薬指の標本

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評判

薬指の標本の評価:

4.30/5点 レビュー 84件。 C ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.30pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全142件 21〜40 2/8ページ
No.122
(3pt)

ふわふわした話が好きな人は好きかも。

人に勧められたので読んでみた。「博士の愛した数式」の小川さんの作品。

清涼飲料水の工場で働いていた主人公は、機械に薬指の先を挟んでしまった事を機に仕事を辞める。しばらくしてから地元を離れ、標本室で働き始め、雇い人で標本職人の弟子丸氏と恋仲のような関係になる。そこでは持ち寄られる標本も様々だし、標本の方法も様々だった。有機物や無機物、はては音やヤケドなどを標本しに来る人がいる。ある種の嫉妬心から、主人公は自分のなくなった薬指を標本してもらおうとするが、そこで話は終わる。ふわふわした話が好きな人は好きかも。
薬指の標本 Amazon書評・レビュー: 薬指の標本より
4104013013
No.121
(3pt)

ふわふわした話が好きな人は好きかも。

人に勧められたので読んでみた。「博士の愛した数式」の小川さんの作品。

清涼飲料水の工場で働いていた主人公は、機械に薬指の先を挟んでしまった事を機に仕事を辞める。しばらくしてから地元を離れ、標本室で働き始め、雇い人で標本職人の弟子丸氏と恋仲のような関係になる。そこでは持ち寄られる標本も様々だし、標本の方法も様々だった。有機物や無機物、はては音やヤケドなどを標本しに来る人がいる。ある種の嫉妬心から、主人公は自分のなくなった薬指を標本してもらおうとするが、そこで話は終わる。ふわふわした話が好きな人は好きかも。
薬指の標本 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 薬指の標本 (新潮文庫)より
4101215219
No.120
(5pt)

小川洋子さんの唯一無二の世界が心地よくて癖になりそうな2編の幻想中編小説集。

今回も現実にはあり得ない2つの職業が描かれていますが、何となく実は本当にあるのではと思わせる雰囲気を感じるのですね。『薬指の標本』標本室は人々の願いを叶える善意の施設ではあるのですが、ヒロインは生きながらにして弟子丸氏の標本にされてしまうのでしょうか?さり気ないサイコホラーとも読めますね。『六角形の小部屋』私の町にも何時か「語り小部屋」が来るのでしょうか?でもある日突然に消えてしまったら語り小部屋ロスで相当に悩み苦しむでしょうね。
薬指の標本 Amazon書評・レビュー: 薬指の標本より
4104013013
No.119
(5pt)

小川洋子さんの唯一無二の世界が心地よくて癖になりそうな2編の幻想中編小説集。

今回も現実にはあり得ない2つの職業が描かれていますが、何となく実は本当にあるのではと思わせる雰囲気を感じるのですね。『薬指の標本』標本室は人々の願いを叶える善意の施設ではあるのですが、ヒロインは生きながらにして弟子丸氏の標本にされてしまうのでしょうか?さり気ないサイコホラーとも読めますね。『六角形の小部屋』私の町にも何時か「語り小部屋」が来るのでしょうか?でもある日突然に消えてしまったら語り小部屋ロスで相当に悩み苦しむでしょうね。
薬指の標本 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 薬指の標本 (新潮文庫)より
4101215219
No.118
(5pt)

恍惚感を誘う喪失ストーリー・2編

1994年、小川洋子氏の作品です。
 表題作『薬指の標本』と『六角形の小部屋』の中編2編が収録されています。

 やはり、『薬指の標本』は面白い。

 清涼飲料水の工場で働いていた”わたし”は、
ある夏、機械に指を挟まれ、左手の薬指の先を失う。
 工場を退職し、新たに見つけた職は標本室の事務。
 この標本室では、技師・弟子丸氏が、様々な人が持ち込む思い出の品を標本にしている。
 ある日、”わたし”は、弟子丸氏に黒井靴を送られるのだが・・・

