カラマ-ゾフの兄弟

評判

カラマ-ゾフの兄弟の評価:

4.26/5点 レビュー 686件。 C ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.26pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全695件 621〜640 32/35ページ
No.75
(1pt)

4巻まだ?

1巻→2巻は、発刊まで2ヶ月待ち。
2巻→3巻は、発刊まで3ヶ月待ち。
3巻から4巻(完結)は?
すでに3ヶ月以上も経つのにまだ発刊されていない。
予定もわからないし、本当に4巻は出るの?
続きものはやっぱり全部そろっているものを買うべきだった・・・
しかもごく最近、
訳者は違うけれど『地下室の手記』(ドストエフスキー)
が発刊されているし・・・
光文社のHPを見ると6月の刊行予定にも入っていないし。
光文社さん、どーなってるのですか?
4巻出ないんですか?
カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)より
4334751237
No.74
(3pt)

訳は新しくとも、原作はやっぱり古い。

高校時代『罪と罰』(河出書房世界文学全集)は面白く読んだものの、『悪霊』(新潮文庫)の長さにかなり退屈し、『カラマーゾフの兄弟』(岩波文庫)はついに第1巻途中で挫折。もうこの「最高傑作」も読まないまま人生を終わるか、と思っていた矢先、新訳の評価の高さを知り、再挑戦した。
 確かに以前読んだ訳よりも、こなれた訳文と大き目の活字でずっと読み易かった。しかしこの第1巻(特に前半)では登場人物の紹介に多くのページが割かれ、物語が少ししか進行しない。登場人物(特に父親のフョードルと長男ドミトリー)の語るセリフもやたら長いが、時代がかった大仰なもので、口調のわりには内容的には密度が薄いというか、あんまりピンと来ないものが多いと感ぜられた。やはり時代の差を痛感せざるを得ない。興味深いイワンがまだ殆ど語っていないので、取りあえずは第2巻の有名な「大審問官」の所までは読もうと思うが、最後まで通読できるかどうかは怪しいかなあ。しおりの登場人物紹介は名前がコロコロ変わるロシア文学には特にありがたいが、出来ればもう少し紹介人物を増やしてミウーソフやグリゴーリーの紹介も入れて欲しかった。この第1巻では結構重要な役どころでしょ?

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)より
4334751067
No.73
(5pt)

新訳が出るって素晴らしい

亀山先生の現代ロシア文化の講義を受けた事がありますが、ロシアへの愛に満ちていて、素晴らしい講義でした。
その亀山先生の訳ということで、期待大だったのですが、非常に良かったです。
やはり訳も時代に合わせて、新しくなっていくのがいいなぁと思います。
エリツィンも亡くなって、ロシアの現代史を振り返るいい機会ですので、多くの人に読んでもらいたいです。
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)より
4334751067
No.72
(5pt)

熱き魂の書物

ドストエフスキーの晩年における、彼の集大成とも呼ばれる作品。

この大作のテーマは、よく知られているように、「父親殺し」。
それを狭義の解釈で見た場合には、心理学的なエディプス・コンプレックスに行きつくのは必然ですが、それを広義の解釈に広めた場合には、キリスト教会の弱体化が進み、科学技術が促進されつつある、十九世紀ロシア社会に於ける「神殺し」という中心テーゼに行きつくように思います(「神なる父」とは、よく言います)。

ゾシマ長老も、実父フョードルに加え、或る意味アリョーシャにとって父(神)のような存在であるかとは思うのですが、そのゾシマ(神)の死の際の悪臭の表現にも、聖なるものが腐敗していくロシアの当時の現状というものが透かして感じ取られた気がします。アリョーシャはその後古い僧院から抜け出し、星々との交感を得ますが、我々もこの神の死滅、それによる物質主義への傾倒という文明の腐敗・悪臭から逃げ出さずに、一歩一歩自らの足で何某かの聖なるものを追い求めるしかないのでしょう。

この作品の要であり、最大の見せ場でもあろう、イワンによる「大審問官」からは、妄想とはいえ、スケールの大きさと共に、ドストエフスキーの、当時とそれから先の社会の在り様への深刻な問題意識が、浮かび上がっているように思います。

