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(短編集)
かばん屋の相続
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かばん屋の相続の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.13pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全111件 101~111 6/6ページ
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本当は☆ゼロにしたいくらい。 2005年から2008年までの間オール読み物に掲載された池井戸の駄作を集めて、売れれば儲けもの程度で出版社が出したオリジナル文庫。したがって、ひどい内容のものばかりである。 「10年目のクリスマス」はまず人が描けていない 「セールストーク」は、転貸しという銀行小説の古典的なテクニックを使っている。これはバブルシリーズでも多用されており、結局、銀行小説を書く作家は困ったらこの技を駆使する傾向がある。ただ、何度も使うのはプロとして失格 「芥のごとく」「妻の元カレ」は小説以前。きちっと着地していない。こんなものを金もらって読ませる小説だとは思えない。 「かばん屋の相続」は唯一まともそうには見えるが、ほかの作品のデキが悪すぎるからであって、これがいい作品かといわれれば疑問。 驚くのは、こんなひどい短編集なのに、「さすが、池井戸!」とか評価している読者がいることだ。彼らはみな金融関係のおしごとをなさっているハイソな方々なのかもしれない。内容よりも経験ということかな。 | ||||
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金融機関を目指している学生の志望理由(ある意味無難で教科書的な) として、「中小企業とともに歩み、その成長をともに味わいたい」というのがあった。 今はこの願いを職場でかなえるのはほぼ不可能であろう。 その前提として銀行の数が適正に淘汰されること(メインバンク制の復活)、 景気が上向き銀行の体力が回復されること、企業、経営者の資質が優れ、その会社を担当する行員、上司に 恵まれること(転勤で担当が変わっても関係が維持される)等が思い浮かぶ。 こんなことはできるはずは無い。できるとすれば銀行員がそうだと思い込む(中小企業はそう感じていない) ことぐらいか。 「芥のごとく」を読んでそんなことを考えた。 就職氷河期が続き、そんなロマンを持って会社に入ってくる学生は少数派なのかもしれない。 理想と現実のギャップ、現実が目の前に突きつけられたとき、どこで落としどころを設けるか、もがき苦しみながらでも 立ち続けるのかそれとも戦いをやめて楽なほうを歩むのか。 そうした心の葛藤が丹念に表されている。 著者は銀行員時代に伝え聞いたこと、おそらく現在でも現役行員からのネットワークを活かし 取材を続けているのであろう。 こうしたことの蓄積がリアリティに富み、感情移入できる作品を生み出す土壌となっていると思う。 | ||||
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金融機関の融資担当者の目線でストーリーを描いている。ショートストーリー数編を収めたものです。 1話が短いので、移動時間などに簡単に読むことができます。 一般サラリーマンにとっての銀行は、預金をするか、投資をするか、住宅ローンを組むときに窓口の人と話をする程度であり、本書に出てくる融資担当者のような仕事をしていることは知らないのではないでしょうか?(私は少なくてもそうでした。) 本書を通じて、金融機関の融資業務の一端を垣間見ることができたのも良かった点です。 ちなみに、文庫タイトルのかばん屋の相続は、一時期ニュース等で取り上げられていた京都の老舗かばん屋「一澤帆布工業」の話をもじったものです。 | ||||