 裏表紙には「恋愛の痛み」という言葉があるが、そんなもんじゃないと思う。
 むしろ、布施英利氏の解説に近い読み方をしました。
 薬指を失うことで、意識の中で、失った薬指の存在が大きくなる。
 「ない」は「ある」に転化し、「ない」は磁石のように「ある」を引き寄せる。
 そうならないように、人々は標本にする・・・標本的救済。
 
 また、「ない」に引き込まれ宙ぶらりんになっていく”わたし”が、
帰属、所属、といったものを求めているようにも感じる。
 アノミー小説とでも言いましょうか。

 ズルズルと引き込まれていくところに、
谷崎潤一郎、カズオ・イシグロ、あるいは遠藤周作『沈黙』を思い浮かべました。
 また、退廃的で美しい様は、太宰治、没落するロシア貴族、
PORTISHEAD(映画版『薬指の標本』ではBeth Ortonが音楽を担当)などを。

 『六角形の小部屋』は、『薬指の標本』と似たところがある。
 標本が墓、慰霊碑、仏壇等なら、『六角形の小部屋』は教会の告白のよう。
 『薬指の標本』の”わたし”が、カタリコベヤを知っていたら、どうするだろう?、なんて考えてみたくなる。

 恍惚感を誘う喪失ストーリー2編。
 どちらも長すぎず短すぎず、端正な文章で綴られてあります。

 磁石に引き寄せられるように、小説の世界へ引き込まれる。
 いや、そんななまやさしいことじゃなく、
もっと根本的で、徹底的な意味において、絡め取られていく・・・
薬指の標本 Amazon書評・レビュー: 薬指の標本より
4104013013
No.117
(5pt)

恍惚感を誘う喪失ストーリー・2編

1994年、小川洋子氏の作品です。
 表題作『薬指の標本』と『六角形の小部屋』の中編2編が収録されています。

 やはり、『薬指の標本』は面白い。

 清涼飲料水の工場で働いていた”わたし”は、
ある夏、機械に指を挟まれ、左手の薬指の先を失う。
 工場を退職し、新たに見つけた職は標本室の事務。
 この標本室では、技師・弟子丸氏が、様々な人が持ち込む思い出の品を標本にしている。
 ある日、”わたし”は、弟子丸氏に黒井靴を送られるのだが・・・

 裏表紙には「恋愛の痛み」という言葉があるが、そんなもんじゃないと思う。
 むしろ、布施英利氏の解説に近い読み方をしました。
 薬指を失うことで、意識の中で、失った薬指の存在が大きくなる。
 「ない」は「ある」に転化し、「ない」は磁石のように「ある」を引き寄せる。
 そうならないように、人々は標本にする・・・標本的救済。
 
 また、「ない」に引き込まれ宙ぶらりんになっていく”わたし”が、
帰属、所属、といったものを求めているようにも感じる。
 アノミー小説とでも言いましょうか。

 ズルズルと引き込まれていくところに、
谷崎潤一郎、カズオ・イシグロ、あるいは遠藤周作『沈黙』を思い浮かべました。
 また、退廃的で美しい様は、太宰治、没落するロシア貴族、
PORTISHEAD(映画版『薬指の標本』ではBeth Ortonが音楽を担当)などを。

 『六角形の小部屋』は、『薬指の標本』と似たところがある。
 標本が墓、慰霊碑、仏壇等なら、『六角形の小部屋』は教会の告白のよう。
 『薬指の標本』の”わたし”が、カタリコベヤを知っていたら、どうするだろう?、なんて考えてみたくなる。

 恍惚感を誘う喪失ストーリー2編。
 どちらも長すぎず短すぎず、端正な文章で綴られてあります。

 磁石に引き寄せられるように、小説の世界へ引き込まれる。
 いや、そんななまやさしいことじゃなく、
もっと根本的で、徹底的な意味において、絡め取られていく・・・
薬指の標本 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 薬指の標本 (新潮文庫)より
4101215219
No.116
(5pt)