最後のほうの場面で、ミーチャが、「アリョーシャ!俺はもう今から、あのアメリカなんて国を憎んでるんだ。」と言い、ロシアを賛美しますが、こういった箇所からも、一時代先、即ち二十世紀及び二十一世紀の世界の在り様を、ドストエフスキーは既に予感していたのではないか、と思われます。社会主義的理想国家を切願するドストエフスキーにとっては、現在のグローヴァルな資本主義体制を建設したアメリカという国家は、忌み嫌うものであるに違いありません。故に、正に現代の問題として、現代の予言書として、我々は本書を読むことが出来るでしょう。

一読した段階では、正直、以上のような大雑把な書評しか出来ない状態なのですが、ゾシマ、アリョーシャといった「聖」と、フョードルやドミートリイといった「俗」なるものの描き分けが素晴らしく、これからの人生において、必ずや再読して、味わいを何倍も深めていきたいと思わせる、熱き魂の書物です(でも、冗長的な表現が含まれている感は、どうしても否めないかな)。深い思想と破天荒なストーリー展開が魅力の本書ですが、第二部が書かれず終いなのが、何より悲しいですね。

それと、翻訳の問題ですが、現在『カラマーゾフの兄弟』再ブームとして、光文社の亀山訳の『カラマーゾフの兄弟』が爆発的に売れていますが、個人的にはこの新潮社の原訳の方が、迫力と情熱に満ちたドストエフスキーの文章をより良く再現出来ているに違いないと思い、お勧めです。ドストエフスキーに「読み易さ」を求めるのは、何より筋違いではないでしょうか。ドストエフスキーには何よりもエネルギーをこそ読者は求むるのではないでしょうか。ブログを読ませていただく限り、亀山氏は普段からあのような平明な文章を書いているようですが、どうもドストエフスキーと同化し得ているとは言い難い気がするのは私だけでしょうか。岩波の訳は読んでいないので何とも言えませんが。
カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)より
4102010122
No.71
(5pt)

なぜカラマーゾフを読まない?

「悪霊」「罪と罰」に並ぶドストエフスキー三大傑作の一つ。
個性の異なるカラマーゾフ3兄弟と、それを取り巻く人々が起こす事件を、
三男アレクセイを中心に、神、宗教、家族などのテーマを背景に描く。

体育会系無頼漢の長男、ドミートリィ。
文系知識人の次男、イワン。
天使のような三男、アレクセイ。
その他に父を含めた、個性の強い多くの人物達が、ある事件を軸に繰り広げる物語。
「神とは。そして人間とは」時にじっくりと聞かせ、
「誰だ、一体だれがやったんだ」時に慌しい展開。
その緩急のアクセント。
荒い息遣いまで聞こえてきそうな登場人物のテンションの高さ。

何なんだ。一体何なんだ?
これを読まずして何を読む。
カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)より
4102010106
No.70
(4pt)

アレクセイ伝記の前半に過ぎない!

最初、冒頭の「作者の言葉」が意味するところを掴みかねた。
ドストエフスキー氏は本作を書き上げた後、間もなく他界している。
つまり本作はアレクセイの伝記の前半部分に過ぎなかったのだ。

「重要な小説は二番目の方」
            (「作者の言葉」より)

ドストエフスキー氏が墓まで持って行ったこの「重要な二番目の小説」は、
文学界において最大の喪失であると言えるのではないか。
二番目の小説によって得られるカタルシスたるやいかなるものか。
私はそれが知りたい。

本作をこれから手に取ろうとしている方々は、事前に旧約聖書の創世記、
及び新約聖書の福音書に目を通しておくと良いだろう。
カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)より
4102010122
No.69
(5pt)

読まぬ理由を見つけようがない!

存在している全ての小説を読むことは不可能だが、これを読むことは可能だ!

という理由でとにかく読むことをお願いしたい。お奨めではない、要求と言っていい。
小説など読む時間がないという人ならなおさらだろう。読まずに死ぬのはあまりにもったいない。
この作品は、おそらくとしかいえないが、映像化、漫画化など他のメディアへの変換が、
映像技術の進歩に関係なくほとんど不可能であり、また無意味でもあるため、今後もこの作品
に近づきたければ、小説としてそのまま読むしかない!
トルストイと異なり、ドフトエフスキーは小説の形式でしか可能でない表現で作られているので、映像化などは極めて難しいのだ。
黒澤も「白痴」で失敗している。フェリーニも愛読していながら、ついに手がけなかった。
だが、読むだけのことはある。読んだ充実感は他を圧倒する。しかもおそろしく面白い!
娯楽小説としても一流だ。ただ、悲しいことに当時のロシアにとっては、読む人に身近だった内容が、
現代に生きる日本人にとっては身近ではないため、近づきにくいことだけは確かだ。
だが、ここで語られる内容は今もなお、不気味な啓示として光り輝いており、読む人の心を強く打つだろう。
山のように小説が作られ、様々な表現手法が編み出されたが、20世紀にはついにこれ以上の小説は生まれなかったと思っている。
21世紀は是非ともこれを超えるものを誰かかいて欲しい。それくらい読むべき作品だ。

カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)より
4102010106
No.68
(5pt)

愛の為、破滅し、そして愛を得た長兄ミーチャ

カラ兄が好きな村上春樹さんは、「恋をするというのは、人生においてもっとも理不尽で、(それがゆえに)もっとも素晴らしい
ことの一つ」と読者に回答されていましたが、この第3巻のミーチャの行動からその言葉を思い出しました。

3兄弟の内、最も慈悲深く神秘的な魅力を持つアリョーシャや、ナイフのような鋭い知性を持つイワンに比して
長男の退役軍人のミーチャはとても俗人的であり、我々のような一般の読者を代表した人物だと想像できます。

1,2巻では殆ど注目に値すべきでない彼が第3巻では主役となり、グルーシェニカや父フョードルに対する
理不尽な恋・愛・嫉妬によって、身を滅ぼし、しかし、最愛の人の愛を得る過程が描かれています。

古今東西誰もが知っているように、恋や愛は理屈ではありません。
その恋や愛が途轍もない嫉妬を生み、人を破滅させること、しかし同時に人を救う、あるいは真実に気付かせる
そういった崇高なる力を持ち合わせること、そして、その順番が狂った時大きな悲劇が訪れることを実感させてくれた本です。
カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)より
4334751237
No.67
(5pt)

待ち遠しかった

亀山新訳のこの3巻が出るのが、非常に待ち遠しかった。
カラマーゾフの兄弟は、もともとすごくおもしろいけれど、同時に相当に難しく、
読んでいる私自身の頭の中も注意深く整頓しながら進めなければ
きちんと理解することが出来にくいものだったが、
この新訳のおかげで、読むまますうっと頭にはいってきて、
日本語として頭に落ち着き、ふに落ちて、
次から次へと襲い来る饒舌極まるドストエフスキーの作り上げた台詞に流されることがない。
幸せだ〜
最後までこの幸福は続くのだろう。
ああもう4巻が待ち遠しい。

カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)より
4334751237
No.66
(5pt)

興味がわく本

有名な大審問官の章が入っている巻。
 確かに難解で理解できた部分はほとんど無いと思う。具現化された神がいたらカトリックの制度は維持できなくなるんだ。イワンが子供に限定して話したのは残酷さを増すためだとか。
 でも理解できる最善は尽くされている。
 違和感のない訳、しおりへ記述された登場人物、そして最後の読書ガイド。
 背景知識が無いと理解できない部分を補うヒントが詰まっている。
個人的に第三巻が出版されるまでにゲーテのファウストを読もうと思った。

カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)より
4334751172
No.65
(5pt)

読みやすい

この本で初めてカラマーゾフの兄弟を読んだ。
違和感なくすらすら読める。他の訳がどれほど難解なのだろうと疑問に思う。
好きなフレーズ「あの女は虎だ」
二巻以降が非常に楽しみ。
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)より
4334751067
No.64
(5pt)

光文社版の出る前に読んで

僕は今回初めて読むにあたって、どの翻訳で読もうか迷いました。
ロシア文学とか作家の「ドストエフスキー」の響きとかから、難しそうなイメージがあったので、
平易な文章のものがいいかなと思うけど、過度に簡単な文章にすると、
この小説の持ってる「凄み」みたいなものが薄れてしまうかなぁと読む前から心配したり。
光文社から出てる古典新訳シリーズとこちらと迷ったんですが、
その時は光文社の方はまだ全編出版というわけではなかったのでこちらにしました。

難解すぎず、かといってカルーイ感じでもなくよかったです。
カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)より
4102010106
No.63
(5pt)

人は生まれながらに罪なのか考えました

古典には縁(興味)があまり無く、この本を読むきっかけも、カラ兄が好きな村上春樹さんですが、
これから古典を読んでみようかな?と考えている方にはお奨めできる本だと思います。

私自身、この本の偉大さ(実際に偉大であるとして)には未だ気づけていない部分が多々あると思いますが、
聞きなれたフレーズである、「人間は生まれながらに罪を背負っている」という言葉に深く考えさせられました。