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本書は、「下町ロケット」での直木賞受賞後、最初に発売された注目の新刊なのだが、単行本ではなく文庫本ということから予想されたとおり、「オール読み物」平成5年12月号から平成8年9月号までに掲載されていた旧作短編6作品が納められている。 「下町ロケット」から入って池井戸潤の旧作をピックアップして読み広げていくと、その大半が銀行物であることから、その芸域の狭さに少々うんざりして、手を出すのをためらってしまうところもあるのだが、この短編集も、御多分に洩れず、全作が銀行物になっている。ただ、舞台が銀行になっているというだけで、内容的には、なかなかバラエティに富んでいるし、平成5年当時といえば、すでに水準以上の単行本を発表していた頃でもあり、この文庫本に納められた6作品も、全て水準以上のレベルにあるといっていいと思う。 6作品を順に読み進めていくうちに気が付いたのだが、1作ごとに、作品の出来が良くなっていくように感じた。私の評価では、第1話→第2話→…第6話→第4話→第5話の順なのだが、巻末の解説を読むと、上記順の第4話と第6話を入れ替えたものが初出順なのだそうだ。池井戸潤が、年が経てば経つほど腕を上げていき、ついには「下町ロケット」で直木賞受賞に至るという過程を端的に現わしているようで、非常に興味深い傾向だった。 特に、第4話と第5話は、傑作といっていいと思う。第4話「芥のごとく」は、歯を食いしばり、這いつくばってでも、会社と従業員を守ろうとがんばる浪速のど根性オバチャン社長の姿を通して、芥のごとき中小企業の現実を、強烈なインパクトで描いている。第5話「妻の元カレ」は、会社では負け組として組織の中で埋没し、家庭では元カレと再会した妻の気持ちが自分から離れていくのを敏感に感じ取っている主人公と、自分自身の人生に目覚め、元カレに気持ちが傾いていく妻の心理描写が秀逸であり、全6話の中では、最も濃厚で、読み応えのある人間ドラマが描かれている。 | ||||
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池井戸さんは、中小企業と銀行を舞台のものを書くと、本当に上手いです。 短編集ながら、どれも奥行きのある、ビターだけど旨い、充実の作品集です。 電車の中で熱中して読んでいて、降りる駅を乗り越してしまいそうになりました。 銀行業界は多分にデフォルメされているのだとは思いますが それにしても、80年代〜90年代には日系企業にはこういう人いたよなーと 思う人物造形の登場人物が次々登場して非常に面白かったです。 私は表題作のかばん屋さんの話より、危機を乗り切れなかった女性社長の話が印象に残りました。 ベテランビジネスマンにオススメの1冊です。買って損なし。 | ||||
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シャイロックの子ども達同様、銀行を舞台にした短編集。 ただし、銀行も様々な銀行、支店を舞台にしており、 それぞれに装いが異なる。 本作は特に、銀行の借り手が描かれているケースが多く、 リアルに描かれた生活感と、終局に向けてのどんでん返しが 読者の心をつかんで離さない。 ただ、やはりエンターテイメントとしての爽快感とは 少し異なるため、精神的に余裕の時にある本。 | ||||
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一寸したトラブルで資金が行き詰まる中小企業。見通しが悪ければ、メインバンクでも救済しなくなる世の中になっても、何とか助けてあげたいと思う銀行員もいます。そんな出来事を描いた6編です。 特に「芥のごとく」でのおばさんの感謝にはちょっと涙腺が緩んでしまいました。 でも銀行で誠実に生きていくのは難しいみたいですね。 | ||||
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「松田かばん」の社長が急逝した。社長の遺言には、会社の株すべてを長男に譲るとあった。 だが、会社の手伝いをしていたのは次男だった・・・。亡くなる直前に書かれた遺言状に 隠された秘密とは?表題作「かばん屋の相続」を含む6編を収録。 表題作「かばん屋の相続」は、社長である父の想いを深く感じさせる話だった。兄弟の確執は、 老舗のかばん屋を存続の危機に陥らせてしまう。「いったい会社はどうなるのか?」ハラハラ しながら読んだが、ラストは満足できるものだった。ほかにも、会社倒産にまつわる話「十年目の クリスマス」や、融資問題を扱った「セールス・トーク」など、作者ならではの知識の深さが光る 作品が収められている。銀行と会社との関係の裏の部分という、普段なかなか知ることのできない 部分も描かれていて、興味深く読んだ。読み応えのある短編集だと思う。 | ||||