表題作と他一編。

他の方のレビューにもあるように、女流作家ならではの淫靡で危うい世界観ですね。安っぽく薄っぺらくならないのは、この作家の高い文学性でしょう。まとわり付くような湿度や生々しい体温が感じられないので、読後も登場人物の内情だけが残ります。同じ作家の別な作品にまた興味が持てました。
薬指の標本 Amazon書評・レビュー: 薬指の標本より
4104013013
No.115
(5pt)

表題作と他一編。

他の方のレビューにもあるように、女流作家ならではの淫靡で危うい世界観ですね。安っぽく薄っぺらくならないのは、この作家の高い文学性でしょう。まとわり付くような湿度や生々しい体温が感じられないので、読後も登場人物の内情だけが残ります。同じ作家の別な作品にまた興味が持てました。
薬指の標本 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 薬指の標本 (新潮文庫)より
4101215219
No.114
(5pt)

おとぎばなしの世界観の中に、ピリッとした怖さがある

全体を通して、ふんわりと、あたたかい雰囲気がただよっているが、
突然、背筋がゾッとなるような場面が当たり前のように入り込んでくる。
なんとも不思議な感覚の本だった。
薬指の標本 Amazon書評・レビュー: 薬指の標本より
4104013013
No.113
(5pt)

おとぎばなしの世界観の中に、ピリッとした怖さがある

全体を通して、ふんわりと、あたたかい雰囲気がただよっているが、
突然、背筋がゾッとなるような場面が当たり前のように入り込んでくる。
なんとも不思議な感覚の本だった。
薬指の標本 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 薬指の標本 (新潮文庫)より
4101215219
No.112
(5pt)

ありえるようなないような…

小川洋子さんは、曖昧な解釈で良いですよ。
という、語りべのような作家だといつも思います。
批判も肯定も曖昧な表現が多いので、自由に頭を、傾げ乍ら、熟考して読める気がします。

薬指の一部を、炭酸ソーダ工場の作業中、事故でなくした主人公の話。

弟子丸という、標本を作る仕事の会社⁉の、事務員に転職する主人公。
勿論、事故がトラウマで仕事が出来なくなってしまったから。

私事です。
三日前位、何年振りかに 火傷 をしました。
簡易沸騰ケトルの、沸騰蒸気をもろに、右手の薬指と小指にあててしまい。
冷水で感覚が無くなるまで冷やしたものの、痛みが酷く、薬が見当たらない。
昼間は、一人なので、途方に暮れ、たまたま来ていた主人に薬を塗って貰いました。
しかし、つもり積もった何かが折れて、その後寝込んでしまいました。
今も、薬指は、水泡が破れ、赤みと痛みが残って治療しています。

本は、出会いがあるのよ。

母親の言葉。

まさに、このような小説と人生との出会いが多い私の人生な気がします。

身体の何かを失う。傷つける。
そうすると、身体や、心のバランスが必ず損なわれてしまう。多分。

彼女は、様々な標本を依頼する人達に誠実に対応し、その主である、弟子丸氏に惹かれていく。

淡々と、奇妙な展開になり、主人公は、ついに…

…次の 六角形の部屋。

背中を痛め、いやいや、ジムに通う医療事務の女性。
何故か、ひっかかる、地味すぎる中年女性との出会い。

過去の失恋を引きずる日々の苦しみが背中を痛める。

六角形の部屋で、ありふれた、しかし、個人がそうなってしまったら、悲しく辛いであろう、出来事をただただ語る人々を見つけ主人公も、ついに六角形の部屋のとりこに…

カウンセリングで、おざなりな治療と、脱け出せない薬を飲むより、暖かなみまもりを受けつつ、小部屋で、叫ぶなりした方がいいかもしれないですね…

ただ、何でも のめり込む のは、いけない。

それが、生きる為に必要な知恵と判断ではなかろうか。

のめり込みやすい、誘惑に満ちたこの世の中で上手く生きれる事を読者に問う小説の様な気がしました。
薬指の標本 Amazon書評・レビュー: 薬指の標本より
4104013013
No.111
(5pt)