自分の子供時代を振り返った時、無慈悲に小さな生き物(蛙)を何度も殺したことがあり
その事を思い出し、人は誰しもが、無慈悲なことを行う土壌をその心の内に隠し持ってる
という、心に潜む闇のようなものを再認識させられました。

金欲と淫欲にまみれた親、暴力、知力、慈悲力?に長けた3兄弟、彼ら及び彼らを取り巻く
登場人物達の生き様、思想が実に示唆に富んでいて、読者個々人に多面的に色々深く考える
きっかけを提供してくれると思います。

この本が持つ示唆の大きさを、これからの人生で少しずつ気づき、自分の生きる上での指針となるものを
身につけたいと感じる本でした。

カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)より
4334751172
No.62
(5pt)

非常に読みやすい

驚いた。頭にすらすら入ってくる。
前人の翻訳で何度か読んだことのある本書だが、
ごく普通の小説と同じようにすらすら頭に入ってきてくれるのには
大変に驚いた。
早く読めすぎて注意力散漫になる人もいるかもしれないが、
私の場合は理解が深まったような気がする。
これまで読みきれなかった人も、この翻訳ならば読めるのではなかろうか。
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)より
4334751067
No.61
(5pt)

ゾシマの教え

3度めのトライでようやく2巻読了。読書ガイドがとてもすばらしく、「カラマーゾフ」の世界がくっきりと目に浮かんできます。何といってもゾシマ長老の部分に感動しました。なかでも「謎の訪問客」が印象的でした。これまで、ここを読むのがいやで、挫折してきたのが、逆にここが何かとても崇高な感じがするのは、ゾシマ長老の言葉遣いの優しさでしょうか。すらすら読めるというより、ふんわかした感じがとても心地よい。ドストエフスキーのイメージがすっかり変わりました。
カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)より
4334751172
No.60
(5pt)

おそらく、文学史上最高の達成。

20世紀最高の哲学者の1人とされるウィトゲンシュタインが、「最低50回は読んだ」、
「全てを暗記している」と豪語するほど読む耽った小説です。

心理学的には、フロイトが「ドストエフスキイと父親殺し」う評論において、実際の人物
であるかの如く研究の対象としています。フロイトは小説としても絶賛しています。
(心理学者のフロイトがここまで褒め称えるのは、異例です)

稀代の天才哲学者ニーチェも賞賛しています。おそらく彼は多大な影響を受けたものと思われ
ます。(主として「超人思想」など)

偉大な哲学者や心理学者にここまで愛されてきた小説は、おそらく他にはないでしょう。
小説を芸術として捉えるのなら、史上最高の小説は「アンナカレーニナ」に落ち着くでしょう
が、哲学的な要素や心理学的な要素に富んでる「カラマーゾフの兄弟」に、自分はそれ以上の
達成を感じます。

エンターテイメントとしては、「地下室の手記」の弟二部や、「悪霊」の「賢しき蛇」以降、
「罪と罰」の殺人以降などの面白さには及ばないかもしれません。
それでも、「反逆」〜「大審問官」の2章は非常に面白いので、まずはそこまで読んでほしい
です。
カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)より
4102010106
No.59
(5pt)

深い!深すぎる、アンタは鬼だよ・・・

P259〜のドミートリイの熱い語りが良い感じだと思います。詩情あふれるというんでしょうか?もちろん深く考えさせられる文章もバリバリ出てきます。三島由紀夫の「仮面の告白」の冒頭の抜粋文も出てきますよ。

ドストエフスキーはデビュー作を、「これで失敗したらネワ河に飛び込む」覚悟で書いたそうですが、さすが、それくらいの狂おしいほどの念を持った芸術家だからこそ、数々のモンスター的な作品を残せたんだろうな・・・と思います。
カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)より
4102010106
No.58
(4pt)

翻訳者と作家本人の主張

まだ全4巻のうち2巻め、ですので「確かなことは何も言えない」(作中人物の台詞より)ことを前提にしてのレビューです。

「いま、息をしている言葉で、もう一度古典を」これが光文社の同シリーズに掲げられたコピーです。
事実この「カラマーゾフの兄弟」の中で、登場人物たちは「現代風」の言葉遣いで会話、独白していて、地の文でも平仮名と外来語の割合が高いようです。
これを馴染みよいとするかどうかは、読者それぞれの感覚しだいですが、今までの訳でも十分口語体の勢いを活かしたものがあったと思います。
それにしても「亀山カラ兄弟」たちは若々しいです、…少々無理を感じるほどに…。
逆に言えば、もう少し時期が過ぎると古臭さにつながるかもしれません。

