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(短編集)
6ステイン
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6ステインの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.40pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全41件 21~40 2/3ページ
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今年(’05年)は福井晴敏の当たり年で、『終戦のローレライ』、『戦国自衛隊1549』、『亡国のイージス』と彼の原作・原案の作品が3つも映画化された。 本書は、重厚長大な大作(長〜い作品)を書くというイメージの強い著者の初めての短編集である。直木賞の候補にもなった本書だが、6編のうち5編は’98年から’00年に月刊小説誌に初出された比較的前の作品だ。 いずれも存在を秘匿された組織、通称“市ケ谷”と呼ばれる防衛庁情報局の正局員や非常勤の警補官(AP)、つまり秘密工作員たちの活動を描いている。 ふだんは別の仕事を持っていたり、普通の主婦だったりする男たち、女たちがひとたび本部からの「指令」があれば、一転、命のやり取りすら当たり前の過酷な「任務」に身を投じる。彼ら、彼女らがそんな「仕事」をしているとは世間ではまったく知られない。しかも思いのほか報酬は少ない。 なんでもない日常を描くような書き出しから、急にハードボイルドで非日常的なまったく別の世界が展開する。最初の1,2編は違和感すら感じたが、読み進んでいって、特におしまいの2編、「断ち切る」と「920を待ちながら」は短編というより中編位の長さの佳作で、福井節といってもいい独特の言い回しの文章はそれ自体、重々しく存在感があり、次第に物語に引き込まれていった。 | ||||
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なんでもない日常を描くような書き出しから、ぐいっと別の世界に引き込まれる。 そして読み終わった瞬間顔を上げて、あ、空が青い、道行く車の音も普通に聞こえてくる、とほっとする。 福井作品は「Twelve Y. O.」と「イージス」を読み、「ローレライ」「戦国自衛隊1549」を映画で観たくらいの新参者ですが、そんな私には「いまできる最善のこと」がいちばん魅力的で臨場感がありました。「媽媽」のラストには、ひとりの30代の女として泣けてしまったけれど。人それぞれにさまざまな楽しみ方ができるのが、短編小説集の素敵なところですよね。 | ||||
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短編集ながらも、骨太なストーリーは健在! 「畳算」では今までとは少し違ったテイストでほろ苦く哀しかった。 「媽媽」と「断ち切る」は両編合せて映画化して欲しいぐらい心に 沁みるストーリーだった。場面映えする内容だと思いましたし。 「920」は亡国ファンなら見逃せません。 普段の日常とは少し違った世界を見ているのに、感情移入し易いのが福井作品。是非、ご一読を! | ||||
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オーソドックスなスパイ・ハードボイルド「いまできる最善のこと」。日本的な陰影を持ったスパイ小説「畳算」。長編のサイドストーリー「920を待ちながら」。連作短編「媽媽」「断ち切る」。 いろんな変化をつけながら、日本という地に立脚した本格スパイ小説を楽しませてくれる。しかも、ラストにいつも希望を残す。絶望を投げ出したまま終わることはない。そういう力強さを持つ。 私は特に、「サクラ」の叙情性に魅かれた。このヒロインはいい。この一編は、特に短編としての完結性が高いように思う。 | ||||
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6本すべてに防衛庁の情報局員が登場。ただし、彼らは如月行や渥美大輔のような“超人”ではない。家庭と仕事の狭間で悩む有職主婦だったり、中年太りの内勤専門だったりと、どこにでもいる市井の人々だ。精神的にも経済的にも一般市民と変わらない人たちが、複雑な組織と境遇に翻弄されながらも“筋”を通そうとする様は、サラリーマンのハートをガッチリ掴んで離さない(苦笑) いつもの長編だと、ここまで平凡な人たちを主役級に据えるわけにはいかない。福井氏はその辺をよく心得ているのだと思う。 個人的には「920を待ちながら」。構成密度は長編級だし、通勤中に読み終えて不覚にも泣きそうになった。福井氏の長編を一通り読んでいる人は、本作を避けると後悔しますぜ。いろんな意味で。 蛇足ながら、この短編集には福井氏が生まれ育った城東地区が徹底的に描き込まれている。宮部氏も同じ界隈をよく描くが、長いこと墨田区から葛飾区辺りを転々としている立場から言わせてもらうと、福井氏の城東のほうがリアルで切実で愛情に満ちている。 | ||||