ありえるようなないような…

小川洋子さんは、曖昧な解釈で良いですよ。
という、語りべのような作家だといつも思います。
批判も肯定も曖昧な表現が多いので、自由に頭を、傾げ乍ら、熟考して読める気がします。

薬指の一部を、炭酸ソーダ工場の作業中、事故でなくした主人公の話。

弟子丸という、標本を作る仕事の会社⁉の、事務員に転職する主人公。
勿論、事故がトラウマで仕事が出来なくなってしまったから。

私事です。
三日前位、何年振りかに 火傷 をしました。
簡易沸騰ケトルの、沸騰蒸気をもろに、右手の薬指と小指にあててしまい。
冷水で感覚が無くなるまで冷やしたものの、痛みが酷く、薬が見当たらない。
昼間は、一人なので、途方に暮れ、たまたま来ていた主人に薬を塗って貰いました。
しかし、つもり積もった何かが折れて、その後寝込んでしまいました。
今も、薬指は、水泡が破れ、赤みと痛みが残って治療しています。

本は、出会いがあるのよ。

母親の言葉。

まさに、このような小説と人生との出会いが多い私の人生な気がします。

身体の何かを失う。傷つける。
そうすると、身体や、心のバランスが必ず損なわれてしまう。多分。

彼女は、様々な標本を依頼する人達に誠実に対応し、その主である、弟子丸氏に惹かれていく。

淡々と、奇妙な展開になり、主人公は、ついに…

…次の 六角形の部屋。

背中を痛め、いやいや、ジムに通う医療事務の女性。
何故か、ひっかかる、地味すぎる中年女性との出会い。

過去の失恋を引きずる日々の苦しみが背中を痛める。

六角形の部屋で、ありふれた、しかし、個人がそうなってしまったら、悲しく辛いであろう、出来事をただただ語る人々を見つけ主人公も、ついに六角形の部屋のとりこに…

カウンセリングで、おざなりな治療と、脱け出せない薬を飲むより、暖かなみまもりを受けつつ、小部屋で、叫ぶなりした方がいいかもしれないですね…

ただ、何でも のめり込む のは、いけない。

それが、生きる為に必要な知恵と判断ではなかろうか。

のめり込みやすい、誘惑に満ちたこの世の中で上手く生きれる事を読者に問う小説の様な気がしました。
薬指の標本 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 薬指の標本 (新潮文庫)より
4101215219
No.110
(4pt)

好奇心が紡ぐ奇妙な愛情と不思議な一体感

二作品ともに共通して感じたことは「好奇心」が物語を左右しているというあたりだと思います。
しかしながらこれら作品はこれしきでは表せない奇妙な魅力があります。
そこは好奇心ゆえの物語で終わっていないことではないでしょうか。

「薬指の標本」は「標本室」で働くにつれ、標本技術士の弟子丸氏に次第に惹かれ、彼が作る標本に惹かれ、そしておそらくは自身が標本になることでいつまでも彼に愛されることを選択するという流れになっています。
主人公の女性はある事故で薬指のほんの先端を失ってしまいます。その後、ふとしたきっかけで住んでいた街を離れて「標本室」とめぐり合い、「標本室」で働くにつれそこの住人や弟子丸氏、扱っている標本に興味を持ち始めていくのですが、物語の要所要所で好奇心ゆえの行動が描かれており、不思議なことにそれらは全て弟子丸氏への愛情へとつながっていくように感じます。
ストーリーとしては決して明るい話ではないのですが、血でピンク色に染まったサイダーや、火事で焼けてしまった残骸から摘んだきのこを標本にして欲しいと持ち込んだ女の子、弟子丸氏からプレゼントされた靴を褒めしかし危険だと警告した老人、端々に登場する一見関係ないエピソードやアイテムがラストを演出していたと気づいた時の爽快感は、何とも不思議な読後感でした。
余談ですが私もとある事故で親指の先端を失いましたが、とてもじゃないがピンク色に染まるサイダーを見つめたり、他人事のように失った先端に思いを馳せるなんて余裕はありませんでした(笑)物語としてはキレイですが感情移入できなかったのはそのせいなのかしら。

