最新の和算を融合し、日本の暦を開発した'男、春海の物語。春海は、暦の開発に3度挫折し、4度目に暦の開'発に成功する。日食や月食の日時を正確に計算してみせた驚くべき'暦。おそらくは微積分に相当する和算を駆使して、ケプラーの法則を発見した上で'、過去の暦の誤謬の理由を発見。上下巻を一気に読んでしまった。'9月には映画化されるとか。

3度の挫折の後の、精緻な暦の完成。勅令で正式の暦として採用させることに成功している。晴海は、暦の独占による版権による経済'効果(経済)、暦と占いが不可分だった時代の宗教的な権威の調整'(宗教)、朝廷と幕府の拮抗(政治)そして庶民への文化的影響な'ども検討し、工作活動を行っている。 優れたものであっても、成功するには別の努力も必要だとわかる。

彼の功績の裏には、和算の開発者の関孝和の表に出てこない友情溢れる支援もあった。晴海と、当時の幕僚や陰陽師との信頼関係にもとづく交流も感銘する。

2度結婚。最初の妻とは死別。どちらの奥方とも夫婦仲の良い方だったようである。最後は、後妻とは「同じ日に没した。家人が祝うべきことと話している」とある。
天地明察(上) (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 天地明察(上) (角川文庫)より
4041003180
No.99
(4pt)

久しぶりです

金環日食の日に読み終えましたが、
何度も挫折しながらも前に進んでいく主人公に共感。
読んでてこんなにワクワクした本は久しぶりです。
天地明察(上) (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 天地明察(上) (角川文庫)より
4041003180
No.98
(3pt)

改暦事業に取り掛かるまでが冗長

改暦事業に取り掛かるまでに多くのページ数が費やされ、肝心の部分はワープ状態。
気がついたら終わってましたというのはどうなんだろうか?
これだけ長い年月を掛けて行なわれたことなのであれば、その中での苦労話の方が
小説の題材になったのではないか?などと思ってしまう。前段部分が冗長で、少々
退屈であった。
天地明察 Amazon書評・レビュー: 天地明察より
404874013X
No.97
(5pt)

明察…この言葉が好きです

歴史物や時代小説は得意ではない自分でも面白いと思えた。
ちなみに理系音痴でもあるけれど、解りやすくて夢中で読めた。
思わず応援したくなるような春海や、個性的な周囲の人々。
心に残る言葉やシーンが多く、清々しい読後感です。
「天地明察!!」その瞬間のための数多の人生に、感動に涙が何度も溢れました。
天地明察 Amazon書評・レビュー: 天地明察より
404874013X
No.96
(2pt)

『とある囲碁打の改暦記録(プロット)』

500ページあって全6章からなりますが、
枚数は多いのですが、内容は終始盛り上がりませんでした。
ネタバレすると、主人公たる渋川春海が、
一度失敗して、改暦に成功するんですが、
本の終わりの方で急に改暦に成功して
♪ハッピーハッピーボーイ
みたいな流れなんです…。
まさに、プロットを読まされてる感じ
原因は、
科学的&歴史的な解説がなかったり、
主人公&執筆者が『大和歴』そのものに迫ってないからでしょう。
少なくとも、歴史小説じゃないと思います。

小学生の時に読んだ伝記シリーズ
もしくは
歴史小説風ラノベ
と思えば腹も立たんです。
映画どうすんだこれ?
天地明察 Amazon書評・レビュー: 天地明察より
404874013X
No.95
(5pt)

幸福な物語

ラノベ作家の書いた歴史小説か、と思って読み始めた。導入部が気にいらなっかたが、読み進むうちにどんどん物語に引き込まれていった。渋川春海を主人公にしたという以外に新しさは感じなかった。登場人物も類型的だし、ストーリーも予想を外すことはない。ただ、最近の歴史小説にありがちな強引なフィクションがなく、フィクションが先走ったところで実際の歴史に沿った事実に引き戻すあたりに作家の良心を感じた。
だが、そんなことはどうでもいい。この小説を読んでいるあいだ幸福だった。それは渋川春海という恐ろしく幸福な人生を送った人間の幸福さだ。ひさびさに晴れやかな歴史小説を読んだ思いがする。
ぜひ、最近歴史に興味を持ち始めた小学校5年生の甥っ子に読ませてやりたいと思ったが、少し難しいかも知れない。これを200ページくらいの児童文学にできないだろうか?子どもたちに歴史と小説の醍醐味を教えてあげるのに絶好の題材だと思う。映画化と漫画化するくらいだから、児童文学化もありでしょう。
天地明察 Amazon書評・レビュー: 天地明察より
404874013X
No.94
(5pt)

