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水底の森
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水底の森の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.22pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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この方の作品は、全体のストーリーよりも、文章とか雰囲気とか臨場感を楽しむものなのかなぁ、と思っていたのですが、この作品はそれ外にもしっかりとしたストーリーがあり、え?これだけ?とか、あれは伏線じゃなかったの?というようなガッカリもまったく無く、最後まで一気に読みました。しいて言えば、私はこの主人公があまり好きではなかったのですが、ヒロインの墜ちていく様が臨場感があるうえ、あまり他に例のないキャラクターで楽しめました。 | ||||
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※ネタバレがあるのでご注意を。。。 読んだ後の2、3日は余韻に浸っていました。 ノスタルジックな気持ちといいますか、 自分のこれまで生きてきた『場所』をひたすら思い返したというか・・・ 過去と現在を彷徨うような感覚に陥りました。 舞台が金沢という設定だったからでしょうか。 歴史が息づく街と共に、主人公たちが動いていたからかもしれません。 上下巻を一気読みしましたね。 平日にも関わらず、21時から読み始めて気づけば朝3時・・・ 寝不足のまま出勤です。 ひとつだけ注文をつけるとすれば、 要と夏樹のくだりはいらなかったかな〜〜〜。 | ||||
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追う男、追われる女…。 帯にそう記してあった。 追う男、遠野。追われる女、風子。 物語は、アパートの一室で顔を潰された男の死体。 現場にはエンドレスでシャンソンがかかっている。 そして、その部屋に住んでいた夫婦の失踪。 一見、単純な殺人事件に見えたが、事実を追う都度「謎」が深まっていく過程が とても旨く進む。 数十年の時間を、何度も移行して 現在と過去が交差して 風子の過去が暴かれて行く様は、見事。 そして、刑事遠野の思考も現在と過去を行きつ戻りつ。 だからこそ、遠野の突飛な行動に繋がるのであろう。 共感までは出来ないけれど、人にはその時々の感情に動かされてしまう瞬間がある。 柴田さんの作品は、人の「業」を表すのが旨い。 人を「好き」だという感情が、幸せにもなれ、不幸にもなる。 人に翻弄され続けてきた風子が、最後に語った言葉が心に染みる。 物語は、多少なりとも強引な所があるが 目つぶれる程 ストーリーに入り込むことが出来た。 全体的に暗いイメージで進行するので、そういうのが好きじゃない方は やめた方がいいかもしれない。 それでも、単なるミステリーとしてではなく いろいろな意味で、心に染みる本であると思う。 蓋を開けてみると、事件自体は そう複雑怪奇なものではなかったが それでも、あぁ、そうだったんだ…と唸った。 最後に「因果報応」という言葉が、頭にちらついた。 | ||||
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堪能しました〜力作ですね。 物語の色のトーンと時間軸の構成と疾走感が、東野圭吾作品で唯一凄いと思う「白夜行」レベルにあるように感じました。似いてます。但し「白夜行」のような拭い切れない不快感はない。何故、この作品が「白夜行」のようなメガヒットにならなかったか? 主人公は供に薄幸の女性。柴田先生は、鳥の羽をむしるように、これでもかこれでもかと主人公風子を裸にしていく。風子には雪穂のような強さは皆無で、同じ薄幸な過去を持ちながら、性質は全く反対。風子は幸に見放されながらもそれはそれは健気で善良、そして現実の理解の範疇にいる。雪穂のようなあくまでも物語的な悪のクールさがない点が流行にならなかった理由だろうか、などと考えながら読んでしました。読んでいる間、何故か白夜行が頭から離れませんでした。本当に良い作品です。 柴田作品には多いヤクザ者が何人も登場するのも白夜行との違い。その中で「一緒に枯れますから、ひとりが辛いなら、俺も一緒に、ここで枯れます。あなたが親父さんに抱かれないのが辛いなら、俺は女は抱かずに生きます」という明治任侠男か春琴抄か、というヤクザ者の台詞は、さすが!台詞とヤクザ者に強い柴田先生!他にも魅力的な台詞は諸所に散りばめられ、記述と会話のバランスのとれた作品です。風子はほんの一時期、ささやかな結婚生活を紡ぐようですが、幸せ模様の具体的な記述はこの作品には一切なく、幸せは常にすぐに彼女をすり抜けていく。 上下巻供も読了したので、このレビューは一気です。風子に行き着く先は”水底の森”しかなかったのかもしれませんが、私的にはこの結末が作品の強さを損なったように思えて少し残念です。「白夜行」の余韻に叶わない。また、風子の結婚相手は殺されなければ作品が成り立たない(強い男なので)のは分かるのですが、通り魔的に殺されたのが少し納得がいかない点です。きっと、私はこの男が好きなのでもう少し彼を読みたかっただけかもしれませんが・・・ | ||||