もうひとつの「六角形の小部屋」は半分以上が好奇心丸出しの描写で話が進み、謎の小部屋「カタリコベヤ」を自身が使いつつも最後までそれが何故人を惹きつけるのか理解できないまま終わっています。
カタリコベヤが空くのを待っている人や、管理者に根掘り葉掘りシステムのことを聞いたりする描写がかなり細かく描かれており、その辺り主人公が取る常識的な行動に親近感を覚えたり、カタリコベヤは懺悔室みたいなものなのかな?とか、こういうシステムってあるんじゃないのかな?とか「もしかしたら」みたいなリアリティを感じます。
ところが、カタリコベヤに集まった人たちの「余計な質問はするな」といった表情、ラストの「知らないのはあなただけよ。もうそのことは口にしてはいけませんよ」と言わんばかりのリアクション。そういった表現が急に冷水を浴びせかけられたかのような、しかし妙に納得がいった、という感想を抱くわけであります。しみじみ反芻してみると、怖さとしてはこっちの方が後からじわじわくる感じですね。
薬指の標本 Amazon書評・レビュー: 薬指の標本より
4104013013
No.109
(4pt)

好奇心が紡ぐ奇妙な愛情と不思議な一体感

二作品ともに共通して感じたことは「好奇心」が物語を左右しているというあたりだと思います。
しかしながらこれら作品はこれしきでは表せない奇妙な魅力があります。
そこは好奇心ゆえの物語で終わっていないことではないでしょうか。

「薬指の標本」は「標本室」で働くにつれ、標本技術士の弟子丸氏に次第に惹かれ、彼が作る標本に惹かれ、そしておそらくは自身が標本になることでいつまでも彼に愛されることを選択するという流れになっています。
主人公の女性はある事故で薬指のほんの先端を失ってしまいます。その後、ふとしたきっかけで住んでいた街を離れて「標本室」とめぐり合い、「標本室」で働くにつれそこの住人や弟子丸氏、扱っている標本に興味を持ち始めていくのですが、物語の要所要所で好奇心ゆえの行動が描かれており、不思議なことにそれらは全て弟子丸氏への愛情へとつながっていくように感じます。
ストーリーとしては決して明るい話ではないのですが、血でピンク色に染まったサイダーや、火事で焼けてしまった残骸から摘んだきのこを標本にして欲しいと持ち込んだ女の子、弟子丸氏からプレゼントされた靴を褒めしかし危険だと警告した老人、端々に登場する一見関係ないエピソードやアイテムがラストを演出していたと気づいた時の爽快感は、何とも不思議な読後感でした。
余談ですが私もとある事故で親指の先端を失いましたが、とてもじゃないがピンク色に染まるサイダーを見つめたり、他人事のように失った先端に思いを馳せるなんて余裕はありませんでした(笑)物語としてはキレイですが感情移入できなかったのはそのせいなのかしら。

もうひとつの「六角形の小部屋」は半分以上が好奇心丸出しの描写で話が進み、謎の小部屋「カタリコベヤ」を自身が使いつつも最後までそれが何故人を惹きつけるのか理解できないまま終わっています。
カタリコベヤが空くのを待っている人や、管理者に根掘り葉掘りシステムのことを聞いたりする描写がかなり細かく描かれており、その辺り主人公が取る常識的な行動に親近感を覚えたり、カタリコベヤは懺悔室みたいなものなのかな?とか、こういうシステムってあるんじゃないのかな?とか「もしかしたら」みたいなリアリティを感じます。
ところが、カタリコベヤに集まった人たちの「余計な質問はするな」といった表情、ラストの「知らないのはあなただけよ。もうそのことは口にしてはいけませんよ」と言わんばかりのリアクション。そういった表現が急に冷水を浴びせかけられたかのような、しかし妙に納得がいった、という感想を抱くわけであります。しみじみ反芻してみると、怖さとしてはこっちの方が後からじわじわくる感じですね。
薬指の標本 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 薬指の標本 (新潮文庫)より
4101215219
No.108
(4pt)