凶作にて重税を課すのはただの無為無策

水戸光圀ではないが、思わず「うぬう」と唸りたくなるような傑作であり、もし些かでも文士を志す者ならば、この著作の前に、恐れ入りました、と平伏させる代物でもある。凡庸な草食系、算術好きの青年が日本独自の和暦を開発し、改暦の大事業を成し遂げた話であるが、豊富な語彙と詳細な時代考証に裏打ちされて、優れた文芸作品として昇華している。
さほど重々しく書いてはいないが、算術でも暦術でも自分の誤謬については決死の覚悟で臨んでいることが随所に現れ、武士ではない主人公にも武士の精神が十分に浸透していたことが伺い知れる。
とくに感心したのは保科正之の明晰さであろう。凶作にて重税を課すのはただの無為無策であるとし、改暦の必要性、手法、影響などをつぶさに検討して、大事を成す姿は現代の政治家にはぜひ見習って欲しい。
主人公がなんども失敗しながらも、少しずつ布石を重ねていって最後に改暦を成就させたのは、鮮烈な勝負の世界を見るようですがすがしい。
天地明察 Amazon書評・レビュー: 天地明察より
404874013X
No.93
(4pt)

研究者とは。

本屋大賞で知り、わくわくして手に取った一冊です。

 私は物理の専門家でも、天文の専門家でも、数学の専門家でもありません。
しかし、この本を読んで、一つ似たような感想を抱いた、そして共感を抱いた
報道がありました。

 光子よりも速い物質(粒子?)が存在する。と発表されたとき、その研究者の
名古屋大学の先生がおっしゃっていました。
 「これを発表するには、勇気が要りました。」と。

 アインシュタインのような天才であれば、E=mc2を唱えたとき、
 「何だ、君達そんなことも気がつかなかったかい?」
 てな感じだったのでは? 勇気は要らなかったのかもしれません。
(アインシュタインも勇気が必要だったのかもしれませんが。)

 普通は違います。「これは教科書と違う。」と気がついた時、驚きます。
疑います。そして確かめます。何十回も確認します。確認のための確認を
行います。そしてようやくつぶやくのです。
 「これこそが真実だ。」
 つぶやく自分に自信を持つための勇気が、その繰り返す根気以上に必要です。

 鈴木梅太郎も、ワトソン、クリックも、キュリー夫人も、みんなみんな
そうだったんじゃないでしょうか。
 そして、名古屋大学の先生も、そんな気持ちだったんじゃないでしょうか。

 このお話の中では、関孝和が天才、春海がいわば凡才。関孝和とのやり取り
での失敗。失敗に終わった暦法をやり直す根気。そして、ようやくたどり着いた
正解を、公表する勇気。

 暦の歴史も、数学の問題も深くは考えなかったのですが、春海の根気と
勇気に、凡才研究者の生涯を見たようで、結構面白かったです。まあ、私から
みたら、春海も天才ですけど。
 暦の歴史も数学の問題も、誤りがあったようですが、それを読むために
読んだわけではありません。しかし、凡才研究者の心境の掘り下げは、実は
もう少しかな。失敗しても成功しても、どうしても泣いてしまいますからね。

 基本的にはお勧めします。85点かな。
天地明察 Amazon書評・レビュー: 天地明察より
404874013X
No.92
(5pt)

今後売れるでしょう。

ドラマ化決定の情報にちょっと興味もちました。本の梱包も丁寧でしたし傷もなくよかったです。
天地明察 Amazon書評・レビュー: 天地明察より
404874013X
No.91
(4pt)

読み心地の良さ

気持ちのいい人物が次々と出てきて、読み心地のいい小説でした。
会話が多くて動きは少なく、戦や決闘といった派手な見せ場もなく、そういった意味では起伏の少ないストーリーなので、映画化はどうなんだろうと首をかしげてしまいますが、小説としては最初から最後まで面白く読めました。史実をどのように小説にしたか、想像するだけでも楽しかったです。たとえば、主人公が再婚しているとわかったら、前から知り合いだったことにするとか、そういう感じなのかなあ、なんて考えながら読んでいました。
「からんころん」がちょっとしつこいかなと思いましたが、あとはすらすらと読めて、読書の喜びをたっぷりと与えてくれる小説でした。
天地明察 Amazon書評・レビュー: 天地明察より
404874013X
No.90
(2pt)