また、本文での注釈を減らし、巻末で「読書ガイド」が設けてありますが、読者にとって親切なのか不親切なのか、難しいところです。
30ページの長さで当時の教育制度、推察される貨幣価値についても丁寧に記されてあり、作品の背景を知るのに役立ちます。
反面、あまり強調しないほうが良いのでは?というところまで書いてあるので、初読の場合、亀山氏の主張に引きずられる可能性があります。
何度も読んだり、同作家の他作品にいくつもふれているうちに、「そこ」に思い当たったり、それから派生する事柄の解釈も、読書の楽しみの一つだと思うのです。

否定的に聞こえる感想ばかりを並べてしまいましたが、読み返したくなる部分もとても多いです。
かなり大胆な訳もあれば、慎重で無難な言葉をおいた箇所もあります。何通りかの邦訳を手に出来ることは、面白いものです。
この作品自体が大きなエネルギーを持っているので、おのずと多方面へ興味が広がり、読者それぞれの「カラマーゾフ」が生まれると思います。
続刊が楽しみです。

カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)より
4334751172
No.57
(5pt)

この小説は呪いでできています。

ジャンル分けするなら、『カラマーゾフの兄弟』は推理小説になります。
親子、兄弟、病気、師弟、友人、恋人、商売相手・・・もはや呪いというべき強固なコンプレックスが網の目のように複雑にからみ合うなかで起こる事件。そのまっただ中で苦悩する主人公の姿は、誰にとっても他人事ではいられません。アレクセイは互いに憎しみあう家族の中で、どういう答えを出せるのか。小手先のトリックではなくこんがらがった人間の心理を解きほぐす、人生の謎解きです。
難解なはずなのに割とスラスラ読めるのは、登場人物が「いつかの自分」と重なって、どうしても先が気になってしまうからだと思います。最初読んだときは、あまりにも自分の家族とそっくりで(情熱的な長男、理知的な次男、宗教的な三男)、ドストエフスキーの人間観察の鋭さに舌を巻きました。
蛇足ながら、この作品に限らずロシア文学を読むときは人物の軽いメモをつくっておくことをお勧めします。同じ人物が本名、敬称、愛称など、何通りもの呼ばれ方をしますので。
カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)より
4102010106
No.56
(5pt)

もうひとつのヨブ記

読む度に一層深い感情と経験に誘われる、稀有の書。実在の社会的事件を題材にした「父親殺し」を巡る一連の筋の流れは、当時のロシア社会の問題性を浮き彫りにしてはいるものの、しかし物語の外面にすぎない。一貫してこの作品の底に流れているライト・モチーフは、「神は存在するのか」というテーマ、この世界は、生は、究極的には肯定しうるのか、それとも否定すべきものなのか、という苦悩だ。ドストエフスキーに親しんでいる読者なら直観することだが、イワンこそドストエフスキーの分身であり、イワンの苦悩はドストエフスキーの苦悩である。『大審問官』や『悪魔。イワンの悪夢』が作中最も力強く我々に迫るのも、そのためである。ドストエフスキーの内でそうだったように、イワンの内でも神と悪魔が激闘を繰り広げている。それに対し、純粋なアリョーシャ、彼を導くゾシマ長老は、ドストエフスキーが信じたかった、信じようとした、理想そのものである。上巻の前半で、ゾシマが苦悩の解決の可能性について訊ねるイワンに対して答えた言葉は、注目すべきものである。

「肯定的なほうに解決されぬとしたら、否定的なほうにも決して解決されませぬ。あなたの心のこういう特質はご自分でも承知しておられるはずです。そして、そこにこそあなたの心の苦しみのすべてがあるのです。・・・」

この作品には、苦悩に対する明確な解答は与えられていない。物語は、死者の復活を信じるアリョーシャの信仰告白で幕を閉じるが(一方イワンは発狂する)、ドストエフスキーの苦悩がそれで決着したわけではないであろう。しかし、それでよいのである。世界への苦悩、信仰と不信の相克、自我を他者に捧げることのできぬ罪の意識、永遠調和の瞬間(キリスト的愛の瞬間的実現・すなわち神の国の到来)への渇望・・・・・・どこまでも真剣な、ドストエフスキーの思考の過程。これらが読む者の心を慰撫し、浄化し、強めるのである。
カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)より
4102010122