低温でじっくりと焼かれているような感覚。

女性だからこそ表現できる艶めかしい淫靡感と、儚くも淡いストーリーが見事に調和した作品でした。
『薬指の標本』と『六角形の小部屋』どちらも非現実的な物語ながら、どちらの『私』も抱いている感情は痛いほどに現実的。
美しい文章から溢れ出る状況描写は鮮明で、映画を見ているよう。
読んでいる最中に低温でじっくりと、それでいて確実に心に焼き付けられるような感覚が印象的でした。

今回初めて小川洋子氏の作品に触れました。他作品も是非手に取ってみたいと思います。
薬指の標本 Amazon書評・レビュー: 薬指の標本より
4104013013
No.107
(4pt)

低温でじっくりと焼かれているような感覚。

女性だからこそ表現できる艶めかしい淫靡感と、儚くも淡いストーリーが見事に調和した作品でした。
『薬指の標本』と『六角形の小部屋』どちらも非現実的な物語ながら、どちらの『私』も抱いている感情は痛いほどに現実的。
美しい文章から溢れ出る状況描写は鮮明で、映画を見ているよう。
読んでいる最中に低温でじっくりと、それでいて確実に心に焼き付けられるような感覚が印象的でした。

今回初めて小川洋子氏の作品に触れました。他作品も是非手に取ってみたいと思います。
薬指の標本 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 薬指の標本 (新潮文庫)より
4101215219
No.106
(5pt)

美しく透明な文章

透明で美しい描写を、ここまで突き詰められるひとはめったにいない。
小説嫌いだった私に、小説の楽しさを教えてくれた作品である。

標題の「薬指の標本」は特に際立った良作である。
本来なら薄気味悪いストーリーが、著者の限りないまでの透明な描写により、一種の幻想的な美しさを秘めたものとして昇華されている。

小説嫌いにもぜひ読んで欲しい一冊としてお勧めしたい。
薬指の標本 Amazon書評・レビュー: 薬指の標本より
4104013013
No.105
(5pt)

美しく透明な文章

透明で美しい描写を、ここまで突き詰められるひとはめったにいない。
小説嫌いだった私に、小説の楽しさを教えてくれた作品である。

標題の「薬指の標本」は特に際立った良作である。
本来なら薄気味悪いストーリーが、著者の限りないまでの透明な描写により、一種の幻想的な美しさを秘めたものとして昇華されている。

小説嫌いにもぜひ読んで欲しい一冊としてお勧めしたい。
薬指の標本 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 薬指の標本 (新潮文庫)より
4101215219
No.104
(5pt)

ツボ

映画版も見ましたが、小川洋子さんの小説はなんとなく不吉なところも多いのに端整で美しいですね。
話しの内容も一昔前ぐらいのレトロな感じがとても良く、私の感性に今まで一番しっくりくる小説家です。
映画よりこちらのほうがあっさりしていますが、一緒に収めれている六角形の小部屋という小説も静かで好きです。
薬指の標本 Amazon書評・レビュー: 薬指の標本より
4104013013
No.103
(5pt)

ツボ

映画版も見ましたが、小川洋子さんの小説はなんとなく不吉なところも多いのに端整で美しいですね。
話しの内容も一昔前ぐらいのレトロな感じがとても良く、私の感性に今まで一番しっくりくる小説家です。
映画よりこちらのほうがあっさりしていますが、一緒に収めれている六角形の小部屋という小説も静かで好きです。
薬指の標本 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 薬指の標本 (新潮文庫)より
4101215219