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血の絆



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【この小説が収録されている参考書籍】
血の絆 (新潮文庫)

血の絆の評価: 3.75/5点 レビュー 4件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.75pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(3pt)

多少のことは目をつむって

週刊文春 1985年 海外3位。

1965年 ニューヨーク。未亡人のカーティス・ヘイウッドは、一人息子ギャレットが東アフリカ沖合で行方不明となった報を受ける。ギャレットの死を受け入れられないカーティスは、ギャレットが乗船していた船の船長ラセルに真相を問いただすべく、一路、タンザニアへ。しかし、ラセルの乗るジャルード号は、既にセーシェル島へ向けて出発していたのだった。カーティスは人々の制止を振り切り、唯一の手がかりであるラセルの跡を追うことにした。 ・・・

カーティスを助けるのは、ボンベイから一人船に乗って旅をしている元税関の簿記係ラメッシュ、カナダ人の石油掘削人ケイディ、スマトラ人の少女ラニーだ。国籍も人種も違う彼らは、運命に導かれるようにカーティスと出会い、カーティスの息子への思いに打たれ大海原へ共に旅に出る。

本書の前半は、4人が出会うまでに頁が割かれている。ラメッシュは、イギリス人とインド人の混血の中年男。人々の差別に嫌気がさし、母親の遺品を処分して購入したおんぼろ帆船で、海へと乗り出した。航海の知識のないど素人がアフリカへ向けて船出するというあたりは、荒唐無稽であっても目をつぶってあげなければならない。異なる人生を歩んできた人々が邂逅し、目的を一つにするというロマンチックな物語には多少のご都合主義はあっても良いのである。

行方不明の息子を探すカーティス。身寄りのない密航者ラニー。上司を殴り倒して仕事場をクビになったケイディ。それぞれの事情を引きずりながら、ラメッシュの船に合流し、ラセル追跡行を繰りひろげる。

後半は、あるときは船の故障にみまわれ、あるときは嵐に巻き込まれという海洋冒険小説のお約束のストーリー展開である。ラメッシュのど素人ぶりが危機感をより煽るとともに、それを乗り越えていくことで自信を得ていく男の姿が描かれていく。旅の途中のアツイ友情や、ホットな恋愛も彩りを添えていることになるのだろう。

ギャレットはいずこ。カーティスの思いは叶うのだろうか。物語は、当時のタンザニアの社会情勢を巧みに取り入れ、アクションたっぷりの結末へなだれ込んでいく。ここも、野暮なツッコミは無用。見て見ぬふりをすることも作品を楽しむには大切なのだ(多分 ・・・)。
血の絆 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:血の絆 (新潮文庫)より
4102205020
No.1:
(3pt)

多少のことは目をつむり

週刊文春 1985年 海外3位。

1965年 ニューヨーク。未亡人のカーティス・ヘイウッドは、一人息子ギャレットが東アフリカ沖合で行方不明となった報を受ける。ギャレットの死を受け入れられないカーティスは、ギャレットが乗船していた船の船長ラセルに真相を問いただすべく、一路、タンザニアへ。しかし、ラセルの乗るジャルード号は、既にセーシェル島へ向けて出発していたのだった。カーティスは人々の制止を振り切り、唯一の手がかりであるラセルの跡を追うことにした。 ・・・

カーティスを助けるのは、ボンベイから一人船に乗って旅をしている元税関の簿記係ラメッシュ、カナダ人の石油掘削人ケイディ、スマトラ人の少女ラニーだ。国籍も人種も違う彼らは、運命に導かれるようにカーティスと出会い、カーティスの息子への思いに打たれ大海原へ共に旅に出る。

本書の前半は、4人が出会うまでに頁が割かれている。ラメッシュは、イギリス人とインド人の混血の中年男。人々の差別に嫌気がさし、母親の遺品を処分して購入したおんぼろ帆船で、海へと乗り出した。航海の知識のないど素人がアフリカへ向けて船出するというあたりは、荒唐無稽であっても目をつぶってあげなければならない。異なる人生を歩んできた人々が邂逅し、目的を一つにするというロマンチックな物語には多少のご都合主義はあっても良いのである。

行方不明の息子を探すカーティス。身寄りのない密航者ラニー。上司を殴り倒して仕事場をクビになったケイディ。それぞれの事情を引きずりながら、ラメッシュの船に合流し、ラセル追跡行を繰りひろげる。

後半は、あるときは船の故障にみまわれ、あるときは嵐に巻き込まれという海洋冒険小説のお約束のストーリー展開である。ラメッシュのど素人ぶりが危機感をより煽るとともに、それを乗り越えていくことで自信を得ていく男の姿が描かれていく。旅の途中のアツイ友情や、ホットな恋愛も彩りを添えていることになるのだろう。

ギャレットはいずこ。カーティスの思いは叶うのだろうか。物語は、当時のタンザニアの社会情勢を巧みに取り入れ、アクションたっぷりの結末へなだれ込んでいく。ここも、野暮なツッコミは無用。見て見ぬふりをすることも作品を楽しむには大切なのだ(多分 ・・・)。
血の絆 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:血の絆 (新潮文庫)より
4102205020

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