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6編の中編を集めた作品。 どの作品のプロットも、長編にしてもおかしくないくらい、よく練られており、その分無駄がない作品と感じた。 どの作品にも、作者の全作品に共通する「個人」対「組織・国家」というテーマが盛り込まれており、ミステリーの枠にとどまらず、メッセージ性にあふれた作品となっている。 本作品は第132回直木賞の候補作となったが、残念ながら受賞を逃した。 | ||||
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福井さんはどうも長編作家のイメージがありますが、なかなかどうして短編だって充分読ませます。「亡国のイージス」「終戦のローレライ」など超弩級の長編に手を出す事を渋るファンには福井氏作品入門編として適度な6つの物語が楽しめると思います。 この本には「川の深さは」からスタート(デビューは「Tweive Y.O.」ですが、執筆はこちらが先らしい)した、氏のライフワークである市ヶ谷シリーズの小ネタが満載なので、にやりとする場面が多多あるのは、ファン冥利に尽きるところ。 個人的には「畳算」が一番のおすすめ。堤と老女将のやり取りと、悲しいラストながら読後の爽快感は群を抜いています。 ただ他の人も指摘してますが、本書を読む前に「亡国のイージス」は読んでいた方が絶対に良いでしょう。大筋には余り影響は与えませんが、序盤の雰囲気はそれによってかなり違ってきます。もちろん知らないほうが面白いです。 なので入門編と言いましたが、先に「亡国のイージス」だけは読んでおきましょうね。矛盾してごめんなさい(笑)。 | ||||
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骨太なんだけど娯楽性も抜群という著者の持ち味が, 短いながらも存分に堪能できます。6つとも短編集で映画化してほしい!! | ||||
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防衛庁情報局の工作員・狙撃手たちが密命を帯び、それを非情に遂行してゆく中で、組織と個の構図を描き出していくハードボイルドで面白く読んだ。主人公には鍛えられた肉体がある。家庭や職業といった別の顔がある。個人として「生きる」ために、どうしても拘らなければならない信念を胸に秘めて、身体を張る。何のために戦うのか?ささいなきっかけやおよそ関係なさそうな導入シーンから核心に迫る人間の深淵に引き込む構成がうまい。「畳算」「920」って何だろう?という興味もそそる。「920を待ちながら」は中篇の心理ゲームで一番読み応えがある。どれもテレビや映画になりそうな映像が浮かんでくる。 | ||||
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終戦のローレライを読んで面白かったので、短編だから気楽に読めるなと思い手に取りました。 確かに読みやすいし面白い。 でも、盛り上がった時にその話が終わってしまうので、何だか勿体無いような気になります。 読みながら頭の中で映像化していくとその終わり方に満足出来るのですが、小説としてどうなのか私には判断出来ませんでした。 星5つとしてもいいのですが、読み終えた後のこのモヤモヤ感と葛藤しました。 星4つ半があるのならそうしたい。そんな気分です。 申し分の無い福井ワールドは読めます。 ただ、それを語るにはやはり短編では短過ぎるのかも知れません。 | ||||