期待し過ぎたかも

本屋大賞をとっていると言う事で自分の中で期待値ハードルが高くなりすぎたせいか、、、設定は面白いのですが、いまいち入り込めませんでした。
最近の本屋大賞って「謎解きはディナーのあとで」もそうだけど、自分の好みに合わないものや何がそんなに面白いのか理解できない作品が多い。

天地明察 Amazon書評・レビュー: 天地明察より
404874013X
No.89
(4pt)

学生に読んでほしい

私は読書家ではありませんし、文系学生として知っておくべき知識くらいはあるものの、日本史にも精通していません。
ただ、歴史を勉強するにしたがって、人々が織り成してきたドラマに目を向けるようになりました。
このことは歴史を楽しく学ぶことに大きく貢献してくれています。

日本人なら誰でも知っている織田信長、坂本竜馬、あるいは源頼朝など目立つ業績を残した人々の遍歴などはおおまかには誰でも聞いたことがあるでしょう。
大河ドラマでも取り上げられるし、彼らを題材とした小説を初めとしたさまざまな作品を目にします。
私たちは、彼らの活躍が殺人に立脚したものであろうと、欧米人の先進文明ありきの活躍であろうと、彼らが偉人であることは疑いません。
そのようなことは小学生高学年でもなんとなく分かるでしょう。
そして、彼らの人生は私たちには真の意味で想像できない波乱万丈なものであったであろう事も理解します。

しかし、この小説の主人公は渋川春海。
小学校でも中学校でも習わないでしょう。
高校生の教科書には載っていますが、それは文化史のページに数多く載っている人たちのうちの一人に過ぎません。
教科書の記述は「渋川春海が中国の授時暦を用いて貞享暦を考案し、天文方が設置された」などという記述。
日本という国に大きく寄与した100人を選ぼうとしたら、おそらく選ばない人も少なくないでしょう。
なぜなら、知名度が高くない上に、今の日本はグレゴリウス暦を採用しており、その意味では渋川の活躍は残っていないのでは、と素人には思えるからです。
知識がある方からは反論があるかもしれませんが、この本は専門書ではなく、大衆小説であることを踏まえて頂き、目をつぶってもらえると助かります。

結局、私が要領を得ない無駄の多い文章で言いたいのは、この本は
「一見目立った活躍をしていないように思われる人でも、このようなロマンに満ち溢れた人生を送ったのか!」
「歴史というのはありとあらゆる人々が凄まじい人生を送り、構成されて、私たちは今このような人生を送っているのか」
ということを再確認させてくれる本だということです。

歴史小説をよく読まれる方からの、何を今更、という声が聞こえてくるようですが、読書家ではなく一介の学生に過ぎない私には軽い衝撃でした。
先述している通り、ただの学生である私がありきたりな教育論を語ることは恥ずかしいですが、ある意味での当事者の生の声と思ってください。
今の日本の教育では、勉強の楽しさというものをなかなか伝えることが出来ていません。
私は、つい最近まで勉強に楽しさを見出したことはありませんでした。
ただ単に、授業に出て、眠かったら眠り、宿題をこなし、あるいはサボり、テストを受け、勉強不足のあまり赤点ギリギリのときもある。
完全に時間の無駄です。よっぽど頭のよくない限り、そのような状況では半月ですべて忘れるでしょう。というよりも、そもそもみにつけたとは言えません。
私の友人にも教師を目指している人たちがいますが、その人たち自身が勉強の楽しさを知りません。そんな人たちに楽しい勉強を教えられるはずがない。

