デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士

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評判

デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士の評価:

4.65/5点 レビュー 96件。 A ランク

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平均点4.65pt

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全143件 141〜143 8/8ページ
No.3
(5pt)

人が人を思いやる優しさを感じることのできる推理小説

仕事柄”通訳”をさせられてしまう事があるが、観念や抽象的な事を言い手の思う通りに受け手に伝える事は非常に難しい事がよくある。同じ言語を話す人同士でも限られたコミュニティで体感した事を前提とした話は、なんの事かよくわからない言語明瞭・意味不明の状況はよくあるし、こういった暗黙の了解や常識とされる事、文化的な共通項を頼りとした物言いが含まれる場合は、通訳不能に陥るか、恐ろしく長い前置きを必要とする事がある。

この小説は推理小説であり、犯人探しの展開ももちろんスリリングであるが、ろう者の世界に実に読み手を素直にいざなう筆さばきは凄い。さながら今まで知らなかった世界へのガイドブックの様である。「かわいそう」とか「健常・非健常」といった、一面的なものの見方ではなく、ろう者でしか感じえない世界を非常に平等なものの見方で読者に紹介してくれる。著者の心の優しさが滲み出ている作品だと思う。

推理小説マニアだけでなく、コミュニケーションに興味がある人、通訳・翻訳業に携わる人など多くの人に読んで貰いたいと思わせる、良著だ。
デフ・ヴォイス Amazon書評・レビュー: デフ・ヴォイスより
4163808108
No.2
(5pt)

「ろう」についての知識だけではなく、終盤の盛り上がりに注目

娘の保育園時の友達にコーダの子がいた。もちろんコーダという言葉は、本書で初めて知ったが、今振り返るとそのコーダである友達とその両親は、本書で描かれているような宿命と困難さを背負い、懸命に生きていたのだと気付かされた。ただ、本書の魅力は、「ろう」について、全くの無知であった私に様々な知識を与えてくれたことだけではない。特筆すべきはその構成力。様々な話が展開していって、いったい最後はどう収束するのかと思いつつ読み進んだが、終盤で一気に決着をつけるその筆力には感心した。ストーリー終盤におけるそのスピード感やリズム感という点でいえば、まさに村上春樹の「ノルウェイの森」を彷彿とさせる。かなり力のある作家だと思った。
デフ・ヴォイス Amazon書評・レビュー: デフ・ヴォイスより
4163808108
No.1
(5pt)

「私たちが――私と美和が、あなたたちの言葉を覚える」に感動

2011年松本清張賞候補作。
 主人公の荒井はなぜ手話通訳士になったのか?荒井に関わる二つの殺人事件の因果関係は?「デフ・ファミリー」における「コーダ」とは?
 「ろう」についての徹底した取材に基づいた作品。「ろう者」の世界という聴者にとっては未知の世界に、作者が寄り添って「ことば」が「聞こえる」「聞こえない」という事態は、人間にとってどのような意味を持つのか、という問題と正面から取り組んだ意欲作。
 読みながら「ろう」についての己の無知に恥じ入った。
 また、作中、みゆきが「あなたのこと、知りたい……もっと知りたいの……」と述べる台詞は、ラカンの言うコミュニケーション行為の最大の逆説「伝わらないからこそ継続する」を彷彿とさせる「愛のコトバ」として秀逸。うかつにも涙してしまった。
 いいぞ。いいぞ。この小説家の次回作にも大いに期待したい。


デフ・ヴォイス Amazon書評・レビュー: デフ・ヴォイスより
4163808108