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福井氏の長編物に対する圧倒的な筆力は、すでに語るまでもない。 が、長編物専門の作家は、短編物が苦手という話を聞いていたので あまり期待をせずに、この本を手に取った。 確かに最初の方は「ま、こんなものかな」と特別な感想は持たなかったが 残り三話は、いやー面白い。 短編でもしっかりとドラマがあり、短い分余計な部分を抜いて濃厚といえる。より楽しむ読み方のおすすめは、流れに沿って読むこと。 短編集で基本的には個々の話が独立しているが、中には繋がっている話もあるので 順番どおりに読むことをおすすめする。 そして最後の「920を待ちながら」は、この短編集が氏の作品の初読みで これから他の作品を読もうという方は、先に「亡国のイージス」を 読んでからの方がいいだろう。 他の方も書いているが「亡国のイージス」で主役級のキャラが出ており 「亡国のイージス」のネタバレになってしまうからだ。いずれにせよ「ね、短編だって書けるんです」という氏のコメント通り 彼の才能を改めて見せつけられた作品になった。 この「6ステイン」は直木賞候補で、来週にも発表されるらしいし 今年は氏の作品三つが映画化されるので、今後もしばらく福井晴敏に注目していきたい。 | ||||
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福井氏の長編物に対する圧倒的な筆力は、すでに語るまでもない。 が、長編物専門の作家は、短編物が苦手という話を聞いていたので あまり期待をせずに、この本を手に取った。 確かに最初の方は「ま、こんなものかな」と特別な感想は持たなかったが 残り三話は、いやー面白い。 短編でもしっかりとドラマがあり、短い分余計な部分を抜いて濃厚といえる。より楽しむ読み方のおすすめは、流れに沿って読むこと。 短編集で基本的には個々の話が独立しているが、中には繋がっている話もあるので 順番どおりに読むことをおすすめする。 そして最後の「920を待ちながら」は、この短編集が氏の作品の初読みで これから他の作品を読もうという方は、先に「亡国のイージス」を 読んでからの方がいいだろう。 他の方も書いているが「亡国のイージス」で主役級のキャラが出ており 「亡国のイージス」のネタバレになってしまうからだ。いずれにせよ「ね、短編だって書けるんです」という氏のコメント通り 彼の才能を改めて見せつけられた作品になった。 この「6ステイン」は直木賞候補で、来週にも発表されるらしいし 今年は氏の作品三つが映画化されるので、今後もしばらく福井晴敏に注目していきたい。 | ||||
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短編でも福井節全開です。 文体だけでハマれる作家といえば、高村薫と福井晴敏が私の中では両巨頭です。 でも、短編ではどっぷりというわけには行きません。 ノッてきたと思ったときには、物語終了。 やっぱり、長編で心ゆくまで浸りきるのが、福井作品の醍醐味だと改めて感じました。 | ||||
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今回の作品今までの大きな舞台で展開されていた作品とは違い、もっと身近な社会で極秘裏に動いている「市ヶ谷の人々」を描いていると言える。短編の作品で構成されており、いまできる最善のこと/畳算/サクラ/媽媽/断ち切る/920を待ちながら となっている。今回もまた福井作品全般に言えるであろう読む者を熱くして止まないストーリーとなっている。一方で「今」を生きる私達に対する国防に対する意識の低さを訴えている。安全は無料ではないと。はじめて福井ワールドに足を踏み入れる方には読みやすい内容となっていると思うので、御一読あれ。 | ||||
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トム・クランシーや麻生幾のような軍事物が好き、重松清のような人間ドラマが好き、かわぐちかいじのような熱い現代物が好き、日本という国や人間が好き、そんな人たち全てに全力でお薦めの作家です!! 「亡国のイージス」で日本推理作家協会賞を含む三賞を受賞し、「終戦のローレライ」で第2回大藪春彦賞を受賞。両作品とも2005年度の映画化が決定し、「亡国のイージス」はモーニング誌上で漫画家もされている福井晴敏氏、初の短編集! 市ヶ谷と呼称される情報組織のエージェントとして生きる様々な人々の人生の転機を切り抜き短編としてまとめた短編集。「6ステイン」(6つの染み)の題の通り、現代社会の染みと化した「不実」とも言える生き方を強いられている人々が「誠実」に生きようと変わっていく様を独特の熱い筆力で見事に描ききっています。福井氏の作品に共通する「無骨な中年男性と凄腕だけど精神的に未成熟な青年のやりとり」「組織間のパワーゲームに対する警告」「現実の問題に対する暗示的な描写」は相変わらず見事で中でも「組織間のパワーゲームに対する警告」が強く感じられました。 福井氏の作品の愛読者には嬉しい「繋がり」も随所に見られ、必ずや満足できると思います!かっこよさもあり、人間ドラマもあり、軍事物好きはニヤリとでき、最後は感動にむせぶ。福井氏の作品にはそんな魅力が詰まっています!必読です!他の作品も全てぜひ読んでいただきたい! 来年春頃には『Op.ローズダスト』という長編も待機しています!公式ホームページを見る限りではこちらもかなりすごそうです! | ||||