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どの作品も、「絵に描いたようなハッピーエンド」に終わっていないところに、かえって好感を持ちました。切なくはあるのですが。 池井戸潤さんの作品は初めて読みました。銀行出身の作者のこと、例えば本題になっている「かばん屋の相続」なら、相続にまつわる経過説明が中心だろうという先入観があったのですが、そうではなくて、登場人物の心理描写に重きが置かれており、かつ人間を白か黒かで決め打ちしていない作者の温かい目線が、私的にはとても好みでした。 中小企業を必死に助けようとする銀行員もいれば、冷たく切らなければならない銀行サイドの思惑もある。金を借りる側、貸す側、事業を譲る側、譲られる側と、相対する一人ひとりの思いが交錯する。私自身、どの立場になっても持ちうる思いだと、知らないうちにかなり感情移入して読んでいました。 「手形の行方」「芥のごとく」は、本当に切ないです。でも最後の「かばん屋の相続」は、かすかに救いの光が見えます。6つの収録順も、なかなかです。 | ||||
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正に池井戸潤氏の真骨頂、最も得意とし、最も面白い設定のテーマ、銀行と中小零細企業の喜怒哀楽、勧善懲悪、恐怖、スリルを描く、それが本短編集だ。6話あるがいずれの話も深く引き込まれる筆致は流石である。いつもの東京第一銀行始め京浜銀行、池上信金、支店も当然に大田区池上、長原、久が原ときた。何故面白いか?銀行内部の上下関係、確執、目標と達成、人事異動、懲罰、事故、検査といった実際にある銀行内部を鋭く描いている。一方で支店取引先との多様な業務と事故、融資の応諾と謝絶、当座預金の入金待ち、不渡り等々が怖く切羽詰まった緊迫感がよく描かれているからだ。当然にベースは旧三菱だろうが、他行との組織や用語の違いは興味深い。一般読者のみならず、最も興味深く読めるのは銀行現役とOBだ。中小企業先の保全バランス、担保再評価の結果、裸与信ににらみ預金、社長の連帯保証、借入依頼に対する返事の遅れ、握り込み、最も難しい融資謝絶、与信回収・貸しはがし、集金事故、手形紛失、これらの問題や事件に対し、読者はある時は担当者になって、ある時は課長、支店長の立場になってハラハラし、何をすべきか考える。これが非常に面白いのだ。本書に登場する緊張を強いられる場面は支手や支払が集中する25日や月末の当座預金の残高不足だ。入金はどうなるか、不渡りにするか否か、担当者は夕方まで胃ががキリキリする。また業績不芳の中小企業の赤字運転資金、在庫資金の借入だ。取引基盤が弱いから主力銀行に謝絶されれば、他に調達出来る先がなくなる。難しい案件で担当者が握り込めば結果は最悪だ。池井戸氏はこれらの緊張感を描くと同時に、取引先企業との人間関係を描写するのがとても上手い。自動車業界、建設業界、宇宙ロケットを描いた傑作も素晴らしいが、池井戸氏には是非とも原点である「銀行と中小企業」のドラマ、特に普通に一般的にありながら実は非常に怖い金融スリラーを常に発表し続けて欲しい。本書の中で最も忘れられない作品は「芥のごとく」だ。融資課新任山田と、土屋鉄商の土屋年子社長、読後何とも言いようがなかった。 | ||||
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支店の銀行員と中小企業との関係を描いた6つの短編集。 どの話も、銀行マンとしてのプライド、保身と中小企業経営者の苦悩が切実に描かれていて、非常に楽しめた。 個人的には「手形の行方」と「妻の元カレ」が好きだった。 「手形の行方」は、お客から預かった大事な手形を紛失してしまい一騒動起きる話。紛失した手形の行方も去ることながら、手形の紛失をいかに自分たちの都合の良いように処理するか保身ばかり考えている銀行員が慌てる様子が楽しめた。 「妻の元カレ」は、銀行員として安定と平凡を手に入れた男が、妻の元カレとの浮気を疑いながらも問いただせずに苦しむ話。毎年海外勤務の希望を出しながらも、その希望はいつまでも叶えられない。妻の元カレは社長として新しい会社を作っており、焦りは募るばかり。最後まで先の展開が分からず楽しめた。 | ||||
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