好きな漫画のすぐに死んでしまうキャラクターの名前や細かい世界設定は覚えているのに、二次式の平方完成のやり方は覚えていない。
好きなバンドのドラムが使っているスプラッシュシンバルやスティックのメーカーは知っているのに、ナイティンゲールが何をした人なのかは分からない。
やはり、興味を持っているかどうかで全く違いますよね。
この漫画は好き。だから覚える。二次方程式に何の意味があるの。社会に出てから使わないだろ。
あのドラマーは格好いい。だから覚える。ナイティンゲール?あれでしょ。すごい看護婦でしょ。それで?俺の人生に何の意味があるの。
……こんな感じですね。
もちろん、皆が皆勉強に面白さを見出せるとは言いませんが、今の状況は戦慄を覚えるほどひどい。
生徒に興味を持たせる為には、すべての教師は勉強の楽しさを知っているべきだし、それを伝える為にはさまざまな観点から深く理解する必要があると思います。
そして生徒はそれを受け入れる準備がないといけない。
平方完成をすれば実数の二乗は0以上であることから、数式的にもグラフ的にも頂点を求められる。それが分かれば最大最小も分かるし、視覚的に考えられるようになる。言われてみれば当たり前。
ナイティンゲールは比較的安定していたヨーロッパに衝撃を与えたクリミア戦争で活躍し、多くの命を救った。彼女の活躍がなかったら今の世界の人々の一部は存在しないし、赤十字社もなかった。
たかが高校レベルの勉強でもいろいろな視点から見れば楽しさを見出せるはずです。

小説のレビューの場をお借りしてこのような、私の日本教育に対する不満を吐き出して申し訳ありません。
改めてレビューを再開させていただきます。
この本はそのような学生にも歴史の面白さを伝えることが可能なのでは、と思うのです。
徳川家康のような有名な人たちだけでなく、目立たない人たちも含めた全ての人間が織り成したのが日本史。それが今の比較的安全な経済大国日本を作った。
数学を発展させたのも、万有引力を発見して宇宙に乗り出したのも、日本語や英語、スワヒリ語を作り出したのも全て人間。戦争ばかりの恐怖に支配された人たちに学問を発展させる暇はそうそうない。
歴史を学べば、先人たちが作り上げてきた平和を尊敬し、あらゆる学問を尊敬できる。
歴史をしっかり学ぶためには、歴史の楽しさをしれば百人力。好きな漫画やバンドと同じ。
好きな漫画は作者やアシスタント、編集者が作るもの。バンドの曲はメンバーやスタジオのスタッフやPAが作るもの。
歴史はめちゃくちゃ頭のいい学者が研究し、今までの人間全てが作り、今の私たち、私たちの子供たちがこれからも作っていく。
どちらが深いか、多角的な面白さが見出せるかは明らかではないでしょうか。
ただ、私は漫画もロックもメタルも大好きなので悪しからず。

私もまだまだ発展途上ですが、この本で成長できました。
この本で、歴史の楽しさを知ってください。
そして、あらゆることを楽しめる人間になる一助となると私は信じています。

天地明察 Amazon書評・レビュー: 天地明察より
404874013X
No.88
(4pt)

「天地明察」を読んで

囲碁侍として江戸城に登城する主人公の安井算哲(渋川春海)は、囲碁の世界で最高峰を極めようとするよりも、無類の数理好きで、神社の和算絵馬に書かれた算術の難問を即答したという関孝和に永らく会うことのないままに脅威と競争意識を持つ。やがて、会津藩主の保科公や幕閣の命を受けて、暦の改正をライフワークにして、その数理好きの能力も全面開花し多数の協力者にも恵まれて、ついに大和暦を採用するとの天皇の詔勅を得る。
 しかし、そんなあらましの展開ではあるが、決して、たんなる成功物語ではない。もし自分が持てる何らかの能力を全開したとしても、欲望、羨望、妬みが渦巻くなかで、事業展開に必要な人の和を確保し、失敗にめげずにどこまでも真実を見極め、また世の人心をひきつけてゆくひたむきな努力が要求されるときに、自己の内面が敗れないでやっていけるだろうかと思う。この小説は、主人公の心の内面をよく描写している。この小説を読んで、主人公はよくやった、このような人物が実在したのかと祝福する温かな気持ち一杯にされた。
 この本については、自宅近くの市立図書館で三百人以上が貸し出しのウエイティングをしていると聞いたので、思い切って買って読んだのは正解であった。さすが、本屋大賞を取っただけの本ではある。
天地明察 Amazon書評・レビュー: 天地明察より
404874013X
No.87
(4pt)

映画化が待ち遠しい。

恥ずかしながら歴史に疎く、途中で実在の人物なんだと気付かされました。

今、私たちの日常に当たり前にあるカレンダー、暦というものは、こんなに大変な作業を経てここにあるんだ…と非常に興味深く読みました。
数学というものが、算術として神に捧げられていた時代があったという驚きもありました。

歴史に疎いからこそ、壮大なエンターテイメントとして楽しむことができました。

岡田准一さん主演の映画の公開(2012年秋)が待ち遠しいです!
天地明察 Amazon書評・レビュー: 天地明察より
404874013X
No.86
(5pt)