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なんとなく引き込まれて一気に読んでしまった。殺人事件が題材となっているが単純な謎解きではなく、不幸な宿命を背負った女の人生とその負のスパイラルに巻き込まれた刑事の織り成すヒューマンドラマだ。誰しも多少のプラスマイナスの振れ巾の中を均衡に保つように綱渡りの状況で生きている中で、何かの拍子にマイナス方向にに転げ落ちてしまう可能性を秘めている。実際に毎日起きる事件を見ていても、ここに出てくる登場人物の様な世界は一般社会の縮図ではないか。 | ||||
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柴田さんの書く強い女が好きだ。 強いのにどこか綻びていて、そこから見せる弱さまでもが撒き餌ではないかと思わせるぐらい強い女。 きっと自分はそうなれないし、周りにいたらきっと「嫌なやつ!」って思うだろうけれど、だからこそ憧れてしまうかもしれない。 風子の選択に、最後まで驚かされました。 ラストまでとても良かった。途中で読むのを止めることができませんでした。 | ||||
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アパートの一室で顔なし死体が発見される。その部屋に住んでいた若い夫婦が行方不明に。そして、その後夫が死体として発見される。殺人犯は、妻の風子なのか? ★風子の逃避行中に明かされて行く暗い過去が、逃げる事が出来ない宿命に捕われているようでやるせなかった。★そして、遠野の「えっ」というような家庭の事情。★この風子と遠野のなんとも暗い過去が交差して物語が進んで行きます。★単なる犯人追跡劇に留まらず、登場人物達の心理描写が深くほりさげられていてお勧めの一冊でした。★犯人も思いも依らない人物でラストまで読み応えありでした。 | ||||
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顔がつぶされた死体が発見された――。ここから物語が展開されるのだけど、犯罪の謎解きというよりも、主人公、風子の生い立ちに、引きつけられるモノが多かった。幸福に見放されたような生い立ち、その歩みによって培われた性質、それが解き明かされることによって、冒頭の殺人事件に帰着する。風子に関わったさまざまな人の人生が交錯し、風子を含めた登場人物たちを結ぶ糸が複雑に絡み合う。風子の性格も、かなり複雑だ。たおやかなれど、どこか媚びを感じさせ、慈愛に満ちて、そのために関わった男たちが落ちていく。その場に流されて、ある意味、生きることに虚無的。死ぬのは恐くないけれど、1人はイヤという感情。深い孤独におびえながら、でも自由になりたいと願う。孤独は誰かの手を握りしめなければならないが、自由はその手を離さなければならない。事件を追い、途中から風子と行動を共にする刑事、遠野要の、自壊的な感情と行動も、孤独や憎しみから逃れ、自由を求めていた結果なのか。サスペンスだから謎解きは最後に開示されるのだけど、そこに至るまでの過程がなんとも切ない。 | ||||
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ひたすら哀しく、どこかで人生のあり方を変更できれば別の人生になったかもしれない、でもそうはならなかった。 そうは出来なかった。 女も男も不器用で、懸命なのに投げやりで。 哀しい、愛しい。 でも手にとってこの人生に触れて欲しい。 | ||||
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力作です。読むのをやめられませんでした。私は柴田作品は、『桜さがし』から入ったので、もっと有名な“~シリーズ”と、『水底の森』を、サスペンスものとして、比較することは出来ませんが、にしてもおもしろかった。いくつか柴田さんのミステリーや恋愛ものを読みましたが、この作品は、リキの入り具合が違う。主人公の高見風子の傍目からは幸薄い人生が語られ、殺人事件が絡む。事件は最後の最後まで、ピースの一つ一つしか見えない。風子を追う刑事・遠野要もまた、事件に絡め取られるように、人生を自らの手でねじ伏せてしまう。意外な犯人は読んでのお楽しみです。謎が解ける快感より、この作品を流れているのは、人の「孤独」の救い難い悲しみ?寂しさ?・・・死を畏れてはいないのに、「孤独」からは救われたいと願う人間の性が、読んでて胸にしみます。複雑な登場人物同士の関係、金沢・京都などの古都が効果的に背景に描かれて、美しい物語になっています。一読をお勧めします。 | ||||
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