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防衛庁情報局の工作員たちの活躍を書いた6つの短編です。 いままで日本の工作員を書いた小説を読んだことはないので とても新鮮でした。こんな世界があるんだ~ってな感じで。 最後には「亡国のイージス」の、あの人も登場します。自分にとって、短編では久々のヒットです! | ||||
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人が、自分自身を人間として。と自身に対し素直になる時を書いた珠玉の6作品です。 ここでも福井作品によく出てくる、縛りや括り、地位や肩書きといったものが出てくるのですが素直になって人間の良心に従うということが、毎日が闘いであるという人物が登場してくることによって、素直さからの距離の遠さが描かれ、より濃く伝わって来ます。 また、福井作品の特徴でもあると思える、カメラワークのような表現は、ここでは素直になる「その瞬間」というものの表現として表れ、平仮名と、漢字の駆使の仕方はどの作品でもそうですが絶妙です。 | ||||
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福井作品ではおなじみの「市ヶ谷」の面々が活躍する短編集。6編の短編が収められていますが、それぞれのお話が完全に独立しているのではなく、微妙な重なりを見せているところが話に奥行きを与えています。登場する主人公たちも若い男女、主婦、中年、老人とバリエーション豊か。さまざまな年代の視点から楽しめます。また、福井作品独特の映画やアニメを見るような緻密な情景描写も冴えています。もちろん内容も素晴らしい。たとえば「920を待ちながら」では、短編でありながら、「亡国のイージス」に負けないくらいびっくりのどんでん返しが待っています。そして全編とも涙、涙の感動物語。おまけに「あの人」まで登場しているとなれば、福井ファンには感涙ものです。「亡国のイージス」など福井作品のファンならば楽しめること間違いなしです。 | ||||
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福井ファン待望の新作は6篇からなる短編集です。 短編であっても福井晴敏の世界観は損なわれておらず、饒舌かつ的確な文章で 紡がれる人間ドラマはまさに期待通りです。 “市ヶ谷”の符合で呼ばれている、おなじみの諜報組織の人間達が主人公ですが、 今回はキリングマシーン然とした隊員ではなく、人間臭さが前面に押し出されて いるので、また別の雰囲気があります。 個人的には「媽媽」「断ち切る」「920を待ちながら」の3篇が特に気に入り ました。“920”とは何かって?もちろん某組織の隊員IDですよ。ファン ならピンとくるものがありますよね。 | ||||
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福井ワールドの物語の中核を占めている重要な存在、防衛庁情報局=『ダイス』。なかでも長編にはあまり登場しないAPと呼ばれる裏方の活動員が様々な思惑に巻き込まれながらもそれぞれに「今できる最善のこと」を為していく。不器用で、見て見ぬふりの出来ない登場人物たちが政局や国際情勢など大きなうねりに抵抗しながら自分たちの存在証明をしてゆくさまは、「亡国のイージス」など大ヒット長編と同じテーマを共有することが出来る。「この作家、長編だけでなく短編もイケる!」という第一印象は、たぶんデビュー作から根底に流れる一貫したテーマ故なのだろう。 そして、第6篇の「920を待ちながら」には“あの人”の“あの時”以前の活躍が…。人気キャラクターの前後譚というのはファンサイトではよく見るが、作家本人が大まじめに取り組んでるあたりは『市ヶ谷サーガ』の面目躍如たるところ。登場人物がちょっとずつクロスオーバーする福井ワールドのファンには堪えられない、お薦めの短編集。 | ||||
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