主人公を応援せずにはいられなくなる

昨年のことだが、第7回本屋大賞を受賞した「天地明察」が面白かった。
日ごろ何々賞とかの本に、それほど関心はないのだが、ニュースで絶賛していたのと、主人公がはじめて聞く歴史上の人物ということが気になり、さっそく本屋に行き手に取った。

この作品のおもしろいのは、登場人物のキャラクター設定が巧みで、彼らのイメージが鮮明に浮かび、
吸い込まれるように入ってしまうところである。
飄々とした主人公が、たくさんの個性的な登場人物に愛され期待されるのが、軽いタッチで表現され、読者もついつい彼の成功を応援せずにはいられなくなる。

神社に奉納された算術勝負絵馬の問題に一瞥で解答を記す天才数学者「関孝和」の存在を知ったときの驚きや、そのまだ見ぬ天才との算術勝負にかける思いにわくわくさせられ、彼を探してたどり着いた、算術道場の師範と明るく気の強い道場の娘「えん」との出会い、お抱え棋士の天才ライバル「本因坊道策」が彼に一目置くところなどもおもしろ可笑しい。

また、「北極出地」事業の二人の老上役に、緯度予測のシーンで主人公の才能や性格をすぐに気に入られてしまうところなどもなんともいえない。
そして、彼ら二人が事業の完遂を見届けられず主人公に託したり、事業の実質の指揮者「保科正之」やその配下の人たちなど、いろいろな人物に支援され、最後まであきらめずに事業を成し遂げる姿が印象深い。


天地明察 Amazon書評・レビュー: 天地明察より
404874013X
No.85
(5pt)

囲碁と算術と天文という魅力的な組み合わせ !

個人的には囲碁棋士としてしか知らなかった安井算哲こと渋川春海が大和歴を創り上げるまでの過程を、関孝和、本因坊道策の二人の天才を初めとする多くの人々との係わり合いの中で描いた作品。本来なら重苦しくなってもおかしくない"改暦"という題材を、爽やかに描いた点に本作の魅力があると思う。普段は茫洋としているが、目標が定まると一心不乱に突き進む春海の性格付けが作品全体のムードを支配している。一部の人間を除き、春海の周囲の人々が善意に溢れ春海に好感を持つ様に設定されているのは、作者が敢えてそうしたのだと思う。

出会いから始まって、その後に到る"えん"との係わりも微笑ましいが、何と言っても関孝和、本因坊道策の使い方が上手いと感じた。同年齢の幻のライバル・畏敬の的として描かれる関孝和の登場のさせ方も巧妙だし、当時の囲碁界を考えればあり得ない(城碁の結果、憤死した棋士も居たと言う)安井家と本因坊家の相続候補同士の奇妙な友情関係という設定も面白い。また、江戸時代における武断政治から文治政治への変遷の流れと"改暦"とを自然にマッチさせている創りも上手いと思った。江戸時代において庶民にまで拡がっていた算術の隆盛も巧みに織り込まれている。作中では、関孝和が独自に考案した代数的解法や行列式が紹介されているが、実は微積分も殆ど完成していたのである。

そして何より魅力的なのは囲碁と天文という組み合わせである。現在の一流プロ囲碁・将棋棋士は盤上に宇宙を観ると言われている。そこに着眼した作者のしたたかさにも舌を巻いた(作中で何度か碁盤上の"星"に言及しているのは偶然ではあるまい)。夢とロマンに溢れた一級のエンターテインメントと言って良いのではないか。
天地明察 Amazon書評・レビュー: 天地明察より
404874013X
No.84
(1pt)

壮大なる虚仮おどし。中身の9割はマーケティング

ハードカバーで500P近いので重厚なのかと思えば、韻律の効いた文章でテンポよく読める。
が、あまり本を読まない人間向きに書かれていて、はっきり言うと、本を読む人間ほど読むのが辛くなる。
題材は非常に野心的なのだが、内容には著者が自慰に耽る姿を見せるハーレクインのような印象が残った。
悪い意味でポスト団塊ジュニア世代の気風を代表した小説だと思う。

某文学賞のある選考委員は、本書を「明かるすぎるといってよい作品である。しかし陰翳が足りない。」と評した。
お世辞にもこの論評もあまりほめられた文章ではないが、はっきりと面白くないと言っているのは評価できる。
著者なりには陰翳はあるのである。この本は主役がまさに著者の投影であって、多才な男がその才能の大半が二流であることに絶望して全く別の自分の道を見つけ出す、という自己へのナルシストじみた皮肉譚でもあるからだ。
ただ、その見つけた道もやっぱり二流である上に、根気よく続けて向上する気もいまいちなのが透けてしまうことが、はたして
いいことなのだろうか。

率直に言って、この小説は表面が整っているだけだ。
文体は整っているのだが、主人公が有り余る自信を見せて回る鼻持ちならない男にしか見えないくらい描写力が甘い上に、暦を独自に作るという行為の価値や革新性を追求する部分を、物語のゆるさを確保するために意図的に捨てている。
読んでいて著者側の出し惜しみばかり目につく…というか、題材に著者の筆力が負けてこぢんまりとしているように見える。
著者の筆の走りで読者を引き込もうとしている部分で、過剰に力をセーブしすぎているように見えるし、対して丁寧な説明が求められる部分では文章が知性を失ってしまっている。
好き嫌い以前に、単純に小説としての実力が低い。

また何よりも、本作は作者の創作姿勢が後退し、逃げに入り出した様子を克明に記している。
殺伐とした世界観を売りにした作風に頼らず、平和な状況を舞台にした小説を書きたいという著者の本作への意図はわかるのだが、平和な雰囲気を大切にするがあまり、テーマを追求する姿勢がすべての面で弱くなっていて、作家として追求していくべき精神性がライトノベル時代よりも後退してしまっている。
こういう停滞はライトノベルならば「作者の個性」として許されるのかもしれないが、幅広い層の読者の目に晒される(本書は極端に読者層を絞っているが)一般向けの小説でこういった力の出し惜しみはどこまで続けられるのだろうか。
この姿勢がこのまま続くのであれば、著者と出版社の財布を潤す以外に新規の読者を参入させる理由はない。
少なくとも、漫画よりも時間がかかる媒体として読ませる価値はない。
やることなすことだけでなく自分の心の中の一番美しい信条に対してまでも「まあまあでいいじゃないですか、まあまあで」と言い訳する物語のどこがいいのか。
怠惰な人間を描く小説は物語として十分ありだ。
しかし、この小説は筆力の低さのせいで怠惰な生き方や姿勢を肯定するように読めてしまう。
本を読む人間が本に求めるのは、怠惰さの肯定ではなく、怠惰に生きざるを得ない心情の肯定ではないか。

多数のインタビューやエッセイで著者のパブリックイメージが確立されているが、一度それらを外して冷静な目で読んでみるといい。その姿には自分への諦めと世の中への無気力を優しく肯定するカルト性以上のものは見えない。
本書に文学的な賞を与えるのであれば、賞の対象に漫画を加えて青年誌以上で活躍する漫画家を候補に入れ、本書よりも先に該当する賞を与えるべきではないか。
少なくとも、本書よりも薄くて価値のある本は山ほどある。

なお、さんざん書いたあげくに著者を擁護するわけではないが、ネットにおける本作の資料の歪曲疑惑について述べる。
結論としては「時代小説の信憑性やディテールなどそんなもん」である。著者は時代小説界で許される範囲の想像・改変に従ったに過ぎない。
何せ司馬遼太郎でさえも、小説の設定として「江戸時代の医者の社会的地位は幇間と同程度であった」という暴論を書くのだ。
もともとジャンル全体が時代風俗を忠実に再現する意識をそれほど高く持っていないのである。
天地明察 Amazon書評・レビュー: 天地明察より
404874013X
No.83
(3pt)

十分面白かった

のですが…。
数学や碁の事などはちんぷんかんぷんなのでその指摘によるこの評価ではありません。

嫌味なキャラクターがおらず、読後感が良く十分楽しんで読めました。
大和暦が成る最後の布石の辺りをもっと緊張感を持って書いてほしかった気がします。
全体的に重みに欠けますが、爽やかさは十分味わえたと思います。

「こんな大人が居たらなあ」と思える清々しい人物が多く、春海の成長を見守っている様な彼らがとても好きでした。

☆4つと迷ったのですが、歴史物の重量感には乏しいと思ったのと、
ある意味清々しすぎるのでそういう小説を「軽い」と思ってしまう人にはおススメしませんね。

あくどい人物があまりいない時点で、そこら辺の緊迫感やダイナミズムには欠けます。

個人的には☆4ですが、合わない人向けに☆3で。
天地明察 Amazon書評・レビュー: 天地明察より
404874013X